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呼ばれたわけだけど…
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渡り廊下の屋根の上を歩き、本館(?)の壁に張り付いてまたもクライミング。多分、魔法を使えばそのまま飛び上がれる。だがしかし! 私は登る! この身を使って!
と、何となく体育会系感を出しつつヤモリと化す。
ぺたっ! サカサカサカっ! と壁を移動する私は…ヤモリというよりG…いや、考えてはいけない。
窓などをきちんと避け、屋根にたどり着いた私は、とりあえず気配察知を作動する。人が近づいたらわかるように、さっきからずっと使ってるけど、遠くまで範囲を伸ばすには、まだじっとして集中しなくては出来ない。
「うーん…あっちの方とこっちの方と…離れてるなー。どっちかしか行けないかも。どっちにしよっかな…」
本館(?)の奥に、人数は少ないが結構強い魔力を持った人がいる所と、本館とは別の建物で、魔力が多い人が数人集まっているところがある。
本館なら建物は繋がっているため、このまま屋根伝いに行けば辿り着けるだろう。
「…でも、こっちの方が気になるんだよねー…」
本館からはだいぶ離れた所に建つそこそこ大きな建物。カタチから言って、教会だと思う。多分。恐らく。
…生粋(?)の仏教徒で、特に外国とかの建物や文化に興味もなく、周囲に仏教徒以外の外国発祥宗教信徒のいない生活してた、新婚旅行も国内で済ませたアラサーの知識量なめんなよ? なーんも知らんっつーの!(個人差有り)なので、もう決めた。あれは教会。うん。
教会の方へと意識を集中させる。
「…よくわからんけど…何か魔法使ってるっぽいし…行ってみるかぁ」
私は思い切り屋根を蹴って跳んだ。
人目につかない物影から木の影などを経由してやってまいりました、教会へ。
目に届く範囲に窓などのない石造りの建物では、中に火を灯しているのかなどはわからない。正々堂々正面から入ろうにも、表扉は金属製の大きく重そうな造りで、なおかつピッタリと閉じられている。鍵がかかっているかはわからないけど、開いてたとしても開いた瞬間めっちゃ音響きそう。無理。
で、またもやります、壁登り。
多分鐘楼だろう塔へと登ってみれば、狙い通り、入り込めた。人がいない事を確認しながら階段を下る。
(…あっちか…ってか、ここって…)
誰かが通った後なのか、そもそも鐘楼からの侵入は無理と考えられているのかはわからないが、教会へつながる扉に鍵はされていなかった。奥の方から人の話し声…と言うか、怒声? が聞こえる。
気配を消しながらコソコソと進んでいくと…
(…やっぱりか…)
広い、広い空間。
壁に取り付けられた燭台の灯りは大して意味を成してないが、それでも人がいる事と…大きな女神像があるのは見える。大きすぎて腰辺りまでしかまともに光は届いていないが。
そして…その女神像の足元で…騒ぎまくってる若いお兄ちゃん。騎士っぽいのが2人。後、オロオロしてる白い服のオッサンと…見覚えのある黒ローブ集団…。
「どう言うことだ!? 何故何も起こらない?!」
「も…申し訳ございません! 私にも何が何やら…こんな事はこれまで一度も…!!」
叫ぶお兄ちゃんをどうどう、とばかりに抑えてる騎士。
足元に平伏する白服のオッサンと、微妙な顔の黒ローブ集団。
「こんなっ…全く女神さまの気配を感じられないなどっ…ありえないっ…!!」
平伏しながらも、泣き叫んでいる白服のオッサンが憐れを誘う。周囲もオッサンの取り乱しようにちょっとドン引き気味だ。叫んでいたお兄ちゃんすら黙った。
で、私はというと…
(…そりゃそーだ)
その女神、私が燃やしちゃいましたからね☆
そら、交信できんわー(棒)
その後、白服オッサンはデカい女神像にひたすら祈り、黒ローブ集団は二度ほど召喚陣に魔力を流したようだが、全く無反応。
当たり前である。
あの駄女神にマーキングされた異世界人が居ないのだから。
(…しかし、しつこいな。召喚出来んことは明らかだろうに)
あの女神の最後の被害者である私がすでに招ばれている今、それ以上の人間が必要なのか?
「何故っ…! 何故『勇者』となるべき人間が喚べない?! このままではっ…!」
私の望みが叶わなくなるではないかっ!!
叫び声は、高い天井まで、声が届いただろう。
(…お前の都合かーい)
あの後、今日は諦めたらしいお兄ちゃんだが、踏ん切りがつくまで周りに文句を言うのはやめなかったので、いくらか情報収集ができた。
どうやらここはセンティアス帝国らしい。どの辺りとかはわからんけども。
そして、現在帝国はエッジアを落とすために戦争仕掛けてる最中で、現在戦端に近いこの国に戦力を求めているそうな。ま、近いところから人員補充とか出来ればそりゃ楽だよね。
で、このお兄ちゃんだが…今の国の状況わかってんのか、ただの花畑なのか知らんけど、どうやら結婚したい相手がいて、そのために戦果をあげたかったらしい。
現在、戦況は余り思わしくない上に、結構な長期戦になっているみたいで、国としては何かしらの打開策を…というところから『勇者召喚』を強行したそうな。
で、高火力保持者を配下に出陣すれば、その手柄に預かれるんじゃないかと思ったようだ。
…ちっせぇ男だな、おい。
だがしかし、現れたのはお子ちゃま。
さすがに前線に立たせるには外聞が悪いサイズ。その上特別な力がありそうに見えない(見せてませんからね!)
だったら、新たに呼んじゃおうぜ☆←イマココ
ということらしい。
…頭弱いヤツしかいねぇのかよ…
と、何となく体育会系感を出しつつヤモリと化す。
ぺたっ! サカサカサカっ! と壁を移動する私は…ヤモリというよりG…いや、考えてはいけない。
窓などをきちんと避け、屋根にたどり着いた私は、とりあえず気配察知を作動する。人が近づいたらわかるように、さっきからずっと使ってるけど、遠くまで範囲を伸ばすには、まだじっとして集中しなくては出来ない。
「うーん…あっちの方とこっちの方と…離れてるなー。どっちかしか行けないかも。どっちにしよっかな…」
本館(?)の奥に、人数は少ないが結構強い魔力を持った人がいる所と、本館とは別の建物で、魔力が多い人が数人集まっているところがある。
本館なら建物は繋がっているため、このまま屋根伝いに行けば辿り着けるだろう。
「…でも、こっちの方が気になるんだよねー…」
本館からはだいぶ離れた所に建つそこそこ大きな建物。カタチから言って、教会だと思う。多分。恐らく。
…生粋(?)の仏教徒で、特に外国とかの建物や文化に興味もなく、周囲に仏教徒以外の外国発祥宗教信徒のいない生活してた、新婚旅行も国内で済ませたアラサーの知識量なめんなよ? なーんも知らんっつーの!(個人差有り)なので、もう決めた。あれは教会。うん。
教会の方へと意識を集中させる。
「…よくわからんけど…何か魔法使ってるっぽいし…行ってみるかぁ」
私は思い切り屋根を蹴って跳んだ。
人目につかない物影から木の影などを経由してやってまいりました、教会へ。
目に届く範囲に窓などのない石造りの建物では、中に火を灯しているのかなどはわからない。正々堂々正面から入ろうにも、表扉は金属製の大きく重そうな造りで、なおかつピッタリと閉じられている。鍵がかかっているかはわからないけど、開いてたとしても開いた瞬間めっちゃ音響きそう。無理。
で、またもやります、壁登り。
多分鐘楼だろう塔へと登ってみれば、狙い通り、入り込めた。人がいない事を確認しながら階段を下る。
(…あっちか…ってか、ここって…)
誰かが通った後なのか、そもそも鐘楼からの侵入は無理と考えられているのかはわからないが、教会へつながる扉に鍵はされていなかった。奥の方から人の話し声…と言うか、怒声? が聞こえる。
気配を消しながらコソコソと進んでいくと…
(…やっぱりか…)
広い、広い空間。
壁に取り付けられた燭台の灯りは大して意味を成してないが、それでも人がいる事と…大きな女神像があるのは見える。大きすぎて腰辺りまでしかまともに光は届いていないが。
そして…その女神像の足元で…騒ぎまくってる若いお兄ちゃん。騎士っぽいのが2人。後、オロオロしてる白い服のオッサンと…見覚えのある黒ローブ集団…。
「どう言うことだ!? 何故何も起こらない?!」
「も…申し訳ございません! 私にも何が何やら…こんな事はこれまで一度も…!!」
叫ぶお兄ちゃんをどうどう、とばかりに抑えてる騎士。
足元に平伏する白服のオッサンと、微妙な顔の黒ローブ集団。
「こんなっ…全く女神さまの気配を感じられないなどっ…ありえないっ…!!」
平伏しながらも、泣き叫んでいる白服のオッサンが憐れを誘う。周囲もオッサンの取り乱しようにちょっとドン引き気味だ。叫んでいたお兄ちゃんすら黙った。
で、私はというと…
(…そりゃそーだ)
その女神、私が燃やしちゃいましたからね☆
そら、交信できんわー(棒)
その後、白服オッサンはデカい女神像にひたすら祈り、黒ローブ集団は二度ほど召喚陣に魔力を流したようだが、全く無反応。
当たり前である。
あの駄女神にマーキングされた異世界人が居ないのだから。
(…しかし、しつこいな。召喚出来んことは明らかだろうに)
あの女神の最後の被害者である私がすでに招ばれている今、それ以上の人間が必要なのか?
「何故っ…! 何故『勇者』となるべき人間が喚べない?! このままではっ…!」
私の望みが叶わなくなるではないかっ!!
叫び声は、高い天井まで、声が届いただろう。
(…お前の都合かーい)
あの後、今日は諦めたらしいお兄ちゃんだが、踏ん切りがつくまで周りに文句を言うのはやめなかったので、いくらか情報収集ができた。
どうやらここはセンティアス帝国らしい。どの辺りとかはわからんけども。
そして、現在帝国はエッジアを落とすために戦争仕掛けてる最中で、現在戦端に近いこの国に戦力を求めているそうな。ま、近いところから人員補充とか出来ればそりゃ楽だよね。
で、このお兄ちゃんだが…今の国の状況わかってんのか、ただの花畑なのか知らんけど、どうやら結婚したい相手がいて、そのために戦果をあげたかったらしい。
現在、戦況は余り思わしくない上に、結構な長期戦になっているみたいで、国としては何かしらの打開策を…というところから『勇者召喚』を強行したそうな。
で、高火力保持者を配下に出陣すれば、その手柄に預かれるんじゃないかと思ったようだ。
…ちっせぇ男だな、おい。
だがしかし、現れたのはお子ちゃま。
さすがに前線に立たせるには外聞が悪いサイズ。その上特別な力がありそうに見えない(見せてませんからね!)
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ということらしい。
…頭弱いヤツしかいねぇのかよ…
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