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君を見守る
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少し真面目な表情で、美代が座っているソファの隣に座る。
彼が座った衝動がボンっと美代にきた。
それが何かグッと来た。
ちょっと緊張しているのだ。
「どうした? 美代、心配ごとか? もしあの報道が気になるなら、報道各社に自粛を申し立てるぞ……」
「……え? あ、まあ、そうではなくて……」
「……どうした、マイダーリン、言ってごらん?」
甘々モードの蓮司が美代の肩を抱きしめて頭にキスを落とした。
「…どうした?」
「あの、実は……」
今日、歩美から聞いたことを蓮司に聞いてみた。
彼は黙って聞いている。
何もその感情が表情からは汲み取れない。
「蓮司……どうして?」
彼がグラスにワインを注ごうとしていた手が止まった。
蓮司がふと窓を見つめる。
先程まで小雨だった雨が、白いちらつくものに変わっていた。
静かにその空から降り落ちる聖なるものが、外の景色をだんだんと浄化させていくかのようだった。
「……蓮司?」
返事がない彼を見つめて、何か不安になり、もう一度名前を呼んだ。
「……美代。ごめんな」
「……え? 何? どうして謝るの……」
「俺が、無理矢理、お前をこっち側に引き寄せたんだ……」
「……?」
「もう、お前は自分が思うほど、ただの苦学生でも、無名でもない……」
「??」
「お前がすごいのは昔から知っている。だから、それを世の中のみんなに知ってもらっただけだ……」
「そ、それが今回の大騒動なんですか? もしかして、あのジェフさんを紹介したのも、これを見込んで……」
「……何も見込んでなど、いない。ただその可能性は有ると思った。これだけのイノベーションだ。ニュースになる。しかも、それに関わっているのは、お前だ。そして、お前は自分の判断で、答えを探したんだ……。正直、ほかのところからも打診があった。でも、お前が一番気に入りそうなところを選んでおいたんだ。ただ持っているだけでは、宝の持ち腐れだしな……」
「なんにもしていないのに……」
「……ハニー、君は強い心がある。そんな小さな身体からは考えられないような、鋼のような強くて繊細な心がある。その強さにみんな惹かれるんだ。私もその一人だ……」
真剣な表情の蓮司の瞳が、美代をとらえた。
「君は人々の希望になる……。だから、それに光を当てただけだ……。君が望んでいないのにな……。だから、ごめんな……」
「……そんな……」
「それで、君に問題だよ……。美代」
「……え? 何?」
「今の美代は、ステイタスも財力もある程度は固まったんだ……」
「え……」
「だから、今の君にとって、僕は御曹司でもなんでもない……。君にとってはただの男だ……」
「……」
「それでも、君は同じように、僕を愛してくれるだろうか? 美代……」
「蓮司さん……」
「正直、不安だったんだ。君は僕を選んでくれるか……。でも、真田に叱られたよ……。原石の君をそのまま隠して置くつもりなのかってさ……」
蓮司が珍しく顔を両手で隠した。
「ごめん、後、どうしても、君が自分から逃げてしまうんではないかと不安で……入籍を急いだ。俺の我儘だ……あの花も、あの報道ではなくて、もう君は私がいなくても立派な社会人としてやっていけるくらいに成長した君への祝福だ……」
「……」
美代に不安がよぎる。
蓮司は私と別れたいのだろうか?
だが、次の彼の言葉はそれは全く違うことだったと思い知らされた。
「美代、もう一回プロポーズしていいか?」
「……!!」
「美代、愛してる……。自分が自分でなくなりそうなくらい……。俺は……君の全てが愛しい……。いつまでもそばにいてほしい……君自身が、俺をまだ必要としてくれるなら……」
懇願してくる蓮司の瞳にうっすらと雫が見える。
美代はただ唖然としながらも、胸の中を込み上げてくる熱い気持ち、それはきっとこの目の前の大きな身体をして、とっても立派な家柄の、とても立派なお仕事をしている大層なイケメンが、愛おしくてたまらない気持ちなのだ……。
「……うん、わかった。そばにいる……」
蓮司が美代を強く抱きしめた。
愛を囁きあう二人の窓の外には、しんしんと空からの贈り物が、世界を白銀の景色へと変えていた。
彼が座った衝動がボンっと美代にきた。
それが何かグッと来た。
ちょっと緊張しているのだ。
「どうした? 美代、心配ごとか? もしあの報道が気になるなら、報道各社に自粛を申し立てるぞ……」
「……え? あ、まあ、そうではなくて……」
「……どうした、マイダーリン、言ってごらん?」
甘々モードの蓮司が美代の肩を抱きしめて頭にキスを落とした。
「…どうした?」
「あの、実は……」
今日、歩美から聞いたことを蓮司に聞いてみた。
彼は黙って聞いている。
何もその感情が表情からは汲み取れない。
「蓮司……どうして?」
彼がグラスにワインを注ごうとしていた手が止まった。
蓮司がふと窓を見つめる。
先程まで小雨だった雨が、白いちらつくものに変わっていた。
静かにその空から降り落ちる聖なるものが、外の景色をだんだんと浄化させていくかのようだった。
「……蓮司?」
返事がない彼を見つめて、何か不安になり、もう一度名前を呼んだ。
「……美代。ごめんな」
「……え? 何? どうして謝るの……」
「俺が、無理矢理、お前をこっち側に引き寄せたんだ……」
「……?」
「もう、お前は自分が思うほど、ただの苦学生でも、無名でもない……」
「??」
「お前がすごいのは昔から知っている。だから、それを世の中のみんなに知ってもらっただけだ……」
「そ、それが今回の大騒動なんですか? もしかして、あのジェフさんを紹介したのも、これを見込んで……」
「……何も見込んでなど、いない。ただその可能性は有ると思った。これだけのイノベーションだ。ニュースになる。しかも、それに関わっているのは、お前だ。そして、お前は自分の判断で、答えを探したんだ……。正直、ほかのところからも打診があった。でも、お前が一番気に入りそうなところを選んでおいたんだ。ただ持っているだけでは、宝の持ち腐れだしな……」
「なんにもしていないのに……」
「……ハニー、君は強い心がある。そんな小さな身体からは考えられないような、鋼のような強くて繊細な心がある。その強さにみんな惹かれるんだ。私もその一人だ……」
真剣な表情の蓮司の瞳が、美代をとらえた。
「君は人々の希望になる……。だから、それに光を当てただけだ……。君が望んでいないのにな……。だから、ごめんな……」
「……そんな……」
「それで、君に問題だよ……。美代」
「……え? 何?」
「今の美代は、ステイタスも財力もある程度は固まったんだ……」
「え……」
「だから、今の君にとって、僕は御曹司でもなんでもない……。君にとってはただの男だ……」
「……」
「それでも、君は同じように、僕を愛してくれるだろうか? 美代……」
「蓮司さん……」
「正直、不安だったんだ。君は僕を選んでくれるか……。でも、真田に叱られたよ……。原石の君をそのまま隠して置くつもりなのかってさ……」
蓮司が珍しく顔を両手で隠した。
「ごめん、後、どうしても、君が自分から逃げてしまうんではないかと不安で……入籍を急いだ。俺の我儘だ……あの花も、あの報道ではなくて、もう君は私がいなくても立派な社会人としてやっていけるくらいに成長した君への祝福だ……」
「……」
美代に不安がよぎる。
蓮司は私と別れたいのだろうか?
だが、次の彼の言葉はそれは全く違うことだったと思い知らされた。
「美代、もう一回プロポーズしていいか?」
「……!!」
「美代、愛してる……。自分が自分でなくなりそうなくらい……。俺は……君の全てが愛しい……。いつまでもそばにいてほしい……君自身が、俺をまだ必要としてくれるなら……」
懇願してくる蓮司の瞳にうっすらと雫が見える。
美代はただ唖然としながらも、胸の中を込み上げてくる熱い気持ち、それはきっとこの目の前の大きな身体をして、とっても立派な家柄の、とても立派なお仕事をしている大層なイケメンが、愛おしくてたまらない気持ちなのだ……。
「……うん、わかった。そばにいる……」
蓮司が美代を強く抱きしめた。
愛を囁きあう二人の窓の外には、しんしんと空からの贈り物が、世界を白銀の景色へと変えていた。
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