人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬陽翔

文字の大きさ
149 / 184

依存と執着は紙一重?

しおりを挟む
「なぁ、いつからなんだよ…」
食器の片付けを終え、珈琲を淹れたカップを持って戻ってきたとき急に言われた。
「何がだ?」
意味がわからず、イヤ多分、聞きたいであろう言葉はわかるが、テーブルにカップを置いて聞いてみた。

「執着って…いつからなんだよ。そんな素振り一度も見せなかっただろ?」
梅村からの言葉にやっぱりそれかと思う。

「ガキん時から。お前が俺に依存し始めた頃とほぼ同時期だな。確か」
自分でも曖昧だが、あの頃には既に俺は梅村陽葵という男に執着していたのだ。

だからこそ、この男が依存するぐらいには相手をし、甘やかし、自分意外に気を引かれないようにもした。

だが、それを全く気が付かれないように気を遣いながらだが。

桐渓に苛められたときはすっげぇ腹が立った。

だからこそ、この男を傷つけるあの男が許せなかった。

階段での事故は予定外で、自分でもしくじったと今になっては思う。

6年もこの男と離れることになったのは俺自身も予定外だったし、早く逢いたいと思ってはいた。

だが、記憶がないときいたときはチャンスだと思ったのも事実。

この男を守るための術を覚えるために絶好のチャンスだと。

アメリカに行く前に鍋屋と二村。そしてあの5人にも梅村を頼んだ。戻るまで守ってくれと…。

アメリカにいる間、ずっと俺に連絡をいれてくれてたのは意外にも鍋屋だった。これには俺も驚いた。


「全然、気が付かなかったんですが?」
ジーッと俺を睨みながら言われる言葉に笑みがこぼれる。

「だろうな。気付かれねぇように隠してたし。気付かせるつもりなかったしな」
現に今でも知らせるつもりはなかった。が、想い知ればいい。

俺がどれだけ梅村陽葵に惚れているのかということを…。

まぁ、執着はしてるが、守らねぇけどな。

「のわりには俺の事は放置だなお前」
なんて、自分が考えてたことを言われてまた笑ってしまう。
「当たり前だろうが。執着はしてるが、束縛してぇわけじゃねぇし、お前に依存してるわけでもねぇ」

まぁ、依存は自分の中では紙一重だとは思ってるがな。

「なんだか納得いかねぇ」
なんて膨れっ面になる。

「なぁ、陽葵。俺がお前に依存してみろ、俺はお前の行動を制御するぞ?あれダメこれダメって言いまくって束縛するかもしれねぇぞ?そしたらお前の自由は完全になくなるぞ?それでもいいのか?」

俺がこの男に依存すればそこまでしそうな気はある。が、俺はそこまでこの男を拘束も束縛もしたいわけじゃねぇ。

「う~ん。それでもいいようなイヤなような」
なんてマジで考え始めた。

「やめとけ。人に干渉されるのがイヤなお前が束縛なんかされたら死ぬぞ」
干渉されるのが嫌い。だからこそ、俺はこの男を守らないし、放置してるのだ。

この男がよっぽどのピンチに陥らない限りはな。

「イヤ、侑司には干渉されてもいいんだけど…てか、干渉されたい。あんまり無関心だと俺が不安になる。傍にいていいのかな?とか、本当に好きなのか?って…」
梅村から出てきた言葉に少し驚いた。

「心配すんな。俺はお前が思ってる以上に梅村陽葵に惚れてるからな」
だからこそ、消毒と言う名のお仕置きをしただろうが。
「はっはは」
俺の言った意味を理解したのか、ひきつった笑みを浮かべた。

「依存と執着は紙一重じゃね?」
なんていいながら梅村をそっと押し倒せば
「えっと…身体が辛いので加減してほしいなぁ」
なんて言う。
「安心しろこれ以上はしねぇよ」
俺は小さく笑ってそっと唇を重ねた。


依存と執着は紙一重


俺と梅村の関係


恋人だが、どちらもいなければ意味がない。


まぁ、俺は手放すつもりはさらさらねぇけどな。



Fin

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...