13 / 35
ヤドリギは芽を伸ばす
13
しおりを挟む
「あら忘れ物? って青園ちゃん!? そっちは」
足音に気付いて出てきた木那乃を無視してエントランスへ走る。
「川波くん!」
走った勢いで叫ぶ。
大人になった川波くんと、町田さんが驚いた顔で私を見ていた。
「え、もしかして、青園か!?」
川波くんの顔がまるで何も無かったかの様に輝いていて、煮えたぎったものが吹き出しそうだ。
「あーもう、そうよ、あんたが置いてった私の大切な大切な幼馴染の青園ちゃんよ」
息を切らした私を支えるように私の肩を抱いて木那乃が隣に立った。
「青園先輩?」
「久しぶり、川波くん。いきなり叫んでごめんね。町田さん今は何の話をしているの?」
「あっはい! 今は式場の装飾をどうするかの話をしてました」
「失礼致します」
青園は乱れた長髪を手櫛で整え、心配そうにしてる町田さんの隣に座った。
「ご存知かもしれませんが、ここ花園ではチャペルの装飾にとても力を入れています」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。色々整理が出来てない、何でここに青園が?」
「何でって、ここは私が経営してるのよ。それに昔話は仕事が終わってからよ」
「経営? あーそういやそんな本読んでたな。良かったな夢叶えられて!」
彼は本当に喜ばしい事だと言わんばかりにうんうんと首を縦に振った。
そんな彼の反応一つ一つが私を煮えつかせ正常な思考を少しずつ奪っていった。
「……まさか知らずに来たの?」
「あぁ、会いたいとは思ってたが、まさか本当に会えるとはな。あの時は何も言わずに引っ越してすまなかった。本当に何がどうなるか分かんなくて、変に皆を巻き込みたく無かったんだ」
「だからあの時言うのを止めたの? あれから私がどれだけ気にしたか。本当に……本当に心配したんだからね?」
「……すまない」
青園は書類をトンっと整え、1つ呼吸をして言った。
「まぁ良いわ。それで、装飾はどうなさいますか?」
「おい、敬語は辞めてくれよ嫌がらせか? 装飾かここはどんな装飾でも出来るんだよな」
「えぇ私の幼馴染を舐めないで頂戴」
「この公園みたいな風景に出来るか? 思い出の公園なんだ」
彼は懐から写真を1枚取り出した。私が写真を見ると、そこは軽い高台の様になっていて、町と夕焼けが一望出来る綺麗なしゃしんだった。
「あっと、場所はここだな」
少しおぼつかない様子で地図アプリを開いた。
「あら、これなら楽勝ね」
私と町田さんの間からぬっと顔を突き出して地図を確認する木那乃。
「そういえば彼女は?」
「ここのデザイナーよ、仕事はちゃんとするわ」
「おぉデザイナーさんですか」
「他に条件はある?」
親の仇と言わんばかりに殺意のこもった眼で睨みつける木那乃を押し戻して話を進めた。
「条件?」
「天気や時間、他にも何か置いて欲しいとかのシチュエーションとか」
「じゃあ、時間は夕暮れで公園の奥、茂みの間から入れるからその先の風景を表して欲しい。天気は晴れで」
渡された写真を受け取り、シチュエーションをメモに収めると、次の議題だ。
「じゃあ次は食事ね。食事もどんなものでも出せるわよ」
「どんなものでもって随分と自信があるんだな」
「この式場のシェフは凄腕なのよ」
「んじゃ、カミナリのコロッケパンとか、出来るか?」
「分かったわ伝えてくるから待ってて」
足音に気付いて出てきた木那乃を無視してエントランスへ走る。
「川波くん!」
走った勢いで叫ぶ。
大人になった川波くんと、町田さんが驚いた顔で私を見ていた。
「え、もしかして、青園か!?」
川波くんの顔がまるで何も無かったかの様に輝いていて、煮えたぎったものが吹き出しそうだ。
「あーもう、そうよ、あんたが置いてった私の大切な大切な幼馴染の青園ちゃんよ」
息を切らした私を支えるように私の肩を抱いて木那乃が隣に立った。
「青園先輩?」
「久しぶり、川波くん。いきなり叫んでごめんね。町田さん今は何の話をしているの?」
「あっはい! 今は式場の装飾をどうするかの話をしてました」
「失礼致します」
青園は乱れた長髪を手櫛で整え、心配そうにしてる町田さんの隣に座った。
「ご存知かもしれませんが、ここ花園ではチャペルの装飾にとても力を入れています」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。色々整理が出来てない、何でここに青園が?」
「何でって、ここは私が経営してるのよ。それに昔話は仕事が終わってからよ」
「経営? あーそういやそんな本読んでたな。良かったな夢叶えられて!」
彼は本当に喜ばしい事だと言わんばかりにうんうんと首を縦に振った。
そんな彼の反応一つ一つが私を煮えつかせ正常な思考を少しずつ奪っていった。
「……まさか知らずに来たの?」
「あぁ、会いたいとは思ってたが、まさか本当に会えるとはな。あの時は何も言わずに引っ越してすまなかった。本当に何がどうなるか分かんなくて、変に皆を巻き込みたく無かったんだ」
「だからあの時言うのを止めたの? あれから私がどれだけ気にしたか。本当に……本当に心配したんだからね?」
「……すまない」
青園は書類をトンっと整え、1つ呼吸をして言った。
「まぁ良いわ。それで、装飾はどうなさいますか?」
「おい、敬語は辞めてくれよ嫌がらせか? 装飾かここはどんな装飾でも出来るんだよな」
「えぇ私の幼馴染を舐めないで頂戴」
「この公園みたいな風景に出来るか? 思い出の公園なんだ」
彼は懐から写真を1枚取り出した。私が写真を見ると、そこは軽い高台の様になっていて、町と夕焼けが一望出来る綺麗なしゃしんだった。
「あっと、場所はここだな」
少しおぼつかない様子で地図アプリを開いた。
「あら、これなら楽勝ね」
私と町田さんの間からぬっと顔を突き出して地図を確認する木那乃。
「そういえば彼女は?」
「ここのデザイナーよ、仕事はちゃんとするわ」
「おぉデザイナーさんですか」
「他に条件はある?」
親の仇と言わんばかりに殺意のこもった眼で睨みつける木那乃を押し戻して話を進めた。
「条件?」
「天気や時間、他にも何か置いて欲しいとかのシチュエーションとか」
「じゃあ、時間は夕暮れで公園の奥、茂みの間から入れるからその先の風景を表して欲しい。天気は晴れで」
渡された写真を受け取り、シチュエーションをメモに収めると、次の議題だ。
「じゃあ次は食事ね。食事もどんなものでも出せるわよ」
「どんなものでもって随分と自信があるんだな」
「この式場のシェフは凄腕なのよ」
「んじゃ、カミナリのコロッケパンとか、出来るか?」
「分かったわ伝えてくるから待ってて」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど
くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。
貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる