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プロポーズに混乱
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え、いまなんて白石先生言ったの?
完全にショートしている頭の回線が、言われた文をリピートしながら、分析をくりかえしている。
結婚?
誰が?
あ、先生が結婚するってこと?
「白石先生、結婚するんですか?おめでとうございます~~」
「馬鹿! 美代。この顔だけはイケメンプラスチャラい弁護士があんたにプロポーズしたんだよ」
「顔だけなんて、失礼ですね。一応、これでも色々活躍しているんですよ」
「美代、こいつ、やっぱ頭おかしーぞ。いきなりのプロポーズって変だろ!」
「美代、よかったね。こんなに君を想って慕ってくれている友人が出来たんだね。僕も安心だな」
なぜか友人二人の悪態をニコニコと白石は聞いていた。まるで、自分への悪口が嬉しいかの様子だ。
「私もなんだか、七瀬に激しく同意だよ。こいつ頭がおかしーぞ。断れ、プロポーズなんて。蓮司が言っていただけあるな」
歩美の言った一言にぴくっ反応し、その色男の眉間にわずかに皺が寄る。
「蓮司? もしかして、あの大原財閥の?」
「あー、そうだよ。あんた弁護士だけれどもね、まさか財閥の総裁のガールフレンドに求婚はマズイと思うよ」
いつもなら蓮司の味方などしない七瀬まで、歩美の言葉に頷いている。
「……知っているよ。あの週刊誌も見たし。でも、大切な美代ちゃんだから、真実を知ってほしいし、お友達も真実を知るべきだよ」
「なんだよ、真実って! 美代を惑わすなよ」
七瀬まで憤る。
「美代ちゃん。騙されているんだよ、あの大原の会長に。残念だけど、美代ちゃんの事が好きで近づいているんじゃないよ。君が持っているその実用新案権に興味があるんだ」
今まで黙って聞いていた美代が、驚きに目を見張る。
「え? どういう意味ですか?」
「君のお父さんが申請した特許や実用新案権のいくつかが米国の企業に目がとまってね。君を探しているんだよ」
「え、なんですか?」
「美代ちゃんのお父さんが開発したものは少ない水や水圧が発生しない構造でも、かなりの威力の水圧をもった水を噴射できる構造だ。これからの節水や節電にかなりの役に立つに違いないんだ。工業面でも新たなる洗浄システムとして考えられているんだよ」
「そうなんですか……お父さんの発明がそんな……」
「あと、話はずれちゃったけど、結婚はね、俺の父が喧しくてね。今年中に結婚しなければ、家業を継がせるって脅かすし、見合いしろって五月蝿いんだ。最初は断っていたんだけど、最近、親父の体の具合が悪くてね。まあちょっとだけ、安心させてやりたいんだ。幸い、こんなこと聞いてくれる女子なんて周りにいないし、僕は会ったときから、君の事が気になっていた。だから、美代ちゃん、僕は自分の勘を信じるタイプなんだ。あの路地を通るのも偶然だったけど……君とはただならぬ縁を感じる。僕ならあの蓮司会長から君を守れるよ」
美代は今までの情報が頭の中を錯綜する。
白石先生は美代にとっては命の恩人だ。彼が美代を必要としているのなら、彼女としては何を犠牲にしてまでも、彼を助けなくてはならないと思う。
たとえ、それが、自分の気持ちを殺してさえも……。
しかも、会長がわたしを騙している?
その特許のせいで……。
裏切られたという気持ちは湧いてこない。どちらといえば、全てがしっくりくる。
ただあの熱を帯びた目線や自分を優しく触る蓮司が、その会社の戦略的なものだったのだろうか?
それを深く掘り起こしたくなかった。ただ、悲しいだけだ。
いつからなの?
この罠は?
もう暗闇には入りたくない……
プロポーズの話より蓮司の話の方が激しく美代は動揺させた。
完全にショートしている頭の回線が、言われた文をリピートしながら、分析をくりかえしている。
結婚?
誰が?
あ、先生が結婚するってこと?
「白石先生、結婚するんですか?おめでとうございます~~」
「馬鹿! 美代。この顔だけはイケメンプラスチャラい弁護士があんたにプロポーズしたんだよ」
「顔だけなんて、失礼ですね。一応、これでも色々活躍しているんですよ」
「美代、こいつ、やっぱ頭おかしーぞ。いきなりのプロポーズって変だろ!」
「美代、よかったね。こんなに君を想って慕ってくれている友人が出来たんだね。僕も安心だな」
なぜか友人二人の悪態をニコニコと白石は聞いていた。まるで、自分への悪口が嬉しいかの様子だ。
「私もなんだか、七瀬に激しく同意だよ。こいつ頭がおかしーぞ。断れ、プロポーズなんて。蓮司が言っていただけあるな」
歩美の言った一言にぴくっ反応し、その色男の眉間にわずかに皺が寄る。
「蓮司? もしかして、あの大原財閥の?」
「あー、そうだよ。あんた弁護士だけれどもね、まさか財閥の総裁のガールフレンドに求婚はマズイと思うよ」
いつもなら蓮司の味方などしない七瀬まで、歩美の言葉に頷いている。
「……知っているよ。あの週刊誌も見たし。でも、大切な美代ちゃんだから、真実を知ってほしいし、お友達も真実を知るべきだよ」
「なんだよ、真実って! 美代を惑わすなよ」
七瀬まで憤る。
「美代ちゃん。騙されているんだよ、あの大原の会長に。残念だけど、美代ちゃんの事が好きで近づいているんじゃないよ。君が持っているその実用新案権に興味があるんだ」
今まで黙って聞いていた美代が、驚きに目を見張る。
「え? どういう意味ですか?」
「君のお父さんが申請した特許や実用新案権のいくつかが米国の企業に目がとまってね。君を探しているんだよ」
「え、なんですか?」
「美代ちゃんのお父さんが開発したものは少ない水や水圧が発生しない構造でも、かなりの威力の水圧をもった水を噴射できる構造だ。これからの節水や節電にかなりの役に立つに違いないんだ。工業面でも新たなる洗浄システムとして考えられているんだよ」
「そうなんですか……お父さんの発明がそんな……」
「あと、話はずれちゃったけど、結婚はね、俺の父が喧しくてね。今年中に結婚しなければ、家業を継がせるって脅かすし、見合いしろって五月蝿いんだ。最初は断っていたんだけど、最近、親父の体の具合が悪くてね。まあちょっとだけ、安心させてやりたいんだ。幸い、こんなこと聞いてくれる女子なんて周りにいないし、僕は会ったときから、君の事が気になっていた。だから、美代ちゃん、僕は自分の勘を信じるタイプなんだ。あの路地を通るのも偶然だったけど……君とはただならぬ縁を感じる。僕ならあの蓮司会長から君を守れるよ」
美代は今までの情報が頭の中を錯綜する。
白石先生は美代にとっては命の恩人だ。彼が美代を必要としているのなら、彼女としては何を犠牲にしてまでも、彼を助けなくてはならないと思う。
たとえ、それが、自分の気持ちを殺してさえも……。
しかも、会長がわたしを騙している?
その特許のせいで……。
裏切られたという気持ちは湧いてこない。どちらといえば、全てがしっくりくる。
ただあの熱を帯びた目線や自分を優しく触る蓮司が、その会社の戦略的なものだったのだろうか?
それを深く掘り起こしたくなかった。ただ、悲しいだけだ。
いつからなの?
この罠は?
もう暗闇には入りたくない……
プロポーズの話より蓮司の話の方が激しく美代は動揺させた。
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