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チートロードを…歩みませんけど?

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 どうやら私が監禁されているのは広大な城(?)の端に建てられた塔の一部屋らしい。
 案内された時は何とも思わなかったが、建物の端から屋根付きの渡り廊下で繋がっていた。内部からだと廊下がそのまま続いてる感じに見えるため、お屋敷の一室だろうと思っていたのに、まさか物理的にも隔離されたところとは…。
 別にいいけど。出てきてるし(笑)
 トン、と屋根を蹴り、渡り廊下の屋根にふんわりと着地する。

 思わずドヤァ…と胸を張ってしまった。ただし観客はいない(大笑)

 そう、私は『魔法』を自在に扱えるようになったのだ!






 駄女神に都合のいいことしか書いてない神話本に早々に飽き、メイドさんとの問答も諦めた私は暇を持て余しまくっていた。でも状況が全くわからない状態で脱走するのも危ないかな、と大人しく監禁されていたわけだ。
 ちなみにメイドさんに別の本を頼んだけど超スルーされた。スルースキル高いね!

 こうなると、自分で何かしらの暇つぶしを考えなくてはならない。
 で、出来ることを探したところ…

 そういや私魔法使えるんだったよな、と思い出した次第である。

 『狭間』では、魔力と魔法についてはちょこーっとかじっただけだ。いや、あんまりチートかましたらヤベェな、と言うことで、生活サバイバルに役に立ちそうな魔法をほんの少し考えたくらい。

 だがしかし! 今、クソほど時間がある。

 私は部屋を破壊しないで済む、地味だが役に立つ魔法を考えることにした。
 いや、オレTUEEE! はしない方向で行くって決めてたからね。そうでなくても召喚とか訳わからんことされてるのに、ここで『コイツ使えるやん!』って思われたら大変だからね。極大魔法とか憧れませんよ、アラサーは。

 そして、ちまちました魔法を研究したのである。

「…まぁ、ちまちまって言っても、見た目にわかんないだけで超便利なんだけどねー」

 私はいつもつけているベルトのポーチを撫でた。






 食事は1日2回。朝と夕方。多分、普通は3回なんだと思う。昼ごろいい匂いが漂ってくる時あるから。
 ちょっとぉ~、仮にも勇者予備軍(笑)で、なおかつ成長期のお子ちゃまに2食だけって酷くなぁ~い?って、サバイバル&人外変化中のおかげで、2食でも多いくらいだ。食べるけど。あの飢えを知ったら残すとか無理。食べ溜めるわ。
 と、言うわけで、食事時間さえ気をつければ、ここには誰も近づかない。

 ならば、と、心置きなく始めた『魔法』の練習。
 まずはファンタジーの定番!

「テテテテッテレー! マジックバッグぅ~」

 これこれ! これでしょ! と、始めたはいいが、コレがまた割と困難を極めた。
 異空間というか亜空間というか…『何でも入っちゃうよ☆』と言うイメージは割とすんなり出来た。だって『入る』ってイメージだけだもん。
 だが、その後がいかんかった…。

 そう、取り出せないのだ。

 お金はいざと言う時無くなったらマジ泣くので、食事に出てくるパンを千切って入れることで試した。
 手を突っ込んでも底に当たらない、正に異空間が出来てるのは確認できたけど、中に入れたパンが行方不明。
 ポーチの中に棚があると想像し、その棚に置くイメージでやってもダメだった。でも何か中に段差は出来てた。邪魔だからすぐ消したけど(笑)
 最終的に、入れたものを表のように文字や記号的なモノで認識する事で解決した。ソート機能である。最近やっと放り込むだけで自動で並べ替えとかしてくれるようになったし、手を突っ込んだら目の前にパネルみたいに文字列が出てくるようになった。
 やだ、チートっぽい。でも最初から出来てくれれば己の才能に震えられたかもしれない。
 なーんちゃって、アラサーはそんな事で鼻高々ー! になれるほど純粋ではないのである。地道に行くべ。

 何はともあれ、苦労の末、念願の『マジックバッグ』が手に入った訳だ。

 …消えたパンの行方は永遠の闇の中だが…(怖)



 そして、次に頑張ったのは『気配察知』と言うヤツだ。もしかしたら『魔力察知』かもしれないけど。
 マジックバッグ作りの際、一生懸命になりすぎて食事を持ってきたメイドさんのノック音でビクゥッ!!となったのだ。いや、見られたからって何してたか絶対にバレる訳じゃないと思うけど、それでもあまり知られたい事じゃない。

 と、言うわけで、メイドさんが近づいてくるのを察知する練習をした訳である。

 まずは、部屋にいる間そのメイドさんの気配を覚える練習をした。これは割と簡単だった。何となく、気配というか、多分魔力だと思うけど、それを感じられたからだ。
 この身体や眼が優秀なのか、亜神化のせいなのかはわからないけど。

 ただ、この後が困った。

 私の部屋に食事を持って来てくれるメイドさんが、毎度同じ人だったからだ。
 他の人との比較ができないと、この人が感知しやすいだけなのかもしれない…と不安になったのだ。

 なので、次は、この人の気配をどこまで辿れるか、という訓練にした。
 コレがドンピシャで、ある程度のところまで離れても感知できるようになった頃、周りに他の人らしい気配も察知できるようになったのだ。
 このおかげで、魔力は個人個人で違うこともわかった。
 要は魔力の質さえ覚えていれば、個人特定できると言うことだ。
 こうした訓練のおかげで、今ではその人の魔力の強弱までわかるようになった。

 こうして、楽しい(?)訓練を続けた訳だが…


 …この身体、優秀過ぎるなぁ…。


 たかが数日で、ここまでできるようになったマイボディ…やっぱ普通の『人間』とは根本的に違うんだろうな…とちょっと怖くなった。




 私の魔力は、恐らくこの城にいる誰よりも強いこともわかったからーーー
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