3 / 35
ポピーはまだ覚めない
3
しおりを挟む
「いやーまさかあんたがお守りしててくれたとはな、ありがとよ」
中城さんは私の前にコーヒーを置いてオムライスにがっつく四葉ちゃんの隣に座った。
「いえいえ、初めて中城さんと会った時以来ですよね。久しぶりに会えて楽しかったですよ。今日は保育園お休みだったんですか?」
「んや、保育園入れなくてな。普段は友人にお守り任せて家で待たせてるんだが、そいつも仕事始めて捕まんなくなっちまってな。仕方なく今日はここで大人しくさせてたんだが」
「ぼうけんひてたの!」
「そうだったんですね。あ! じゃあ今後も今日みたいに連れてきて下さい」
「いや、それは流石に悪いだろ」
「じゃあ、保育園が見つかるまで! それなら良いですよね? それとも四葉ちゃんを家に1人置いて行くんですか?」
「……あー! 分かった分かった。保育園が見つかるまで。よろしく頼む」
「それは良かった。じゃあ私はそろそろ仕事に戻りますね、コーヒーありがとうございました」
私が席を立つと同時に厨房入口の扉が勢いよく開いた。
「中城さん、どこにも居ません! 猫なら居ました!」
「あーそれなら見つかったよ、あんがとね。それよりあんた、猫触ってないだろうね?」
「え、もふりましたけど」
中城さんは厨房の扉をぴしゃんと閉じた。
「え、何です? 入れてくださいよ!」
「四葉は猫アレルギーなんだよ! 全身くまなく洗って出直しな!」
まったく……と呟きながら戻って来た中城さんが椅子に座ったのを見計らって、四葉ちゃんは眠そうに眼をこすりながら膝の上によじ登り、くぅくぅと寝息をたてて寝てしまった。
「それじゃ町田さん、そろそろ宴会場の様子を見に行きましょうか」
「はぃ」
私は厨房の外でうずくまっていじけてた町田さんを連れて宴会場へ向かった。
私達が戻った時宴会場では友人挨拶の最中で、モニター越しに新郎新婦の友人がこれまでの思い出なんかを語っていた。
『……とまぁ、色々と語ったが、2人の仲の良さはうちがよく知っているのじゃ、精々幸せに暮らすのじゃな』
「わぁ、なんか咲ちゃんみたいな恰好してます」
「咲ちゃん?」
「私の親友です!」
かの画面に映ってる白衣の幼女みたいな人が知り合いにいるの? 町田さんの友人関係って、いったいどうなってるのかしら。
友人挨拶が終わると、次はケーキ入刀。大人が見上げないといけない程大きいケーキへ刃を入れる。夫婦で初の共同作業だ。
2人の持った刃がケーキを2つに断つと、それに合わせて私達はパンパンパンッとクラッカーを鳴らし、それに続く形でお客様も鳴らしていく。
部屋には大きな歓声が式場から溢れ出る程に響いていた。
中城さんは私の前にコーヒーを置いてオムライスにがっつく四葉ちゃんの隣に座った。
「いえいえ、初めて中城さんと会った時以来ですよね。久しぶりに会えて楽しかったですよ。今日は保育園お休みだったんですか?」
「んや、保育園入れなくてな。普段は友人にお守り任せて家で待たせてるんだが、そいつも仕事始めて捕まんなくなっちまってな。仕方なく今日はここで大人しくさせてたんだが」
「ぼうけんひてたの!」
「そうだったんですね。あ! じゃあ今後も今日みたいに連れてきて下さい」
「いや、それは流石に悪いだろ」
「じゃあ、保育園が見つかるまで! それなら良いですよね? それとも四葉ちゃんを家に1人置いて行くんですか?」
「……あー! 分かった分かった。保育園が見つかるまで。よろしく頼む」
「それは良かった。じゃあ私はそろそろ仕事に戻りますね、コーヒーありがとうございました」
私が席を立つと同時に厨房入口の扉が勢いよく開いた。
「中城さん、どこにも居ません! 猫なら居ました!」
「あーそれなら見つかったよ、あんがとね。それよりあんた、猫触ってないだろうね?」
「え、もふりましたけど」
中城さんは厨房の扉をぴしゃんと閉じた。
「え、何です? 入れてくださいよ!」
「四葉は猫アレルギーなんだよ! 全身くまなく洗って出直しな!」
まったく……と呟きながら戻って来た中城さんが椅子に座ったのを見計らって、四葉ちゃんは眠そうに眼をこすりながら膝の上によじ登り、くぅくぅと寝息をたてて寝てしまった。
「それじゃ町田さん、そろそろ宴会場の様子を見に行きましょうか」
「はぃ」
私は厨房の外でうずくまっていじけてた町田さんを連れて宴会場へ向かった。
私達が戻った時宴会場では友人挨拶の最中で、モニター越しに新郎新婦の友人がこれまでの思い出なんかを語っていた。
『……とまぁ、色々と語ったが、2人の仲の良さはうちがよく知っているのじゃ、精々幸せに暮らすのじゃな』
「わぁ、なんか咲ちゃんみたいな恰好してます」
「咲ちゃん?」
「私の親友です!」
かの画面に映ってる白衣の幼女みたいな人が知り合いにいるの? 町田さんの友人関係って、いったいどうなってるのかしら。
友人挨拶が終わると、次はケーキ入刀。大人が見上げないといけない程大きいケーキへ刃を入れる。夫婦で初の共同作業だ。
2人の持った刃がケーキを2つに断つと、それに合わせて私達はパンパンパンッとクラッカーを鳴らし、それに続く形でお客様も鳴らしていく。
部屋には大きな歓声が式場から溢れ出る程に響いていた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど
くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。
貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる