チャイルドパニック

槇瀬陽翔

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「拓ちゃ~ん。ベトベトになっちゃった~」
やっと気が済んだのか俺の方によってくる。俺は蒼樹の首根っこを掴み、
「お前は風呂」
そのまま2階に上がっていき、バスルームに連れ込んだ。縛ってある裾を解き、脱がすと蒼樹を浴室に入れ、シャワーを適温になるまで自分の手で濡らし、蒼樹に掛ける。
「ほら頭洗うから目を瞑れよ」
そう言うと
「は~い」
そう言いながらギュって目を瞑った後から両手で目を押さえた。

…っ…

あの…蒼樹…お前俺を試してるのか?めちゃくちゃ可愛すぎるんだけど?

「拓ちゃんまだ?」
蒼樹が聞いてくる。
「あぁ。今からかける」
俺はそう言って蒼樹の頭にシャワーをかける。そしてシャンプーとリンスで頭を洗い身体もついでに洗った。
バスタオルで綺麗に水分を取りそのままバスタオルを身体に巻いてやる。蒼樹を連れてまた自分の部屋に行き、クローゼットを開け、
「服は?」
そう聞いてみると
「ねぇねぇ拓ちゃんここもって」
蒼樹がなんか悪巧みをしているのかバスタオルの端を俺に持たせる。
俺が持つと蒼樹は
「あ~れ~お代官さまご無体なぁ~」
なんていってクルクル回りだす。

時代劇で言う女の人の帯を引っ張ってくるくる回すやつだ。

「お前…本当は幼稚園児だろ?そうだろ?」
俺は思わずそう考えたくなった。
「やだなぁ~。中身はそのまんまだってば。蒼ちゃん17歳です」
てへって小首かしげて笑うのは反則だ。

可愛すぎる。

「ほら服はどうするんだ?」
俺はもう一度、服をどうするのか聞いてみる。蒼樹は朝と一緒でクローゼットによじ登り俺の服を物色して気に入ったのを選んだ。
「拓ちゃん抱っこ」
俺に両手を差し出した。俺がクローゼットから出してやると俺の服を着る。俺はまた朝のように裾を縛ってやった。
「う~。眠い」
遊びつかれたのか目を擦りながら訴えてくる。俺は蒼樹を抱き上げ部屋を出てリビングに向かいソファに寝かせた。
「リク、カイ」
2匹を呼ぶ。2匹は俺の声に反応して傍に駆け寄ってくる。
「蒼樹の傍にいろ。お坊ちゃまはおねむだからな」
既にウトウトし始めてる蒼樹に毛布を掛け2匹に言いうと2匹は言われたとおり蒼樹の傍に座る。俺は2匹の頭を撫でてキッチンに向かった。
「さて。今日の昼はなんにしますかね」
冷蔵庫を開け中身を見ながら考える。

子供でも食べやすいものだよな…。

なんて考えながら俺は蒼樹を2匹に任せたまま昼食の準備に取り掛かった。

俺が昼食を作ってる間に蒼樹が目を覚ましたのかギュって足に抱きつかれ危うくこけそうになる。
「どうした?」
俺はしゃがみ、蒼樹の目線に合わせる。蒼樹は何も言わずギュッと抱きついてきた。俺はそんな蒼樹を抱きしめ背中をぽんぽんと叩いてやる。子供をあやす様に。こういう時の蒼樹は何かあった時だ。嫌な夢でも見たんだろう。ギュウッと力いっぱい抱きついてくる。
俺は蒼樹を抱きしめ、
「どうした?嫌な夢でも見たか?」
聞いてみるとコクンと小さく頷いた。
「大丈夫だ。心配するな」
俺は蒼樹の頭を撫でてやる。それでも蒼樹は俺から離れようとはしない。
よっぽど嫌な夢を見たんだな。
「拓ちゃんがね…いなくなっちゃうの…こんな俺なんていらないって…」
ポツリポツリ蒼樹がいう。俺は言葉を失った。一番不安なのは蒼樹自身なんだと今更ながらに知らされる。
「置いてかねぇって。お前が嫌がっても連れていくし傍に置いとくぞ」
俺はそう言ってやる。これは嘘じゃない。俺の本心。こんな姿でもやっぱり俺は蒼樹が好きだから。
「ほんとに?」
なんて小首を傾げて聞いてくる。

…っ…

だからその顔は反則だっていうの!

「本当だ。置いてかねぇよ」
俺はそう言ってチュッてキスしてやる。ボンッて音がしそうなぐらい見事に真っ赤になって俺に抱きつく。
「いい加減慣れろよ」
俺は笑いながらいってやる。キス以上の事やってる仲なんだから。
「拓ちゃんは不意打ち過ぎるの~!」
なんて文句言いながら頭をグリグリくっつけて来る。まぁそういうとこが可愛いんだけどな。
「ほら椅子に座れ。起きたなら昼飯を食べよう」
俺がいうと蒼樹は俺から離れいそいそと椅子に登る。うん。可愛いなぁ~。

誰が見ても可愛いから誘拐したくもなるよな。

なんて感心してる場合じゃなくて…俺は蒼樹の前にオムライスとスープを用意してやる。
「わぁ~い。オムライス~!」
蒼樹は嬉しそうにそれを食べ始めた。見てるだけで微笑ましいと言うかなんというか。

親の欲目とかいうけど…こいつマジで可愛い。

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