異世界召喚された地味子、王宮から追い出されたので特殊固有スキルでエロと共に暴れ回る。

駄犬X

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プロローグ、ペンは剣よりも強し編

エコロジー精神。

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 エリス、コニー、ランスの三人が見守る中、美裸は封印されていたはずの岩から噴き出してきた濃く黒い霧に覆われてしまった。

 黒い霧に包まれて姿が見えなくなった美裸を心配したエリスは、ランスとコニーを見る。

「…大丈夫。ちゃんとスキルは発動しているようです…」

 その言葉にホッとしたものの、だいふくがいなくなってる事に気付いたエリスが焦る。

「…あれっ?だいふくは?どこ行った?」
「だいふく、みらといっしょ、しんぱいない」

 コニーがいつも小脇に抱っこしていたので忘れていたが、だいふくは一応、美裸の従魔なのだ。改めて、美裸とだいふくを完全に飲み込んでしまった黒く濃い霧を見たエリスは無事を祈っていた。



 美裸は、突然取り囲んだ黒い霧を観察していた。封印されていると聞いていたが突然、霧が噴き出してスキル発動がギリギリになり、全身を囲まれてしまった。

 美裸自身のスキル発動の意思は完全に遅れていたが、ぺろすの装備を弄った際にレベルが78に上昇し、スキルに危険感知とスキル自動発動が付いていた。

 改めて『イビルロード』のステータスを確認した美裸は、思わず笑ってしまった。

 イビルロード、レベル60。古代の戦場で死んでいった者達の怨念が集合体になった怨霊の塊。

「『イビルロード』か。怨霊の王?って言ってもこんなもんですか(笑)?」

 美裸は軽く笑っていたが、この世界におけるSランクハンターが退治出来ず、何とか封印まで持って行った相手である。怨霊の王を前に余裕で笑っている者など、美裸とコニー以外ではいないだろう。

「…さて、さっさと終わらせるかな~」

 一人呟く美裸のポケットからカラダを乗り出しただいふくが霧の一部をもしゃもしゃ齧っていた。

「…あらら、だいふく、食べるのはまだ早いよ~(笑)」

 美裸の言葉を聞いただいふくは霧から離れると、ぺっぺっと黒い霧の一部を吐き出した。

「…え、餌…が来た…。に、ニンゲン…取り込んで…やる…」
「おっ!?わたしのスキル範囲内で喋る事が出来るのか~。さすがギルドのSランクが手こずるだけはあるね~」

 軽口を叩く美裸の前で怒りを見せるように黒い霧の怨念がより強力になっていく。

「…たわけた小娘がッ!!死んで我の一部となるが良い!!『呪音凶殺』!!」

 イビルロードが声を上げた瞬間、ム〇クの叫びの様に呪われた魂達が絶叫を上げながら美裸とだいふくに襲い掛かってくる。

 しかし、美裸は呪われた魂達を睨み付けるように強く意識をぶつける。その瞬間、スキル範囲内に強い思念力が全方位に向けて拡がっていく。呪われた魂達の動きは完全に止まり、全く何も出来なかった。

 それ見た美裸は反撃の為に釘バットを取り出す。そして釘バットに強い恨み念を注入する。美裸は今まで自分を散々バカにしてきたヤツらを思い出していた。

 その強い恨みの念を釘一本一本まで纏わせると、ハエを叩き落す様に呪われた魂を一体づつ釘バットで叩き落していく。

 美裸は野球をやった事がないのでスイングが無茶苦茶だったが、込めた強い念に引っ張られるように呪われた魂達がバットにぶつかっては散っていく。

 そしてその散った呪われた魂達が釘バットにどんどん吸収されていく。只の釘バットだったものが今や『呪殺釘バット』という立派な呪いの武器となった。

「…お、おのれ…小癪な…大人しく、我の…い、一部となるのだ…」

 瞬間、美裸とだいふくの周りに念力による嵐が起こり、無数のリンゴ大の岩石が襲い掛かってきた。しかしその岩石でさえも美裸に最接近するとその動きを完全に止めてしまった。

 美裸はその岩石を、片っ端から釘バットで打って打って打ちまくる。

「そして時は動き出す(笑)!!『再生』!!」

 再生された瞬間、無数の岩石は流星雨の様にイビルロードに襲い掛かかり、封印されているその身体に穴を開け削り取っていった。

「…グォォッ…わ、我の身体にダメージを与えるとは…しかし、しかしこれで封印は…解けたぞ…グフフフッ…」

 不気味な笑い声と共に、巨大な岩の形をしていたイビルロードがその身体を起こす。

 細く長い手足、異様に膨れ上がった腹、そして顔はやせこけた老人の様に頬がこけていた。しかしその落ち窪んでいた眼は異常に大きく赤く光を放っていた。

「おぉ~っ、やっとそれっぽい感じになったね~(笑)。でも別に強さは全然変わってないよね~(笑)」

 笑う美裸に、激怒するイビルロード。

「黙れ、小娘がッ!!今から我の『真の力』でお前を取り込み、完全体となってやる!!お前を取り込んで悪魔に昇格しその末席に名を連ねるのだ…ハアァァッ…」
  
 身体を起こしたイビルロードは体長3メートルを超えていた。そして口を大きく開くとその奥から瘴気を放つ。

「うわ~っ、凄い攻撃来た~っ、どうすればいいの~(笑)?(棒読み)」

 美裸は笑いながら、その瘴気をあっという間にスキルを使って消した。

「…なッ、なんだとッ…お前、どうやって瘴気を消したッ!?」 
「企業秘密で~す(笑)!!じゃ、次の攻撃どうぞ~(笑)」

 もう既にレベル80を超えていた美裸のスキル『エディットモード』は、その思念力に追い付く為に、加速度的に能力自体が上がっていた。

 強制停止効果を始めとして、スキルにおける全ての能力が強固なものになり続けているのだ。

「…うぬぬぬぬッ、小娘がァァァ、その余裕もこれまでだァァ…既にお前は我の術中に嵌っておるわ…グフフフ…」

 イビルロードを中心に、魔法陣が展開されていた。美裸はその魔法陣の範囲上に立っていたのだ。

「こ、これで…お前は何も出来ぬ…我が『お前の力』を全て吸い尽くしてやるわ…は、発動せよ。『魔吸尽悪食まきゅうじんあくじき』!!」

 発動ワードと共に、美裸の足元の魔法陣が光を放つ。

「…おっ?おおおっ!!これは面白い攻撃ですな~(笑)」

 魔法陣が、美裸の膨大な思念力を足元から吸い出し、イビルロードに流れているのが見えた。

「グフフフッ!!全てを吸い尽くしてやるッ!!お前をシワシワの搾りカスになるまで全てを吸ってやるわッ!!」
「…ふ~ん、出来るもんならどうぞ。やってみて下さいな~(笑)」

 そう言いつつ、美裸は自分から思念力をイビルロードへとどんどん流し込んでいく。

「…オォォォォ、素晴らしいッ!!この力があれば上級悪魔になる事も可能ぞ!!」
「あははっ!!笑っちゃうよね~(笑)。大層な名前が付いてる割に言う事が小さいわ~(笑)」
「…何だとッ!?この小娘がッ!!ならばお前は『この力』で何を目指すと言うのだッ!!」

 思わず鼻で笑う美裸。

「…フフッ、わたしなら『悪魔の王』目指すけどね~(笑)」
「…悪魔の王だと!?フンッ、人間如きが少しばかり力を持っていると言うだけでよくもそこまで増長出来たものだ!!どれ、最後の残りまで吸い尽くしてやるわッ!!」
「どーぞどーぞ(笑)!!しかしこれ以上いけます~(笑)?そろそろそちらさんの限界が来ると思うんですけど~(笑)」
「…何を言っておるのだ、この小娘は…恐怖で頭がおかしくなったのか!?」

 訝しむイビルロードは、目の前の美裸の良く解らない余裕に躍起になってその力を吸い続ける。しかし暫くすると、イビルロードの身体が異変を起こし始めた。

「…ぐッ、グォォ…ど、どう言う事だ…吸った力が漏れ出してしまうゥゥッ…」

 イビルロードは美裸の前で、突然藻掻き苦しみ始めた。そして全身に裂傷を起こし、気血と共に吸収した思念力のみならず、元々持っていた自らの魔力、思念力でさえも噴き出すのを止められなかった。

「…そッ、そんなッ!!何故ッ、一体何故こんな事がアァァァ…」

 それを見て笑う美裸。

「いや~、面白い!!ホント、面白かったよ~(笑)。わたしより弱いヤツがイキってるの見るとホント面白いわ~(笑)」
「…な、なん…だ、と…お、お前より…わ、我が…弱い…だと…」

 美裸にはイビルロードに確実に勝てる事が解っていた。最初からステータスが見えていたからだ。その中でもイビルロードの魔力は300台と高い方だったが、いかんせん思念力が800台しかなかったのである。

 美裸には思念力が1,000以上ある。近接戦に持ち込まれたとしても強制停止効果とエディットモードでどうとでもなる。美裸には負ける要素か無かった。

「残念でした~(笑)。イビルロードって言っても、わたしの思念力には勝てなかったね~(笑)」
「グオォォッ…、我がッ…人間如きに…あ、あり得ぬ…」
「アリエンヌ~(笑)。それがあるんだよね~(笑)」

 美裸はイビルロードに流し込んでいた膨大な思念力を止める。

「次はこっちの番だね~、イクよ~(笑)。いや、来るぅ~(笑)!!」

 笑いつつ、美裸はイビルロードの怨念を吸い上げるように思念力でイメージする。その瞬間、全てのエネルギーが逆流していく。

「…そんなバカな…。小娘、貴様何者…」
「何者って、ジョシコーセーですけど~(笑)」

 笑いながらどんどんイビルロードの怨念を吸っていく美裸。

「このまま完全消滅させちゃ勿体ないからね~。アンタの怨念の力、わたしが有効に使わせて貰うね~(笑)」

 そう言うと美裸は、凄絶な笑みを浮かべてイビルロードの強烈な怨念を、あっという間に吸い尽くし、残りカスだけにしてしまった。

「…このままだとだいふくが食べにくいよね~。チョイとミンチにして上げようかな~(笑)?」

 そう言いつつ、美裸は呪殺釘バットを振りかぶると、残りカスとなった塊を一気に叩き潰して小さな塊にしていく。

「ほら、だいふく、もう食べても良いよ~」

 美裸の言葉に、すぐにポケットから飛び出しただいふくは、嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねた後、イビルロードの残りカスを跡形もなく食べ尽くした。

「はい、これで消滅完了~(笑)。やっぱりわたしのネクラ思念力の敵じゃなかったね~(笑)。ではスキル解除っと…」

 その瞬間、美裸の全身が強い光を放った。
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