チャイルドパニック

槇瀬陽翔

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「えっとぉ…あった」
お袋は目的の箱を探し出し、その中から服を何着か取り出した。
「これ、着られるかしら?」
蒼樹に差し出して聞いている。蒼樹はそれを受け取り、着替えるが…
「う~、おっきぃ~」
ポツリと呟いた。ちょっと待て…
「それ、100㎝のやつなんだけど…。蒼ちゃんちっちゃいのね…しょうがないわね。明日、買ってくるわ。そうだ靴は?」
これは…着せ替え人形になりそうだな…。
「あ~う~。ちょっとでっかい…」
靴も買うしかないのか…
「明日は学校はお休みね」
お袋の言葉に俺はハッとした。
「佳代姉!うちの制服、今の蒼樹のサイズで作ってくれ!」
お袋と一緒になって蒼樹を着せ替え人形として遊んでいる姉貴にいう。
「それはいいけど、どうして?」
姉貴が不思議そうな顔をする。
「出席日数と単位がギリギリなんだよ。どっかの誰かさんが!」
そうだよ、身体が子供になってても、頭の中が変わらないのなら学校に行っても大丈夫だ。それに本当に今まで色々あったから出席日数とか、単位がヤバいんだよこいつ。って、俺も人のことは言えないか…。蒼樹に付き合ってたわけだから…。そうしないともっと酷いことになったからな。
「なるほど。わかったわ。明日、すぐに作ってきてあげるわ。蒼ちゃんの制服姿も可愛いかも」
ダメだこりゃ、完全に玩具になってる。蒼樹はいつの間にか俺のシャツに着替えて
「拓ちゃん、抱っこ」
なんて俺に両手を差し出してくる。俺は言われるままに蒼樹を抱き上げる。
「う~…眠い…」
蒼樹は目をこすり、俺のパジャマをちょこりと掴み、コテンッと俺の肩に頭を乗せて寝る体勢に入った。

…っ…

メッチャクチャ可愛いんですけどぉ~!!!じゃなくて…


「わりぃけど、明日、頼むわ。こいつ寝せるから…」
俺はそれだけお願いして、自分の部屋に戻った。

以前、蒼樹と苗代の2人に聞いた、蒼樹が子供の頃に誘拐にあったという話は納得した。こいつ可愛いすぎる。
「ほら、布団の中に入れって…しっかり掴んで寝てるし…」
蒼樹を下ろそうとして顔を見たら、本気でもう寝ていた。俺は溜め息をつき部屋の電気を消して、蒼樹を抱きしめたままもう一度、布団の中に入り寝ることにした。


朝、目を覚ますと、そこにはしっかりと俺のパジャマを掴んで寝ている蒼樹の姿があった。その姿はやっぱり子供のままだった。
「やっぱり夢じゃなかったんだな」
ポツリと呟き蒼樹の頭を撫でた。
「んっ…おはよう…」
ちっちゃな手で目をこすりながら蒼樹が言う。
「おはよう、ちゃんと眠れたか?」
まだ目をこすってる蒼樹に聞いてみれば、うんとうなずき、なにを思ったのか、ちっちゃな手で俺の顔を掴んだな~って思ったら、チュッて小さな音を立ててキスをしてきた。

…っ…

反則だろ?いくら何でも今のは反則だろ?

俺が我慢してたってのに…こいつは…

「えへへ。身体は小っちゃくなってもキスは出来るもんね」
なんて言いながら笑ってやがるし…。
「そうだな」
俺は呟くとお返しとばかりに自分の下に蒼樹を組み敷き唇を奪うように重ねた。触れ合う唇が小さくてプニプニしてて普段とは違った意味で気持ちがいい。
「ん、っ、ぁ、たくぅ、くる、しぃ、ん」
小さな手でポカポカと叩きながら訴えてくる。そのクリクリとした大きな瞳には少し涙が溜まっていた。
「可愛いなお前」
そう呟き涙をそっと舐めとると、ボンって音がするんじゃないかってぐらい一気に真っ赤になったお子ちゃま蒼樹の出来上がり。
「もぉ~拓ちゃんの意地悪~」
蒼樹はポカポカと叩いてくる。その仕草が可愛いと思うんだから俺も末期だな。
「さてと、着替えるか。蒼樹、服はどうする?」
俺はベッドから降りて、クローゼットを開けて着替え始めた。蒼樹もベッドから降りて、クローゼットの前に来ると
「うんしょっと…」
ゴソゴソと登りだした。目的は俺の服か。
「その身体で俺の服を着るのか?」
ゴソゴソしてる蒼樹に聞いてみれば
「うん、そうだよ」
蒼樹はあっさりと返事をして、小さく畳んであるTシャツをゴソゴソと漁りだした。

「拓ちゃん抱っこ」
気に入ったものが見つかったのかそれを持ち俺に訴えてくる。そんな蒼樹を抱き上げて、クローゼットの中から出すと扉を閉めた。
「ほら」
蒼樹をベッドの上におろすと、蒼樹は座って楽しそうに着替え始めた。

蒼樹本人は意外にこの状況を楽しんでいるのかもしれないと思った。

「拓ちゃん、横に縛って。このままじゃ歩けないよ」
着替え終えたのか立ち上がって訴えてくる。確かに裾が長くて、歩くたびに踏んでこけそうである。蒼樹の前に膝をつき、蒼樹が歩けるぐらいの長さに調節をして裾を両脇で縛ってやった。

そして、蒼樹を抱き上げてリビングに行くために部屋を出たのだった。

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