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スタンピード編
覚醒。
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強く覚悟を決めたその直後にぺろすの身体をマンティスの鎌が深く貫いた。それを見たエリスが叫んだ。
「ぺろすッ!!今助けるッ!!」
ぺろすが嫌がっても、ここでぺろすを死なせる訳には行かない!!プライドよりも生きて貰わないとコニーに申し訳ない。
そして一歩を踏み出したエリスを、その援護に周ろうとしたカイン、勇護をガルロが止める。
「お前ら待てッ!!ぺろすはまだ敗けてないッ!!」
「でもそんな事言ってる場合じゃ…」
そんなエリスをヒューガーがなだめるように話す。
「お嬢ちゃん、あれで良いんだ。あれはぺろす自身が狙ってやったものだからな…」
「…それってどういう事ですかッ!?」
エリスの後ろにいた勇護がぺろすを見て呟く。
「…まさか…そう言う事かッ!!『肉を切らせて骨を断つ』だッ!!」
「あぁ、そうだ。俺はずっとマンティスと闘っているぺろすの動きを見ていた。マンティスも速いがぺろすだって速さじゃそんなに違わない。ちょっとの差なんだよ…しかしマンティスを捉える事が出来ない。そこでぺろすが考えたのが勇護の言った肉を切らせて骨を断つなんだよ」
ヒューガーの説明を聞いたエリスは再びぺろすを見る。その隣でカインも納得していた。
「そう言う事か。やたら傷を負っていたのは避けられないからじゃなくて油断させる為、そして勝ったと思わせて接近させる為だったのか。しかしかなり危険な方法だな。死と紙一重なんじゃないかな?」
「…いや、そうでもない。ぺろすは良く相手の動きを見ている。致命傷を避けられる場所をあえて晒して攻撃させてる。出血が少ないのがその証拠だ…」
ヒューガーの説明を聞きながら皆が見守る中、ぺろすは左頭の顎で刺し貫いたマンティスの前脚に噛み付いて拘束するとマンティスが降り上げた左前脚の鎌が降りて来る前に右前脚の爪斬撃で斬り落とした。
続いてぺろすは拘束していたマンティスの右前脚を噛み千切る。
「ギイィィィィィーッ!!」
奇妙な声を上げるマンティス。そのマンティスの頭にぺろすの中央の頭が噛み付いた。そのまま右前脚でマンティスの胴を押さえ付けると全力で引き千切った。瞬間、頭を失くしたマンティスの首から緑色の体液が噴き出した。
その後、ぺろすは右前脚を上手く使って身体に刺さっていたマンティスの鎌を引き抜く。ぺろすの前には、頭を引き千切られ、両前脚の巨大鎌を斬り落とされたマンティスの死体が転がっていた。
「バオオォォォォォォ―ッ!!」
3頭で勝利の雄叫びを上げるぺろす。その姿にエリスはほっとして脱力した。そしてカインと勇護は苦笑いで顔を引きつらせていた。
「…倒せたのは良かったけど…やっぱりグロいな…(笑)」
「…頭は千切れてるわ体液は噴き出してるわだし、両手の鎌も斬り落とされてるからな…」
皆が安堵する中、ぺろすの身体が光を放つ。ぺろすのレベルが83にアップした。新スキル『炎化』(フレイムトランスフォーマー)を獲得。
『炎化』は物理的な肉体から全身を地獄の炎その物に変えるケルベロスの固有スキルである。物理攻撃は効かない。併せて地獄の炎に関連するすべてのスキルの威力が上がった。
◇
「皆さん、お疲れさまでした。これでこのダンジョンは終わりです」
「たった二階層だけなのにかなり疲れた気がするよ…」
エリスの労いの言葉にカインが呟く中、ガルロと勇護が帰還転移フィールドの奥にある階段を見付けた。
「…エリス…前回、ここに階段はあったか?」
ガルロに問われて急いで確認するエリス。
「…いや、以前入った時はなかったです。これも魔力異常の影響かもしれません…」
カインとヒューガーも合流し階段を見て相談する。
「…新たに三階層が出来たのか…さっきのマンティスであのスピードだからな…一旦、戻るか?」
「…いや、ヒューガーさん、レベルと強さは段階的に上がっています。一気に敵が強くなる事はないと思います。今のエリスがいればどんな敵が出て来ても倒せますよ。勿論、僕達も援護に周る事が出来ますからね」
カインの提案に考えるヒューガー。対してガルロは安全策を提案した。
「…ここまで殲滅してるんだ。再び復活してモンスターが沸いたとしてもエリスとぺろすで何とかなる。ここは一旦引いて美裸達を待つべきだろう…」
その意見に勇護も賛成する。
「ここまで来れたので安全策で行きましょう。慌てる必要はないと思います。死者を出さず解決する事が最善ですからね」
皆が意見を出す中、エリスは思案していた。カインの言う通り、モンスターのレベルと強さは段階的に上がっている。順当に行けばわたしとぺろすでなんとか攻略出来るだろう。
しかし、もし無理をして予想外の強力なモンスターが現れたらどうするか?そうなるとやはり美裸達を呼んで闘うのが安全かもしれない…。
皆が思案に耽る中、突然バリトンボイスが皆の思考を止めた。
「心配するな。この下のヤツも我がやる。お主らは援護に徹してくれればよい」
その声にみなの思考が止まる。ガルロ、ヒューガ―、カイン、勇護、エリスが周りを伺う。
「…あれ?今の声、誰ですか?」
エリスはヒューガーを見る。
「…俺はそんないい声、出ないぞ(笑)?」
続けてガルロを見る。
「俺のガラガラ声でさっきのバリトンボイス出るわけないだろ(笑)?」
エリスはカインと勇護を見る。二人は首を横に振る。
「…じゃあさっきの声は…誰…」
そう言いつつ、一同は振り返った。
ゆっくりと貫禄たっぷりに歩いて来るぺろす。それを見たエリスが苦笑いを浮かべた。
「…もしかして今の、ぺろす…(笑)?」
「…その名前は不服であるが仕方あるまい。如何にも、先ほどの声は我のモノだ…」
その瞬間、一同が声を揃えて叫んだ。
「「「「「…ぺろすが喋ったァーッ!!」」」」」
「一々驚くな。我は地獄の番犬、ケルベロス。知性の高いモンスターは人語などすぐに習得できる」
一同に合流したぺろすが話を続ける。
「先に言っておく。我が人語を喋る事を他人に話すな。エリス、お主も美裸とコニーにこの事は話すな」
そう言われて顔を引きつらせながらうんうんと頷くエリス。
「ではダンジョン攻略の続きと行こうか。この下、三階層はダンジョンボスだけだ。レベルも我より下。油断せず行けば我だけで十分だ」
ぺろすの言葉に勇護が突っこむ。
「ぺろすは…ぺろすさんは下のモンスターが見えているんですか?何故、格下だと解るのですか?」
さっきまでただの犬の従魔だと思っていた勇護の口調が急に敬語に変わっていた。
「シルガモレル帝が教えてくれたのだ。あの者の能力があれば先の事などすぐ分かるからな…」
そう言いつつエリスを見るぺろす。
「エリスは知っているであろう?」
「…うん、ていうかシルガモレル帝まだいたんだ(笑)?」
≪乳担当エリスよ、その言い方、余をバカにしておるのか?≫
ぺろすとエリスが話している所に姿を現すシルガモレル。
「…だから何で乳担当とか一々言うのよ?闘技場遺跡の後、戻ったと思ってたから忘れてただけよ…それより…」
そう言いつつエリスはシルガモレルに確認する。
「シルガモレル帝はぺろすが人語話せるの知ってたの?」
≪あぁ、知っていたぞ?今までぺろすは声に出して喋ってなかっただけだ。余とは思念で話せるからな。最初に思念で人語が飛んで来た時には余も驚いたが…≫
「それはね~、いきなりケルベロスが喋ったら皆、驚くよ(笑)!!」
そう言いながら笑いつつ、エリスはシルガモレルに三階層のダンジョンボスについて確認する。
「…この下のボスの事なんだけどどんなヤツがいるの?もしかしてインセクトクィーンとか?」
≪いや、あれは巨大ムカデだな。レベルは解からんが大体30メートル程の大きさだ…≫
それを聞いたエリスは思わず身震いした。
「…巨大ムカデ…ぺろすがいて良かったよ。わたしそんなヤツと闘いたくないし(笑)」
エリスに続いてカイン、勇護、ガルロ、ヒューガーも深く頷く。
「だから我に任せよと言ったのだ。いくら相手よりレベルが高くてもそれその物に対する嫌悪感は拭えぬ。そうなると本来の動きが出来なくなる恐れがあるからな」
そう言いつつ、再び一行の先頭に出るぺろす。一行は改めて気持ちを引き締めて階段を降りた。
◇
「…スパインセンチピード(巨大棘ムカデ)、レベル63、30メートル級…確かに、シルガモレル帝の情報通りだな…」
階段を降りて大きく開けた洞窟の奥に巨大なムカデがいるのが見えた。
「…どう?ぺろす、行けそう?」
エリスの言葉にぺろすが思念で答える。
≪うむ。我で十分倒せる。それよりお主らも気を付けろ。ここには別のヤツも潜んでいるぞ?≫
「うわッ、急に…びっくりしたぁ(笑)!!思念で話すってこういう事ね(笑)」
≪エリスよ、お主も思念力が上がっているのだ。出来るであろう?≫
二人の話に入って来るシルガモレル。
≪それよりヒューガーに洞窟天井に潜んでいるヤツらを鑑定して貰うのだ。我とムカデの闘いに影響はないだろうがお主らが危険になる可能性があるぞ?≫
≪…うん、分かった。ていうか思念話出来た(笑)!!≫
笑いつつ、ぺろすから聞いた事をヒューガーに話すエリス。
「ヒューガーさん鑑定を広域展開出来ますか?どうやら天井に何かいるみたいです」
「あぁ、出来るが…ムカデの他に何かいるのか?」
そう言ったヒューガーは天井を見て鑑定を始めた。エリスの話を聞いたガルロ、カイン、勇護が武器を手に取り、戦闘態勢に入る。
「…暗くて気配が読めなかったが確かにいるな。ヴァンパイアモスキート(吸血蚊)だ。およそ200体、レベルが…53か…かなり高いな。ヘタしたら怪我だけじゃ済まんぞ?全員、気を引き締めろ…」
ヒューガーの言葉にそれぞれの武器を構えて戦闘態勢に入るガルロ、ヒューガー、カイン、勇護、エリス。
「…まずわたしから行きます!!撃ち落としたモスキートに確実にトドメを刺して下さい!!」
「オウッ!!誰にモノ言ってやがんだ!!俺は元Sランクのギルマスだぜ(笑)?」
「…俺達も敗けてられんからな。お嬢ちゃんのタイミングで始めてくれ」
「…さぁ、腕がなるねぇ。勇護、どっちが多く狩れるか競争するか(笑)?」
そう言われた勇護がチラッとカインを見る。
「…俺はカインみたいな剣圧飛ばすスキル無いんだよ。敗ける勝負なんかしないって…」
話しながらスキル『ブレイブハート』を発動する勇護。ぺろす、エリスを含む全員に精神強化バフが掛かった。
「…では始めます!!」
そう叫んだエリスが天井に向かって弓を構える。そして一気に矢を3本、放つ。数体のモスキートを撃ち落とした瞬間、天井にいたモスキートが反応し、不穏な羽音と共に一気に舞い降りて来た。
それを高速連射で撃ち落としていくエリス。それを確認したぺろすは戦闘態勢から一気にスパインセンチピードに向かって突進した。
「ぺろすッ!!今助けるッ!!」
ぺろすが嫌がっても、ここでぺろすを死なせる訳には行かない!!プライドよりも生きて貰わないとコニーに申し訳ない。
そして一歩を踏み出したエリスを、その援護に周ろうとしたカイン、勇護をガルロが止める。
「お前ら待てッ!!ぺろすはまだ敗けてないッ!!」
「でもそんな事言ってる場合じゃ…」
そんなエリスをヒューガーがなだめるように話す。
「お嬢ちゃん、あれで良いんだ。あれはぺろす自身が狙ってやったものだからな…」
「…それってどういう事ですかッ!?」
エリスの後ろにいた勇護がぺろすを見て呟く。
「…まさか…そう言う事かッ!!『肉を切らせて骨を断つ』だッ!!」
「あぁ、そうだ。俺はずっとマンティスと闘っているぺろすの動きを見ていた。マンティスも速いがぺろすだって速さじゃそんなに違わない。ちょっとの差なんだよ…しかしマンティスを捉える事が出来ない。そこでぺろすが考えたのが勇護の言った肉を切らせて骨を断つなんだよ」
ヒューガーの説明を聞いたエリスは再びぺろすを見る。その隣でカインも納得していた。
「そう言う事か。やたら傷を負っていたのは避けられないからじゃなくて油断させる為、そして勝ったと思わせて接近させる為だったのか。しかしかなり危険な方法だな。死と紙一重なんじゃないかな?」
「…いや、そうでもない。ぺろすは良く相手の動きを見ている。致命傷を避けられる場所をあえて晒して攻撃させてる。出血が少ないのがその証拠だ…」
ヒューガーの説明を聞きながら皆が見守る中、ぺろすは左頭の顎で刺し貫いたマンティスの前脚に噛み付いて拘束するとマンティスが降り上げた左前脚の鎌が降りて来る前に右前脚の爪斬撃で斬り落とした。
続いてぺろすは拘束していたマンティスの右前脚を噛み千切る。
「ギイィィィィィーッ!!」
奇妙な声を上げるマンティス。そのマンティスの頭にぺろすの中央の頭が噛み付いた。そのまま右前脚でマンティスの胴を押さえ付けると全力で引き千切った。瞬間、頭を失くしたマンティスの首から緑色の体液が噴き出した。
その後、ぺろすは右前脚を上手く使って身体に刺さっていたマンティスの鎌を引き抜く。ぺろすの前には、頭を引き千切られ、両前脚の巨大鎌を斬り落とされたマンティスの死体が転がっていた。
「バオオォォォォォォ―ッ!!」
3頭で勝利の雄叫びを上げるぺろす。その姿にエリスはほっとして脱力した。そしてカインと勇護は苦笑いで顔を引きつらせていた。
「…倒せたのは良かったけど…やっぱりグロいな…(笑)」
「…頭は千切れてるわ体液は噴き出してるわだし、両手の鎌も斬り落とされてるからな…」
皆が安堵する中、ぺろすの身体が光を放つ。ぺろすのレベルが83にアップした。新スキル『炎化』(フレイムトランスフォーマー)を獲得。
『炎化』は物理的な肉体から全身を地獄の炎その物に変えるケルベロスの固有スキルである。物理攻撃は効かない。併せて地獄の炎に関連するすべてのスキルの威力が上がった。
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「皆さん、お疲れさまでした。これでこのダンジョンは終わりです」
「たった二階層だけなのにかなり疲れた気がするよ…」
エリスの労いの言葉にカインが呟く中、ガルロと勇護が帰還転移フィールドの奥にある階段を見付けた。
「…エリス…前回、ここに階段はあったか?」
ガルロに問われて急いで確認するエリス。
「…いや、以前入った時はなかったです。これも魔力異常の影響かもしれません…」
カインとヒューガーも合流し階段を見て相談する。
「…新たに三階層が出来たのか…さっきのマンティスであのスピードだからな…一旦、戻るか?」
「…いや、ヒューガーさん、レベルと強さは段階的に上がっています。一気に敵が強くなる事はないと思います。今のエリスがいればどんな敵が出て来ても倒せますよ。勿論、僕達も援護に周る事が出来ますからね」
カインの提案に考えるヒューガー。対してガルロは安全策を提案した。
「…ここまで殲滅してるんだ。再び復活してモンスターが沸いたとしてもエリスとぺろすで何とかなる。ここは一旦引いて美裸達を待つべきだろう…」
その意見に勇護も賛成する。
「ここまで来れたので安全策で行きましょう。慌てる必要はないと思います。死者を出さず解決する事が最善ですからね」
皆が意見を出す中、エリスは思案していた。カインの言う通り、モンスターのレベルと強さは段階的に上がっている。順当に行けばわたしとぺろすでなんとか攻略出来るだろう。
しかし、もし無理をして予想外の強力なモンスターが現れたらどうするか?そうなるとやはり美裸達を呼んで闘うのが安全かもしれない…。
皆が思案に耽る中、突然バリトンボイスが皆の思考を止めた。
「心配するな。この下のヤツも我がやる。お主らは援護に徹してくれればよい」
その声にみなの思考が止まる。ガルロ、ヒューガ―、カイン、勇護、エリスが周りを伺う。
「…あれ?今の声、誰ですか?」
エリスはヒューガーを見る。
「…俺はそんないい声、出ないぞ(笑)?」
続けてガルロを見る。
「俺のガラガラ声でさっきのバリトンボイス出るわけないだろ(笑)?」
エリスはカインと勇護を見る。二人は首を横に振る。
「…じゃあさっきの声は…誰…」
そう言いつつ、一同は振り返った。
ゆっくりと貫禄たっぷりに歩いて来るぺろす。それを見たエリスが苦笑いを浮かべた。
「…もしかして今の、ぺろす…(笑)?」
「…その名前は不服であるが仕方あるまい。如何にも、先ほどの声は我のモノだ…」
その瞬間、一同が声を揃えて叫んだ。
「「「「「…ぺろすが喋ったァーッ!!」」」」」
「一々驚くな。我は地獄の番犬、ケルベロス。知性の高いモンスターは人語などすぐに習得できる」
一同に合流したぺろすが話を続ける。
「先に言っておく。我が人語を喋る事を他人に話すな。エリス、お主も美裸とコニーにこの事は話すな」
そう言われて顔を引きつらせながらうんうんと頷くエリス。
「ではダンジョン攻略の続きと行こうか。この下、三階層はダンジョンボスだけだ。レベルも我より下。油断せず行けば我だけで十分だ」
ぺろすの言葉に勇護が突っこむ。
「ぺろすは…ぺろすさんは下のモンスターが見えているんですか?何故、格下だと解るのですか?」
さっきまでただの犬の従魔だと思っていた勇護の口調が急に敬語に変わっていた。
「シルガモレル帝が教えてくれたのだ。あの者の能力があれば先の事などすぐ分かるからな…」
そう言いつつエリスを見るぺろす。
「エリスは知っているであろう?」
「…うん、ていうかシルガモレル帝まだいたんだ(笑)?」
≪乳担当エリスよ、その言い方、余をバカにしておるのか?≫
ぺろすとエリスが話している所に姿を現すシルガモレル。
「…だから何で乳担当とか一々言うのよ?闘技場遺跡の後、戻ったと思ってたから忘れてただけよ…それより…」
そう言いつつエリスはシルガモレルに確認する。
「シルガモレル帝はぺろすが人語話せるの知ってたの?」
≪あぁ、知っていたぞ?今までぺろすは声に出して喋ってなかっただけだ。余とは思念で話せるからな。最初に思念で人語が飛んで来た時には余も驚いたが…≫
「それはね~、いきなりケルベロスが喋ったら皆、驚くよ(笑)!!」
そう言いながら笑いつつ、エリスはシルガモレルに三階層のダンジョンボスについて確認する。
「…この下のボスの事なんだけどどんなヤツがいるの?もしかしてインセクトクィーンとか?」
≪いや、あれは巨大ムカデだな。レベルは解からんが大体30メートル程の大きさだ…≫
それを聞いたエリスは思わず身震いした。
「…巨大ムカデ…ぺろすがいて良かったよ。わたしそんなヤツと闘いたくないし(笑)」
エリスに続いてカイン、勇護、ガルロ、ヒューガーも深く頷く。
「だから我に任せよと言ったのだ。いくら相手よりレベルが高くてもそれその物に対する嫌悪感は拭えぬ。そうなると本来の動きが出来なくなる恐れがあるからな」
そう言いつつ、再び一行の先頭に出るぺろす。一行は改めて気持ちを引き締めて階段を降りた。
◇
「…スパインセンチピード(巨大棘ムカデ)、レベル63、30メートル級…確かに、シルガモレル帝の情報通りだな…」
階段を降りて大きく開けた洞窟の奥に巨大なムカデがいるのが見えた。
「…どう?ぺろす、行けそう?」
エリスの言葉にぺろすが思念で答える。
≪うむ。我で十分倒せる。それよりお主らも気を付けろ。ここには別のヤツも潜んでいるぞ?≫
「うわッ、急に…びっくりしたぁ(笑)!!思念で話すってこういう事ね(笑)」
≪エリスよ、お主も思念力が上がっているのだ。出来るであろう?≫
二人の話に入って来るシルガモレル。
≪それよりヒューガーに洞窟天井に潜んでいるヤツらを鑑定して貰うのだ。我とムカデの闘いに影響はないだろうがお主らが危険になる可能性があるぞ?≫
≪…うん、分かった。ていうか思念話出来た(笑)!!≫
笑いつつ、ぺろすから聞いた事をヒューガーに話すエリス。
「ヒューガーさん鑑定を広域展開出来ますか?どうやら天井に何かいるみたいです」
「あぁ、出来るが…ムカデの他に何かいるのか?」
そう言ったヒューガーは天井を見て鑑定を始めた。エリスの話を聞いたガルロ、カイン、勇護が武器を手に取り、戦闘態勢に入る。
「…暗くて気配が読めなかったが確かにいるな。ヴァンパイアモスキート(吸血蚊)だ。およそ200体、レベルが…53か…かなり高いな。ヘタしたら怪我だけじゃ済まんぞ?全員、気を引き締めろ…」
ヒューガーの言葉にそれぞれの武器を構えて戦闘態勢に入るガルロ、ヒューガー、カイン、勇護、エリス。
「…まずわたしから行きます!!撃ち落としたモスキートに確実にトドメを刺して下さい!!」
「オウッ!!誰にモノ言ってやがんだ!!俺は元Sランクのギルマスだぜ(笑)?」
「…俺達も敗けてられんからな。お嬢ちゃんのタイミングで始めてくれ」
「…さぁ、腕がなるねぇ。勇護、どっちが多く狩れるか競争するか(笑)?」
そう言われた勇護がチラッとカインを見る。
「…俺はカインみたいな剣圧飛ばすスキル無いんだよ。敗ける勝負なんかしないって…」
話しながらスキル『ブレイブハート』を発動する勇護。ぺろす、エリスを含む全員に精神強化バフが掛かった。
「…では始めます!!」
そう叫んだエリスが天井に向かって弓を構える。そして一気に矢を3本、放つ。数体のモスキートを撃ち落とした瞬間、天井にいたモスキートが反応し、不穏な羽音と共に一気に舞い降りて来た。
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