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プロローグ、ペンは剣よりも強し編
番外編、鬼桃ノ國。
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その昔、大陸の東の果てのある所に、不思議な国が興った。人と鬼が共存して住まう『鬼桃ノ國(きとうのくに)』である。
鬼桃の國は大陸の端に大きな島のような形で存在しているが、干潮時には潮が引いて道が現れ、大陸と繋がる。
始めそこは人と鬼が別々に生活する島国だった。しかしその外見から恐れを感じていた人族政府は、ふらりとその国を訪れた噂の最強ハンター、桃 姫子に鬼退治を依頼した。
これがこの地方に伝わる『桃姫様の鬼退治』の話である。幼少から空手、柔術などを習っていた姫子は、ある王国で行われた儀式で召喚された地球からの召喚者だった。
姫子は小柄で色白、黒のさっぱりショートカットであどけなさを残す可愛らしいその外見もあり、誰もがか弱い存在として見ていた。
そんな姫子が、激しく強烈な一面を持っているなど、誰も想像だにしていなかった。
召喚当時、17歳だった姫子は『マルチプルオーラ』の能力を発現。それに加えて幼少期から学んでいた格闘技、武術が『桃姫拳』としてスキル化した。
姫子はいきなり王宮で暴れ、召喚魔法陣を破壊してその王国を飛び出した。そのまま修行の旅に出た姫子は1年弱で大陸中にその名を轟かせた。
大陸を東に進むにつれ、姫子は西の『オーガ』とは別に東の『鬼』の伝承を聞くようになる。
『鬼と交わる者、その姿変わらず、長寿となりて繁栄を成す』
いわゆる東の地域に伝わる『房中術』だったが、姫子はその伝承に強く興味を引かれた。せっかく異世界に来たのだ。人生がすぐに終わってしまってはつまらない。
そう考えた姫子は、鬼の住まう島国へと足を踏み入れた。
◇
人間という者はいつの時代にあっても、異質な者、異形に対して恐怖を持つものである。
少なからず、この島国では人と鬼が物々交換による交流をしていたが、人族の王は鬼を初めて見た時、その外見に恐怖した。
タイミング良く、その国を訪れていた姫子の噂を聞いた人族の王は、姫子を王宮に招待した。あどけなさを残すその可愛らしい姫子の容姿に、その強さの真偽を疑う王であったが、姫子が死んでも自らの腹は痛まぬと考え、密かに鬼王山の鬼を退治して欲しいと依頼した。
鬼を退治する気など全くなかった姫子であったが、伝承の真偽を確かめるべく2つ返事で依頼を受けた。
人族の住む区域から北東へ行くと、鬼達が住まう『鬼王山』がある。西のオーガに比べて比較的、人族と友好的だった鬼は姫子が山に足を踏み入れても特に騒ぎ立てる事もなく、鬼の王に会いたいと話すと案内をしてくれた。
鬼の王の屋敷に案内された姫子は、鬼の王である羅刹王に今までの経緯と自らの目的を全て隠す事なく話した。
その話を聞いた羅刹王は自身への退治依頼をあっけらかんと話す姫子に好感を持った。そして鬼の持つ『房中術』の秘儀を話す前に、姫子のもう一つの望みを叶えるべく、屋敷の外へ姫子を連れて出た。
姫子の望みは強い者と闘う事だ。王の屋敷を少し上がった場所に、広く開けた鬼の教練場があった。
そこで向かい合う羅刹と姫子。姫子は最強の鬼と闘い鬼族に伝わる『房中術』を知る為に、そして羅刹は姫子が鬼族の秘儀に耐えうる強さを持っているかを確認する為に手合わせを始めた。
お互い、素手と素手で殴り合う拳骨勝負である。
その勝負は3日3晩、続いた。凄まじい闘いに鬼達も3日3晩、眠る事なくそれを見届けた。4日目が明けた頃、羅刹と姫子は揃ってその場にぶっ倒れた。そして気が狂ったかの様に笑い合った。
…まるで80年代の青春ドラマだ。
姫子を認めた羅刹王は、姫子を上客として持て成す。そして姫子は、鬼王山に定住する事を決意した。二人は祝言を上げて夫婦となり、鬼の秘儀『房中術』を執り行う。
そうして人族と鬼族のハーフが生まれた。
◇
鬼族としても人族を相手に秘儀の房中術を使う事は初の事である。
鬼達の中には、人族と交わる事でその個体は弱くなるのではないか?という意見もあったが、その懸念を吹き飛ばすかのように最強のハーフ『鬼人』が生まれた。
それが『コニー』である。
コニーには、羅刹王の強靭な力と肉体、そして姫子のスキル『マルチプルオーラ』が遺伝していた。そんなコニーに、二人は英才教育を施した。
鬼族の研究者は、人族の中でも『スキル』を持つ姫子だからこそ、最強の個体が生まれたのではないか?と考察した。
その頃、中々戻ってこない姫子に痺れを切らした人族の王が、鬼族退治の為に鬼王山に兵を差し向けて来た。
それを返り討ちにした姫子と鬼達は、逆に人族の国に攻め込んで制圧。王族を悉く追放し、新たに人と鬼が共存する国『鬼桃の國』を立てた。
◇
コニーの戦闘力は、他の鬼族の子供達に比べて群を抜いていた。屋敷に出入りする、人族の商人から『お菓子』を貰い、コニーはその話を熱心に聞いた。
そして1年と数ヵ月経った頃、コニーが外の世界を見てみたいと二人に話した時、二人は最凶の武器と共に、快くコニーを世界に送り出した。
コニーは西に向かう。人族や獣人族などと交流を重ね、黒豆おかきに釣られて奴隷商人に付いて西へ西へと進む。
そして西の端の国で、コニーは美裸とエリス、だいふくと出会った。
鬼桃の國は大陸の端に大きな島のような形で存在しているが、干潮時には潮が引いて道が現れ、大陸と繋がる。
始めそこは人と鬼が別々に生活する島国だった。しかしその外見から恐れを感じていた人族政府は、ふらりとその国を訪れた噂の最強ハンター、桃 姫子に鬼退治を依頼した。
これがこの地方に伝わる『桃姫様の鬼退治』の話である。幼少から空手、柔術などを習っていた姫子は、ある王国で行われた儀式で召喚された地球からの召喚者だった。
姫子は小柄で色白、黒のさっぱりショートカットであどけなさを残す可愛らしいその外見もあり、誰もがか弱い存在として見ていた。
そんな姫子が、激しく強烈な一面を持っているなど、誰も想像だにしていなかった。
召喚当時、17歳だった姫子は『マルチプルオーラ』の能力を発現。それに加えて幼少期から学んでいた格闘技、武術が『桃姫拳』としてスキル化した。
姫子はいきなり王宮で暴れ、召喚魔法陣を破壊してその王国を飛び出した。そのまま修行の旅に出た姫子は1年弱で大陸中にその名を轟かせた。
大陸を東に進むにつれ、姫子は西の『オーガ』とは別に東の『鬼』の伝承を聞くようになる。
『鬼と交わる者、その姿変わらず、長寿となりて繁栄を成す』
いわゆる東の地域に伝わる『房中術』だったが、姫子はその伝承に強く興味を引かれた。せっかく異世界に来たのだ。人生がすぐに終わってしまってはつまらない。
そう考えた姫子は、鬼の住まう島国へと足を踏み入れた。
◇
人間という者はいつの時代にあっても、異質な者、異形に対して恐怖を持つものである。
少なからず、この島国では人と鬼が物々交換による交流をしていたが、人族の王は鬼を初めて見た時、その外見に恐怖した。
タイミング良く、その国を訪れていた姫子の噂を聞いた人族の王は、姫子を王宮に招待した。あどけなさを残すその可愛らしい姫子の容姿に、その強さの真偽を疑う王であったが、姫子が死んでも自らの腹は痛まぬと考え、密かに鬼王山の鬼を退治して欲しいと依頼した。
鬼を退治する気など全くなかった姫子であったが、伝承の真偽を確かめるべく2つ返事で依頼を受けた。
人族の住む区域から北東へ行くと、鬼達が住まう『鬼王山』がある。西のオーガに比べて比較的、人族と友好的だった鬼は姫子が山に足を踏み入れても特に騒ぎ立てる事もなく、鬼の王に会いたいと話すと案内をしてくれた。
鬼の王の屋敷に案内された姫子は、鬼の王である羅刹王に今までの経緯と自らの目的を全て隠す事なく話した。
その話を聞いた羅刹王は自身への退治依頼をあっけらかんと話す姫子に好感を持った。そして鬼の持つ『房中術』の秘儀を話す前に、姫子のもう一つの望みを叶えるべく、屋敷の外へ姫子を連れて出た。
姫子の望みは強い者と闘う事だ。王の屋敷を少し上がった場所に、広く開けた鬼の教練場があった。
そこで向かい合う羅刹と姫子。姫子は最強の鬼と闘い鬼族に伝わる『房中術』を知る為に、そして羅刹は姫子が鬼族の秘儀に耐えうる強さを持っているかを確認する為に手合わせを始めた。
お互い、素手と素手で殴り合う拳骨勝負である。
その勝負は3日3晩、続いた。凄まじい闘いに鬼達も3日3晩、眠る事なくそれを見届けた。4日目が明けた頃、羅刹と姫子は揃ってその場にぶっ倒れた。そして気が狂ったかの様に笑い合った。
…まるで80年代の青春ドラマだ。
姫子を認めた羅刹王は、姫子を上客として持て成す。そして姫子は、鬼王山に定住する事を決意した。二人は祝言を上げて夫婦となり、鬼の秘儀『房中術』を執り行う。
そうして人族と鬼族のハーフが生まれた。
◇
鬼族としても人族を相手に秘儀の房中術を使う事は初の事である。
鬼達の中には、人族と交わる事でその個体は弱くなるのではないか?という意見もあったが、その懸念を吹き飛ばすかのように最強のハーフ『鬼人』が生まれた。
それが『コニー』である。
コニーには、羅刹王の強靭な力と肉体、そして姫子のスキル『マルチプルオーラ』が遺伝していた。そんなコニーに、二人は英才教育を施した。
鬼族の研究者は、人族の中でも『スキル』を持つ姫子だからこそ、最強の個体が生まれたのではないか?と考察した。
その頃、中々戻ってこない姫子に痺れを切らした人族の王が、鬼族退治の為に鬼王山に兵を差し向けて来た。
それを返り討ちにした姫子と鬼達は、逆に人族の国に攻め込んで制圧。王族を悉く追放し、新たに人と鬼が共存する国『鬼桃の國』を立てた。
◇
コニーの戦闘力は、他の鬼族の子供達に比べて群を抜いていた。屋敷に出入りする、人族の商人から『お菓子』を貰い、コニーはその話を熱心に聞いた。
そして1年と数ヵ月経った頃、コニーが外の世界を見てみたいと二人に話した時、二人は最凶の武器と共に、快くコニーを世界に送り出した。
コニーは西に向かう。人族や獣人族などと交流を重ね、黒豆おかきに釣られて奴隷商人に付いて西へ西へと進む。
そして西の端の国で、コニーは美裸とエリス、だいふくと出会った。
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