チャイルドパニック

槇瀬陽翔

文字の大きさ
6 / 8

06

しおりを挟む
「薬の効力はすぐには消えないらしい。2週間ぐらいはそのままだそうだ。一応、解毒剤は作ってもらうようには頼んだからしばらく我慢してくれ」
帰って来た兄貴が告げてきた。
「結構長いな。まぁ何とかする」
俺は少し考えながら答えた。
「子供服を色々買ってきたから着替えたら?」
お袋が蒼樹に言う。俺は蒼樹を下ろし、
「好きなのに着替えて来い。何時までもその格好じゃあれだぞ」
言ってやる。蒼樹は頷き、お袋や姉貴たちが買ってきた服を物色し気に入ったものに着替えた。

その後、持って帰るには量が多くて俺たちは兄貴にアパートまで送ってもらった。

アパートの部屋に入るなり蒼樹はソファに倒れこんだ。
「大丈夫か?」
俺はその様子が心配で聞いてみる。どこか調子が悪いと困るからだ。
「ん。なんかだるい。薬のせいだと思うんだ」
蒼樹は少しだけ辛そうに答える。やっぱりか。身体が受け付けないと調子を崩しやすいんだよこいつは…。
「もう寝るか?起きててもすることないぞ?」
一応聞いてみる。
「ん。やだ。CD聴いてもいい?」
そう聞いてくるから
「かけてやるよ。いつものでいいのか?」
俺が反対に聞き返すと蒼樹はうなずいた。蒼樹のお気に入りのクラッシック。1曲だけリピートにしてかけてやる。
蒼樹は着てる子供服を脱ぎ捨て俺のシャツに着替えた。
パジャマ代わりか。まぁ大きいから楽なんだろうけどな。
そのまままたソファに横になるから俺は
「蒼樹ちょっと待て。ベッドにしてやるから」
そういってやる。蒼樹は身体を起こすとソファから下りた。
俺はテーブルをラックにぶつかるまで移動し、ソファをベッドへと変化させる。
ベッドになると蒼樹はいそいそと横になった。よっぽど薬が合わないらしい。少し辛そうだ。
「大丈夫か?」
毛布をかけて聞いてみる。
「ん~。だるいけど…大丈夫だと思う…」
毛布に包まり、答える。俺は溜め息をつき
「明日の準備してくるから大人しく寝てろよ?」
そういうと
「ん。わかった」
蒼樹は毛布に包まったままゴロゴロ寝返りを繰り返していた。


俺が明日の準備をして戻ってきてもまだ蒼樹はゴロゴロと寝返りをうっていた。
「大丈夫か?」
蒼樹の傍に膝をつき聞いてみる。
「ん~…だるい…朝はまだ平気だったんだけど…」
眉間に皺を寄せて言ってくる。
「人体に異常はないって話だったんだけどな。お前の場合は体質が関係してるんだろうな」
俺は小さな背中を擦ってやる。
「ん。変な薬とか飲むと拒絶するからね…多分慣れれば大丈夫だと思うけど…」
そういう言葉もどことなく辛そうだ。やっぱりもう2,3発殴っておくべきだったか。
「明日から学校だからもう寝るぞ?」
俺はそう聞いてみる。
「ん。わかった」
蒼樹はそう返事をしてくるもののまたゴロゴロし始める。
俺はひとまず部屋の明かりだけ消し蒼樹の隣に横になった。
蒼樹はゴロゴロ動いていたが俺が横になると俺にくっついてきた。
俺はそんな蒼樹の身体を抱き寄せ軽く背中を何度も撫でてやる。
「ごめんね拓ちゃん」
蒼樹が謝ってくる。
「バカ。それを言うなら俺の方がごめんだろ。うちのバカ兄貴のせいで…」
俺は撫でる手を止め蒼樹を抱き締める。小さな身体は簡単に腕の中に納まってしまう。
急に静かになったからどうしたものかと覗けば静かな寝息を立てて眠っていた。
俺は蒼樹を抱き締めたまま寝る事にした。

少しでもだるさが和らいでくれますようにと願いながら…。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

琥珀の檻

万里
BL
砂漠の王国の離宮「琥珀の間」で、王・ジャファルは、異母弟であるアザルを強引に抱き、自らの所有物であることを誇示していた。踊り子の息子として蔑まれ、日陰の存在として生きてきたアザルにとって、兄は憎悪と恐怖の対象でしかなかった。 しかし、その密事を見つめる影があった。ジャファルの息子であり、次期王位継承者のサリムである。サリムは叔父であるアザルに対し、憧憬を超えた歪な独占欲を抱いていた。 父から子へ。親子二人の狂おしい執着の視線に晒されたアザルは、砂漠の夜よりも深い愛憎の檻に囚われていく。

情けない男を知っている

makase
BL
一見接点のない同僚二人は週末に飲みに行く仲である。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

悪役Ωは高嶺に咲く

菫城 珪
BL
溺愛α×悪役Ωの創作BL短編です。1話読切。 ※8/10 本編の後に弟ルネとアルフォンソの攻防の話を追加しました。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

処理中です...