私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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美代 熱を出す

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 あの怒涛の呼び出し事件の後、運悪く風邪を引いてしまった。朝から熱っぽい。真田さんにも連絡する。あとクリスマスまで4日だ。

 「あぁーーー、ずいません、風邪を引いたみたいでちょっと今日は休ませてください。申し訳ないです。お給料はいただかなくて結構です」

 会長も分刻みで行動していると真田さんが教えてくれた。ちょっと心配になるが、今日は幸い忘れ物係の出動はなさそうですから、どうぞ安心して静養してくださいと言われる。

 「美代様。わたしか伊勢崎がお見舞いにいってもよろしいでしょうか?」

 「いやーー、やめてください。こんなアパートにみなさん来たら緊張して寝れません。やめてください。寝てれば治るんで大丈夫です」

 「心配ですが、あのよく寝てください。水分補給を忘れずにしてくださいね。またご連絡します」

 それから高熱が出た。ベットの上で熱にうなされながら、大量の汗をかく。意識も朦朧としながら、現実と夢の間をいったりきたりした。まあ、いつも一人だったから、病気の時の一人の寂しさもある程度は慣れている。ただ、いざっという時のために、救急車の番号だけワンプッシュで押せるようには携帯をセットする。

 一人ぐらし慣れてるからね……、わたし。

 熱にそのままうなされる。いつものようになんだか訳のわかんない夢を見続ける。今度はあの終わったはずの熱愛報道が、頭の中で繰り返される。

 あの女優ではなくて、ケバケバの化粧女にまた襲われている。夢の中の会長がそれに応じていた。色々な美女が彼の周りに戯れている。またこんな夢にまで出てきて、私を憤慨させてくる。夢だから一言いいたくなる。

 「蓮司……か、い、ちょう?」
 「なんだ?」
 夢の中のイケメン野郎が返答する。なんだ、やっぱり夢の中でさえ態度が俺様的だなと思う。
 「彼女は一人にしたほうが……いいです」
 「……なんでそう思う?」

 その蕩けるような視線、よしてほしい。

 「そのうち、刺されます……よ」
 「……それはまずいな」

 会長の口角がにやっと上がる。

 「う、う、あー、あと本命に相手にされないですょ~っ」
 「……なるほどな。それは大変だ。でも、いま調整中だ」
 「あの、でも……ケバケバ女はよした方がいいです……」
 「どうしてだ?」
 「性悪そうですぅ……」
 「……あははははっ」

 低音が響く男の笑い声が響いた。

 「お前は好きなヤツはいないのか?」

 するどい眼光を感じる。

 「なーんですか?それ。んーっ。ムカつくヤツならいます」
 「あー、ムカつかれるのも悪くない。それだけ気にしてくれてる証拠だ。始まりとしては悪くない。まあ俺か真田辺りにムカついているのか?」
 「……そうですけど、でも本当は感謝してます。おかげさまで、学業のほうにだいぶ時間を増やすことができました」

 大きな手が優しく私の頭を撫でる。

 「そんな無理するな。身体を壊したらどうしょうもない」

 夢の中の会長の目が妖しく光ってる。

 「一人に絞ったのがわかれば、お前は堕ちてきてくれるのか?」
 「はぃ? おちる?  意味わかりません」
 「……まだこどもだな。おまえは……覚悟しとけよ」
 「んー、わかりませんけど、、むにょむにょ」

 ーー早く俺の元に堕ちてこい……。

 記憶が飛ぶ。

 夢にまた会長が出てくる。どんだけ私はコヤツに振り回らされているのだろう。いつもとは考えられないようなやさしい瞳でこちらを見つめている。身体が燃えるように熱い。
 「だいじょうぶか? 美代」
 「なんか飲め。いま持ってきたから、これを飲むんだ。水分補給しないとやばいぞ。おまえ……」
 「んん、飲めない。そんなの」
  何度も飲まされようとするので、拒み続ける。
 「はあ、しかたがないな……おまえ、こっちを向け」
 頭の後頭部をぐいっと大きい手で支えられる。

 唇からやわらかい感触とともに冷たい液体が染み込んできた。 

 あああ、きもちいい。

 そして、また熱が自分の意識を飛ばす。

 「ぐ、くるしい」

  胸に感じる違和感がどんどんと膨らむ。

 「どこが苦しいんだ? 美代。言え、それとも病院に今行くか?」
 「病院なんて、行かないブ、ブラ……外して……ぐるしい……」
 そういえば、美代はあまりにもの具合の悪さにブラを外さないで寝込んでしまった。それがいま熱でうなされていながら、ブラの締め付けが熱にうなされている彼女をもっと不快にさせていた。
 「お、おい、お前、俺を誘っているのか?」
 「は、外して……」
 夢の中の大男に、ブラ外しを命じる美代。
 「わかった。外してやる……」
 大きな男の手が彼女の汗ばんだシャツの中を入り、彼女のブラのホックを手品のように片手でパチンと外す。
 そのまま、するっとそのブラを引き抜き、ちょっと意味ありげな笑顔を浮かべて美代を覗き込む。

 彼女の顔がこの男の影にすっかりと入り込み、彼の唇が美代のものを塞ごうとしたかと見えたが、いきなり、
「おええええええっーーーー」
と豪快に美代が吐き出した。

 「!!!!!!!!」

 それから、美代の夢の記憶は消えた。
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