会長様はいちゃつきたい!

槇瀬陽翔

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夜のお茶会へようこそ

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大我に用事があって、風紀委員室に出向いたのだが、蛻の殻。


あれ?この時間ならいるはずなんだけど?


なんて思いながらも部屋を出て考える。携帯を取り出して電話をかけてみるが繋がらない。


「どこに行ったんだ?」
首を傾げながらも俺は校医の砦である保健室へと向かった。


扉をノックすれば

『どうぞぉ~』

なんて相変わらずのんびりとした声が返ってきた。

「失礼します」
そう声をかけてから部屋の中に入った。

「あれ?聖くんだけ?神尾くんは?一人なの?」
俺だけが入ってきたのに驚いたのかコウちゃん先生(もう神尾になったから間違えないようにって…)が聞いてくる。
「あれ?大我ここにもいないんですか?」
ここにいるかと思ってきたけど、この部屋にもいなかった。

「ん?もしかして神尾くんが迷子かな?それとも聖くんの方が迷子なのかな?」
先生が笑いながら言う。
「どっちが迷子か俺もわからないです。風紀委員室にいると思ったらいなくて、電話しても出ないんで…」
俺もどっちが迷子かわからなくて首を傾げた。


「ん~、本当だねぇ繋がらないねぇ」
俺が首を傾げてる間に先生が大我に電話をかけてるけど同じように繋がらないらしい。
「どこ行ったんだろう?他の風紀委員もいなかったし…」
今日は風紀で何か予定でもあったのだろうか?そんな話は聞いてないんだけど?

「まぁ、今は手が離せなくて、電話に出れないってこともあるから、聖くんは一度、生徒会室に戻ったら?」
会長の仕事も残ってるでしょ?と言われたので俺は仕方なく生徒会室に戻った。


「永尾、風紀委員って今日何かあったのか?」
生徒会室に戻って永尾に声をかければ
「今日ですか?何もないはずですよ?何かあったんですか?」
反対に聞き返された。

「いや、大我に用事があって風紀委員室に行ったんだが誰もいなくて、電話にも出ないから何かあったのかなと…」
自分が聞いた理由を口にすれば
「今日は特に何かあるとは委員長にも神谷くんにも聞いてませんけどね。不思議ですね」
同じように不思議そうに首を傾げる。


結局、時間になっても大我たちを見つけられなくて、俺たち生徒会はいつも通り仕事を終えて寮へと帰った。


寮の自室に戻って着替えを済ませて携帯を持った瞬間、着信が来た。

「もしもし大我?」
慌てて出れば
『早いな』
小さく笑われた。

「電話しようと思ってたところだったから…」
早かった理由を口にすれば
『今からちょっと出てこれるか?』
なんて聞かれて
「どこへ?」
場所を聞き返したら
『寮の外』
あっさりと返事が返って来て
「わかった行く」
俺も短く返事をして電話を切った。軽く上着を羽織って部屋を出て急いで寮の外へ出ていけば大我が制服じゃなくてラフな格好で立ってた。


「いつ帰ったんだ?」
制服じゃないことに驚いた。
「それは秘密」
笑いながら言われた言葉にちょっとムッとした。

「そうむくれるなって。行こう」
そう言って大我は俺の手を掴むと何処かへと歩き出した。


ここはどこだ?


と思うような場所に大我が連れてきた。

「大我ここは?」
意味が分からなくて聞けば
「ようこそ、夜の茶会へ」
なんて大我の言葉と共にその場所がライトアップされて現れたのは風紀委員たちと生徒会役員。そして顧問の二人と校医の二人。

「えっ?えぇぇ!!」
驚いて声を上げれば

「たまにはこういうサプライズもいいかなって」
「そう会長は最近ちょっと無理してるっぽかったので」

なんて書記の小泉と会計の絹笠きぬがさに言われた。驚いて永尾を見れば

「僕は知りません」
なんていうが顔が引きつってる。そのままコウちゃん先生を見れば
「僕も聞いてないよぉ」
なんてうそぶく。

「ほら、聖は色々と頑張りすぎるからな。永尾たち他の役員が心配してるんだよ」
生徒会顧問の呉崎くれさき先生が説明してくれる。
「まぁ、言い出しっぺはそこにいる委員長だけどな」
なんて、風紀顧問の後藤先生。

「言い出しっぺは俺だけどみんなが賛同したからこうやって準備したんだよ」
大我は溜め息交じりにいう。

「ありがとう。ごめん、嬉しくて泣きそう」
俺は素直にそれを口にした。
「いいですよ。委員長がちゃんといるんで泣いちゃってもいいですよ」
なんてあっさり神谷にも言われる。

「本当、みんなありがとう」
嬉しくて、本当に涙がこぼれた。

「さぁ、そこの泣き虫君はほっといて俺たちは茶会を楽しむぞ」
神尾先生の言葉にわー!ってみんながお茶会を開始した。


俺は大我に少しだけ離れた場所に連れてこられた。俺が泣いてるからなんだけどね。

「みんなが頑張りすぎてるって心配してたからな。気分展開にって思ったんだ」
俺の涙を拭きながら教えてくれる。
「そんなつもりなかったんだけどな…ありがとう」
大我の肩に頭を乗せて言えば
「本人は気付かないもんだ。ほら、泣き止んでみんなと騒ぐぞ」
頭を撫でながら言われた言葉に笑ってしまう。だって俺がいなかったら意味ないもん。



この後ちゃんと俺も参加して、みんなとワイワイとお茶会をして過ごした。


1時間ぐらいみんなで騒いでたのかな?時間になって先生たちに帰るぞって言われて大人しく帰った。


勿論、俺はそのまま大我の部屋に直行。


で、そこでもまたサプライズをかまされて号泣したのだった。


もう、大我さん、あなたは一体どれだけ俺を喜ばして泣かせるんですか!!!


嬉しいけど泣きすぎて自分でも驚きですよ!



Fin


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