異世界召喚された地味子、王宮から追い出されたので特殊固有スキルでエロと共に暴れ回る。

駄犬X

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スタンピード編

謎。

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 プリズムミラーキューブを撃破したエリス一行が第4階層へと降りて行く。そこで一行は驚くべき現象に遭遇した。

「こ、これはッ…!?」
「…どうなっている?元にもどったのか…?」
「いや、確かに僕達は階段を下に降りていましたよ…?」

 エリスとヒューガー、カインが戸惑う中、ぺろすが警戒しつつ周囲を探る。一行が4階層に降りると何故か最初のトラップ通路に戻っていた。

「…信じ難い現象だが…元に戻されたようだな。しかし何か引っ掛るものがあるな…」

 ぺろすが周囲を探っている間に、カインにこの現象についてエリスが問う。

「カインさん、迷宮ダンジョンでこういう現象はあるんですか?」
「遭遇したのは初めてだね。ただこの世界に来る前にやってたボードゲームでこんなのがあったよ。特定のマスに止まるとスタートに戻されるってやつ」
「…そう言えばそんなゲームありましたね。と言う事は3階層から4階層に降りる階段のどこかでスタート地点に戻される何かがあったという事ですよね?」
「おそらくそう言う事になるだろうな…」

 そう言いながら、3Dレーダーマップを展開して確認するヒューガー。

「とにかく進むしかあるまい。我が先に進む。3人は警戒しつつ、後ろから付いて来るのだ。

 ぺろすが先頭に出て一行は進む。落とし穴トラップの位置でぺろすが違和感に気付いた。落とし穴あった場所から微かな空気の流れがない。

 ぺろすが床の石板を足で小突くと、最初にあったはずの落とし穴が無かった。ぺろすは通路の天井を見る。

「エリスよ、天井に通路があるか確認の為に矢を放ってくれ」

 ぺろすに言われたエリスはすぐに天井に矢を放つ。すると矢は天板を貫通する事無く、突き刺さった。

「…魔力で天井通路を隠していない?でも周囲に異常な魔力はあるけど…?」
「やはり何かがおかしい。膨大な魔力は感じるがこの通路には最初にあったトラップが全くない」

 それは3Dレーダーマップを展開しているヒューガーも確認していた。

「…確かに、トラップが無くなっているな」
「ヒューガーさん、マップではこの先に通路は続いているんですか?」

 カインに問われたヒューガーが頷く。

「通路はある。しかし一本道だな。最初の様に通路が曲がっていたり枝分かれはしていない」
「取り敢えず進んでみるしかあるまいな」

 ぺろすの言葉に一同が頷く。

 そして慎重に進んでいた一行の前にあった通路が突然、消える。直後に目の前の景色が広大な砂漠に変わった。慌てて後ろを見る一行。そこに進んできたはずの通路が無くなっていた。一行は突然、響いてきた重低音に前を見た。低い轟音と共に大量の砂埃が舞い上がっていた。

 そこに現れたのは無数の巨大サソリの大群だった。



 その頃、ウラスジール王国の亀甲山地下研究施設ダンジョンの傍に移動したヒトミ(美裸)はゲンナリしていた。

「あれがきめらいうやつか?」

 コニーに問われたヒトミが答える。

「いや、あれは…キメラって言うのかな~…わたしのイメージだとどうぶつの色々な部位がくっ付いてるイメージだったけど…(笑)」
「…そうですね僕のイメージもヒトミさんと同じだったんですが…あれは何と言うか…グロいですね…」

 一行は少し離れた場所から、地下研究施設から溢れ出す無数の肉の塊の様なモンスターを見ていた。

 それは複数の人間がグチャグチャにミックスされたような肉の塊に上に足が生えていたり、下に腕が合ったりと全てがあべこべだ。そして無数の目を持つ者や、大きな一つ目の肉の塊のような者もいた。

 ヒトミ達が見るとオリエンタルな装備に身を固めた兵士達が入り口から溢れ出す奇妙な肉塊モンスターを押し戻すべく奮闘していた。肉の塊は兵士達に噛み付き、目から妙な液体を飛ばしていた。ウラスジール兵達はその奇妙なキメラモンスターに完全に押されていた。相手は肉の塊だが、通常の武器での攻撃では刃が立たず、徐々に押されて死傷者を増やし前線は崩壊寸前だった…。

 ウラスジール王国は山岳地帯の多いペニンスジール帝国とは打って変わって平野の多い国である。帝国を抜けると砂漠地帯があり、その向こう側に緑の平野が拡がっていた。

 時折、峻険な山などもあり、亀甲山はウラスジール王国で三大霊山として崇められる大きな山だった。

 その亀甲山の麓に古代地下研究施設への入り口がある。その古代地下研究室から、肉塊モンスターがスタンピードを起こしていた。

「このままではかなり危険そうですね。ヒトミさん、どうしますか?」

 勇護に問われたヒトミがスキルを発動した。その瞬間、全てが止まった。

「…仕方ないね~。気持ち悪いけどやるしかないからね~(笑)。一旦、時間止めたよ~」
「みら、突っこんでもいいか?」
「ちょっと待っててコニー。そこの兵士さん達、退かせるからね~」

 そう言うと、ヒトミは兵士達をモンスターから離して後ろへ移動させる。その間に、モンスター情報も確認した。

 『ミンチ』、古代の研究施設でスーパーソルジャーを創ろうとして古代の研究者が人間の優良な部位を合体させて培養水で育てていくうちに繋げた部分が化膿し、それが培養され正常な部位を取り込んでモンスター化した。

 完全な失敗作であった為に培養水を抜いて生命活動を停止させた。悠久の時を経て魔力異常に影響を受けたミンチが生命活動を再開させ、分裂して仲間を増やし続けた。

「…平均レベル70…1,000体か…。この辺りに街もあるみたいだから、肉キメラモンスター倒していくよ~。だいふく~、ビームで少し減らして~(笑)」

 ヒトミの指令に頭の上でぽよんぽよんと跳ねただいふくが『ダークサイクロップスビーム』を放つ。その瞬間、ミンチの前衛100体を横薙ぎに真っ二つにした。

 その直後、突進しようとしたコニーがギョッとした。

「みら、にくがふえたっ!?」
「…あらら、これは…斬ったりするのはマズイね~…じゃ、作戦を変更しますか~(笑)?」

 ヒトミはまず、コニーに『雷呪化』して突っこんで貰う事にした。

「コニー、まずは雷呪を使って『サンダーハリケーン』で肉塊を燃やし尽くして。
「わかった。突っこんでくる」
「逃れたヤツは勇護が刺突攻撃で弱らせて」
「分かりました。すぐにコニーちゃんの援護に入ります!!」
「あ、アイツら意外とレベル高いし、どんな噛み付かれたり爪で斬られたりは危険だからね?あと目から出る液体も要注意ね」
「はい。十分、気を付けて攻撃します」
「最後にだいふく、勇護が弱らせた肉の塊を『アシッドマシンガン』で溶かして行って(笑)!!」

 ヒトミの指示に再び、頭の上でぽよんぽよんと跳ねるだいふく。ヒトミが時間を再生させた直後、コニーが全身に雷呪を纏って突進した。



 一方、エリス一行は大砂漠の中で巨大サソリを相手に戦闘準備を整えていた。

「『ニードルスコーピオン』、レベル…70だとッ!?そんなのが…1,500体もいるのか…冗談キツイぜ…」

 鑑定をしたヒューガーの声が震えている。そんなヒューガーを見るカイン。

「…ヒューガーさん、それホントですか…?僕らとレベルがほぼ変わらないのがそんなに…!?」
「お主ら!!怯んでいる暇などないぞッ!!我とエリスが潰していく。お主ら二人は後ろから撃ち漏らしを確実に仕留めていけ!!」

 心が折れ掛けた二人を叱咤するぺろす。

「…ぁ、あぁ、分かった!!カイン、やるぞッ!!」
「はい、僕もこんなトコで死にたくないですからね!!全力で行きますよッ!!」

 続けてぺろすがエリスに指示を出す。

「エリスよ、まずはアイツらの足止めからだッ!!ヤツらは数が多い上に広く展開している。囲まれると我らとて危険だ!!火炎魔法と岩石魔法を組み合わせて炎の壁を作れ!!」
「分かった!!炎の壁ね!!」

 そう言うとエリスは思念力を高めていく。カインとヒューガーが驚くほどの魔力と思念力が混ざり合いエリスから放出される。

 エリスは突進してくるウミガメサイズのサソリの大群に立ち塞がるように横に長く高い炎の壁を強くイメージした。

 その瞬間、サソリ達の進軍を阻む様に長大な炎の壁が出現する。その高さ3メートル、長さは500メートルにも及んだ。

「…オイオイ、マジかよ(笑)!!」
「…エリス、君、ホント変わったよね…(笑)」

 苦笑いしている二人にぺろすが指示を出す。

「炎の壁でアイツらが動けない間に我とエリスが遠距離攻撃を仕掛けるッ!!お主らは撃ち漏らしの処理と援護だッ!!始めるぞッ!!」

 そう叫ぶと、ぺろすは三頭の口からバスケットボールサイズの『デーモンフレイムボール』を吐き出して飛ばした。その隣で、初撃でサソリたちの足止めをしたエリスは『キャノンエクスプロード』を構えていた。

 そして『神速連射』を使い、次々と矢を飛ばしていく。鋭い風を斬る音と共にまずはエリスの放った約30ほどの矢が炎の壁の向こう側にいるスコーピオンに刺さる。瞬間、スコーピオンは50体巻き込んで大爆発を起こした。

 直後にぺろすの放ったデーモンフレイムボールが着弾する。爆発するフレイムボールが地獄の炎を撒き散らし、80体のスコーピオンを溶かしていく。

 それを後ろから見ていたカインとヒューガーは顔が引きつっていた。

「ぺろすとエリスだけでいけるんじゃない…(笑)?」
「そ、そうだな…しかし油断するなよ?こっちが確実に援護しないと二人がキツくなるからな?」
「え、えぇ、分かってます!!」

 気を取り直した二人は油断せず炎の壁を乗り越えてくるかもしれないスコーピオンの迎撃準備を整える。

 しかしその時、爆発する炎の中から槍ほどもある無数の針が飛んでくる。ニードルスコーピオンの尾から放たれる毒針だ。豪雨の様に降り注ぐ巨大針が3人と1匹に襲い掛かる。

 それを見たヒューガーが咄嗟に補助スキル『リバウンド』(反発)を発動した。瞬間、見えない壁に押し返された巨大針がバラバラと落ちていく。

「ヒューガーよ!!よくやった!!だが油断するなよ?エリスの魔法はもう消えている!!最後は接近戦になるからなッ!!それまでにヤツらを減らしていくぞッ!!」

 ぺろすの叫びに反応したエリス、カイン、ヒューガーが戦闘態勢に入る。まずは大火炎の中から仲間の死骸を乗り越えてくるスコーピオンに向けてエリスが火炎魔法『ラーヴァスワンプ(溶岩の沼)』を発動した。

 直後に進軍してくるスコーピオンの群れを溶岩の沼が引き擦り込んでいく。そこにぺろすの『ヘルフレイムバースト』、カインの神聖攻撃魔法『シャイニングレーザー』が炸裂する。

 溶岩の沼に足止めをされたスコーピオン達がぺろす、カインの攻撃によって溶解し、貫かれてその動きを止めていく。

 その間にヒューガーは銃砲撃『機雷気榴弾』の範囲をその手前に広く展開していた。スコーピオン達は溶岩の沼に沈んでいく仲間の死骸を足場にして溶岩の沼を超えて来た。

 しかし、スコーピオン達が溶岩の沼を乗り越えた瞬間、ヒューガーの銃砲撃四式、機雷気榴弾が炸裂する。

 まるで火山が噴火する様に、スコーピオン達を下から突き上げて燃やし、溶かし、バラバラにした。

 ニードルスコーピオン、残り800体。

 ヒューガーの機雷気榴弾を乗り越えて来たスコーピオン達にぺろすが3頭によるバーストを喰らわせる。更にエリスは岩石魔法『スターダストレイン』でスコーピオン達を押し潰していく。

 スコーピオンの残り500体。それでもニードルスコーピオン達は仲間の死骸を乗り越えてきた。

 カインの『デュアルソードスラッシュ』、ぺろすの『ヘルフレイムブレス』でスコーピオンの残りは200体となった。

 直後にぺろすが『フレイムトランスフォーマー』を発動すると残りのスコーピオンに向かって突進する。

 対してスコーピオン軍団は一旦止まると、尻尾を上げてぺろすを狙う。しかしそこにエリスの矢が、カインの魔法シャイニングレーザーが、ヒューガーの『確定狙撃』が次々とスコーピオン達の尾を飛ばして行く。そこに炎化したぺろすが突進した。

 瞬間、スコーピオン達がドロドロに溶けていった。ニードルスコーピオン、残り100体。

 エリスが二刀のタガーを、カインが双剣を、ヒューガーが剣撃を抜いた瞬間、スコーピオン達が動きを止めて一斉に退いて行った。

「…な、何だッ!?一体どうなってる!?」
「なぜ突然退いたんですかね?」

 驚くヒューガーとカインに警戒を促すエリス。

「…お二人とも戦闘態勢は崩さないで下さい。とんでもない魔力量を持つ何かが接近しています…」
「…えッ?それってヤツらのボスって事?」
「…分かりません。でも警戒だけはして下さい」

 エリスの警戒の言葉を聞いてレーダーマップを見ていたヒューガーが呟く。

「…来るぞ?その異常な魔力もってるヤツがな…」

 戦闘の粉塵の中から、一行の目の前に現れたのは派手な法衣を着た美しい女性だった…。
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