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悶絶のコンサート
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ジャスティンの色気が全開さを見せるステージは、圧巻だった。
その歌唱力もさながら、彼は一流のパフォーマーだ。観客を奮え立たせ、自分の世界に引きずり込む。
それは、美代も蓮司も例外ではなかった。
結構、知っている曲があって、美代はもっと驚いている。
「これ、誰かの曲をコピーしているの?」
とか言っているので、蓮司がそれを聞き取り、美代の耳元で囁く。
「違うな。美代、彼が一流と呼ばれるのは、その歌唱力だけではなくて、作詞作曲も手がけるんだ……。これは多分、彼のオリジナルだな……」
「すごい! ジャスティン。才能あるんだね……」
「お前、ジャスティン、好きなのか?」
「え、まあ、本人は変わっているけど、曲は好きですよ。覚えやすいし、なんかいいですよね」
へえーーと楽しんでいる美代を見ていて、先ほどまでの嫉妬が少し安らぐ。
曲が好きなのは、まあ許せる。自分も似たようなアーティストを扱う会社をやっているのだ。才能があるものを埋もれさせるのはおしい。
だが、それが、いきなり泥棒猫のように、自分の大切な物を横取りされてはたまらない。
美代の肩を抱く。
音楽ぐらいは自由に聞かせてやるべきだと思ってきた。
そうだよ。おれはそんなに心は狭くないぞ、真田!
と、きっと空の向こうでくしゃみをしてそうな自分の補佐に向かって、心の中で話す。
だが、ある程度の曲が終わり、そのアリーナ席の中央の方向に伸びている花道に一脚の椅子が置かれた。
汗でずぶ濡れになったTシャツをジャスティンは脱ぎ捨て、ギターを片手にやってきた。
その姿を見て、また女性客が卒倒しながら、黄色い声を上げていた。
滴る汗と共に色香が漂う筋肉が、ステージのライトを浴びて光っていた。
女性の絶え間ないジャスティンを呼ぶ声が、音楽のない場内を埋め尽くしていた。
その金髪の濡れた前髪から、狼のような鋭い眼光が観客席を見据えた。
蓮司は美代の目を塞ぎたかったが、美代の目は、全く違う捨てられたシャツに向けられ、
「あれって、誰かが洗濯するんですかね」とか気になっているようだった。
そうか、こういうのはこいつにはあんまり効かないか……と蓮司はホッとする。
いきなり、ステージの上のジャスティンが九十度はあるかのようなお辞儀をする。
そして、置かれた椅子に腰をかけた。
観客がおおおおっとどよめいた。
ジャスティンがマイクに話しかける。
『皆んな、今日はありがとう! 最高だ!』
わーーー!と歓声が上がる。もちろん、美代も手を振って応援した。
『今日はみんなに、報告がある……。実は……』
嫌な予感がして蓮司は美代の腰に当てている手を自分の方に寄せた。
『新曲を発表します!』
底が割れるかのような歓声が上がる。
『タイトルは……Perfect Woman……。聞いてほしい。僕の愛してる人に……』
そのとき、距離はあるもののジャスティンの視線が美代にきていることを蓮司は感じた。
そうか、そういう手なのかと、蓮司が立ち上がって美代の手を引いて会場を出ようとした。
そんな時に限って、美代が真剣に蓮司に言う。
「会長、お手洗いですか? 私はきちんとここで聴いてみます。お辞儀もしっかり習得したみたいで、偉いですよ。だから、新曲、聴きたいじゃないですか……」
と言って、しっかりと席にしがみついていた。
大きく蓮司はため息をついた。
「美代、おまえ、この後、どうなっても知らないからな……。俺は警告したぞ……」
「な、何を警告ですか! あ、始まる!!」
ギターを片手に椅子に座りながら、ジャスティンが甘いメロディーで歌い始めた。
後ろには、それに合わせて、ドラムもはいったりする。
ただし、その歌詞が蓮司を発狂させるものだとは、この時、多分、この仕掛けの本人、ジャスティンにしか知らなかったはずだ。
ジャスティンはスポットライトの反射で見えないはずの、前方にきょとんと座っている美代に対して、まるで見えているかのようにウィンクを送った。
蓮司は思わず、小さな音でチッと舌打ちをした。
前奏の後、ジャスティンが甘い声で歌い始めた。
(注・ジャスティンは英語で歌っております。意訳の邦訳が後ろについてまーす)
Beautiful moment
Perfect timing
The first moment I saw you
Imagined your eyes
your sweet eyes were closed
My heart fluttered
Beautiful moment
Perfect timing
Imagined the color of your eyes
They must have been beautiful as your sleeping face
You consumed me
The first time I saw you
That feeling washed over me after we were apart
You are an unreachable woman.
No one told me that you were untouchable
I wanna turn back the wheel
To the time before he saw you
I wanna go back to the moment
Before you were lost
I would have done much better before he filled your heart
I see the perfect life
I see the beautiful life
If you just smile at me with your sweet brown eyes
That's all I want
Come closer. My beautiful woman
I love you. My perfect woman
Remember our secret
美しい瞬間
完璧なタイミング
君に最初に出会った時
その甘い瞳は閉じていた
僕の心がざわざわと飛び立つ
美しい瞬間
完璧なタイミング
君の瞳の色を想像した
きっとその寝顔に似合う美しい色だって
一目惚れだった
その感情は離れてから胸に押し上げてくる
でも、君は僕には手が届かないひと
触ってはいけないひとだなんて、誰も言ってくれなかった
時(の車輪)を戻したい
君が今の彼に出会う前に
その瞬間に戻りたい
君を失う前に
パーフェクトな人生が見える
素敵な人生が見える
君がその甘いブラウンアイを僕の横で輝かせてくれるだけで……
ただそれだけでいい
僕のところにおいで
僕の完全無欠な美しいひと……
忘れないで、あの秘密
美代はボーーっとその曲を聴いていた。
ジャスティンは明らかに美代の目線をみて歌っている。
蓮司は、もう歌詞の途中から、怒りがマックスを超えてきていた。
美代の肩に置いている手に力が入る。
目の前で自分の女がよその男に口説かれているなんてありえない。
歌い終わったジャスティンに対して、歓声がわーーーと言っている中で、ジャスティンがマイクで呟いた。
「ミヨ、キレイだよ……」
聞こえた観客もいたし、全く聞こえない観客もいた。
だが、美代の姿を捉えようとした彼の目には、美代を完全に我の物と主張する蓮司が美代の唇を完全に塞いでいた。
「れ、蓮司か、会長、な、なんで、こんな時に!!」
蓮司に抱えられながら、驚きの顔の美代が恥ずかしげに話す。
「美代、秘密ってなんだ? ジャスティンとなんか秘密ってあったのか?」
その様子を壇上からジャスティンが見ていた。最初は、ジャスティンは蓮司と美代のキスの有様に唖然としていた様子だが、キスの間にこちらを見た美代にウィンクをして、元の中央のステージに戻った。
そしてなぜか英語で叫んだ。
「No woman wants to be owned !」
その言葉を聞いて、蓮司がドキっとしてステージを見た。
ジャスティンはニヤリと口角を上げる。
『どんな女性でも所有物にはなりたくないか……』
ふざけるな。
美代は、美代は………俺の、ものなんだ!!
蓮司は荒れ狂う自分の感情と美代の自由と、いろいろ考え過ぎて、気持ち悪くなってきた。
自分がこれしきのことに耐えられないなんて自分でも信じられないのだ。
彼女が関わると自分の世界が変わってしまう。
自信が全て消え去り、すがるような想いさえ出てきてしまうのだ……。
蓮司は自分の顔を半分、片手で隠した。
本当に、情けない。
蓮司が震えているのに、美代が気がついた。
顔色が悪く、頭を抱えていた。
これには美代も驚いて、すぐに対処する。
ステージ上のジャスティンに謝るように、手を合わせて、俯きがちの蓮司を外に連れ出した。
会場外のベンチに蓮司を座らせた。
まるで冷水を浴びたかのように、蓮司が汗をかいていた。
「ごめん、美代。年甲斐にもなく取り乱してしまった」
蓮司は、全くやられたと思った。
まさかあんな若造にここまで自分の中をえぐられるとは思っても見なかった。
「……いいんですよ。英語でよくわかんなかったけど、ジャスティンの新曲も聴けたし、蓮司会長が具合が悪いなら、帰りましょう……無理しないでください……」
「おまえ、わかんなかったのか? あの曲の意味が?」
「え、そういうツッコミよしてくださいよ。英語の成績、悪いんですよ………。いつも英語の先生に狙われているんです!」
ぷっと蓮司が吹き出した。
次第に、あはははと大声で笑いだす。
「そ、そうか、バカだな……あいつは……」
「なんですか? あいつって誰ですか?」
「いい、おまえは心配するな……。でも、、もうこのコンサートは勘弁してくれ。心臓がいくつあってももたん……」
「そうですね……。もうここは後にしましょうか……」
少し緊張気味の美代が答えた。
蓮司はそんな様子の美代に全く気がつかなかった。
あまりにもジャスティンの告白コンサートが強烈過ぎて、心を落ち着かせるのに手がいっぱいだったからだ。
外に出ると、もう夜もふけていた。
少し冷たい空気がちょっと時期としては早い夜桜の匂いを感じさせた。
美代が、まだ一分咲きと思える桜の樹の前でふりかえった。
もうすぐ歩けば、伊勢崎さんの車が待っているはずだった。
美代が急に立ち止まり、蓮司の片手をぎゅうっと握り締めた。
「蓮司さん………」
神妙な面持ちの美代に対して、蓮司が心配そうに答える。
「……どうした、美代。疲れたか? おぶってやるぞ、疲れたなら……」
「あの……今晩、その………」
美代の頬が赤く染まっていく。
手は微かに震えていた。
何かの異常をきたしているのかと思い、蓮司が慌てる。
「ど、どうした。美代、具合が悪いのか? 大丈夫か? ああ、いますぐに連絡を入れよう……」
取り出した携帯を美代が抑える。
電話はしないで……という顔つきで首だけを横に振った。
そして、おもむろに電話をかばんから出して、自分から伊勢崎さんに電話する。
「……伊勢崎さんですか……。美代です。申し訳ありませんが、私達、今晩は帰りません……」
唖然とした顔で蓮司が美代を見ていた。
美代がこれ以上赤くなれないというほどの赤面顔で、伊勢崎に言っている。
明日、朝、**ホテルに迎えに来てください……などと言っている。
蓮司が驚きのあまり硬直している。
何を美代が言っているのかわからないと言った感じだ。
蓮司が電話をしまった美代の両手を何かを探りだすように握った。
握りしめる手に力がはいってしまう。
「……美代……どういう意味?」
蓮司の問いに、答えない美代が恥ずかしそうにちょっと下を向く。
「……まさか」
「……か、帰りたくない……。あ、いえ、一緒にいま住んでいるから……へ、変なんだけど……」
「……美代?」
「あの……今晩、その、覚悟……出来ているから………」
言った瞬間、美代は身体をびくんっとさせ、顔をまた真っ赤にさせながら、蓮司の両手をぎゅーと握りしめた。
その意味を察したのか、蓮司が信じられないと言った表情で、後ろに美代の手を引きながら、よろよろし始めたかと思ったら、驚きのあまりか、地面に腰が抜けたようにしゃがみ込み、しまいには尻餅をついてしまった。
「え? 蓮司会長……だ、大丈夫ですか?」
手を引きながら、美代が話す。
「……ハハハッ、すまん、ちょっと驚きすぎて……」
頭をちょっと掻きながら、蓮司につられて中腰になっている美代を見つめた。
蓮司は地面にその長い足を放り投げながら、頬を赤らめながら手を伸ばし、美代に尋ねた。
目はうるおっており、声も緊張のあまりうらがえっていた。
「……その、つまり……」
今、自分が思っている事と美代が思っている事が同じなのかどうしても知りたくなったのだ。
だが、緊張のあまり、違う言葉が出てしまう。
自分の唇が微かに震えているのを蓮司は感じた。
「……美代、今日はありがとう。本当に楽しかった。君から誘ってくれるなんて……」
蓮司が照れながら話す。
「……蓮司にびっくりして欲しいって今日は、がんばったの? どうだった?」
美代もしゃがみこみ、蓮司を見つめた。
彼女の目も何気に涙目だった。
今日までの意気込みと緊張感が一気に緩んだようだった。
「……うん、本当にびっくりさせられた。可愛すぎて、心臓が何回止まりそうだったか……」
鼻をすする音が美代からした。
「洋服も、蓮司のこと考えて、自分で頑張ってみた……」
「そうか、そうだったのか。ものすごい素敵だ……。素敵過ぎて、もう息が苦しかった……」
「メイクと髪は、マチ子さんとジャスティンの知り合いに頼んだの……」
「そっか、いつもの美代も可愛いけど、これも最高に綺麗だ……」
長い蓮司の指が美代の髪を絡めていく。
それだけの手つきだけなのに、なぜか蓮司がすると、ものすごくいやらしく感じてしまう。
美代は自分の体の火照りを止めることができなくなっていた。
「私、とても御曹司の妻としてはやっていく自信ないよ……」
「ごめん、美代、それでも、俺は君を離せないよ……」
「蓮司の周りにいる女の人たちより、見劣るけど……ごめんね」
蓮司がガバッと美代を自分の方に肩を向かせる。
「ど、どうしてそんな事を思うのだ? 俺がそういう気持ちにおまえをさせたのか?」
「ち、違うよ。ごめんなさい。ちょっと最近、僻み根性が出てこちゃって……直したいんだけど……」
蓮司がものすごい熱いキスを美代に落とした。
それこそ、食べられてしまうようなキスだ。
蓮司の狂おしいほどの熱が美代に注がれた。
言葉に表せない分の、蓮司の愛の告白が、美代の柔らかい唇に押し付けられていく。
口から漏れる吐息でさえも、愛おしそうに蓮司が食べ尽くした。
その動作に、美代は涙ぐんだ。
自分がこのままでも、蓮司に受け止めて貰えるのだと……。
それを彼が言葉でなく、キスという甘い行為で、自分に説得しているようだった。
蓮司に抱かれている体が熱くなる。
キスの途中に蓮司が唸った。
でも、口調はあくまでも、柔らかく甘かった。
「……ああ、これでも……わからないなんて………本当に、総裁の俺も自信がなくなるよ……」
「ご、ごめん……なさい! ち、違うの、蓮司……すっごい高いブランドの洋服も、結局、怖くて着れなかった。それでもいい?」
「……何を言ってんだ。もちろんだ。それでも構わない……」
「英語も全然、わかんないよ……」
「時にはその方がいいことがある……」
「結構、嫉妬深いところもあるよ」
「……馬鹿か? おまえに嫉妬されたら、天国に行きそうなくらいに嬉しい」
二人がじっと見つめ合う。
「……蓮司、今晩は帰りたくないの……」
美代が蓮司を見つめる瞳が赤かった。
「……うん、さっき聞いた……」
「……あの、大原の家だと、あの、ひ、ひとが多くて、なんていうか、恥ずかしさに拍車がかかるというか……だから、蓮司さんには申し訳ないですが……いや、だったらいいんですが、その、今日は、ホテルを……よ、予約してまして………」
返事をせずに、美代はまた大きな腕に捕まえられた。
「美代……君って……」
「馬鹿なんです……」
「何言ってんだよ……」
抱きしめあった二人は、お互いの身体の熱が融和して、溶けていくような感覚を味わった。
「美代、何度も言うよ。俺は待てる。君の心も一緒でなければ、君を最後まで抱かないって決めたんだ……。だから、無理をしないで……」
しかめっ面の緊張した美代が蓮司に顔を近づけた。
チュッと可愛らしいキスの音が蓮司の唇の上でする。
目をハッと見開いた蓮司が美代を見つめ直した。
「蓮司のバカ、もうこれ以上、言わせないで……」
その言葉が、全てだった。
蓮司の何かのスイッチがオンになった。
もう立ち上がった時のこの男は、先ほど、よろよろと情けないように腰を抜かしてしまった男とは全く別人のようだった。
いま、この男がしようとしていることを止めるのは、かなり難易度が高いことに間違いはなかった。
急に蓮司が美代を抱き上げて歩き出した。
耳元で美代に囁いた。
その切れ長の目はネオンの光を艶っぽく反射させていた。
「……美代、君をただの女としては抱けない。私の妻だ。籍が入っていようがいないが、君だけだ…」
二人はまだ武道館の歓声が聞こえる外で、長い間、蓮司は美代を抱きかかえながら、路上でキスを繰り返した。
そしてまだ夜が始まったばかり都会のど真ん中で、タクシーに乗った二人が消えていく。
二人の手は、車の中でも熱く握られたままだった。
その歌唱力もさながら、彼は一流のパフォーマーだ。観客を奮え立たせ、自分の世界に引きずり込む。
それは、美代も蓮司も例外ではなかった。
結構、知っている曲があって、美代はもっと驚いている。
「これ、誰かの曲をコピーしているの?」
とか言っているので、蓮司がそれを聞き取り、美代の耳元で囁く。
「違うな。美代、彼が一流と呼ばれるのは、その歌唱力だけではなくて、作詞作曲も手がけるんだ……。これは多分、彼のオリジナルだな……」
「すごい! ジャスティン。才能あるんだね……」
「お前、ジャスティン、好きなのか?」
「え、まあ、本人は変わっているけど、曲は好きですよ。覚えやすいし、なんかいいですよね」
へえーーと楽しんでいる美代を見ていて、先ほどまでの嫉妬が少し安らぐ。
曲が好きなのは、まあ許せる。自分も似たようなアーティストを扱う会社をやっているのだ。才能があるものを埋もれさせるのはおしい。
だが、それが、いきなり泥棒猫のように、自分の大切な物を横取りされてはたまらない。
美代の肩を抱く。
音楽ぐらいは自由に聞かせてやるべきだと思ってきた。
そうだよ。おれはそんなに心は狭くないぞ、真田!
と、きっと空の向こうでくしゃみをしてそうな自分の補佐に向かって、心の中で話す。
だが、ある程度の曲が終わり、そのアリーナ席の中央の方向に伸びている花道に一脚の椅子が置かれた。
汗でずぶ濡れになったTシャツをジャスティンは脱ぎ捨て、ギターを片手にやってきた。
その姿を見て、また女性客が卒倒しながら、黄色い声を上げていた。
滴る汗と共に色香が漂う筋肉が、ステージのライトを浴びて光っていた。
女性の絶え間ないジャスティンを呼ぶ声が、音楽のない場内を埋め尽くしていた。
その金髪の濡れた前髪から、狼のような鋭い眼光が観客席を見据えた。
蓮司は美代の目を塞ぎたかったが、美代の目は、全く違う捨てられたシャツに向けられ、
「あれって、誰かが洗濯するんですかね」とか気になっているようだった。
そうか、こういうのはこいつにはあんまり効かないか……と蓮司はホッとする。
いきなり、ステージの上のジャスティンが九十度はあるかのようなお辞儀をする。
そして、置かれた椅子に腰をかけた。
観客がおおおおっとどよめいた。
ジャスティンがマイクに話しかける。
『皆んな、今日はありがとう! 最高だ!』
わーーー!と歓声が上がる。もちろん、美代も手を振って応援した。
『今日はみんなに、報告がある……。実は……』
嫌な予感がして蓮司は美代の腰に当てている手を自分の方に寄せた。
『新曲を発表します!』
底が割れるかのような歓声が上がる。
『タイトルは……Perfect Woman……。聞いてほしい。僕の愛してる人に……』
そのとき、距離はあるもののジャスティンの視線が美代にきていることを蓮司は感じた。
そうか、そういう手なのかと、蓮司が立ち上がって美代の手を引いて会場を出ようとした。
そんな時に限って、美代が真剣に蓮司に言う。
「会長、お手洗いですか? 私はきちんとここで聴いてみます。お辞儀もしっかり習得したみたいで、偉いですよ。だから、新曲、聴きたいじゃないですか……」
と言って、しっかりと席にしがみついていた。
大きく蓮司はため息をついた。
「美代、おまえ、この後、どうなっても知らないからな……。俺は警告したぞ……」
「な、何を警告ですか! あ、始まる!!」
ギターを片手に椅子に座りながら、ジャスティンが甘いメロディーで歌い始めた。
後ろには、それに合わせて、ドラムもはいったりする。
ただし、その歌詞が蓮司を発狂させるものだとは、この時、多分、この仕掛けの本人、ジャスティンにしか知らなかったはずだ。
ジャスティンはスポットライトの反射で見えないはずの、前方にきょとんと座っている美代に対して、まるで見えているかのようにウィンクを送った。
蓮司は思わず、小さな音でチッと舌打ちをした。
前奏の後、ジャスティンが甘い声で歌い始めた。
(注・ジャスティンは英語で歌っております。意訳の邦訳が後ろについてまーす)
Beautiful moment
Perfect timing
The first moment I saw you
Imagined your eyes
your sweet eyes were closed
My heart fluttered
Beautiful moment
Perfect timing
Imagined the color of your eyes
They must have been beautiful as your sleeping face
You consumed me
The first time I saw you
That feeling washed over me after we were apart
You are an unreachable woman.
No one told me that you were untouchable
I wanna turn back the wheel
To the time before he saw you
I wanna go back to the moment
Before you were lost
I would have done much better before he filled your heart
I see the perfect life
I see the beautiful life
If you just smile at me with your sweet brown eyes
That's all I want
Come closer. My beautiful woman
I love you. My perfect woman
Remember our secret
美しい瞬間
完璧なタイミング
君に最初に出会った時
その甘い瞳は閉じていた
僕の心がざわざわと飛び立つ
美しい瞬間
完璧なタイミング
君の瞳の色を想像した
きっとその寝顔に似合う美しい色だって
一目惚れだった
その感情は離れてから胸に押し上げてくる
でも、君は僕には手が届かないひと
触ってはいけないひとだなんて、誰も言ってくれなかった
時(の車輪)を戻したい
君が今の彼に出会う前に
その瞬間に戻りたい
君を失う前に
パーフェクトな人生が見える
素敵な人生が見える
君がその甘いブラウンアイを僕の横で輝かせてくれるだけで……
ただそれだけでいい
僕のところにおいで
僕の完全無欠な美しいひと……
忘れないで、あの秘密
美代はボーーっとその曲を聴いていた。
ジャスティンは明らかに美代の目線をみて歌っている。
蓮司は、もう歌詞の途中から、怒りがマックスを超えてきていた。
美代の肩に置いている手に力が入る。
目の前で自分の女がよその男に口説かれているなんてありえない。
歌い終わったジャスティンに対して、歓声がわーーーと言っている中で、ジャスティンがマイクで呟いた。
「ミヨ、キレイだよ……」
聞こえた観客もいたし、全く聞こえない観客もいた。
だが、美代の姿を捉えようとした彼の目には、美代を完全に我の物と主張する蓮司が美代の唇を完全に塞いでいた。
「れ、蓮司か、会長、な、なんで、こんな時に!!」
蓮司に抱えられながら、驚きの顔の美代が恥ずかしげに話す。
「美代、秘密ってなんだ? ジャスティンとなんか秘密ってあったのか?」
その様子を壇上からジャスティンが見ていた。最初は、ジャスティンは蓮司と美代のキスの有様に唖然としていた様子だが、キスの間にこちらを見た美代にウィンクをして、元の中央のステージに戻った。
そしてなぜか英語で叫んだ。
「No woman wants to be owned !」
その言葉を聞いて、蓮司がドキっとしてステージを見た。
ジャスティンはニヤリと口角を上げる。
『どんな女性でも所有物にはなりたくないか……』
ふざけるな。
美代は、美代は………俺の、ものなんだ!!
蓮司は荒れ狂う自分の感情と美代の自由と、いろいろ考え過ぎて、気持ち悪くなってきた。
自分がこれしきのことに耐えられないなんて自分でも信じられないのだ。
彼女が関わると自分の世界が変わってしまう。
自信が全て消え去り、すがるような想いさえ出てきてしまうのだ……。
蓮司は自分の顔を半分、片手で隠した。
本当に、情けない。
蓮司が震えているのに、美代が気がついた。
顔色が悪く、頭を抱えていた。
これには美代も驚いて、すぐに対処する。
ステージ上のジャスティンに謝るように、手を合わせて、俯きがちの蓮司を外に連れ出した。
会場外のベンチに蓮司を座らせた。
まるで冷水を浴びたかのように、蓮司が汗をかいていた。
「ごめん、美代。年甲斐にもなく取り乱してしまった」
蓮司は、全くやられたと思った。
まさかあんな若造にここまで自分の中をえぐられるとは思っても見なかった。
「……いいんですよ。英語でよくわかんなかったけど、ジャスティンの新曲も聴けたし、蓮司会長が具合が悪いなら、帰りましょう……無理しないでください……」
「おまえ、わかんなかったのか? あの曲の意味が?」
「え、そういうツッコミよしてくださいよ。英語の成績、悪いんですよ………。いつも英語の先生に狙われているんです!」
ぷっと蓮司が吹き出した。
次第に、あはははと大声で笑いだす。
「そ、そうか、バカだな……あいつは……」
「なんですか? あいつって誰ですか?」
「いい、おまえは心配するな……。でも、、もうこのコンサートは勘弁してくれ。心臓がいくつあってももたん……」
「そうですね……。もうここは後にしましょうか……」
少し緊張気味の美代が答えた。
蓮司はそんな様子の美代に全く気がつかなかった。
あまりにもジャスティンの告白コンサートが強烈過ぎて、心を落ち着かせるのに手がいっぱいだったからだ。
外に出ると、もう夜もふけていた。
少し冷たい空気がちょっと時期としては早い夜桜の匂いを感じさせた。
美代が、まだ一分咲きと思える桜の樹の前でふりかえった。
もうすぐ歩けば、伊勢崎さんの車が待っているはずだった。
美代が急に立ち止まり、蓮司の片手をぎゅうっと握り締めた。
「蓮司さん………」
神妙な面持ちの美代に対して、蓮司が心配そうに答える。
「……どうした、美代。疲れたか? おぶってやるぞ、疲れたなら……」
「あの……今晩、その………」
美代の頬が赤く染まっていく。
手は微かに震えていた。
何かの異常をきたしているのかと思い、蓮司が慌てる。
「ど、どうした。美代、具合が悪いのか? 大丈夫か? ああ、いますぐに連絡を入れよう……」
取り出した携帯を美代が抑える。
電話はしないで……という顔つきで首だけを横に振った。
そして、おもむろに電話をかばんから出して、自分から伊勢崎さんに電話する。
「……伊勢崎さんですか……。美代です。申し訳ありませんが、私達、今晩は帰りません……」
唖然とした顔で蓮司が美代を見ていた。
美代がこれ以上赤くなれないというほどの赤面顔で、伊勢崎に言っている。
明日、朝、**ホテルに迎えに来てください……などと言っている。
蓮司が驚きのあまり硬直している。
何を美代が言っているのかわからないと言った感じだ。
蓮司が電話をしまった美代の両手を何かを探りだすように握った。
握りしめる手に力がはいってしまう。
「……美代……どういう意味?」
蓮司の問いに、答えない美代が恥ずかしそうにちょっと下を向く。
「……まさか」
「……か、帰りたくない……。あ、いえ、一緒にいま住んでいるから……へ、変なんだけど……」
「……美代?」
「あの……今晩、その、覚悟……出来ているから………」
言った瞬間、美代は身体をびくんっとさせ、顔をまた真っ赤にさせながら、蓮司の両手をぎゅーと握りしめた。
その意味を察したのか、蓮司が信じられないと言った表情で、後ろに美代の手を引きながら、よろよろし始めたかと思ったら、驚きのあまりか、地面に腰が抜けたようにしゃがみ込み、しまいには尻餅をついてしまった。
「え? 蓮司会長……だ、大丈夫ですか?」
手を引きながら、美代が話す。
「……ハハハッ、すまん、ちょっと驚きすぎて……」
頭をちょっと掻きながら、蓮司につられて中腰になっている美代を見つめた。
蓮司は地面にその長い足を放り投げながら、頬を赤らめながら手を伸ばし、美代に尋ねた。
目はうるおっており、声も緊張のあまりうらがえっていた。
「……その、つまり……」
今、自分が思っている事と美代が思っている事が同じなのかどうしても知りたくなったのだ。
だが、緊張のあまり、違う言葉が出てしまう。
自分の唇が微かに震えているのを蓮司は感じた。
「……美代、今日はありがとう。本当に楽しかった。君から誘ってくれるなんて……」
蓮司が照れながら話す。
「……蓮司にびっくりして欲しいって今日は、がんばったの? どうだった?」
美代もしゃがみこみ、蓮司を見つめた。
彼女の目も何気に涙目だった。
今日までの意気込みと緊張感が一気に緩んだようだった。
「……うん、本当にびっくりさせられた。可愛すぎて、心臓が何回止まりそうだったか……」
鼻をすする音が美代からした。
「洋服も、蓮司のこと考えて、自分で頑張ってみた……」
「そうか、そうだったのか。ものすごい素敵だ……。素敵過ぎて、もう息が苦しかった……」
「メイクと髪は、マチ子さんとジャスティンの知り合いに頼んだの……」
「そっか、いつもの美代も可愛いけど、これも最高に綺麗だ……」
長い蓮司の指が美代の髪を絡めていく。
それだけの手つきだけなのに、なぜか蓮司がすると、ものすごくいやらしく感じてしまう。
美代は自分の体の火照りを止めることができなくなっていた。
「私、とても御曹司の妻としてはやっていく自信ないよ……」
「ごめん、美代、それでも、俺は君を離せないよ……」
「蓮司の周りにいる女の人たちより、見劣るけど……ごめんね」
蓮司がガバッと美代を自分の方に肩を向かせる。
「ど、どうしてそんな事を思うのだ? 俺がそういう気持ちにおまえをさせたのか?」
「ち、違うよ。ごめんなさい。ちょっと最近、僻み根性が出てこちゃって……直したいんだけど……」
蓮司がものすごい熱いキスを美代に落とした。
それこそ、食べられてしまうようなキスだ。
蓮司の狂おしいほどの熱が美代に注がれた。
言葉に表せない分の、蓮司の愛の告白が、美代の柔らかい唇に押し付けられていく。
口から漏れる吐息でさえも、愛おしそうに蓮司が食べ尽くした。
その動作に、美代は涙ぐんだ。
自分がこのままでも、蓮司に受け止めて貰えるのだと……。
それを彼が言葉でなく、キスという甘い行為で、自分に説得しているようだった。
蓮司に抱かれている体が熱くなる。
キスの途中に蓮司が唸った。
でも、口調はあくまでも、柔らかく甘かった。
「……ああ、これでも……わからないなんて………本当に、総裁の俺も自信がなくなるよ……」
「ご、ごめん……なさい! ち、違うの、蓮司……すっごい高いブランドの洋服も、結局、怖くて着れなかった。それでもいい?」
「……何を言ってんだ。もちろんだ。それでも構わない……」
「英語も全然、わかんないよ……」
「時にはその方がいいことがある……」
「結構、嫉妬深いところもあるよ」
「……馬鹿か? おまえに嫉妬されたら、天国に行きそうなくらいに嬉しい」
二人がじっと見つめ合う。
「……蓮司、今晩は帰りたくないの……」
美代が蓮司を見つめる瞳が赤かった。
「……うん、さっき聞いた……」
「……あの、大原の家だと、あの、ひ、ひとが多くて、なんていうか、恥ずかしさに拍車がかかるというか……だから、蓮司さんには申し訳ないですが……いや、だったらいいんですが、その、今日は、ホテルを……よ、予約してまして………」
返事をせずに、美代はまた大きな腕に捕まえられた。
「美代……君って……」
「馬鹿なんです……」
「何言ってんだよ……」
抱きしめあった二人は、お互いの身体の熱が融和して、溶けていくような感覚を味わった。
「美代、何度も言うよ。俺は待てる。君の心も一緒でなければ、君を最後まで抱かないって決めたんだ……。だから、無理をしないで……」
しかめっ面の緊張した美代が蓮司に顔を近づけた。
チュッと可愛らしいキスの音が蓮司の唇の上でする。
目をハッと見開いた蓮司が美代を見つめ直した。
「蓮司のバカ、もうこれ以上、言わせないで……」
その言葉が、全てだった。
蓮司の何かのスイッチがオンになった。
もう立ち上がった時のこの男は、先ほど、よろよろと情けないように腰を抜かしてしまった男とは全く別人のようだった。
いま、この男がしようとしていることを止めるのは、かなり難易度が高いことに間違いはなかった。
急に蓮司が美代を抱き上げて歩き出した。
耳元で美代に囁いた。
その切れ長の目はネオンの光を艶っぽく反射させていた。
「……美代、君をただの女としては抱けない。私の妻だ。籍が入っていようがいないが、君だけだ…」
二人はまだ武道館の歓声が聞こえる外で、長い間、蓮司は美代を抱きかかえながら、路上でキスを繰り返した。
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二人の手は、車の中でも熱く握られたままだった。
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