私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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蓮司側のストーリー 待ち合わせ

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 大原株式会社の本社から、緊急案件だと矢崎が知らせてきた。
 真田からの携帯だったから、出たものの、本来なら矢崎には悪いが無視をしていたはずだ。
 真田は何をしてるんだと、聞いたら、すでに事態の収拾に向けて動いてますっと矢崎が言う。
 手の空いているうちに、自分の携帯で、会長にかけろと言ったらしい。
 流石、真田だ。
 矢崎の電話だったら、取らなかったかもしれない。

 内容を聞いて口角が上がる。
 あちらが動き始めたらしい。

 本来なら、長期休暇の許可が降りているのだがら、せっかく思い、美代の学校に隠れていこうかと思っていた。これは変更だなと感じた。
 詳しい話の内容を聞く為に、急いで大原株式会社の本社に行く。
 いつもは子会社の社長室や会長室を使っているが、この総本山には、蓮司が必要な物が全て揃っていた。

 書類とパソコンにかかりきりで仕事を進める。
 
 突然、美代からのメールがきた。彼女のだけ違う音にしてあるから、すぐにわかる。急いで連絡し直した。

 「明日、一緒にコンサートを観に行きませんか? 一応、デートのお誘いです……」

 美代からのデートの誘いだと………。
 あまりにもの驚きと興奮で、立ち上がろうとしたのだが、バランスが崩れ、自分の椅子ごと倒れてしまった。
 後ろでは、矢崎も真田も目を丸くして驚いている。
 助けようとやって来る彼らに手でくるなっと合図し、「蚊に刺された……」などと、訳のわからない言い訳をする。

 馬鹿だよな、俺って……。

 美代と約束をする。明日のデート、5時半に**駅前の広場。
 もう一丸となって仕事がパワーアップする。

 そして、まさか夜中に来訪者が来るとはその時一切思ってもみなかった。

 ほとんど、寝ないでシャワーを浴びて、デートの待ち合わせ場所にいく。
 近くに伊勢崎の車で降ろしてもらう。
 なんと今日は美代は、大学からその駅まで電車移動だと朝、会社で聞かされた。

 考えるだけで恐ろしい。
 あのお正月の満員電車のことを考えると、そう報告した長谷川の代わりのSPに怒鳴ってしまう自分がいた。

 「な、なぜ! 許した。そ、そんな電車など……男女がかなり密接するんだぞ!」
 「も、申し訳ございません。会長。でも、美代さまが頑として、『自分のやり方で蓮司会長とデートしたいの』と仰りまして……」

 蓮司が仕方がないと言った感じで、唸りながら、わかったと言う。
 頭の中にいる真田が声をかけてくる。

 『蓮司様、ご自身も変わられるんですよね。美代様も変わろうと努力されているんですよ……』

 昨日、デートと誘われたっと言ったら、真田にそう言われたのだ。

 「そうだ……。クソっ。変わるよ……。ああ、でも、変わりたくない! 真田。俺はかなり心が狭い男だ……」

 美代を閉じ込めたい。
 電車など、あいつに色目を使う奴らがいるはずだ。
 虫唾が走る。
 早くデートの待ち合わせをしてしなければ……と感じた。


 駅前のローターのは車が止められない。
 何か前方で接触事故があったようで、渋滞してしまう。
 まだ待ち合わせの30分前だが、心配になってくる。
 「伊勢崎、降ろせ。俺はここから走っていく……」
 「蓮司様、ここからですと、まだかなり距離がございます」
 「……待てん……。降りる……」

 全速力で歩道を走る。胸がドキドキして、爆発しそうだ。
 昨日は結局家には帰れなかった。先ほど、家に帰ってシャワーを浴びて着替えた。

 真田からは、まだ連絡はない。まあ、あいつには他の闘いも残っている。
 三つとし上だが、老人にはいい刺激かもしれない。

 視界に信じられないものが入る。
 すぐに彼女だってわかる。
 あいつが何を着ていようが、俺にはすぐにわかるんだ。
 でも、ふわふわしたピンクのワンピースは何なんだ!と叫びたくなった。

 美代の可愛らしい膝や、胸の膨らみ、全てが見えている。
 ああ! なんでいつものたぶたぶじゃないんだ!
 
 真田の声が頭に響く。
 『変わられるんですよね……?』
 
 あのじじいめ。
 人に洗脳しやがったな……。
 
 だが、自分の堪忍袋が切れる音がした。
 なぜなら、美代に近づくにつれ、周りの男性の注目を浴びているのに、こいつが全く気がついていないようだったからだ。
 しかも、新しい洋服のせいか、恥ずかしがっている美代は、頬が赤くなりますます、獲物を狙う男どもの注目を浴び続けていた。
 
 腹のなかで黒い感情が蠢いた。
 しかも、見知らぬ二人連れの男が美代の肩を叩いていた。
 もうすぐで、俺はそいつを殴りそうだった。
 でも、変わらないといけないと、自分が自分を叱った。

 殴ろうとした手を美代と相手の男の間に擦りこませ、身体で彼女を隠した。
 あとは睨むだけだ。

 相手にもならん奴だが、顔だけは覚えておこうと、目に焼き付けた。

 その後、美代を見て、我を失った。
 寝不足もあったが、あまりにも、本当に、心臓が止まるくらいに……可愛いのだ。

 この大勢の前でキスしたかった。でも、きっと恥ずかしがり屋の彼女のことを考えて、裏道へと手を引いていく。
 ああ、この艶やかなグロスが気に入らない。
 全部とってやる。

 蓮司は思うがままに、美代の唇を頬張った。
 
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