419 / 436
3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
418 勇者「かき氷、はじめました」
しおりを挟む
「うおおお、よくわからんがとっととくたばりやがれ! どりゃあっ!」
と、とりあえずゴミ魔剣をラファディ(氷)に振り下ろした。力いっぱい。
その刃は先ほどとは違って、ラファディの体をすり抜けることなく、きっちり氷塊を真っ二つにした。おそらく、女どもがかけたアブなんとかという最強氷結術のおかげで、もう自分の状態を氷から水や水蒸気に変化させることができなくなったんだろう。
だが、それで喜んでいられるほど甘い相手ではなかった。俺が氷を割った直後、それらの破片はすぐに元の大きさに戻ったからだ。まるで二つに分裂したような状態?
「クソッ! 割るのが無駄なら粉々に砕いてやるぜ!」
ドゴッ!とさらにその氷塊に拳を叩きこんだ。次々と。それらはやはり普通に俺の拳で砕けたが、次の瞬間には剣で割ったとき同様に、破片の一つ一つが元の大きさに戻っていた。
しかも、その氷塊はすぐに一か所に集まって合体し、俺が手を出す前よりもはるかにでかくなった。ぐぬぬ……なんだこれは!
『氷を叩くと氷がふたつ♪ 叩いてみるたび、氷は増える~♪』
と、瞬間、頭の中でゴミ魔剣の最高にバカにした歌が聞こえてきた。うるせえなあ、こいつも!
『マスター、こーゆーときは、あの錬金粘菌野郎の核を叩くのがセオリーですぜ?』
「核? そんなもんどこに……って、あ!」
あったよ、そこに! そう、目の前に屹立している巨大な氷塊の中心に、まさに核と呼ぶしかなさそうな光る球体があるではないか。
『おそらく、術で氷状態に固定化されたことで、核もあのようにわかりやすくポップアップされたんでしょうネー』
「なるほど、とりあえずあれを壊せばいいんだな!」
よくわからんが、わかった! すぐにやつの懐に潜り込み、ゴミ魔剣を核にぶっ刺した。今度こそ、終わりだ!
……と、思ったわけだったが、
「なん……だとう!」
なんと、いつのまにか核が別の場所に移動しているではないか! 一瞬のうちに氷の中を移動しやがったのか。
「に、逃げんな!」
すぐにそっちに剣をぶっ刺したが、やはり直後には核は別の場所に移動していて、俺の攻撃は空振りに終わった。
『どうやら、アレは自分の体の氷の中を自由に瞬間移動できるみたいですネー』
「クソがッ!」
瞬間移動とか、ここに来てまたチート臭い能力出してるんじゃねえよ! つか、俺の攻撃に合わせて移動するとか、その反応速度自体がチートじゃねえかよ! 俺、さっきからかなり素早く攻撃してるんですけどォ!
たが、やがてすぐに、そんなふうにただ歯ぎしりしているばかりではいられなくなった。氷の塊が巨大な人の形になって、動き出し、襲い掛かってきたからだ。
「ちっ、まためんどくせえな!」
氷の塊のくせに、妙に素早い動きだった。まあ、俺にとっちゃかわすのは余裕だったが。しかし、この期に及んでまだ攻撃してくるとは。俺としちゃ、とっととこいつを倒して討伐ミッション完了させたいところだってのによ。
「いいから、早く死ね!」
俺は再び核《コア》めがけて攻撃した。だが、それはやはり別の場所に逃げられるだけだった。そこでやり方を変え、拳を連打し、核の周りの氷から少しずつ粉砕していた。よし、これなら逃げられないはず。
やがて、俺の目の前には幅三十センチくらいの小さな氷の塊だけが残った。その中には核が入っている。核の大きさはニ十センチくらいだ。つまり、この真ん中をぶった切れば逃げ場はなさそうだ。
「よーし、これで終わりだ!」
そのままゴミ剣をその小さな氷塊に振り下ろした。
だが、直後、俺は信じられない光景を目の当たりにした。俺が振り下ろしたゴミ魔剣の刃が氷に当たる寸前、そう、そのほんのわずかの瞬間のうちに、氷は突如横に伸び、核もそっちに移動してしまった!
「な……んだとう!」
いくらなんでも反応が早すぎなんですけど! どんな神回避だよ!
『アッハー、コレはもしや、この氷が動いたり再生したり伸びたりするよりも早く、核を叩かないと無理ゲーってパターン?』
「速さ勝負かよ!」
ここに来ていきなりAGI至上主義ゲーが始まるとは。タクティクスオウガかよ。
しかも、氷野郎の奴、すぐに核を取り込んで巨人の形に戻ったかと思うと、今度はこっちに氷の矢を飛ばしてきた。
「うわ!」
それはもちろんよけたが、次はなんと、炎の魔法で攻撃してきやがった。氷の塊のくせに。
「もしかして、さっきの屍軍団の能力使ってるのか?」
水になるまえに、あいつらをまとめて吸収してたっぽいしなあ。おそらく、氷の矢はエメラダって女の能力で、炎の術はシャラと戦ってたやつだろ。名前忘れたけど。
そして、ということはだな……あのジジイの能力も……?
「始原の混沌の、さらに奥深くに潜む悠久の観測者よ! その深淵から、すべての魔力を解き放ち、かの敵を穿て! 始原の観測者!」
「って、やっぱ来るのかよ!」
直後、俺の足元に魔法陣が現れ、暗黒レーザーが真上に照射された。うお、あぶねえ! 当たると超痛い術じゃん! あわててよけた。
「わあ、僕以外の人が始原の観測者を使うのを初めて見ました! 感激で胸がいっぱいです!」
と、近くで役立たずの呪術バカの声が聞こえた。クソッ、めんどくせえな、何もかもが! こんな戦い、早く終われよ!
と、とりあえずゴミ魔剣をラファディ(氷)に振り下ろした。力いっぱい。
その刃は先ほどとは違って、ラファディの体をすり抜けることなく、きっちり氷塊を真っ二つにした。おそらく、女どもがかけたアブなんとかという最強氷結術のおかげで、もう自分の状態を氷から水や水蒸気に変化させることができなくなったんだろう。
だが、それで喜んでいられるほど甘い相手ではなかった。俺が氷を割った直後、それらの破片はすぐに元の大きさに戻ったからだ。まるで二つに分裂したような状態?
「クソッ! 割るのが無駄なら粉々に砕いてやるぜ!」
ドゴッ!とさらにその氷塊に拳を叩きこんだ。次々と。それらはやはり普通に俺の拳で砕けたが、次の瞬間には剣で割ったとき同様に、破片の一つ一つが元の大きさに戻っていた。
しかも、その氷塊はすぐに一か所に集まって合体し、俺が手を出す前よりもはるかにでかくなった。ぐぬぬ……なんだこれは!
『氷を叩くと氷がふたつ♪ 叩いてみるたび、氷は増える~♪』
と、瞬間、頭の中でゴミ魔剣の最高にバカにした歌が聞こえてきた。うるせえなあ、こいつも!
『マスター、こーゆーときは、あの錬金粘菌野郎の核を叩くのがセオリーですぜ?』
「核? そんなもんどこに……って、あ!」
あったよ、そこに! そう、目の前に屹立している巨大な氷塊の中心に、まさに核と呼ぶしかなさそうな光る球体があるではないか。
『おそらく、術で氷状態に固定化されたことで、核もあのようにわかりやすくポップアップされたんでしょうネー』
「なるほど、とりあえずあれを壊せばいいんだな!」
よくわからんが、わかった! すぐにやつの懐に潜り込み、ゴミ魔剣を核にぶっ刺した。今度こそ、終わりだ!
……と、思ったわけだったが、
「なん……だとう!」
なんと、いつのまにか核が別の場所に移動しているではないか! 一瞬のうちに氷の中を移動しやがったのか。
「に、逃げんな!」
すぐにそっちに剣をぶっ刺したが、やはり直後には核は別の場所に移動していて、俺の攻撃は空振りに終わった。
『どうやら、アレは自分の体の氷の中を自由に瞬間移動できるみたいですネー』
「クソがッ!」
瞬間移動とか、ここに来てまたチート臭い能力出してるんじゃねえよ! つか、俺の攻撃に合わせて移動するとか、その反応速度自体がチートじゃねえかよ! 俺、さっきからかなり素早く攻撃してるんですけどォ!
たが、やがてすぐに、そんなふうにただ歯ぎしりしているばかりではいられなくなった。氷の塊が巨大な人の形になって、動き出し、襲い掛かってきたからだ。
「ちっ、まためんどくせえな!」
氷の塊のくせに、妙に素早い動きだった。まあ、俺にとっちゃかわすのは余裕だったが。しかし、この期に及んでまだ攻撃してくるとは。俺としちゃ、とっととこいつを倒して討伐ミッション完了させたいところだってのによ。
「いいから、早く死ね!」
俺は再び核《コア》めがけて攻撃した。だが、それはやはり別の場所に逃げられるだけだった。そこでやり方を変え、拳を連打し、核の周りの氷から少しずつ粉砕していた。よし、これなら逃げられないはず。
やがて、俺の目の前には幅三十センチくらいの小さな氷の塊だけが残った。その中には核が入っている。核の大きさはニ十センチくらいだ。つまり、この真ん中をぶった切れば逃げ場はなさそうだ。
「よーし、これで終わりだ!」
そのままゴミ剣をその小さな氷塊に振り下ろした。
だが、直後、俺は信じられない光景を目の当たりにした。俺が振り下ろしたゴミ魔剣の刃が氷に当たる寸前、そう、そのほんのわずかの瞬間のうちに、氷は突如横に伸び、核もそっちに移動してしまった!
「な……んだとう!」
いくらなんでも反応が早すぎなんですけど! どんな神回避だよ!
『アッハー、コレはもしや、この氷が動いたり再生したり伸びたりするよりも早く、核を叩かないと無理ゲーってパターン?』
「速さ勝負かよ!」
ここに来ていきなりAGI至上主義ゲーが始まるとは。タクティクスオウガかよ。
しかも、氷野郎の奴、すぐに核を取り込んで巨人の形に戻ったかと思うと、今度はこっちに氷の矢を飛ばしてきた。
「うわ!」
それはもちろんよけたが、次はなんと、炎の魔法で攻撃してきやがった。氷の塊のくせに。
「もしかして、さっきの屍軍団の能力使ってるのか?」
水になるまえに、あいつらをまとめて吸収してたっぽいしなあ。おそらく、氷の矢はエメラダって女の能力で、炎の術はシャラと戦ってたやつだろ。名前忘れたけど。
そして、ということはだな……あのジジイの能力も……?
「始原の混沌の、さらに奥深くに潜む悠久の観測者よ! その深淵から、すべての魔力を解き放ち、かの敵を穿て! 始原の観測者!」
「って、やっぱ来るのかよ!」
直後、俺の足元に魔法陣が現れ、暗黒レーザーが真上に照射された。うお、あぶねえ! 当たると超痛い術じゃん! あわててよけた。
「わあ、僕以外の人が始原の観測者を使うのを初めて見ました! 感激で胸がいっぱいです!」
と、近くで役立たずの呪術バカの声が聞こえた。クソッ、めんどくせえな、何もかもが! こんな戦い、早く終われよ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
212
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる