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それぞれの想い
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あの春の騒動のあと、美代と歩美は同じ日に入籍をすることになった。
本当なら、あの納得した午後に、蓮司と美代は行くはずだったのに、美代が少し怖気付いてしまったのだ。
それを助けたのが、ここにいる友人の美少女、歩美だった。
『美代、そんなに心配なら、一緒に入籍しよう』
歩美が美代にそう言った。
ありえない女の友情に男達は困惑した。
でも、それは美代にとっては、何よりも有難かった。
何か戦友を得たような感じだった。
歩美達がいつもの朝食の際、二人で話し合って入籍日を決めていた。
男達は女子の会話に入れない。
蓮司と真田は少しため息をつきながら、その様子を向かい側で見つめていた。
どうやら、女子達の話を聞いていると二組のカップルが同時に入籍になりそうだということは男達もわかったようだ。
美代がお手洗いの為か、席を開けている間に蓮司に歩美が話す。
「まあね、貴方みたいな人と結婚するんだから、美代がビビって、また役所から逃走したら、困るでしょ。これも内助の功よ。ありがたく受け取りなさい!」
真田が焦って、フォローしようとするが、歩美に「煩い! 黙って!」と怒鳴られ、黙ってしまう。
蓮司は別に何も怒ってもいないと言い、何か楽しそうに笑みを浮かべた。
「ああ、有難いよ。しっかり美代がいなくならないようにフォローしてほしい。これからもずっと……」
珍しく素直な蓮司に歩美をちょっとドキッとして、顔を赤くした。
今度は何も表情を変えない真田が、歩美の隣まで、わざわざ来て、跪いた。
「歩美さん、他の男にドキッとなんてしないでください……」
彼が手の甲にキスをする。
「な、何よ! バカ御曹司にドキッとするはずないでしょ」
「……その言い方、何か嬉しくないです」
ボヤいている真田に蓮司が呆れて、助け舟をだす。
でも、それは真田に対してで、決して歩美にではなかった。
「ああ、真田。やっぱり書類が足りないな。それを修正してから出社しろ……」
本格的な光希との引き継ぎ作業のため、真田は出社しないと行けなかったからだ。
「……わかりました。ありがとうございます」
「っ、何それ! なんか意味が違う!!」
歩美が抗議するが、全然二人の男には届かない。
ようやく美代が席に戻って来た。
よくわからないが、いつものように歩美は真田さんに怒っているし、いつものように蓮司が甘い顔をしながら学校まで送るという。
なんだが、家族が一気に増えたようで、美代は嬉しかった。
最近、ずっと蓮司は授業が朝一の日は、必ず一緒に家を出る。
「今日は一限からだよな。もうそろそろ行こう……」
二人で車に乗り込む。
電話がなる。
あのジェフさんだ。
どうやら新案を無償で提供してから、なぜか連絡先を教えてほしいと、電話で時々話す。
片言ながら、彼の日本語はうまかった。
日本語の練習相手がほしいのかなとも思う。
蓮司は珍しくジェフさんの電話には妬かない。
でも、時々、今度はあのロック歌手のジャスティンからの電話だと手厳しい。
彼からの電話だと、思いっきり横取りされて、何か英語で喚かれる。
仲良いのかな?
それぐらいに蓮司とジャスティンの二人の仲は急接近していた。
それを蓮司に言ったら、かなり呆れられて叱られてしまう。
よくわからない。
なんとジャスティンはアジアの活動を本格的に始めたらしい。
車の中には、ちょうどラジオがかかっていて、あの新曲『Beautiful moment』は世界ミリオンセラーになり、巷では大流行りだった。
これがまたジャスティンが自分のSNSで、最近失恋して、その想いを曲にしたと暴露した為、世のジャスティンファンとゴシップニュースが好きなもの達はネットで騒いでいた。
どうやら、『MIYO』と言う名前をジャスティンがコンサートで漏らしたという情報が錯綜し、何を思ったか、日本の芸能界のアイドルグループの真矢みよちゃんが、もしかして、ジャスティンの失恋相手ではないかと噂されていた。二人の共通点は、日本の音楽番組での共演だった。
しまいには、テレビのワイドショー番組が直撃インタビューを彼女にしているが、プロアイドルのみよちゃんは、
「ええ? ジャスティンさんとは、全然話したことありませ~ん」と漏らし、ブログでも、「よくわからないけど、もしあれが自分のための曲だったら、すっごいドキドキですよ!」と意味ありげなコメントを残して、ファンをざわつかせていた。
そんな騒ぎなど全く気がつかない美代は、ラジオの曲を聴きながら、
「うーん、いい曲だけど、なぜかジャスティンが演歌を歌う姿しか思い浮かばないのはなぜだろう……」
とか言っている。
その横で、見目麗しい美男の蓮司が深くため息をつきながら、ジャスティンの耳障りな曲を聴きながら、美代に口づけする。
「美代、他の男なんて、見るなよ。ああ、聴いて欲しくもない」
激しいその口づけを受けながら、だいたい学校につく。
そんな平和な毎日が続いていた。
そして、とうとう入籍日が来た。歩美ちゃんがこの日が絶対にいいと大安の日を選んできた。
実はこの日、偶然にも、歩美と自分が最初に学校で出会った日だった。
徹夜のバイトで死にそうな時、学校でふらふらして歩いていたら、いきなり他の生徒とぶつかった。
ノートや筆記用具が床に散らばった。
「前見て、歩けよ……」
先輩っぽい大学生が自分に怒鳴った。
え、あっちからぶつかったよねと思ったのも、つかの間、歩美がそこにいきなり立ち入ったのだ。
「あら、いやだ。女性に無礼な人って最低ね」
学校でも美少女で有名な歩美の一言は強烈だった。
その先輩は謝りながら、自分の落ちたものを拾って自分に渡してきた。
最初はそれだけだった。
次は食堂付近で、歩美の周りには男どもが群がっていた。
まだ歩美の正体を知らない輩が、一言だけでも新入生の美少女と話したかったのだと思う。
でも邪魔だった。
席についた歩美を追って、カフェテリアのテーブルの間を男たちが埋め尽くしていた。
あとで聞いたら、学校一人気のなんとか先輩もいたらしい。
そんなの二十四時間働きづめの自分にとっては関係ない話だった。
その道を塞いでいる男らに言う。
「……邪魔です」
そのあと、色々そいつらに言われるが、その時の態度に、どうやら、絡まれている本人の歩美が感動したらしい。
「あんたみたいな、外面だけで見ない友人、探していた!!」と言われた。
そんなこともあって、その日がなぜか二人の入籍日となる。
男達は、特に蓮司はぶつくさと文句を言っていたが、歩美の一言で収まりを告げる。
「御曹司、前にも言ったよね。女友達の方が、旦那よりも優先なんだよ!」
真田さんは、なぜかククっと笑って喜んでいる。
「歩美さんが幸せな気持ちで私と結婚してくれるのなら、構わないです」
意外と出来る男になっていた。
歩美は式は落ち着いてから、あのハワイでやりたいと言った。
真田は、それが貴方の望みならと、ふた返事でオッケーする。
美代は学生の間は、結婚式をしないと蓮司にお願いした。元々家族もいないのだ。学業が終わったら、知り合いだけでささやかにやりたいとお願いする。
蓮司が答えた。
「まあ、お前が今のままでいられたら、そのような式ができるかもしれないな」
と、意味深なことを言われた。
なにも変わるつもりはない。
何を言っているのだろうと思う。
「そのうちにわかるよ」
と、だけ言われた。
ただしばらくは結婚は極秘にしてくれるように頼んだ。
やっぱり劣等感がぬけきれないのかもしれない。
四人で役所に行って、婚姻届を一緒に出した。
歩美ちゃんと抱き合いながら、入籍を喜んでいたら、二人の旦那から文句が出た。
「おい、抱き合っている相手が違うぞ。美代。俺だ、お前の伴侶は……」
「そうですよ。歩美さん、私をお忘れなく……」
役所の人が婚姻届を受理しておめでとうございますと言われる中、この全く周囲を気にしないイケメン二人は、お互いにそれぞれの最愛の妻に深いキスを落とした。
周りが騒然としているのも、かかわず……。
本当なら、あの納得した午後に、蓮司と美代は行くはずだったのに、美代が少し怖気付いてしまったのだ。
それを助けたのが、ここにいる友人の美少女、歩美だった。
『美代、そんなに心配なら、一緒に入籍しよう』
歩美が美代にそう言った。
ありえない女の友情に男達は困惑した。
でも、それは美代にとっては、何よりも有難かった。
何か戦友を得たような感じだった。
歩美達がいつもの朝食の際、二人で話し合って入籍日を決めていた。
男達は女子の会話に入れない。
蓮司と真田は少しため息をつきながら、その様子を向かい側で見つめていた。
どうやら、女子達の話を聞いていると二組のカップルが同時に入籍になりそうだということは男達もわかったようだ。
美代がお手洗いの為か、席を開けている間に蓮司に歩美が話す。
「まあね、貴方みたいな人と結婚するんだから、美代がビビって、また役所から逃走したら、困るでしょ。これも内助の功よ。ありがたく受け取りなさい!」
真田が焦って、フォローしようとするが、歩美に「煩い! 黙って!」と怒鳴られ、黙ってしまう。
蓮司は別に何も怒ってもいないと言い、何か楽しそうに笑みを浮かべた。
「ああ、有難いよ。しっかり美代がいなくならないようにフォローしてほしい。これからもずっと……」
珍しく素直な蓮司に歩美をちょっとドキッとして、顔を赤くした。
今度は何も表情を変えない真田が、歩美の隣まで、わざわざ来て、跪いた。
「歩美さん、他の男にドキッとなんてしないでください……」
彼が手の甲にキスをする。
「な、何よ! バカ御曹司にドキッとするはずないでしょ」
「……その言い方、何か嬉しくないです」
ボヤいている真田に蓮司が呆れて、助け舟をだす。
でも、それは真田に対してで、決して歩美にではなかった。
「ああ、真田。やっぱり書類が足りないな。それを修正してから出社しろ……」
本格的な光希との引き継ぎ作業のため、真田は出社しないと行けなかったからだ。
「……わかりました。ありがとうございます」
「っ、何それ! なんか意味が違う!!」
歩美が抗議するが、全然二人の男には届かない。
ようやく美代が席に戻って来た。
よくわからないが、いつものように歩美は真田さんに怒っているし、いつものように蓮司が甘い顔をしながら学校まで送るという。
なんだが、家族が一気に増えたようで、美代は嬉しかった。
最近、ずっと蓮司は授業が朝一の日は、必ず一緒に家を出る。
「今日は一限からだよな。もうそろそろ行こう……」
二人で車に乗り込む。
電話がなる。
あのジェフさんだ。
どうやら新案を無償で提供してから、なぜか連絡先を教えてほしいと、電話で時々話す。
片言ながら、彼の日本語はうまかった。
日本語の練習相手がほしいのかなとも思う。
蓮司は珍しくジェフさんの電話には妬かない。
でも、時々、今度はあのロック歌手のジャスティンからの電話だと手厳しい。
彼からの電話だと、思いっきり横取りされて、何か英語で喚かれる。
仲良いのかな?
それぐらいに蓮司とジャスティンの二人の仲は急接近していた。
それを蓮司に言ったら、かなり呆れられて叱られてしまう。
よくわからない。
なんとジャスティンはアジアの活動を本格的に始めたらしい。
車の中には、ちょうどラジオがかかっていて、あの新曲『Beautiful moment』は世界ミリオンセラーになり、巷では大流行りだった。
これがまたジャスティンが自分のSNSで、最近失恋して、その想いを曲にしたと暴露した為、世のジャスティンファンとゴシップニュースが好きなもの達はネットで騒いでいた。
どうやら、『MIYO』と言う名前をジャスティンがコンサートで漏らしたという情報が錯綜し、何を思ったか、日本の芸能界のアイドルグループの真矢みよちゃんが、もしかして、ジャスティンの失恋相手ではないかと噂されていた。二人の共通点は、日本の音楽番組での共演だった。
しまいには、テレビのワイドショー番組が直撃インタビューを彼女にしているが、プロアイドルのみよちゃんは、
「ええ? ジャスティンさんとは、全然話したことありませ~ん」と漏らし、ブログでも、「よくわからないけど、もしあれが自分のための曲だったら、すっごいドキドキですよ!」と意味ありげなコメントを残して、ファンをざわつかせていた。
そんな騒ぎなど全く気がつかない美代は、ラジオの曲を聴きながら、
「うーん、いい曲だけど、なぜかジャスティンが演歌を歌う姿しか思い浮かばないのはなぜだろう……」
とか言っている。
その横で、見目麗しい美男の蓮司が深くため息をつきながら、ジャスティンの耳障りな曲を聴きながら、美代に口づけする。
「美代、他の男なんて、見るなよ。ああ、聴いて欲しくもない」
激しいその口づけを受けながら、だいたい学校につく。
そんな平和な毎日が続いていた。
そして、とうとう入籍日が来た。歩美ちゃんがこの日が絶対にいいと大安の日を選んできた。
実はこの日、偶然にも、歩美と自分が最初に学校で出会った日だった。
徹夜のバイトで死にそうな時、学校でふらふらして歩いていたら、いきなり他の生徒とぶつかった。
ノートや筆記用具が床に散らばった。
「前見て、歩けよ……」
先輩っぽい大学生が自分に怒鳴った。
え、あっちからぶつかったよねと思ったのも、つかの間、歩美がそこにいきなり立ち入ったのだ。
「あら、いやだ。女性に無礼な人って最低ね」
学校でも美少女で有名な歩美の一言は強烈だった。
その先輩は謝りながら、自分の落ちたものを拾って自分に渡してきた。
最初はそれだけだった。
次は食堂付近で、歩美の周りには男どもが群がっていた。
まだ歩美の正体を知らない輩が、一言だけでも新入生の美少女と話したかったのだと思う。
でも邪魔だった。
席についた歩美を追って、カフェテリアのテーブルの間を男たちが埋め尽くしていた。
あとで聞いたら、学校一人気のなんとか先輩もいたらしい。
そんなの二十四時間働きづめの自分にとっては関係ない話だった。
その道を塞いでいる男らに言う。
「……邪魔です」
そのあと、色々そいつらに言われるが、その時の態度に、どうやら、絡まれている本人の歩美が感動したらしい。
「あんたみたいな、外面だけで見ない友人、探していた!!」と言われた。
そんなこともあって、その日がなぜか二人の入籍日となる。
男達は、特に蓮司はぶつくさと文句を言っていたが、歩美の一言で収まりを告げる。
「御曹司、前にも言ったよね。女友達の方が、旦那よりも優先なんだよ!」
真田さんは、なぜかククっと笑って喜んでいる。
「歩美さんが幸せな気持ちで私と結婚してくれるのなら、構わないです」
意外と出来る男になっていた。
歩美は式は落ち着いてから、あのハワイでやりたいと言った。
真田は、それが貴方の望みならと、ふた返事でオッケーする。
美代は学生の間は、結婚式をしないと蓮司にお願いした。元々家族もいないのだ。学業が終わったら、知り合いだけでささやかにやりたいとお願いする。
蓮司が答えた。
「まあ、お前が今のままでいられたら、そのような式ができるかもしれないな」
と、意味深なことを言われた。
なにも変わるつもりはない。
何を言っているのだろうと思う。
「そのうちにわかるよ」
と、だけ言われた。
ただしばらくは結婚は極秘にしてくれるように頼んだ。
やっぱり劣等感がぬけきれないのかもしれない。
四人で役所に行って、婚姻届を一緒に出した。
歩美ちゃんと抱き合いながら、入籍を喜んでいたら、二人の旦那から文句が出た。
「おい、抱き合っている相手が違うぞ。美代。俺だ、お前の伴侶は……」
「そうですよ。歩美さん、私をお忘れなく……」
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