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プロローグ、ペンは剣よりも強し編
お話。
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カフェで賞金と報奨金をエリスと折半した美裸は、2人と1匹を連れて宿屋に向かう。
「美裸、わたしはあんな高級宿屋泊れないよ…。そんなにお金に余裕ないし…」
そんなエリスの心配を一蹴する美裸。
「最上階の部屋で大きいからそんな心配はいらないよ。ベッドいっぱいあるし~(笑)」
「えぇッ!!アンタ、マジでどんだけお金持ってんのよ?」
「有り余るほど持ってますけど~(笑)?」
その答えに、聞くまでも無かったと肩を竦めるエリス。
「おっと、宿屋に戻る前に色々と換金しとかないとね~」
そう言うと美裸達は装備屋へと向かった。装備屋でCランクPTから巻き上げた装備諸々を売る為だ。CランクPTの装備は全壊したが、スキルで全て元通りにしてあった。
中古品扱いなので正規の値段では売れなかったが、5人分の装備なのでそこそこの金額にはなった。エリスとコニーがお店を見て周っている間に、そのお金で美裸は変わった武器とあるモノを大量買いしておいた。
「毎度あり~!!」
装備屋のおやっさんの声を背にして、美裸達は宿屋へと向かった。
◇
「ただいま~」
美裸が声を掛けると、カウンターの奥から宿屋の主人とおばさんが顔を覗かせる。
「おかえり、美裸。今日の仕事は上手く行ったのかい?」
「うん。今日も結構な額、稼げたよ~(笑)」
笑いながら軽く返事をする美裸を見る主人とおばさん。
『毎日毎日、稼げる仕事って、お前は一体どこで何の仕事してんだよ!!』
そう突っ込みたい所ではあったが、ここ数日の間に美裸の不思議スキルを見ていた二人は、余計な事を聞くと藪ヘビになりそうな気がして黙っていた。
「そうそう。おじさん、おばさん、友達連れて来たよ~。今日からこの二人も一緒に泊まっても良いよね?」
「…ぁ、あぁ…元々お前が泊ってる部屋は4人部屋だからな。追加料金はいらないよ…」
それを聞いた美裸は、うんうんと頷きながら二人を紹介する。
「エルフの方はエリスね。真面目過ぎて冗談通じない所があるけどよろしくね~(笑)」
(…何だ、その紹介の仕方はッ!!)
心の中で突っ込みつつ、エリスは挨拶をする。
「こんにちは。エリス・オルディナです。よろしくお願いします」
エリスの挨拶の後、美裸はコニーを抱き上げると主人とおばさんに見せる。
「この子はコニー。ほら、コニー挨拶しよ~」
「わたし、コニーいう、よろしく」
「…あぁ、二人ともよろしくな…」
「それから、この子はわたしの従魔です~。だいふくと言います、よろしくです~(笑)」
そう言いながらポケットからだいふくを出して見せる美裸。宿屋の主人もおばさんも、スライムを手に乗せている美裸を見て、もうコイツは何でもアリだなと半ば呆れていた。
挨拶を終えたエリス達を連れて最上階である5階の大部屋に案内する美裸。部屋の中を見たエリスは驚いた。
さすが王都でもランク5位に入る宿屋だ。部屋はかなり広く、南側に窓がある。その向こうには陽の当たるテラスがあり、王都の景色を眺める事が出来た。
コニーも美裸の足元から部屋を覗く。ベッドがあるのを見たコニーはすぐにテテテッと走ってベッドの上によじ登った。
「べっど、ひさしぶり、ふかふか。コニー、べっどすき」
そう言うとコニーは大きなベッドの上でゴロゴロし始めた。
「夕食まで時間あるからね~。自由にしてていいよ~」
美裸の言葉に、コニーはだいふくと一緒にベッドの上で転がって遊んでいた。エリスはテラスに出て風に当たりながら、王都の景色を眺めている。
美裸は部屋で寛ぐ2人と1匹を見た後、大きな風呂が付いた洗面所に入ってドアを閉めた。洗面所の全身鏡の前に立った美裸は、スキルを発動した。
◇
ひとしきりスキルを弄り回した後、洗面所から出る美裸。チラッとベッドを見るとコニーがだいふくと一緒にくぅくぅ寝ていた。
エリスはテラスにあるビーチチェアに転がって陽に当っている。それを見た美裸はそっとドアを開けて部屋を出た。
階段を降りてそのまま黙ってカウンターの前を通り抜けようとした美裸を、宿屋の主人が止める。
「…おい、ちょっと待て。お前…美裸だよな(笑)?」
スキルを使って髪型、髪色、顔、体格と全てを変えていた美裸だったがすぐに宿屋の主人にバレてしまった。
「あ、解りました(笑)?」
「そんなスタイルの良い美人、この宿屋に泊りに来てた記憶なんてないからな(笑)!!」
「おじさん、わたしちょっと出掛けてくるから。2人が下りてきたら夕食までには戻るって伝えといて…」
「それは良いけどよ。お前、宿出る時は本来の姿で頼むわ。他のヤツだと区別が付かんかもしれんからな…」
「は~い。今度から気を付けま~す(笑)」
手を振りつつ、美裸はある場所へと向かった。
◇
それから1時間程して、エリスは美裸が部屋にいない事に気が付いた。ベッドの上ではコニーが眠そうに目を擦っている。
「…コニー。美裸はどこ行ったの?」
エリスに聞かれたコニーは、目を擦りつつ周りを確認する。
「…さっき、おふろのとこ、入るのみた…」
「それがどこにもいないのよ…。どうしよう、こんないい宿屋の宿泊料金、わたしだけじゃ払えないよ…」
不安そうな表情のエリスを、ベッドの上に座ったままのコニーが見上げる。
「…だいじょうぶ、みら、だいふくおいていくわけない。下のおじさんとおばさんにはなしきく…」
そう言ってコニーはベッドから飛び降りると、部屋の外へ出て行った。慌てて後を追うエリス。
コニーはジャンプしてあっという間に階段を飛び降りると、1階のカウンターへ行ってしまった。エリスは必死に階段を駆け降りてコニーの後を追う。
「おじさん、みら、いない。どこいった?」
「…おじさん、どうしよう。美裸がいないのよ…」
聞かれた宿屋の主人は、コニーと遅れて降りて来たエリスを見て答える。
「…あぁ、アイツならちょっと出掛けてくるって出て行ったぞ?」
それを聞いたエリスとコニーが顔を見合わせる。
「やっぱりだ、みら、でかけてる。だいふくおいていくわけない」
宿屋の主人の言葉に、ホッとした表情のエリス。
「…それで、どこに行くとか言ってました?」
「いや、2人が下りてきたら夕食までには戻るって伝えてくれって…出て行ったぞ?」
「…そう、良かった~。黙っていなくなったからまさか置いて行かれたかと思った(笑)」
「アイツ、そういうとこ無頓着だな~。俺が注意しといてやるよ!!」
2人を安心させるように言う主人に、むとんちゃくってなんだ?とコニーが聞いていた。その時、いつも通りの美裸が帰ってくる。手には袋を下げていた。
「あぁ、2人ともごめん。ちょっとした用を思い出してね~。夕食までに時間あるから出掛けてたのよ~」
そんな美裸にダメ出しする主人。
「お前、友達に黙って出かけるのは良くないぞ?そう言うのは信頼関係に響くからな?気を付けろよ?」
「…あ、そうだったね。ごめんなさい。今度から出掛ける時はちゃんと伝えるね…」
「ホント、マジで心配したんだからね?わたし、置いて行かれたかと思ったんだから(笑)!!」
「コニー、しんぱいしてない。みら、だいふくおいていくわけない」
「そうだよ~。わたしはだいふく置いて消えるわけないからね~(笑)」
そう言いつつ3人と1匹は、そのまま夕食を食べる為にカウンターの奥にある料理屋スペースに移動した。
◇
「久しぶりに豪華な食事が出来たよ。いや~、ホント満足です(笑)」
そう言って笑うエリス。
「コニーも、ひさしぶり。おにく、たべた。コニーもまんぞく(笑)」
そう言ってケラケラ笑うコニー。
夕食を食べた3人と1匹は5階の部屋に戻ると、お風呂に入る。その後、ベッドに潜り込んだ。その時、だいふくを横に寝かせてベッドに入ったコニーが2人を見てお話をしてくれとせがんだ。
「コニー、ねるのとき、かかさま、おはなし、してくれた。おはなしききたい」
そう言われた美裸とエリスが顔を見合わせる。
「…わたしはそう言うの知らないからな~…」
「うーん。それじゃ、わたしがお話して上げようかな~」
お話が得意でないと言うエリスに代わって美裸がお話をする事になった。そして美裸の昔話のパロディが始まる。
「昔々、天の川と言う国に、彦坊と織女という恋人がいました。しかし彦坊と織女の両家は敵対勢力だった為に、1年に1度だけしか会う事が出来なかったのです…」
(…ふむふむ。なんか色々混ざってる気がするけど面白そうな話ね…)
エリスはベッドの中、目を閉じて美裸の語りに耳を傾ける。コニーもワクワクしながらベッドの中で目を閉じていた。
「1年に1度しか会えず、その時にしか愛を交わす事が出来ない。そんな2人はいつも悶々として日々を過ごしていました…」
(…うんうん、それから2人はどうなるのよ…)
「しかしそんなある日、溜まりに溜まってクラブで踊っていた織女に、バッドなイケメンが声を掛けて来たのです…」
(…何だ?バッドなイケメンって…なんか不穏だな…)
「バッドなイケメンに声を掛けられ、溜っていた織女はお酒が入っていた事もあり、そのバッドメンの誘いを受けてしまったのです…」
(…オイオイ、織女さん、それはちょっとまずいんじゃないの…?)
「そんな織女は、個室でバッドメンにそのカラダを預けてしまった…。そう!!織女は寝〇られエッチをしてしまったのです!!」
ベッドから飛び起きたエリスは、隣で寝ている美裸の胸元を掴む。
「…ウオォォイィッ!!美裸アァァッ!!子供にそんな話聞かせるなよおォォォ…!!」
その瞬間、目をパチッと開くコニー。
「みら、ね〇られえっちってなんだ?」
「コニーッ!!子供はそんな事知らなくていいのッ!!美裸ァッ!!子供に変な事教えないでよッ!!」
「まぁまぁ、そんなに興奮しなさんなって、エリスさんや(笑)」
その時、階下から大きな声が飛んできた。
「オイッ!!お前らッ!!静かに寝ろッ!!他のお客さんに迷惑だろうがッ!!」
「おじさんっ、ごめーんっ!!なんかエリスが凄く興奮しちゃって…」
「…ちょっ…違うでしょうがァッ!!美裸!!アンタがッ…」
「…まぁまぁ、エリスさん。落ち着いて。またおじさんに怒られるよぉ(笑)」
「…くッ、何でわたしが悪いみたいになってるのよ…」
エリスの猛烈なダメ出しを受けた美裸は、今度は真面目に『桃太郎』と『泣いた赤鬼』を混ぜたパロディを話した。
「…かかさまのはなし、にてる…」
その昔話を聞きつつ、スヤスヤと眠りに入るコニー。そして安心したのかエリスもベッドの中、静かに目を閉じた。エリスが眠りに入ろうとしたその時、隣でぼそぼそと呟く声が聞こえた。
(…何?美裸の寝言…?)
エリスが静かに耳を傾ける。
「…昔々、ある所にヨネというお婆さんがおじいさんと住んでいました。しかしある時、おじいさんは山の芝刈りで事故に遭って死んだのです…」
(…芝刈りで死ぬ事ってあるの…?)
「一人になってしまったヨネさんを心配した、近所のソデさんというおばあさんは毎日、ヨネさんを訪ねて話をしていました…」
(…お爺さんを亡くしたばかりだからね~…)
「…しかしそんなソデさんに、近所のお婆さんが話掛けて来たのです。どうしていつもアナタはヨネさんの所へ行ってるのかと…。ソデさんはヨネさんが一人で心配だと言いました…」
(…そうそう。独居老人は心配だよね…)
「そんなソデさんに、近所のお婆さんがこう言ったのです…。ヨネさんならダンナさんが亡くなった次の日に縁側で首を吊ってもう死んでるよ、と。その時、ソデさんはゾッと…」
その瞬間、ベッドから飛び起きるエリス。美裸の胸倉を掴むと、激しく揺さぶった。
「オイィィッ!!こっちがゾッとするわッ!!何で今、怖い話すんのよッ!!」
「いや、エリスも眠れないかな~なんて思って(笑)」
「怖い話とか聞くと余計に眠れんでしょうがッ!!」
その時、再び階下から主人の怒号が飛んできた。
「オイッ、お前ら!!いい加減、静かに寝ろッ!!」
「おじさん、ごめーんっ!!またエリスが興奮しちゃって(笑)」
「オイィッ!!アンタのせいでしょうがッ!!」
「あははっ、ごめんごめん。代りにエロい話でもしようか(笑)?」
「いや、どっちも話さなくていいからッ!!アンタは早く寝て!!」
エリスに激しく突っ込まれた美裸は仕方なく、眠りに付いた。暫くして二人が寝たのを確認した美裸はスキルを使って変身した後、こっそりと部屋を出た。
「美裸、わたしはあんな高級宿屋泊れないよ…。そんなにお金に余裕ないし…」
そんなエリスの心配を一蹴する美裸。
「最上階の部屋で大きいからそんな心配はいらないよ。ベッドいっぱいあるし~(笑)」
「えぇッ!!アンタ、マジでどんだけお金持ってんのよ?」
「有り余るほど持ってますけど~(笑)?」
その答えに、聞くまでも無かったと肩を竦めるエリス。
「おっと、宿屋に戻る前に色々と換金しとかないとね~」
そう言うと美裸達は装備屋へと向かった。装備屋でCランクPTから巻き上げた装備諸々を売る為だ。CランクPTの装備は全壊したが、スキルで全て元通りにしてあった。
中古品扱いなので正規の値段では売れなかったが、5人分の装備なのでそこそこの金額にはなった。エリスとコニーがお店を見て周っている間に、そのお金で美裸は変わった武器とあるモノを大量買いしておいた。
「毎度あり~!!」
装備屋のおやっさんの声を背にして、美裸達は宿屋へと向かった。
◇
「ただいま~」
美裸が声を掛けると、カウンターの奥から宿屋の主人とおばさんが顔を覗かせる。
「おかえり、美裸。今日の仕事は上手く行ったのかい?」
「うん。今日も結構な額、稼げたよ~(笑)」
笑いながら軽く返事をする美裸を見る主人とおばさん。
『毎日毎日、稼げる仕事って、お前は一体どこで何の仕事してんだよ!!』
そう突っ込みたい所ではあったが、ここ数日の間に美裸の不思議スキルを見ていた二人は、余計な事を聞くと藪ヘビになりそうな気がして黙っていた。
「そうそう。おじさん、おばさん、友達連れて来たよ~。今日からこの二人も一緒に泊まっても良いよね?」
「…ぁ、あぁ…元々お前が泊ってる部屋は4人部屋だからな。追加料金はいらないよ…」
それを聞いた美裸は、うんうんと頷きながら二人を紹介する。
「エルフの方はエリスね。真面目過ぎて冗談通じない所があるけどよろしくね~(笑)」
(…何だ、その紹介の仕方はッ!!)
心の中で突っ込みつつ、エリスは挨拶をする。
「こんにちは。エリス・オルディナです。よろしくお願いします」
エリスの挨拶の後、美裸はコニーを抱き上げると主人とおばさんに見せる。
「この子はコニー。ほら、コニー挨拶しよ~」
「わたし、コニーいう、よろしく」
「…あぁ、二人ともよろしくな…」
「それから、この子はわたしの従魔です~。だいふくと言います、よろしくです~(笑)」
そう言いながらポケットからだいふくを出して見せる美裸。宿屋の主人もおばさんも、スライムを手に乗せている美裸を見て、もうコイツは何でもアリだなと半ば呆れていた。
挨拶を終えたエリス達を連れて最上階である5階の大部屋に案内する美裸。部屋の中を見たエリスは驚いた。
さすが王都でもランク5位に入る宿屋だ。部屋はかなり広く、南側に窓がある。その向こうには陽の当たるテラスがあり、王都の景色を眺める事が出来た。
コニーも美裸の足元から部屋を覗く。ベッドがあるのを見たコニーはすぐにテテテッと走ってベッドの上によじ登った。
「べっど、ひさしぶり、ふかふか。コニー、べっどすき」
そう言うとコニーは大きなベッドの上でゴロゴロし始めた。
「夕食まで時間あるからね~。自由にしてていいよ~」
美裸の言葉に、コニーはだいふくと一緒にベッドの上で転がって遊んでいた。エリスはテラスに出て風に当たりながら、王都の景色を眺めている。
美裸は部屋で寛ぐ2人と1匹を見た後、大きな風呂が付いた洗面所に入ってドアを閉めた。洗面所の全身鏡の前に立った美裸は、スキルを発動した。
◇
ひとしきりスキルを弄り回した後、洗面所から出る美裸。チラッとベッドを見るとコニーがだいふくと一緒にくぅくぅ寝ていた。
エリスはテラスにあるビーチチェアに転がって陽に当っている。それを見た美裸はそっとドアを開けて部屋を出た。
階段を降りてそのまま黙ってカウンターの前を通り抜けようとした美裸を、宿屋の主人が止める。
「…おい、ちょっと待て。お前…美裸だよな(笑)?」
スキルを使って髪型、髪色、顔、体格と全てを変えていた美裸だったがすぐに宿屋の主人にバレてしまった。
「あ、解りました(笑)?」
「そんなスタイルの良い美人、この宿屋に泊りに来てた記憶なんてないからな(笑)!!」
「おじさん、わたしちょっと出掛けてくるから。2人が下りてきたら夕食までには戻るって伝えといて…」
「それは良いけどよ。お前、宿出る時は本来の姿で頼むわ。他のヤツだと区別が付かんかもしれんからな…」
「は~い。今度から気を付けま~す(笑)」
手を振りつつ、美裸はある場所へと向かった。
◇
それから1時間程して、エリスは美裸が部屋にいない事に気が付いた。ベッドの上ではコニーが眠そうに目を擦っている。
「…コニー。美裸はどこ行ったの?」
エリスに聞かれたコニーは、目を擦りつつ周りを確認する。
「…さっき、おふろのとこ、入るのみた…」
「それがどこにもいないのよ…。どうしよう、こんないい宿屋の宿泊料金、わたしだけじゃ払えないよ…」
不安そうな表情のエリスを、ベッドの上に座ったままのコニーが見上げる。
「…だいじょうぶ、みら、だいふくおいていくわけない。下のおじさんとおばさんにはなしきく…」
そう言ってコニーはベッドから飛び降りると、部屋の外へ出て行った。慌てて後を追うエリス。
コニーはジャンプしてあっという間に階段を飛び降りると、1階のカウンターへ行ってしまった。エリスは必死に階段を駆け降りてコニーの後を追う。
「おじさん、みら、いない。どこいった?」
「…おじさん、どうしよう。美裸がいないのよ…」
聞かれた宿屋の主人は、コニーと遅れて降りて来たエリスを見て答える。
「…あぁ、アイツならちょっと出掛けてくるって出て行ったぞ?」
それを聞いたエリスとコニーが顔を見合わせる。
「やっぱりだ、みら、でかけてる。だいふくおいていくわけない」
宿屋の主人の言葉に、ホッとした表情のエリス。
「…それで、どこに行くとか言ってました?」
「いや、2人が下りてきたら夕食までには戻るって伝えてくれって…出て行ったぞ?」
「…そう、良かった~。黙っていなくなったからまさか置いて行かれたかと思った(笑)」
「アイツ、そういうとこ無頓着だな~。俺が注意しといてやるよ!!」
2人を安心させるように言う主人に、むとんちゃくってなんだ?とコニーが聞いていた。その時、いつも通りの美裸が帰ってくる。手には袋を下げていた。
「あぁ、2人ともごめん。ちょっとした用を思い出してね~。夕食までに時間あるから出掛けてたのよ~」
そんな美裸にダメ出しする主人。
「お前、友達に黙って出かけるのは良くないぞ?そう言うのは信頼関係に響くからな?気を付けろよ?」
「…あ、そうだったね。ごめんなさい。今度から出掛ける時はちゃんと伝えるね…」
「ホント、マジで心配したんだからね?わたし、置いて行かれたかと思ったんだから(笑)!!」
「コニー、しんぱいしてない。みら、だいふくおいていくわけない」
「そうだよ~。わたしはだいふく置いて消えるわけないからね~(笑)」
そう言いつつ3人と1匹は、そのまま夕食を食べる為にカウンターの奥にある料理屋スペースに移動した。
◇
「久しぶりに豪華な食事が出来たよ。いや~、ホント満足です(笑)」
そう言って笑うエリス。
「コニーも、ひさしぶり。おにく、たべた。コニーもまんぞく(笑)」
そう言ってケラケラ笑うコニー。
夕食を食べた3人と1匹は5階の部屋に戻ると、お風呂に入る。その後、ベッドに潜り込んだ。その時、だいふくを横に寝かせてベッドに入ったコニーが2人を見てお話をしてくれとせがんだ。
「コニー、ねるのとき、かかさま、おはなし、してくれた。おはなしききたい」
そう言われた美裸とエリスが顔を見合わせる。
「…わたしはそう言うの知らないからな~…」
「うーん。それじゃ、わたしがお話して上げようかな~」
お話が得意でないと言うエリスに代わって美裸がお話をする事になった。そして美裸の昔話のパロディが始まる。
「昔々、天の川と言う国に、彦坊と織女という恋人がいました。しかし彦坊と織女の両家は敵対勢力だった為に、1年に1度だけしか会う事が出来なかったのです…」
(…ふむふむ。なんか色々混ざってる気がするけど面白そうな話ね…)
エリスはベッドの中、目を閉じて美裸の語りに耳を傾ける。コニーもワクワクしながらベッドの中で目を閉じていた。
「1年に1度しか会えず、その時にしか愛を交わす事が出来ない。そんな2人はいつも悶々として日々を過ごしていました…」
(…うんうん、それから2人はどうなるのよ…)
「しかしそんなある日、溜まりに溜まってクラブで踊っていた織女に、バッドなイケメンが声を掛けて来たのです…」
(…何だ?バッドなイケメンって…なんか不穏だな…)
「バッドなイケメンに声を掛けられ、溜っていた織女はお酒が入っていた事もあり、そのバッドメンの誘いを受けてしまったのです…」
(…オイオイ、織女さん、それはちょっとまずいんじゃないの…?)
「そんな織女は、個室でバッドメンにそのカラダを預けてしまった…。そう!!織女は寝〇られエッチをしてしまったのです!!」
ベッドから飛び起きたエリスは、隣で寝ている美裸の胸元を掴む。
「…ウオォォイィッ!!美裸アァァッ!!子供にそんな話聞かせるなよおォォォ…!!」
その瞬間、目をパチッと開くコニー。
「みら、ね〇られえっちってなんだ?」
「コニーッ!!子供はそんな事知らなくていいのッ!!美裸ァッ!!子供に変な事教えないでよッ!!」
「まぁまぁ、そんなに興奮しなさんなって、エリスさんや(笑)」
その時、階下から大きな声が飛んできた。
「オイッ!!お前らッ!!静かに寝ろッ!!他のお客さんに迷惑だろうがッ!!」
「おじさんっ、ごめーんっ!!なんかエリスが凄く興奮しちゃって…」
「…ちょっ…違うでしょうがァッ!!美裸!!アンタがッ…」
「…まぁまぁ、エリスさん。落ち着いて。またおじさんに怒られるよぉ(笑)」
「…くッ、何でわたしが悪いみたいになってるのよ…」
エリスの猛烈なダメ出しを受けた美裸は、今度は真面目に『桃太郎』と『泣いた赤鬼』を混ぜたパロディを話した。
「…かかさまのはなし、にてる…」
その昔話を聞きつつ、スヤスヤと眠りに入るコニー。そして安心したのかエリスもベッドの中、静かに目を閉じた。エリスが眠りに入ろうとしたその時、隣でぼそぼそと呟く声が聞こえた。
(…何?美裸の寝言…?)
エリスが静かに耳を傾ける。
「…昔々、ある所にヨネというお婆さんがおじいさんと住んでいました。しかしある時、おじいさんは山の芝刈りで事故に遭って死んだのです…」
(…芝刈りで死ぬ事ってあるの…?)
「一人になってしまったヨネさんを心配した、近所のソデさんというおばあさんは毎日、ヨネさんを訪ねて話をしていました…」
(…お爺さんを亡くしたばかりだからね~…)
「…しかしそんなソデさんに、近所のお婆さんが話掛けて来たのです。どうしていつもアナタはヨネさんの所へ行ってるのかと…。ソデさんはヨネさんが一人で心配だと言いました…」
(…そうそう。独居老人は心配だよね…)
「そんなソデさんに、近所のお婆さんがこう言ったのです…。ヨネさんならダンナさんが亡くなった次の日に縁側で首を吊ってもう死んでるよ、と。その時、ソデさんはゾッと…」
その瞬間、ベッドから飛び起きるエリス。美裸の胸倉を掴むと、激しく揺さぶった。
「オイィィッ!!こっちがゾッとするわッ!!何で今、怖い話すんのよッ!!」
「いや、エリスも眠れないかな~なんて思って(笑)」
「怖い話とか聞くと余計に眠れんでしょうがッ!!」
その時、再び階下から主人の怒号が飛んできた。
「オイッ、お前ら!!いい加減、静かに寝ろッ!!」
「おじさん、ごめーんっ!!またエリスが興奮しちゃって(笑)」
「オイィッ!!アンタのせいでしょうがッ!!」
「あははっ、ごめんごめん。代りにエロい話でもしようか(笑)?」
「いや、どっちも話さなくていいからッ!!アンタは早く寝て!!」
エリスに激しく突っ込まれた美裸は仕方なく、眠りに付いた。暫くして二人が寝たのを確認した美裸はスキルを使って変身した後、こっそりと部屋を出た。
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最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
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