7 / 35
狂い咲けゼラニウム
7
しおりを挟む
チャペルの椅子に座ってお手洗いに行った2人を待っていた青園だが、先程から立って座ってを繰り返しては落ち着きが無くなっていた。
それもそのはず、2人がかれこれ30分以上お手洗いから戻ってきていないのだ。
流石に遅すぎる。
青園はピタリと立ち止まると足早に手洗いへと向かった。
「渋染さん?」
女性用トイレに声をかけてみるも返事がなく、中に入ってみても個室はすべて空で誰もいなかった。
「渋沢くん?」
同じく声をかけるも、返事はない。
仕方なくそっと入るも、女子トイレと同様に全て空室で誰もいなかった。
青園の額に嫌な汗と思考が流れた。
そんなことはないと信じつつ、青園は走って二階の宴会場や倉庫、チャペルまで隅から隅まで走り回るもトイレ同様誰もいない。
「中城さん!」
本来は専門生と来るはずだった調理室へ息を切らしながら入った。
「ん、おうどした?」
暇そうに座って新聞を読んでいた中城さんは驚いて私に顔を向けた。
「こ、こっち、専門生、来ませんでした?」
息を切らし、膝に手を突いた。
「んなもん来てないが、なんかあったのか?」
「居ない。どこ、トイレ」
「おねぇちゃんだいじうぶ?」
心配そうに四葉ちゃんが私を見上げてそう呟いた。
「一旦落ち着け。会話にならん」
そう言って私に紙コップを渡す。ぶっきらぼうだが、その目はとても心配そうにしていた。
「……すみません。専門生が2人ともトイレに行ったきり戻ってこなくて、もしかしたら何処かで迷子になっちゃったのかもと思いまして」
「あーそういや来るの今日だったけか。こっちには来てないが。この広さで迷子になるとは思えんな。もしかしたらエントランスから外行っちまったのかもな」
エントランスなら町田さんが何か見てるかも。
「行ってみます!」
エントランスに着くと、丁度お客様が出て行った後らしく、紙コップを片付けている所だった。
「町田さん! 2人見てない!?」
「え、なんのことです? 2人?」
「専門生の2人がトイレから戻らなくて、エントランスなら見てるかと思って」
何年振りかの全力疾走に酸素が脳へ行き渡らない。
「先輩、いったん落ち着いて下さい! ほら水、飲んで下さい」
町田さんからウォーターサーバーに常備されてる紙コップを受け取った。
喉を冷たい水が流れ、ほてった体を芯から落ち着かせていった。
「ありがとう」
私は落ち着いて2人がお手洗いに行ったきり戻ってきていない事を伝えた。
「え、2人ともですか」
「どうしましょう。まずは学校に連絡? それとも警察? どうしましょう」
「まずは2人に電話しましょう先輩! 学校はそれからで良いと思います!」
「そうよね、ごめんなさい」
私は一度大きく深呼吸をして受付の受話器へ手を伸ばした。
「じゃあ私は渋染さんにかけるから渋沢くんにかけて貰えるかしら」
「分かりました!」
それもそのはず、2人がかれこれ30分以上お手洗いから戻ってきていないのだ。
流石に遅すぎる。
青園はピタリと立ち止まると足早に手洗いへと向かった。
「渋染さん?」
女性用トイレに声をかけてみるも返事がなく、中に入ってみても個室はすべて空で誰もいなかった。
「渋沢くん?」
同じく声をかけるも、返事はない。
仕方なくそっと入るも、女子トイレと同様に全て空室で誰もいなかった。
青園の額に嫌な汗と思考が流れた。
そんなことはないと信じつつ、青園は走って二階の宴会場や倉庫、チャペルまで隅から隅まで走り回るもトイレ同様誰もいない。
「中城さん!」
本来は専門生と来るはずだった調理室へ息を切らしながら入った。
「ん、おうどした?」
暇そうに座って新聞を読んでいた中城さんは驚いて私に顔を向けた。
「こ、こっち、専門生、来ませんでした?」
息を切らし、膝に手を突いた。
「んなもん来てないが、なんかあったのか?」
「居ない。どこ、トイレ」
「おねぇちゃんだいじうぶ?」
心配そうに四葉ちゃんが私を見上げてそう呟いた。
「一旦落ち着け。会話にならん」
そう言って私に紙コップを渡す。ぶっきらぼうだが、その目はとても心配そうにしていた。
「……すみません。専門生が2人ともトイレに行ったきり戻ってこなくて、もしかしたら何処かで迷子になっちゃったのかもと思いまして」
「あーそういや来るの今日だったけか。こっちには来てないが。この広さで迷子になるとは思えんな。もしかしたらエントランスから外行っちまったのかもな」
エントランスなら町田さんが何か見てるかも。
「行ってみます!」
エントランスに着くと、丁度お客様が出て行った後らしく、紙コップを片付けている所だった。
「町田さん! 2人見てない!?」
「え、なんのことです? 2人?」
「専門生の2人がトイレから戻らなくて、エントランスなら見てるかと思って」
何年振りかの全力疾走に酸素が脳へ行き渡らない。
「先輩、いったん落ち着いて下さい! ほら水、飲んで下さい」
町田さんからウォーターサーバーに常備されてる紙コップを受け取った。
喉を冷たい水が流れ、ほてった体を芯から落ち着かせていった。
「ありがとう」
私は落ち着いて2人がお手洗いに行ったきり戻ってきていない事を伝えた。
「え、2人ともですか」
「どうしましょう。まずは学校に連絡? それとも警察? どうしましょう」
「まずは2人に電話しましょう先輩! 学校はそれからで良いと思います!」
「そうよね、ごめんなさい」
私は一度大きく深呼吸をして受付の受話器へ手を伸ばした。
「じゃあ私は渋染さんにかけるから渋沢くんにかけて貰えるかしら」
「分かりました!」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど
くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。
貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる