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プロローグ、ペンは剣よりも強し編
爆裂ボカン。
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翌朝、少しでも良い依頼を受ける為に、美裸達はギルドで依頼ボードを確認していた。朝起きてから、やたらとあくびをする美裸をチラッと見るエリス。
「…美裸、なんか眠そうだね。眠れなかったの?」
「…そうだね~…昨日、怖い話したせいなのかな~。眠りが浅くてね~(笑)。それより良い依頼あった~?」
美裸に言われて、エリスは改めて依頼ボードを見る。
この世界におけるギルドの依頼には、ボードに張り出されている依頼と、カウンターで斡旋する依頼がある。ボードに出されている依頼は一般的なダンジョン探索や退治依頼、採集依頼など。ギルドカウンターで斡旋している依頼は、誰も受けない依頼や、表に出せない調査依頼などがあった。
ギルドとは別に、有名なハンターや、ハンターPT等には個人から仕事を依頼される事もある。美裸達はPTランクも個人のハンターランクも低いので、まずはギルドの依頼を着実に熟していく必要があった。
ボードを見ているがこれと言って良い依頼はない。仕方ないのでカウンターで良さげな依頼を探して貰う事にした。いつものカウンターには、ミカではなく別の受付の女性が座っていた。
「おはようございます、サラさん。ボードに良い依頼が無くてですね…わたし達に出来そうな退治依頼とかダンジョン調査とかないですか?」
エリスがカウンターに行って、サラと呼ぶ女性に依頼の斡旋を頼む。
「おはよう、エリス。昨日は凄かったみたいね。一気にレベル上がったって?」
「えぇ、久しぶりにレベルが上がって幾つかスキルも習得したんですよ」
会話しつつ、サラは昨日修正されたエリスPTの情報に目を通し、該当する依頼台帳を後ろの本棚から取り出す。
「PTランクがEか…。Eランクで退治依頼もダンジョン調査も今の所は出てないね~…」
そう言いつつ台帳をパラパラと捲るサラ。
美裸、コニー、だいふくはその間、ギルドの飲食スペースで朝のティータイムをしていた。
台帳を捲るサラの手が止まる。
「…エリス、遺跡調査依頼とかどう…?」
「遺跡調査?ですか…?」
遺跡調査と言われてエリスは一瞬、顔を曇らせた。『遺跡調査依頼』と言えば王国の大学等から出される遺跡の中の遺物や、歴史的価値のあるモノを探す調査依頼だ。
更に遺跡の安全性の確認も含まれていた。
ダンジョンと違い、モンスターが出る確率は低いが、絶対に危険はないという保証もなかった。何より賞金と報奨金がかなり安いので引き受けるPTがほとんどいないのが現状である。
受けるハンターがいるとすれば、高ランクハンターで金と暇があり、その遺跡に興味がある様な者でなければ受けてくれない。しかし高ランクハンターになればなる程、稼ぎの良い依頼しか受けない。
つまり、誰も受けない依頼だった。渋い顔のままのエリスに、サラが説明をする。
「ランクを上げて行く上ではこういう依頼を受けておくのも悪くないよ?確かに賞金も報奨金も安いけど、大学やギルドからの信頼アップにも繋がるし、もし高価な遺物に当たれば一攫千金って事もあり得るからね…」
そんなサラの説明にエリスは、皆と相談してきます。と言って一度、カウンターを離れた。
◇
「…と言う訳なんだけど…」
紅茶を飲みつつ、美裸とコニーに遺跡調査依頼について話すエリス。その説明を聞いたコニーが美裸に質問する。
「みら、いせきってなんだ?」
「昔々の古い建物とか街とかだよ~」
「…ふーん。ふるいのか…。ボカンやったらダメか?」
「あー、そうだね。遺跡でボカンは良くないね~(笑)」
二人の会話にエリスが困惑する。
「…その不穏な『ボカン』って、何よ…?」
「えっ?そのまんまだけど(笑)?」
そう言いつつ美裸がシャドーでパンチを撃つ真似をする。
「…あぁ、そういう事ね…。確かに遺跡でボカンはダメよ…」
ようやく二人の会話を理解したエリスは、改めて美裸に確認を取る。
「どうする?稼ぎとしては良くないけど…」
「別に受けても良いと思うよ~?運が良ければ遺物とかあるんでしょ?」
「まぁねー。ただ賞金と報奨金が安いんだよね…」
「…じゃ、効率を考えて午前中にその遺跡調査終わらせて、午後からまた別の依頼探せばいいじゃん(笑)」
美裸に軽く言われて、エリスは考えた。
「遺跡の規模とか確認して、午前中に終わりそうなら受けようか?」
「そうだね~。一度カウンターで確認してみよ~」
ティータイムと相談を終えた3人は席を立ってカウンターに向かう。椅子からびょんっと飛び降りて、だいふくを美裸の元に戻そうとしたコニーに、美裸が言う。
「コニー、だいふくと一緒にいて良いよ~(笑)」
「そうか!?みら、いいやつ。あいがとう」
そう言うと、コニーは嬉しそうに、だいふくを小脇に抱っこして二人に付いて行った。
調査依頼が出ている遺跡は、今の王国が出来るもっと昔、巨大帝国が5千年程前に建築した地下闘技場跡だった。この遺跡は、比較的早くに発見されていたものの、調査を受ける者がおらず手付かずでそのままになっていた。
『古代地下闘技場デスモータル』
地下2階層まである古代遺跡である。地下闘技場である為に広さはさほどでもなく、何とか午前中には終わりそうな案件だった。
遺跡調査依頼を受けた3人と1匹は早速、王都南西部にある古代地下闘技場に向かった。
◇
現場に到着した一行は、早速遺跡へと侵入する。ダンジョンと違いトラップなどはなかったが、放置されている間にモンスターが住み付いている可能性もあったので用心しつつ門から中へと入った。
左手側に地下へと続く螺旋階段があり、そこを用心しながら進んでいく。
地下1階。剣闘士達の控室、医務室、食糧庫と剣闘士達の居住スペースがあった。古代の戦闘装備、医療器具、文字の刻まれた石、古代のコインなど、目ぼしい物を拾っていく。
入って来た地下1階の入り口から通路に出て、再び地下へと降りた。
地下2階は深く広い地下空間があり、そこに闘技場が造られていた。地下闘技場の北側、客席の一角に皇帝の座る席があり、その真下に台座と石板が置かれていた。
どうやら古代文字が刻まれているようだったが、美裸もエリスも古代文字など知らないので全く読めなかった。
「これ、どうしよう?一応、持って帰る?」
「うーん、歴史的価値はありそうだけどね~。たぶんお金にはなりそうにないよね~(笑)」
話す二人の後ろから、コニーがじっと石板を見る。
「…この…せきばん…ふれるもの…たたかう…せんし、ちかう…」
「…コニーッ!?何で読めるの!?」
エリスが驚いて振り返る。石板をじっと見たまま、コニーが答える。
「…コニーのかかさま、こだいもじ、よめる。でもコニー、べんきょうきらい、だからよむ、すこしだけ…」
コニーが一部、解読したと同時に石板の刻まれた文字が光り始めた。
それを見て、石板をどうするか慎重に考えるエリス。
「とりあえず調査用に持って帰って大学に上げたら喜ぶんじゃない?」
そう言いつつ、石板を手に取る美裸。
「…ちょっと!!何で触るの美裸ッ!!まだ安全かどうか解らないでしょッ!?」
慌てて止めるエリスだったが、既に美裸は石板を手に取って、縮小処理していた。同時に、辺り一帯に地響きが起こる。慌ててポケットに石板を入れた美裸は闘技場の奥を見た。
「…おおっ!!。なんか凄そうなのが出て来たね~(笑)」
地響きと共に闘技場の真ん中に現れたのは、体長5メートルを超える、怨念の集まった巨大幽霊剣闘士だった。それを見た美裸が笑いながら言う。
「コニー、ボカン出来るかもよ~(笑)?」
そんな美裸に、石板の続きを見せろと言うコニー。美裸は、ポケットから取り出した石板をコニーに渡す。急いで続きを解読するコニー。
「…さいしょ、ふれた、もの…たたかう…。さいしょにさわったのみら、コニー、ボカンできない…」
「…あらら。そっかぁ、しょうがないね~。じゃ、わたしがやりますか~(笑)」
こんな状況でも美裸は余裕だった。昨日、宿屋に戻ってから、2人と1匹が寛いでいる間に、美裸はスキルを弄り回していたのだ。ミラに続く第3のキャラを創ると共に、美裸はいつくかの攻撃トラップもスキルで事前に創っていた。
その際に、またレベルが飛び級で上がっていたのだ。
トコトコと闘技場の中央に歩いて行った美裸は、現れた巨大幽霊剣闘士を見上げる。
「…ふむ。集合霊、怨念剣闘士か…レベルはっ、と…ほほぅ!!わたしと互角じゃないですか(笑)!!」
宿屋でスキルを使い、先程石板を縮小処理した為に、美裸のレベルは58まで上がっていた。更にスキルに『巻き戻し』能力が付いた。
目の前の怨念剣闘士もレベル58だ。しかし、近づいてくる美裸に攻撃をしようとして巨大な剣を振り下ろした瞬間、美裸の強制停止範囲で動きを止められた。
5メートルを超える巨大剣闘士が、動けず美裸の前でガクガクと揺れる。
「…さて。ヤリますか(笑)!!トラップ、100トンハンマー発動っ!!」
美裸が叫んだと同時に、怨念剣闘士の両側に振り子の様に逆様になった超巨大ハンマーが現れた。瞬間、そのハンマーが両側から振り子の様に、巨大剣闘士を両側から挟んで一気に押し潰す。
「必殺っ!!ジャンク〇ラーッシュッ(笑)!!」
両側から怨念剣闘士に炸裂した巨大ハンマーは、その鎧を簡単に粉砕した。
しかし、鎧はバラバラに砕け散ったものの、砕けた鎧から開放された無数の亡者達が抜けだし、絶叫しつつ美裸に襲い掛かる。
「気を付けてッ!!美裸ッ!!」
叫ぶエリス。その後ろで、ポケットからそっとメリケンサックを出して右手に装着するコニー。しかし二人の心配をよそに、余裕の美裸。
「幽霊に怯むほど、わたしはか弱くないわよ(笑)?どっちかって言うと図太いよ。体型じゃなくて精神の方がね~(笑)」
そう言うと美裸は、続けてトラップ2を発動させた。色々な対モンスターを考えて作り出したトラップの中で、対ゴーストのトラップも準備していた。
美裸の目の前に、強力な対怨霊の真言を無数に書き込んだ透明で巨大な球が現れる。
真言の球体が亡者を囲い込んでどんどん小さくなっていく。
「あははっ、大人しく成仏して頂戴な~(笑)」
「…アァァァァァッ…」
苦しみ悶える無数の亡者が真言の球体によって一気に圧縮されていく。そして一筋の光となり、無数の魂が天へと召された。
予想外の戦闘ではあったが、亡者も簡単に処理して戦闘は終わった。美裸は一気にレベル62まで上がり、スキルに『透過モード』が付いた。
その直後、突然遺跡全体が揺れ始めた。地鳴りと共にパラパラと遺跡の壁が崩れ掛けている。
「…えェッ、さっきのダンジョンボスとかじゃないよね!?何でいきなり揺れるのよッ!!ヤバいッ!!もう崩れ始めてるよッ!!このままだと生き埋めになるッ!?美裸、どうするのッ…!?」
慌てるエリスの前、のんびり降りてきた方向を確認する美裸。
「…うーん、ちょっと待って…。えーっと二周回って降りて来たから、近いのはあっちか!!コニー出番よ!!、あっちの方向、斜め上にボカンやってっ!!」
「みら、ボカン、小さいボカン、中くらいのボカン、でっかいボカンある、どれする?」
どうやらコニーの攻撃には小、中、大と威力が三段階ある様だ。考える美裸。
「美裸、躊躇してらんないよ、どうするのッ!?」
エリスに言われた美裸は、考えるのがめんどくさくなった。どうせ壊れても後からなんとでもなるか…。そう思った美裸は即決した。
「よし!!コニーあっちの斜め上にでっかいボカン、思いっ切りぶつけちゃって!!」
「わかった、でっかいの、やる」
そう言うとコニーは少し足を開いて、膝を曲げる。そして小さな右腕を少し引くと、一気に突き出した。
『びっぐばんくらっしゅっ!!』
コニーが叫んだ瞬間、小さな拳から巨大な拳圧が流星のように一気に広範囲に飛んでいく。
その瞬間、凄まじい衝撃音と共に辺りは真っ白になった…。
3人と1匹のいた場所から斜め上に天井が開けて青い空が見えた。結果から言うと闘技場地下2階の奥から、コニーの爆裂ボカン『ビッグバンクラッシュ』が炸裂し、遺跡は半壊した…。
周囲に人がいなかった為、幸いにも巻き込まれた人はいなかった。
何とか生き埋めを回避した3人と1匹だったが、ギルドに戻った後、依頼を出した大学とギルドマスターにめちゃくちゃ怒られた…。
「…美裸、なんか眠そうだね。眠れなかったの?」
「…そうだね~…昨日、怖い話したせいなのかな~。眠りが浅くてね~(笑)。それより良い依頼あった~?」
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この世界におけるギルドの依頼には、ボードに張り出されている依頼と、カウンターで斡旋する依頼がある。ボードに出されている依頼は一般的なダンジョン探索や退治依頼、採集依頼など。ギルドカウンターで斡旋している依頼は、誰も受けない依頼や、表に出せない調査依頼などがあった。
ギルドとは別に、有名なハンターや、ハンターPT等には個人から仕事を依頼される事もある。美裸達はPTランクも個人のハンターランクも低いので、まずはギルドの依頼を着実に熟していく必要があった。
ボードを見ているがこれと言って良い依頼はない。仕方ないのでカウンターで良さげな依頼を探して貰う事にした。いつものカウンターには、ミカではなく別の受付の女性が座っていた。
「おはようございます、サラさん。ボードに良い依頼が無くてですね…わたし達に出来そうな退治依頼とかダンジョン調査とかないですか?」
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「おはよう、エリス。昨日は凄かったみたいね。一気にレベル上がったって?」
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「PTランクがEか…。Eランクで退治依頼もダンジョン調査も今の所は出てないね~…」
そう言いつつ台帳をパラパラと捲るサラ。
美裸、コニー、だいふくはその間、ギルドの飲食スペースで朝のティータイムをしていた。
台帳を捲るサラの手が止まる。
「…エリス、遺跡調査依頼とかどう…?」
「遺跡調査?ですか…?」
遺跡調査と言われてエリスは一瞬、顔を曇らせた。『遺跡調査依頼』と言えば王国の大学等から出される遺跡の中の遺物や、歴史的価値のあるモノを探す調査依頼だ。
更に遺跡の安全性の確認も含まれていた。
ダンジョンと違い、モンスターが出る確率は低いが、絶対に危険はないという保証もなかった。何より賞金と報奨金がかなり安いので引き受けるPTがほとんどいないのが現状である。
受けるハンターがいるとすれば、高ランクハンターで金と暇があり、その遺跡に興味がある様な者でなければ受けてくれない。しかし高ランクハンターになればなる程、稼ぎの良い依頼しか受けない。
つまり、誰も受けない依頼だった。渋い顔のままのエリスに、サラが説明をする。
「ランクを上げて行く上ではこういう依頼を受けておくのも悪くないよ?確かに賞金も報奨金も安いけど、大学やギルドからの信頼アップにも繋がるし、もし高価な遺物に当たれば一攫千金って事もあり得るからね…」
そんなサラの説明にエリスは、皆と相談してきます。と言って一度、カウンターを離れた。
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「…と言う訳なんだけど…」
紅茶を飲みつつ、美裸とコニーに遺跡調査依頼について話すエリス。その説明を聞いたコニーが美裸に質問する。
「みら、いせきってなんだ?」
「昔々の古い建物とか街とかだよ~」
「…ふーん。ふるいのか…。ボカンやったらダメか?」
「あー、そうだね。遺跡でボカンは良くないね~(笑)」
二人の会話にエリスが困惑する。
「…その不穏な『ボカン』って、何よ…?」
「えっ?そのまんまだけど(笑)?」
そう言いつつ美裸がシャドーでパンチを撃つ真似をする。
「…あぁ、そういう事ね…。確かに遺跡でボカンはダメよ…」
ようやく二人の会話を理解したエリスは、改めて美裸に確認を取る。
「どうする?稼ぎとしては良くないけど…」
「別に受けても良いと思うよ~?運が良ければ遺物とかあるんでしょ?」
「まぁねー。ただ賞金と報奨金が安いんだよね…」
「…じゃ、効率を考えて午前中にその遺跡調査終わらせて、午後からまた別の依頼探せばいいじゃん(笑)」
美裸に軽く言われて、エリスは考えた。
「遺跡の規模とか確認して、午前中に終わりそうなら受けようか?」
「そうだね~。一度カウンターで確認してみよ~」
ティータイムと相談を終えた3人は席を立ってカウンターに向かう。椅子からびょんっと飛び降りて、だいふくを美裸の元に戻そうとしたコニーに、美裸が言う。
「コニー、だいふくと一緒にいて良いよ~(笑)」
「そうか!?みら、いいやつ。あいがとう」
そう言うと、コニーは嬉しそうに、だいふくを小脇に抱っこして二人に付いて行った。
調査依頼が出ている遺跡は、今の王国が出来るもっと昔、巨大帝国が5千年程前に建築した地下闘技場跡だった。この遺跡は、比較的早くに発見されていたものの、調査を受ける者がおらず手付かずでそのままになっていた。
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遺跡調査依頼を受けた3人と1匹は早速、王都南西部にある古代地下闘技場に向かった。
◇
現場に到着した一行は、早速遺跡へと侵入する。ダンジョンと違いトラップなどはなかったが、放置されている間にモンスターが住み付いている可能性もあったので用心しつつ門から中へと入った。
左手側に地下へと続く螺旋階段があり、そこを用心しながら進んでいく。
地下1階。剣闘士達の控室、医務室、食糧庫と剣闘士達の居住スペースがあった。古代の戦闘装備、医療器具、文字の刻まれた石、古代のコインなど、目ぼしい物を拾っていく。
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どうやら古代文字が刻まれているようだったが、美裸もエリスも古代文字など知らないので全く読めなかった。
「これ、どうしよう?一応、持って帰る?」
「うーん、歴史的価値はありそうだけどね~。たぶんお金にはなりそうにないよね~(笑)」
話す二人の後ろから、コニーがじっと石板を見る。
「…この…せきばん…ふれるもの…たたかう…せんし、ちかう…」
「…コニーッ!?何で読めるの!?」
エリスが驚いて振り返る。石板をじっと見たまま、コニーが答える。
「…コニーのかかさま、こだいもじ、よめる。でもコニー、べんきょうきらい、だからよむ、すこしだけ…」
コニーが一部、解読したと同時に石板の刻まれた文字が光り始めた。
それを見て、石板をどうするか慎重に考えるエリス。
「とりあえず調査用に持って帰って大学に上げたら喜ぶんじゃない?」
そう言いつつ、石板を手に取る美裸。
「…ちょっと!!何で触るの美裸ッ!!まだ安全かどうか解らないでしょッ!?」
慌てて止めるエリスだったが、既に美裸は石板を手に取って、縮小処理していた。同時に、辺り一帯に地響きが起こる。慌ててポケットに石板を入れた美裸は闘技場の奥を見た。
「…おおっ!!。なんか凄そうなのが出て来たね~(笑)」
地響きと共に闘技場の真ん中に現れたのは、体長5メートルを超える、怨念の集まった巨大幽霊剣闘士だった。それを見た美裸が笑いながら言う。
「コニー、ボカン出来るかもよ~(笑)?」
そんな美裸に、石板の続きを見せろと言うコニー。美裸は、ポケットから取り出した石板をコニーに渡す。急いで続きを解読するコニー。
「…さいしょ、ふれた、もの…たたかう…。さいしょにさわったのみら、コニー、ボカンできない…」
「…あらら。そっかぁ、しょうがないね~。じゃ、わたしがやりますか~(笑)」
こんな状況でも美裸は余裕だった。昨日、宿屋に戻ってから、2人と1匹が寛いでいる間に、美裸はスキルを弄り回していたのだ。ミラに続く第3のキャラを創ると共に、美裸はいつくかの攻撃トラップもスキルで事前に創っていた。
その際に、またレベルが飛び級で上がっていたのだ。
トコトコと闘技場の中央に歩いて行った美裸は、現れた巨大幽霊剣闘士を見上げる。
「…ふむ。集合霊、怨念剣闘士か…レベルはっ、と…ほほぅ!!わたしと互角じゃないですか(笑)!!」
宿屋でスキルを使い、先程石板を縮小処理した為に、美裸のレベルは58まで上がっていた。更にスキルに『巻き戻し』能力が付いた。
目の前の怨念剣闘士もレベル58だ。しかし、近づいてくる美裸に攻撃をしようとして巨大な剣を振り下ろした瞬間、美裸の強制停止範囲で動きを止められた。
5メートルを超える巨大剣闘士が、動けず美裸の前でガクガクと揺れる。
「…さて。ヤリますか(笑)!!トラップ、100トンハンマー発動っ!!」
美裸が叫んだと同時に、怨念剣闘士の両側に振り子の様に逆様になった超巨大ハンマーが現れた。瞬間、そのハンマーが両側から振り子の様に、巨大剣闘士を両側から挟んで一気に押し潰す。
「必殺っ!!ジャンク〇ラーッシュッ(笑)!!」
両側から怨念剣闘士に炸裂した巨大ハンマーは、その鎧を簡単に粉砕した。
しかし、鎧はバラバラに砕け散ったものの、砕けた鎧から開放された無数の亡者達が抜けだし、絶叫しつつ美裸に襲い掛かる。
「気を付けてッ!!美裸ッ!!」
叫ぶエリス。その後ろで、ポケットからそっとメリケンサックを出して右手に装着するコニー。しかし二人の心配をよそに、余裕の美裸。
「幽霊に怯むほど、わたしはか弱くないわよ(笑)?どっちかって言うと図太いよ。体型じゃなくて精神の方がね~(笑)」
そう言うと美裸は、続けてトラップ2を発動させた。色々な対モンスターを考えて作り出したトラップの中で、対ゴーストのトラップも準備していた。
美裸の目の前に、強力な対怨霊の真言を無数に書き込んだ透明で巨大な球が現れる。
真言の球体が亡者を囲い込んでどんどん小さくなっていく。
「あははっ、大人しく成仏して頂戴な~(笑)」
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苦しみ悶える無数の亡者が真言の球体によって一気に圧縮されていく。そして一筋の光となり、無数の魂が天へと召された。
予想外の戦闘ではあったが、亡者も簡単に処理して戦闘は終わった。美裸は一気にレベル62まで上がり、スキルに『透過モード』が付いた。
その直後、突然遺跡全体が揺れ始めた。地鳴りと共にパラパラと遺跡の壁が崩れ掛けている。
「…えェッ、さっきのダンジョンボスとかじゃないよね!?何でいきなり揺れるのよッ!!ヤバいッ!!もう崩れ始めてるよッ!!このままだと生き埋めになるッ!?美裸、どうするのッ…!?」
慌てるエリスの前、のんびり降りてきた方向を確認する美裸。
「…うーん、ちょっと待って…。えーっと二周回って降りて来たから、近いのはあっちか!!コニー出番よ!!、あっちの方向、斜め上にボカンやってっ!!」
「みら、ボカン、小さいボカン、中くらいのボカン、でっかいボカンある、どれする?」
どうやらコニーの攻撃には小、中、大と威力が三段階ある様だ。考える美裸。
「美裸、躊躇してらんないよ、どうするのッ!?」
エリスに言われた美裸は、考えるのがめんどくさくなった。どうせ壊れても後からなんとでもなるか…。そう思った美裸は即決した。
「よし!!コニーあっちの斜め上にでっかいボカン、思いっ切りぶつけちゃって!!」
「わかった、でっかいの、やる」
そう言うとコニーは少し足を開いて、膝を曲げる。そして小さな右腕を少し引くと、一気に突き出した。
『びっぐばんくらっしゅっ!!』
コニーが叫んだ瞬間、小さな拳から巨大な拳圧が流星のように一気に広範囲に飛んでいく。
その瞬間、凄まじい衝撃音と共に辺りは真っ白になった…。
3人と1匹のいた場所から斜め上に天井が開けて青い空が見えた。結果から言うと闘技場地下2階の奥から、コニーの爆裂ボカン『ビッグバンクラッシュ』が炸裂し、遺跡は半壊した…。
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ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
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