チャイルドパニック

槇瀬陽翔

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「おはよ~」
蒼樹が楽しそうに挨拶している。やっぱりこいつが一番、楽しんでるかもしれない。
「蒼ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる?」
俺たちがリビングに出てきてすぐに佳代ねぇが呼ぶから俺は抱いていた蒼樹を下におろした。蒼樹はそのままトコトコと佳代ねぇの所へと向かう。
「ちょっとジッとしててね」
佳代ねぇは側に来た蒼樹の身体を測り始めた。そういえば、今の体系の蒼樹用の制服を作ってくれって頼んだっけ。
「これで良し。普段着は95cmで大丈夫ね。蒼ちゃんってちっちゃくて可愛い~」
蒼樹の頭を撫でながら言うが、
「じゃぁ、仕事に行くわ。夜までには持っていくから」
佳代ねぇはそれだけ言い残し仕事に行くために出ていった。
「さてと、俺も仕事だしな。それに拓真が怒るから解毒剤とか作ってもらうように電話しとかないとな」
兄貴も立ち上がり出ていった。
「私もいないとね。じゃぁ、蒼ちゃん、ゆっくりしっててね」
美優ねぇも蒼樹の頭を撫でてから出ていった。親父とお袋に関してはすでにいないし。2人でデートと洒落こんで色々と買い込んできそうだなこれは…。
「蒼樹、朝はトーストでいいか?」
キッチンに立ち蒼樹に聞いてみればチョコチョコと走ってきて
「うん、いいよぉ」
俺の脚に抱き着きながら返事をしてきた。歩きにくいんだが…。まぁ仕方がないか。

俺は脚に蒼樹を抱き着かせたまま、ぶつけたり、ケガをさせたりしないように気をつけながらトースト、ハムエッグ、ホットミルクを作ってテーブルに置いた。
「熱いから気をつけろよ」
椅子の上にクッションを置いてテーブルの高さに合うようにしてから蒼樹を座らせた。
「いただきま~す」
ちょこりと小さな手を合わせてから食べ始めた。

が、身体がお子様仕様になっているのでうまく食べられないようだ。だんだんと蒼樹の顔が不機嫌になっていく。

「ちょっと待ってろ」
俺はため息をつき、蒼樹が食べやすいようにトーストとハムエッグを切り分けてやる。それで納得したのかウキウキと残りを食べ始めた。
「ごちそうさまでした」
ちっちゃな手を合わせて言う姿がなんともまぁ、可愛い。

子供って、こんなにも可愛いものだろうか?

イヤ、多分、蒼樹が可愛すぎるんだと思う。
「拓ちゃん、口拭いてぇ~」
蒼樹は器用に椅子から降りると俺の側に来て訴える。俺はティッシュを取り口の周りをキレイに拭いてやる。
「よし、もういいぞ」
蒼樹にもう大丈夫だと言えば
「にゃはは~」
なんて笑いながらリビングの入り口に座っている2頭のドーベルマンの所に走っていった。

先月、親父が知り合いから譲り受けたらしい。しつけも訓練もしっかりされていて、こちらの言うことはしっかり聞く利口な犬たちらしい。蒼樹にもかなり懐いている。が、子供の姿の蒼樹でも大丈夫だろうか?

なんていう俺の心配はよそに2匹と1人は仲よく遊び始めた。中身は俺と同じままでもやることは本当に子供なんだが?

これって薬の副作用か?

それともあいつの本性か?

なんて思うが、まぁいい。仲よく遊んでるうちに俺はみんなの使った食器を片付けるか。

俺が食器を片付けている間に部屋の中にはキャッキャッキャって蒼樹の楽しそうな笑い声が響く。片付けを終えてから俺はそれをずっと見ていたが言葉を失くした。
それはもう、見事に2頭にもみくちゃにされ涎だらけになり、あのキレイな猫っ毛の蒼い髪はぐしゃぐしゃになっていた。

一体あいつは何時まで遊んでるつもりだろう?

ふと時計を見て気が付いた。時計の針はすでに10時を回っていたのだ。ってことは朝、ご飯を食べてから3時間ぐらいは遊んでいることになる。

まぁ、遊ぶぐらいいいんだけどな…



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