私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

文字の大きさ
99 / 200

蓮司の狂愛 嵐の夜 一

しおりを挟む
 稲妻が大地を這う。
 地響きがするような轟音が稲光とともに起こった。
 もう寝苦しい夜には間違いないらしい。携帯の電源は非常用のため100パーセントにしてあった。でも、どこかの地域では避難勧告が出るぐらいの豪雨のようだった。
 降りしきる雨や風の音の中、しばらくの間、眠たさと微睡みを行ったり来たりしていた。どのくらい寝ていたのか定かではなかった。

 ゴンゴンっと強い音で、誰かが美代のオンボロアパートのドア(いえ、これだけはなんかゴージャスなのだが)を叩く音がした。
 最初は風が何かのイタズラだと思い、無視をした。

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 今度は物凄い音だ。
 間違いない。
 誰かが来たのだ。

 もしかして、消防団とかの人だろうか? 避難勧告とか出たのだろうか? 布団から這い上がり、部屋の電気つけた。ドアスコープを覗く。目に入ってきた光景に驚きすぎて、ドアから後ずさりをして離れた。

 「……美代、開けろ!」

 ドスの効いた低音が響いた。
 声を聞いただけで身体が熱くなる。

 「か、会長っ!なんで……ここに……」
 「……開けろ、美代、ぶち破るぞ。それでいいのなら、構わない」

 こんな頑丈なドア、どうやってぶち破るのだろうか?でも、この最高に不機嫌な会長ならやりかねない。恐る恐るドアの鍵を開けた。
 バンッという物凄い音とともにドアが開いたのだが、それよりも会長のずぶ濡れの格好に唖然とした。
 ドアのところには、この嵐が連れて来たかような大男の悪魔が、黒いコート、スーツ、靴、髪の毛、全てがずぶ濡れで立ちすくんでいた。足元には水溜まりができるほどの濡れようだった。だが、傘らしきものが見当たらない。

 な、なに?

 悪魔? バンパイヤ?

 色香と殺気が混じり合う切れ長の目線が美代を獲物を捉えるように睨んだ。いつもの甘い優しい蓮司は全くいない。目線を合わせるだけで、心も身体も全て殺されてしまうような、強烈で獰猛な視線だった。腰から下にうまく力が入らない。いつもの様子と全く異なる蓮司に美代は慄いた。震えながら問いただす。

 「か、会長、あの傘も差さずに、どうしたのですか?」
 「……ど、どうしただと?」

 蓮司の目に野獣のような光が射す。美代も、今、自覚した。今の言葉、完全にフラグ立ってしまったらしい。
 ま、まずい? なんか言っちゃった?
 静かに蓮司がそのドアから入り、何も言わずにドアの鍵を閉めた。

 え、何で鍵をしめるの?と、思っていたら、玄関口でどんどんとコートやら、なにやら蓮司が脱ぎ出した。その冷静に見える行動が美代をもっと不安にさせる。

 「か、会長、何故、お脱ぎになるのでしょうか? あのーー、着替えでしたら、お風呂使ってください」

 すでにネクタイをほどき始め、シャツさえも半分脱ぎ捨てた蓮司が美代を見つめた。美代は何か嫌な予感しかせず、後ずさりをする。

 「お前、ふざけた事を言ってたな………」

 シャツを完全に脱ぎ捨てた半身裸の蓮司が、美代ににじり寄る。
 美代の部屋は狭い。
 完全にもう後ろへと引けなくなる。足の踵が壁際に当たった。
 美代は背中にオンボロアパートの部屋の壁を感じる。

 「何だ、美代、どうして逃げる?」

 鋭い眼光が美代を睨みつける。気がついたら、蓮司の腕の間に挟まれていた。獲物を捕獲した肉食獣はその匂いを確かめるように、獲物に近づく。

 迫ってくる蓮司の顔をうまく見ることができない。身体が拒否していた。
 「だって、会長が、近づいて、くる、、から、、」
 ふっと、笑う声が聞こえた。
 「自分のものに近づいて、何が悪いんだ……」

 腹の底から響いてくるような声でいわれる。それだけで、美代の背筋に電流が流れるような感覚がくる。立っているのがギリギリだ。顎をクイっと上げられた瞬間、会長がこういう行為の達人だと思い知る。
 美代の身体を壁に押しやり、逃げ場のないような状態で美代を野獣は食べ始めた。
 自分の口元から考えられないような卑猥な音が聞こえる。飴玉でもなんでもないのに、蓮司は美代の口を全て食らうような勢いだ。

 胸に差し迫る苦しさを紛らわすように、抵抗し、息の狭間に声を出す。

 「私……か、会長のもの、で、は、ない!」

 蓮司はキスを落とし続けた。彼が口の中を駆けめくり、息さえも難しい。今までのキスも何度も慌てていたのだが、今回のは、そんなものではなかった。
 喰われて食べられてしまうような、野獣が捕まえた獲物を骨の髄まで食べ尽くしてしまうような、荒々しく、濃厚で、獰猛なキスなのだ。
 「わからせてやる……お前は俺のもんだ……」
 本気が入った蓮司を止めるものは何も無い。ただただ、美代はされるがまま、蓮司を受け入れた。彼が身体から発する熱でさえも美代をクラクラとさせる。

 すでに美代は全身に鳥肌が立つような感覚で、動けない。このまま正常な状態に戻れることは出来ないと思う。

 「あ、あぁ、あ、、、、はぁ、許して、、、」

 甘い吐息が自分から漏れてしまう。恥ずかしさに顔を赤らめ、ぐっと押しやってみたが、そんなことは一向に無視され、キスは止まらない。蓮司は全く自分の腕の中にあるものを離しはしなかった。美代が抵抗すればするほど、蓮司はもっと美代を攻めた。美代は初めて男の力を感じた。前は手で口を隠せるくらいの余裕があったのに、強靭な肉体はビクともしない。今まで、デートなどで、キスされていたが、いかに蓮司が甘く、優しく、自分の力を抑えながらしてくれていたのかを実感した。そんな違いもなぜかもっと自分を切なくする。

 「美代、ダメだ。許せない………」

 蓮司の言葉が美代に響いた。キスは美代が失神しそうなほど続いた。その行為が当たり前であり、まるで何かの掟を破ったものを罰するかのように、美代に有無を言わせないで美代をどんどんと追い詰める。しまいに、美代は自力で立てなくなった。腰に全く力が入らず、ズルズルとお尻が地面に落ちていく。もう、外の嵐の音など美代の耳には届いてなかった。荒々しい男の息遣いが美代を狂わせる。そして、女の思わず漏れてしまう甘い吐息と、やめてと懇願するか細い声が蓮司を奮い立てた。
 とうとう、蓮司も美代に合わせて、膝をつき、美代の感じやすい部分を知り尽くしているように貪りつく。二人はキスしながら座り込んでしまう。

 すでに完全ユデダコ状態、トロンとした高揚した美代の顔を見て落ち着いたのか、それとも美代がくだらないことを言うのを諦めたのに満足したのか、蓮司の口づけが緩やかになる。

 「美代、お前には………聞きたいことが山ほどある」

 蓮司の前髪の毛の先から、一滴の雫が滴り落ちた。
 雫が美代の首元に落ち、下へと流れていく。その感覚にぞくっとしながら、目の前の猛獣と対局しなくてはならなかった。失っていた意識を多少戻して、聞き直す。

 「な、なに? 何ですか?」

 口角を上げて、ニヤリとした会長が美代を見つめる。
 蛇に睨まれた蛙のように美代は動けない。

 「まず、なんだ? あの電話の留守番は?」
 耳元で怪しく囁かれる。

 「え、あの、あ、、、そこ、ダメ、え?留守電?」
 「ああ、お前、俺の留守電に、何か冗談でも入れなかったか?」
 低音のボイスが耳元で響いた。
 「ヒィイ!!か、噛むの禁止です!!ダメっ!」
 「ああ、噛むのはダメなのか。わかった」
 今度は生温かいものが耳元から首筋へと流れる。

 思わず口から吐息が漏れる。不可抗力だ。ひえーーーんっ。もうだめだ。完全に会長の言いなりだ。




しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...