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静かな怒り

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「あー、うっざぁ~。なんで壊れてないんだよぉ」

桐渓が鬱陶しそうに言いながらナイフを振り回す。


「経験者なんでな。それ相応の対処方法は身につけてる」
少し重くなった上着を脱ぎ邪魔にならない場所に捨てれば

「っ」
梅村の声にならない悲鳴が上がる。


あぁ、そういえば背中が切れてたな。


なんて思うが別に痛くもないし、古傷が開いただけだから気にもしてなかった。

「邪魔くさぁ。じゃぁさ、梅村より先に逝ってよ。後からあいつも逝かせるからさぁ」
ニヤリと笑いながら俺にナイフを向ける。


「いんちょ~。風紀として確認しますけどぉ~武器になるもんいります~?」
この場に相応しくないのんびりとした口調で鍋谷が聞いてくる。
「お前が盾になるか?」
だからわざと言ってやれば
「えぇ~俺か弱いから無理だしぃ~」
なんてふざけた言葉が返ってくる。
「なら、俺の邪魔しねぇようにギャラリーどもを遠ざけろ。二村は他のヤツらと連携してこの場所にこれ以上人を集めるな」
溜め息交じりに指示をすれば
「りょ~か~い。頑張ってねぇ。それ以上は怪我するなよ侑司」
「わかりました。それ以上、傷を増やしたら無理にでも入院させますからね」
2人はそう念を押して指示通りに行動する。

「佑衣斗、季里仁、悪いがそいつがこっちに来ないように捕まえといてくれ」
後ろを見ないままで告げれば
「わかってる」
「こっちは気にしないでいいよ」
2人がすぐに返事をくれる。

「菊池!なんでだよ!」
梅村が納得いかず叫ぶが
「お前はそこにいろ。邪魔だ」
突き放すわけじゃないが、こいつを片付けるには邪魔だ。
「なんでだよぉ…」
梅村の情けない声。


「いいのぉ~?あいつ寂しそうじゃん。俺なら一緒に逝かせてやれるぜ?」
ニヤニヤと笑う桐渓の言葉にイラ立つ。

「うぜぇのはお前も同じだ桐渓。来いよ、終わらせてやるから」
こんなバカげたこと終わらせてやるよ。


お前の犯した過ちを全部お前に返してやるから…。


いい加減こっちはお前にイラついて顔も見たくねぇんだよ。


存在すら認めたくねぇよ。


Fin
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