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スタンピード編
勇者。
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ヒトミが周辺の時間を止めた後、だいふくが『ダークサイクロップスビーム』でドジョウ魚人の前衛100体を倒した。
スズナリー地底湖の空いたスペースに降り立ったヒトミ、コニー、勇護が戦闘態勢に入る。勇護は攻撃支援スキル『ハードアタック』を発動して全員の攻撃力をアップさせた。
準備を終えたコニーと勇護が動かないドジョウ魚人に突撃した。
高速で突進していくコニーを見る勇護。直後にコニーが『サンダーハリケーン』でドジョウ魚人の群れに突っ込んだ。雷撃と呪いを小さな身体に纏い、激しく高速回転するコニーは、ヒューガーに聞いていた通り、幼児とは思えない強さだ。
コニーならヒトミの時間停止能力がなくても殲滅できるのではないか?と勇護は考えたが念には念を入れてヒトミが時間を止めているのだろうと思った。
サンダーハリケーンによって、ドジョウ魚人はあっという間にその数を200体まで減らした。それを見た勇護は盾と片手剣をアイテムボックスにしまうと代りにレイピアを出した。
レイピアを出した勇護は構えの姿勢から一気にドジョウ魚人に突っ込んだ。
コニーのサンダーハリケーンから漏れたドジョウ魚人に接近した勇護は高速で連続刺突攻撃を放つ。一気にドジョウ魚人3体の頭部を貫いて倒した。
「おぉ~、やるね~。盾職だけじゃなかったんだね~(笑)」
笑うヒトミの前方でコニーの攻撃から漏れたドジョウ魚人を勇護が確実に仕留めていた。
◇
マンスジー王国の勇者、不動 勇護は友人達と共に召喚儀式によってこの世界に召喚された。王宮から指輪を渡され、友人達とPTを組んだ勇護は、精神操作されているとも知らず、退治依頼やダンジョン調査などで着実にレベルを上げていく。
盾職としてレベルと名声を上げた勇護だったが元々、盾職をやりたい訳ではなかった。
友人達とPTの役割分担を決めた時、誰も前衛で盾職に手を上げなかったからだ。人がモンスターによって簡単に殺されてしまう世界である。そんな世界に召喚されたばかりで真っ先に命を落としそうな盾職ポジションなどやりたい者など命知らずのモノ好きしかいない。
しかしPTバランスを考えると敵のヘイトを買う盾職がいないと敵に囲まれて全員が命の危険に晒されてしまう。そこでフェンシング部に所属し、仲間の中でも一番の運動能力と体力のあった勇護が盾職を引き受ける事にした。
盾を持ち、片手剣での闘いはフェンシングと違い戸惑う部分もあったが、誰にでも仲良くなれる勇護は上位PTの盾職ハンターに学び技量を上げた。
勇護が盾職を引き受けた事により、仲間がそれぞれの能力を発揮出来た。更に勇護自身もレベル上昇と共に個人スキルと支援スキルを多く獲得した。それによって更にモンスター討伐の効率が上がり、勇護達は王国でも名の知れたPTとなった。
上位PTに肩を並べるようになってからも勇護は盾職としての訓練と同時に、フェンシングの訓練も欠かす事はなかった。隠し玉として持っておく為だ。
そんな折、突如、王国南西に現れたアースドラゴン(地竜、四足歩行のドラゴンモドキ)を退治した勇護は王国から『勇者』の称号を授けられた。
勇護は先に召喚され、『英雄』の称号を持っていたカインと並び称された。
その頃から、勇護は王国に対して疑念を持つようになる。王宮では豪奢な衣服、調度品、連日のように行われるパーティーを見た。有名になればなる程、王宮に呼ばれる頻度は上がる。その度に褒章を受けたが、一旦王宮を出て貴族街を抜けると、ギリギリの生活をする王都民がいた。
退治依頼で王国の地方遠征も幾度となく行ったが、地方領の町や村などは更に悲惨な状況だった。何の支援もなく、当たり前のように税金を徴収する王国。
税金が払えなければ奴隷行だ。勇護はそんな一家を何度も見た。その惨状を見るに堪えなくなった勇護はPTと共に王宮で王に直訴した。
王都のみならず、地方領にもまんべんなく減税を施す事で、王国の一般民が働いて稼ぎ、裕福になると将来的に安定した税収が見込めると。減税する事で富国強兵を推進し、王国の安泰に繋げてはどうか?と話した。
しかし熱意を持った勇護達の言葉は王や王宮の貴族には伝わらなかった。それどころか王宮に対する政策批判として取られてしまった。
直後に精神操作の指輪の力が発動し、勇護達は気絶した。意識を取り戻した勇護達は、政治犯達が収容されていた地下牢に幽閉された…。
しかし、神は勇護達を見捨てなかった。
実際、神がいるかどうかは分からないが、ヒトミを見た瞬間、勇護はそれが神の助けだと思った。神様がヒトミを遣わしてくれたのだと…。
王国民達を助けたい一心の勇護達と政治犯の貴族達。一方、王宮に対する強い恨みを持ち、宝物を根こそぎ奪い取って王宮を破壊してやると強く心に誓っていたヒトミ(美裸)の思惑が合致した。
そして勇護達は政治犯の貴族達と共に、ヒトミとクーデターを起こす計画を練った。そしてヒトミの助力を得た勇護と政治犯の貴族達は王宮に対するクーデターを呆気なく成功させた。
その時、勇護はいつかこの恩を返さなければと思っていた。その為にはもっと強くならなければならない。いつかヒトミが困った事になった時、こんどは自分が助けるのだと…。
◇
モンスターの動きが止まっていた事もあり、ドジョウ魚人500体の殲滅は数分で終わった。
コニーのレベルが114に上昇した。サンダーハリケーンの回転攻撃範囲が拡がった。勇護はレベルが65に上がった。
今まで盾職でやっていた為に中々上がらなかった敏捷と瞬発力が上がった。更にレイピアスキル『マッドスティンガー』を獲得。マッドスティンガーはレイピアによる高速の刺突乱射スキルである。
FDスペースでドジョウ魚人の体力を吸い取ったヒトミ(美裸)はレベルが452まで上がった。今回だいふくはヒトミの頭の上で観戦していただけなのでレベルは85のままだった。
ドジョウ魚人を手早く処理したヒトミ達は地下空洞に拡がる地底湖を見る。
「みず、いっぱいある!!」
「…ここかなり広いですね?ダンジョン化してるのは湖の向こう側ですか?」
勇護に問われたヒトミがスキルを再展開する。目の前に地底湖の全体像が見える。
「…シルガモレル帝の情報だとこの地底湖の底に水中洞窟があるって話だったかな~?」
そう言いつつ、湖の底をズームアップする。その先を確認すると湖底1.5キロメートル前方に洞窟があった。そこからアリの巣の様に各階層に地下空洞があった。
「…あった(笑)!!巨大なアリの巣みたいになってるね~…ここは3階層までだね~…結構敵がうじゃうじゃいるよ~(笑)」
「ヒトミさん、どうやって湖の底に進入します?水中では息が続かないし、闘えないですよね?魚人達を誘き出します?」
「そこは心配しなくていいよ~(笑)」
「みら、みずわる、しんぱいない」
「水を割る?どうやって水を…割るんですか?」
「まぁ、見てて下さいな~(笑)」
笑いながら湖のほとりに立つヒトミ。ヒトミが手を翳すと湖が真っ二つに割れた。その瞬間、目を飛び出させんばかりに勇護が驚いた。
「…ええぇェェェ―ッ!!み、み、みずっ…湖が割れたッ…!?」
勇護の驚き様に、笑うヒトミとコニー。
「…ま、まさかヒトミさん、こんな事まで出来るなんて…」
そう言いつつ、勇護はヒトミがマンスジー王宮を破壊した事を思い出した。そして離宮を取り出して見せたり、移動させたと聞いた。
あれだけの事が出来るんだから、湖の水を割っても不思議ではないよな…。そう考えて納得する勇護だった。
◇
その頃、エリスチームはデンマー王国南西にあるウタマーロ地下迷宮ダンジョンに侵入していた。今までの洞窟ダンジョンと違い、正方形の石材を巧く組み合わせた石壁作りになっている。
今回もまたぺろすを先頭に次にエリス、カイン、ヒューガーと続く。エリス達もシルガモレルとゴーストダンサーズの情報を基に、ぺろすが鼻を効かせ周囲を探り、ヒューガーがレーダーマップを展開してダンジョン情報を確認しながら進む。
一行は入り口から進入して階段を降りる。しばらく一本道の通路を進んでいるとぺろすが突然、止まった。
「…ぺろす?何かあった…?」
「…これは落とし穴トラップだな。各人、気を付けて進むのだ」
注意を促しつつ、石畳を飛び越えるぺろす。エリスも石畳の異変に気付いた。
「…これって映画とかでよくあるヤツですよね?踏み抜くと下に落ちて串刺しになって死ぬトラップ…」
「あぁ、そうだな。今、俺が確認しているだけでその先に2つトラップがある。踏むと弓が飛んで来るトラップ、それと石壁の一部が横から飛び出して潰すヤツだな」
「…うわっ、ホントですか?僕は戦闘は良いんですけどトラップとか苦手なんですよね~(笑)」
笑いながら、エリスの後に続いて石畳を飛び超えるカイン。その時、ぺろすとヒューガーがほぼ同時に敵モンスターに気付いた。
「…あれは…コウモリだな」
「…『ラピッドポイズンバット(素早い毒コウモリ)』、レベル43、約200体だ。ここは狭いから火炎系スキルと魔法は控えた方が良い。まず、エリスが弓で撃ち落とし、俺とカインが後ろからエリスの援護だ!!」
ヒューガーの言葉に頷くエリスとカイン。エリスは弓を構えて矢を3本、つがえる。しかしラピッドポイズンバットは一行の予想を上回るスピードで迫って来た。
「…ここは我に任せよ。お主ら耳を押さえておけ」
そう言うとぺろすは3頭で大きく息を吸い込む。それを見たエリス、カイン、ヒューガーが耳を強く押さえた。
「グオオオオォォォォォォォォーッ!!」
直後に轟音ようなぺろすの遠吠えがダンジョン内を震わせた。轟音のような威嚇攻撃に音波センサーを出して位置情報を探っていた鶏サイズのポイズンパットはその動きを止めて迷走を始めた。
それを見たエリスが一気に矢を3本放ってポイズンバットを撃墜する。エリスに続いてカイン、ヒューガーもポイズンバットを撃ち落としていく。
ぺろすの先制攻撃で動きの悪くなったポイズンバットを弓スキル『神速連撃』で次々と撃ち落とすエリス。
カイン、ヒューガーも負けじとポイズンバットを撃墜した。
エリスのレベルが105に上昇した。パッシブスキル『神弓』獲得。神弓は弓スキル全体に影響を与え、威力上昇と射程距離を伸ばすスキル。魔法枠+1獲得。これでエリスの魔法枠は3つになった。
ぺろすもレベルが89にアップがした。遠吠えスキル『ロアハウリング』獲得。
ロアハウリングは轟音のような咆哮で威嚇するスキル。
カインのレベルは65になった。『デュアルソードスラッシュ』の威力が上がり、射程距離が伸びた。ヒューガーのレベルは67にアップした。鑑定できる範囲が拡がった。
続いて、あちこちに曲がっていく通路を進んでいた一行は、奇妙な事に気が付いた。
スズナリー地底湖の空いたスペースに降り立ったヒトミ、コニー、勇護が戦闘態勢に入る。勇護は攻撃支援スキル『ハードアタック』を発動して全員の攻撃力をアップさせた。
準備を終えたコニーと勇護が動かないドジョウ魚人に突撃した。
高速で突進していくコニーを見る勇護。直後にコニーが『サンダーハリケーン』でドジョウ魚人の群れに突っ込んだ。雷撃と呪いを小さな身体に纏い、激しく高速回転するコニーは、ヒューガーに聞いていた通り、幼児とは思えない強さだ。
コニーならヒトミの時間停止能力がなくても殲滅できるのではないか?と勇護は考えたが念には念を入れてヒトミが時間を止めているのだろうと思った。
サンダーハリケーンによって、ドジョウ魚人はあっという間にその数を200体まで減らした。それを見た勇護は盾と片手剣をアイテムボックスにしまうと代りにレイピアを出した。
レイピアを出した勇護は構えの姿勢から一気にドジョウ魚人に突っ込んだ。
コニーのサンダーハリケーンから漏れたドジョウ魚人に接近した勇護は高速で連続刺突攻撃を放つ。一気にドジョウ魚人3体の頭部を貫いて倒した。
「おぉ~、やるね~。盾職だけじゃなかったんだね~(笑)」
笑うヒトミの前方でコニーの攻撃から漏れたドジョウ魚人を勇護が確実に仕留めていた。
◇
マンスジー王国の勇者、不動 勇護は友人達と共に召喚儀式によってこの世界に召喚された。王宮から指輪を渡され、友人達とPTを組んだ勇護は、精神操作されているとも知らず、退治依頼やダンジョン調査などで着実にレベルを上げていく。
盾職としてレベルと名声を上げた勇護だったが元々、盾職をやりたい訳ではなかった。
友人達とPTの役割分担を決めた時、誰も前衛で盾職に手を上げなかったからだ。人がモンスターによって簡単に殺されてしまう世界である。そんな世界に召喚されたばかりで真っ先に命を落としそうな盾職ポジションなどやりたい者など命知らずのモノ好きしかいない。
しかしPTバランスを考えると敵のヘイトを買う盾職がいないと敵に囲まれて全員が命の危険に晒されてしまう。そこでフェンシング部に所属し、仲間の中でも一番の運動能力と体力のあった勇護が盾職を引き受ける事にした。
盾を持ち、片手剣での闘いはフェンシングと違い戸惑う部分もあったが、誰にでも仲良くなれる勇護は上位PTの盾職ハンターに学び技量を上げた。
勇護が盾職を引き受けた事により、仲間がそれぞれの能力を発揮出来た。更に勇護自身もレベル上昇と共に個人スキルと支援スキルを多く獲得した。それによって更にモンスター討伐の効率が上がり、勇護達は王国でも名の知れたPTとなった。
上位PTに肩を並べるようになってからも勇護は盾職としての訓練と同時に、フェンシングの訓練も欠かす事はなかった。隠し玉として持っておく為だ。
そんな折、突如、王国南西に現れたアースドラゴン(地竜、四足歩行のドラゴンモドキ)を退治した勇護は王国から『勇者』の称号を授けられた。
勇護は先に召喚され、『英雄』の称号を持っていたカインと並び称された。
その頃から、勇護は王国に対して疑念を持つようになる。王宮では豪奢な衣服、調度品、連日のように行われるパーティーを見た。有名になればなる程、王宮に呼ばれる頻度は上がる。その度に褒章を受けたが、一旦王宮を出て貴族街を抜けると、ギリギリの生活をする王都民がいた。
退治依頼で王国の地方遠征も幾度となく行ったが、地方領の町や村などは更に悲惨な状況だった。何の支援もなく、当たり前のように税金を徴収する王国。
税金が払えなければ奴隷行だ。勇護はそんな一家を何度も見た。その惨状を見るに堪えなくなった勇護はPTと共に王宮で王に直訴した。
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直後に精神操作の指輪の力が発動し、勇護達は気絶した。意識を取り戻した勇護達は、政治犯達が収容されていた地下牢に幽閉された…。
しかし、神は勇護達を見捨てなかった。
実際、神がいるかどうかは分からないが、ヒトミを見た瞬間、勇護はそれが神の助けだと思った。神様がヒトミを遣わしてくれたのだと…。
王国民達を助けたい一心の勇護達と政治犯の貴族達。一方、王宮に対する強い恨みを持ち、宝物を根こそぎ奪い取って王宮を破壊してやると強く心に誓っていたヒトミ(美裸)の思惑が合致した。
そして勇護達は政治犯の貴族達と共に、ヒトミとクーデターを起こす計画を練った。そしてヒトミの助力を得た勇護と政治犯の貴族達は王宮に対するクーデターを呆気なく成功させた。
その時、勇護はいつかこの恩を返さなければと思っていた。その為にはもっと強くならなければならない。いつかヒトミが困った事になった時、こんどは自分が助けるのだと…。
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モンスターの動きが止まっていた事もあり、ドジョウ魚人500体の殲滅は数分で終わった。
コニーのレベルが114に上昇した。サンダーハリケーンの回転攻撃範囲が拡がった。勇護はレベルが65に上がった。
今まで盾職でやっていた為に中々上がらなかった敏捷と瞬発力が上がった。更にレイピアスキル『マッドスティンガー』を獲得。マッドスティンガーはレイピアによる高速の刺突乱射スキルである。
FDスペースでドジョウ魚人の体力を吸い取ったヒトミ(美裸)はレベルが452まで上がった。今回だいふくはヒトミの頭の上で観戦していただけなのでレベルは85のままだった。
ドジョウ魚人を手早く処理したヒトミ達は地下空洞に拡がる地底湖を見る。
「みず、いっぱいある!!」
「…ここかなり広いですね?ダンジョン化してるのは湖の向こう側ですか?」
勇護に問われたヒトミがスキルを再展開する。目の前に地底湖の全体像が見える。
「…シルガモレル帝の情報だとこの地底湖の底に水中洞窟があるって話だったかな~?」
そう言いつつ、湖の底をズームアップする。その先を確認すると湖底1.5キロメートル前方に洞窟があった。そこからアリの巣の様に各階層に地下空洞があった。
「…あった(笑)!!巨大なアリの巣みたいになってるね~…ここは3階層までだね~…結構敵がうじゃうじゃいるよ~(笑)」
「ヒトミさん、どうやって湖の底に進入します?水中では息が続かないし、闘えないですよね?魚人達を誘き出します?」
「そこは心配しなくていいよ~(笑)」
「みら、みずわる、しんぱいない」
「水を割る?どうやって水を…割るんですか?」
「まぁ、見てて下さいな~(笑)」
笑いながら湖のほとりに立つヒトミ。ヒトミが手を翳すと湖が真っ二つに割れた。その瞬間、目を飛び出させんばかりに勇護が驚いた。
「…ええぇェェェ―ッ!!み、み、みずっ…湖が割れたッ…!?」
勇護の驚き様に、笑うヒトミとコニー。
「…ま、まさかヒトミさん、こんな事まで出来るなんて…」
そう言いつつ、勇護はヒトミがマンスジー王宮を破壊した事を思い出した。そして離宮を取り出して見せたり、移動させたと聞いた。
あれだけの事が出来るんだから、湖の水を割っても不思議ではないよな…。そう考えて納得する勇護だった。
◇
その頃、エリスチームはデンマー王国南西にあるウタマーロ地下迷宮ダンジョンに侵入していた。今までの洞窟ダンジョンと違い、正方形の石材を巧く組み合わせた石壁作りになっている。
今回もまたぺろすを先頭に次にエリス、カイン、ヒューガーと続く。エリス達もシルガモレルとゴーストダンサーズの情報を基に、ぺろすが鼻を効かせ周囲を探り、ヒューガーがレーダーマップを展開してダンジョン情報を確認しながら進む。
一行は入り口から進入して階段を降りる。しばらく一本道の通路を進んでいるとぺろすが突然、止まった。
「…ぺろす?何かあった…?」
「…これは落とし穴トラップだな。各人、気を付けて進むのだ」
注意を促しつつ、石畳を飛び越えるぺろす。エリスも石畳の異変に気付いた。
「…これって映画とかでよくあるヤツですよね?踏み抜くと下に落ちて串刺しになって死ぬトラップ…」
「あぁ、そうだな。今、俺が確認しているだけでその先に2つトラップがある。踏むと弓が飛んで来るトラップ、それと石壁の一部が横から飛び出して潰すヤツだな」
「…うわっ、ホントですか?僕は戦闘は良いんですけどトラップとか苦手なんですよね~(笑)」
笑いながら、エリスの後に続いて石畳を飛び超えるカイン。その時、ぺろすとヒューガーがほぼ同時に敵モンスターに気付いた。
「…あれは…コウモリだな」
「…『ラピッドポイズンバット(素早い毒コウモリ)』、レベル43、約200体だ。ここは狭いから火炎系スキルと魔法は控えた方が良い。まず、エリスが弓で撃ち落とし、俺とカインが後ろからエリスの援護だ!!」
ヒューガーの言葉に頷くエリスとカイン。エリスは弓を構えて矢を3本、つがえる。しかしラピッドポイズンバットは一行の予想を上回るスピードで迫って来た。
「…ここは我に任せよ。お主ら耳を押さえておけ」
そう言うとぺろすは3頭で大きく息を吸い込む。それを見たエリス、カイン、ヒューガーが耳を強く押さえた。
「グオオオオォォォォォォォォーッ!!」
直後に轟音ようなぺろすの遠吠えがダンジョン内を震わせた。轟音のような威嚇攻撃に音波センサーを出して位置情報を探っていた鶏サイズのポイズンパットはその動きを止めて迷走を始めた。
それを見たエリスが一気に矢を3本放ってポイズンバットを撃墜する。エリスに続いてカイン、ヒューガーもポイズンバットを撃ち落としていく。
ぺろすの先制攻撃で動きの悪くなったポイズンバットを弓スキル『神速連撃』で次々と撃ち落とすエリス。
カイン、ヒューガーも負けじとポイズンバットを撃墜した。
エリスのレベルが105に上昇した。パッシブスキル『神弓』獲得。神弓は弓スキル全体に影響を与え、威力上昇と射程距離を伸ばすスキル。魔法枠+1獲得。これでエリスの魔法枠は3つになった。
ぺろすもレベルが89にアップがした。遠吠えスキル『ロアハウリング』獲得。
ロアハウリングは轟音のような咆哮で威嚇するスキル。
カインのレベルは65になった。『デュアルソードスラッシュ』の威力が上がり、射程距離が伸びた。ヒューガーのレベルは67にアップした。鑑定できる範囲が拡がった。
続いて、あちこちに曲がっていく通路を進んでいた一行は、奇妙な事に気が付いた。
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