私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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歩美の妊娠

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 歩美たちは、真田の願いによって真田の実家、真田家本宅に住むことになった。
 なぜなら、入籍して、一ヶ月そこらで、歩美の妊娠が発覚したからだ。

 美代はびっくりしたが、歩美が一言、言った。

 「いいの。もう大学は行かないつもりだったし。一緒に卒業したかったけど、ごめんね。だって、よくよく考えたら、あなたの子供の補佐になるツワモノを産まなくちゃならないからね! 年上じゃないと困るでしょ? 蓮司会長は、美代の卒業と同時に作るつもりよ。きっと! 女の感がそう言っているの」

 「!!!」
 「なぜかって?」

 歩美は言わなかった。
 どう考えても、あの蓮司が美代の就職とか応援するわけないでしょ? と思う。
 でも、真田に言わせると、色々変わってきているんですよっと言われるが、それがどういう意味なのかは教えてくれない。

 結婚してから、気がつかされた。

 真田は結構たぬきな男だった。
 平然とした顔をすることがうまいのだ。

 それまでは、歩美のたっての願いで、歩美は美代たちと一緒に住んでいた。
 歩美が度々、自分の旦那のに職務中にということを経験してから、ちょっとこの決断は間違っていたかしらと思っていたら、早速の妊娠が発覚して、体と気遣う真田が、自分の実家、約15分程度の所にある方に歩美を住まわせることに決めたのだ。

 そこには真田が幼少を過ごした思い出のある日本家屋があった。
 なぜ今までここを放置していたのかと聞くと、真田は、こんな性格でも自分は意外と人好きなんで、一人でこんな広い家に住みませんと言った。

 でも、実はすでにここには代々真田家を支えているお手伝いさんや、庭師などがいて、いわゆる、大原家の小さい版のような家だった。
 全てのものが主人の帰還に喜びの声をあげた。
 やっと真田に女主人が来たという者もいた。
 この日を待ちわびていましたとある、年寄りの女中が言う。

 聞いてみたら、真田の乳母だったらしい。
 今の時代に乳母って珍しいわねと思いながら、真田家の歴史を肌で感じた。

 ロレーヌ家の歴史には嫌悪感しか感じなかったのに、不思議だ。
 真田家の家が祖母の家に似ているせいだろうか。
 懐かしいその書院造りの部屋に自分がなじむ。

 そして、最初は昼間は一人でここに住むのかと思って、寂しく思っていた歩美も、周りの支えてくれる人たちと、真田の小さいころの話を聞いていくうちにどんどんと仲良くなり、新しい住処に自分の位置が見えてきた。

 少し大きくなったお腹を歩美がさする。
 もう最初の妊娠がわかって驚愕してから、六ヶ月を過ぎていた。
 真田は涙を流しながら、喜んでくれた。
 でも、なんども謝られた。
 意味がわからないが、どうやら、自分の自由を奪った後悔がまだあるらしい。
 一応、合意の上だし、まあ問題はないと自分でも思う。

 でも、思ったよりもはやくお母さんになりそうで、それは自分を驚かせるとともに、嬉しくも思った。

 本当の家族が欲しかった。

 「でも、私を貰ったこと後悔しているの?」
と聞いたら、あのいつも冷静な真田が顔を真っ青にさせて、「そんなことは、ありません!!」と力説してきた。

 ときどき黒豹のように変化する旦那様だが、歩美は幸せだった。
 
 そこには、学校を早めに終わった美代が、歩美のために柑橘類を買い占めて、歩美のうちに遊びに来ていた。

 二人は縁側で日向ぼっこをしながら、春からの一連の騒動を思い出す。

 「なんだか平和だね~!」
 「うん、今までがなんだか嘘みたい……」

 これから年末に向けて大きな運命が待ち構えていることなど、この女二人は全く予想だにしていなかった。

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