私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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蓮司、今までの行いを後悔する

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 いかにも誕生日ケーキっていう感じの苺のショートケーキが登場した。
 たぶん、美代は自分のバースデイソングが歌われたところまでは覚えていた。真田も蓮司も以前の美代の立ち寝を覚えていたので、ハラハラしていた。

 なぜなら、あのブルゴーニュワインが気にいった美代がみんなが止めるにも関わらず、

 「大丈夫です。銀座のおねーさま方にはかないませんけど! 今日はわたしの誕生日なんで~!」
と、かなりハイテンションでいいながら、ギロッと二人の男性を横目で見ながらどんどんとワインを飲んでしまったのだ。

 あのネックレスを確保するという目標があって訪れた銀座のクラブだが、改めて考えるとやはり独身男二人が、夜の遊び場に行った事実は変えられないので、それが負い目に感じ、二人とも何も言えないでいた。

 「美代様。ちょっとペースがお早いですよ。ゆっくり味わいながら、飲んでください」

 紳士な伊勢崎さんが、まだアルコールの飲み方をわかっていない美代に優しくアドバイスをする。

 「あー、でもね。伊勢崎さん。蓮司会長も真田さんも、なんだかこの前の銀座でねー。大人だっだんですよ。いかにも、夜遊び慣れてます~~って感じで!なんか悔しかったです」

 酔っ払いの典型のような飲み方と崩れ方をしている美代に誰も注意が出来ない。なぜなら、ここには怒られてもいいから美代を独占したい、チョー心の狭い男がいたからだ。

 「美代、そんなことは決してない。俺は元来、あのような類は苦手だ。信じてくれ。ほら、真田も何とか言え」

 なぜか完全に浮気疑いを掛けられた夫のような言い訳だ。

 「蓮司会長は、あのようなホステスの女性達が苦手なんですよ」
 「なにそれ、意味わからない。美人で女子力が高い女が嫌いってこと?」
 「えー、語弊がありそうですが、まあそうかもしれません」
 「最悪。そんな言い訳、誰が信じるんですか?」

 慌てる蓮司が、真田の首を締め上げている。

 「お前!!!どうするんだ!」

 ふて腐れた酔っ払いは話し出す。

 「いーつも、私は会長に振り回されています。ずぅるーいです」

 なぜかそこで冷静な真田が口を挟む。

 「美代様。どう振り回すのでしょうか?会長が?」
 「……だって、ホッペにキスするし!」

 なぜか涙目の美代がいた。松田、真田、伊勢崎まで、冷たい視線で蓮司を睨む。

 「か、可愛すぎたんだ。ご、ごめんな。美代。そんなに嫌だったのか?悪かった。泣かないでくれ」
 「会長、マズイですよ。可愛くたっても、意味なくキスしたら、ただの変態ですから」

 命知らずの松田さんが、親心みたいなものなのだろうか、美代を庇う発言をした。もちろん、昔それ以上の事をしましたっとは、ここで暴露するほど馬鹿な蓮司ではない。

 「そうなの!会長は変態だよ。もう、わかんない! んー、すごい、ムカつく! いつもクールな顔で迫ってきて、なんか勝手ばかりなことを言って、人を馬鹿にして!」

 「え、馬鹿なんかしていない。美代、なにかの勘違いじゃないか?俺はいつも真剣だ」
 「だって、好きだとか何とか言ってくるくせに……」
 「え? わかっているのか? 俺が迫っていることを?」
 「……いつも違う女と絡んでいるし」
 「……違うんだ。それは……」
 「あー、しかも、なんか連れ込み部屋があるし」

 またまた男たちが、冷たい視線を蓮司に送る。

 「な、なんだ。それは?」

 慌てる蓮司が今度は、挙動不振だ。

 「まさか、蓮司会長。そんな破廉恥なモノ、所持しているんですか?」

 松田までが冷たい視線を蓮司に送ってる。

 「待て待て、話がおかしな方向へいきすぎている。美代、なんだその部屋は?」
 「やだ。気にしているわたしが馬鹿みたい!」
 「美代。お願いだ。何をお前が勘違いしているかわからないが、そんな部屋、あるわけないだろう!?」
 「あ、在ります!」
 「え、ないぞ。誓って、ない!」
 「このお屋敷にあります! わたしは見ました!」
 「あ、もしかして……」 

 真田が呟く。

 「それって、もしかして、あの別館の?」
 「……」

 美代は、口をへの字のままムスッとしている。

 「美代様、あの別館で、何を発見しましたか?」
 「言いたくないです」

 美代は完全にふくれっ面だ。
 そこへすっと伊勢崎さんが美代の元にきた。

 「まあ私はすでに老いぼれですが、美代様のような若い女性が声を荒げて言いたくないこともある事は、分かりますよ。皆さん、蓮司会長も落ち着いてください」
 「まー、そうだな。確かに。でも、絶対にない!」

 美代がゴニョゴニョと伊勢崎さんの耳元で何かを話している。

 「ああー、バスルームで見た! と、美代様はおっしゃっています」
 「バスローブや、歯磨きまで全部ペアであったそうです」
 「えーーー、それは、ちょっとやり過ぎですね」

 松田が腕を組みながら、美代の説明に聞き入っている。

 「確かに引くな、それを見たら……」

 慌てて蓮司が弁解を始める。

 「勘違いだ。お前と大晦日を一緒にすごしたかったから、快適に過ごせるように、備品全てに予備を入れろと言ったのだが、なぜかメイドがバスローブまで用意させていたのだ。誤解だ」

 すがるような姿で蓮司は美代の横に跪いている。

 「悪かったな。誤解をさせて。でも、あの部屋は俺の完全なプライベートスペースだ。お前が初めてだ。招き入れた女性は……」
 「……」
 「美代、機嫌を直してくれないか?」
 「なんかイヤ……」

 そんな様子を静かに見ていた真田が考えていた。

ーーおかし過ぎる。蓮司会長は気がついていないのか? 美代が酔っているとはいえ、この醜態、ほとんど蓮司会長の行動が彼女になんらかの恋愛的感情を生み出させているのではないのかと勘ぐる。

 「でも、美代様、蓮司様のことがお嫌いですか?」

 真田が質問する。

 「嫌い? もう嫌いになりたいよー。」
 「え?」

 美代の言葉をひとつひとつ真剣に受け止めている涙目の蓮司が美代を真剣に見つめる。

 「待て、美代。それってどういう意味だ?」
 「はー、嫌いになってですね、もうビシバシと蓮司会長の忘れ物をやっつけてですね、私も違う場所に配属を希望します!」
 「「「!!!」」」

 男たちが美代の配置換えを所望していることを聞いて愕然としている。
 蓮司からは、それは絶対に許せないといった黒いオーラが出ていた。


 「美代様、なぜ違う場所を配属希望ですか?」
 「え、だって……」
 「だって、時々つらいんです」
 「な、何がつらいんですか?」

 真田は感極まったように美代を覗きこむ。

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