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海洋王国編
うみうしってなんだ?
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シルガモレル帝の情報だと、この先にいるのはフロアボスの『海牛』だ。扉代りの大きな岩を、コニーの『おにぱんち』で粉砕、一行は中へと入って行く。
目の前に象くらいの大きさの極彩色のヌメヌメした生物がいた。その体皮には無数の疣が付いていて常に粘液を滲み出している。
「巨大海牛、レベル48か…海牛って何(笑)?」
「え~と本来『海牛』って言うのはジュゴンとかマナティの事なんだよね。だから正確にはあの生物は海のナメクジって言う扱いだったはず…。毒を持ってるヤツもいたと思うけど…」
海牛について説明するエリス。
「あのでかいヌメヌメ、どんな攻撃してくる?」
コニーに問われたエリスだったが、先に説明した以外の情報は持っていない。
「う~ん、わたしも良く知らないんだよね。取り敢えずあのイボと滲んでる液体は毒だから気を付けた方がいと思う…」
エリスの言葉に頷く美裸とコニー。
「今回はどうする?わたしがアレの動き止めても良いけど、二人がやっちゃう(笑)?」
「…そうだね。少しでもレベル上げて、もっとスキルとか魔法とかも覚えたいし」
「コニー、もっと強くなる」
二人の決意と同じく、昼寝して体力を充電したぺろすもヤル気が漲っている。その背中で、だいふくもぴょんぴょんと跳ねていた。
「じゃあ、今回も見てるよ~。危なくなったらわたしのスキルが勝手に強制介入するからね~(笑)」
美裸の言葉の跡、美裸以外のメンバーが攻撃を仕掛けた。
◇
まず初めにエリスが、海牛の眼?を狙って高速連射で矢を放つ。しかし複数の矢は刺さったが、そのままズブズブと海牛の体内に取り込まれてしまった。
「ええぇッ!?わたしの矢が全部飲み込まれたッ!?」
驚いて一瞬、動きの止まったエリスに、海牛の体内に取り込まれていた矢が一気に飛び出して来た。
しかもエリスが放ったのと同等のスピードで、矢がエリスを襲う。その数50本。しかし、動きの止まったエリスの前に飛び出しただいふくが、ダークサイクロップスビームで全て撃墜した。
「おおおッ!!だいふく、ありがとうぅ~!!」
しかし、喜んでいたエリスとだいふくに向かって、海牛の口?からビューッと勢い良く、水鉄砲の様に液体が飛び出した来た。
エリスは急いでだいふくを抱っこすると瞬動でそれを避けた。
「うわっ、凄いの出た~(笑)。潮吹きみたいな攻撃だね~(笑)」
笑いながら言う美裸に、エリスが突っ込む。
「…美裸、アンタが言うと卑猥だからやめてよ(笑)!!」
「ん?エリスさんはどっちの潮吹きを想像したんですかな(笑)?わたしはクジラの潮吹きの方を言ったんですけど~(笑)」
「嘘つけッ(笑)!!絶対、卑猥な方でしょッ(笑)!!」
笑っているエリスだったが、地面に散った海牛が吹いた液体攻撃を見て笑いが止まった。深く濃い緑の液体が地面から生えていた雑草を溶かしていたのだ。
「…うげッ!?草が溶けてるッ!?美裸ッ、コレってまさか強酸じゃ…」
「…いや、それ毒攻撃みたいよ(笑)?当たると皮膚を溶かして毒が入るんだって(笑)!!」
スキルで液体攻撃の情報を見た美裸の説明に、顔を引き攣らせるエリス。
「…当たんなくて良かった…」
その後ろから、ぺろすに乗ったコニーが海牛に突進していく。
「ぺろす、炎だすっ!!」
コニーの号令に、ぺろすが三つ頭から同時に火炎を吐き出す。その後ろからコニーが息を吸い込んだ後、勢い良く吐き出す。
「おにふうじんっ!!」
コニーの出す強い呼気に煽られたぺろすの攻撃が大火炎となって海牛を丸呑みした。
「コニーやるね~。これで海牛の丸焼けが出来るかな~(笑)?」
しかし笑っている美裸の前で、大火炎が徐々に小さくなっていく。よく見ると、海牛の体皮にあるイボから毒液が噴き出して火炎攻撃を消してしまった。
「ん?炎のこうげき、きいてない」
海牛の体皮に滲んでいた毒液が炎で蒸発している。海牛の体皮を少し焦がしただけで他にダメージはなかった。
「…あの大火炎を消すなんて…このモンスター、強いね…」
海牛を見て呟くエリスとコニーに慌てて下がるように指示する美裸。
「二人とも早く下がって!!毒が気化してこっちに流れて来てるよ!!」
美裸の注意に、慌てて下るエリスとコニー。今度は離れた位置から、だいふくがダークサイクロップスビームを放つ。
だいふくのビームが横一文字に海牛の身体を薙ぎる。しかし大火炎の時と同じく、体皮を焦がしただけですぐに再生してしまった。
その後、美裸が範囲を展開して海牛をペンタブで斬ってみる。しかし美裸の攻撃が何故かツルっと滑って無効化されてしまった。
「…まさか、美裸の攻撃が効かないなんてね~…」
「…う~ん、これは思い掛けない強敵に会ったね~。どうするかな~?」
考える美裸。巨大海牛は体皮に毒を滲ませているので、直接攻撃は危険だ。全員がそう判断して、中距離から長距離の攻撃だったが、いずれの攻撃も無効化されてしまった。
しかし幸いな事に、巨大海牛はこっちから攻撃を仕掛けると攻撃を返してくるが、何もしないと特に反撃してくる事はなかった。
その間に、全員で作戦会議を始める。
「う~ん、困ったねぇ(笑)。どうするかな~?」
「…海牛の向こうに転移フィールドのスペースと次の階層に降りる階段が見えてるんだけどね…あれだけどっかり居座られてると避けて隙間を通るのも難しいし…」
美裸とエリスが話すのを聞いたコニーが二人を見上げて言う。
「コニー、小さいから、あのすきま通れる」
そう言うと、どっかり動かない海牛に近づいたコニーが。その下の左端の隙間に向かって、ほふく前進で進んでいく。
しかしさっきまで動かなかった海牛が、その隙間を通ろうとした瞬間、ゆっくりウニウニと動いて隙間を埋めてしまった。
「…動いたね…」
「無視して通れない様に、通せんぼはするんだね~(笑)?」
「…すきまなくなった…通れない…」
仕方なくコニーはうつ伏せのまま下がり、後ろで視ていた美裸達に合流した。
「攻撃は受け付けない。でも攻撃しなければ反撃もしてこない。けど、黙って通過はさせてくれない。どうする美裸…?」
エリスに問われて考える美裸。コニーも美裸を見上げている。しばらくして美裸が、あっと小さく呟く。
「そうだ!!通してくれないなら、通れるようにすればいいんだよね~(笑)」
「通れるようにってどうするのよ?」
「どうするんだ、みら?」
二人に問われた美裸は笑いながら海牛に近づくと左を向いた。当然、目の前にはダンジョンの洞窟の壁がある。美裸はそこでスキルを発動した。
「海牛くんを縮小しても良いんだけどね~(笑)。それじゃ面白くないし~(笑)」
そう言いつつ、透過モードで見ていた美裸の前にあった壁が消えて空間が出来た。そしてそのまま海牛を迂回する様に通路を作り、帰還転移フィールドの部屋の前まで抜けた。
「…やっぱり美裸のスキルは反則だわ(笑)」
「コニー、みらのスキル、ほしい」
「コニーはボカン出来るから良いじゃない?わたしの方が美裸のスキル欲しいよ~(笑)」
そんな事を話しつつ、一行は美裸が作った通路を抜けて海牛の後ろに出た。エリスとコニー、だいふく、ぺろすが通路を抜けた先で、美裸が海牛の後ろにあった宝箱を弄っていた。
◇
「ん?みら、なにやってる?」
キラキラ光る宝箱を弄っている美裸を見たコニーは興味津々だ。エリスは海牛が動かないか警戒している。
「ちょっと!!美裸!!何やってんのッ!?」
「…うん、ここに来たら宝箱があったから今、開けてるんだよね~」
「危なくない!?トラップとかちゃんと外して開けてよ!?」
エリスは周囲の警戒をしつつ、美裸に注意する。
「…うん、大丈夫…仕掛けは特にない…たぶん(笑)。透過モードで鍵の構造も箱の中身も見えてるんだよね~(笑)」
「みら、なに入ってる?」
「…うん、コレ、でっかい宝石だ(笑)!!」
「ほんとかっ!?コニーもみたい!!」
美裸の隣で、ワクワクした顔で宝箱が開くのを待っているコニー。美裸は、透過モードで鍵の構造を見ながら、ペンタブを使って何とか鍵を外そうと弄り回す。
「…う~ん、ここがこうなってるから…こっちに動かすのかな~?」
宝箱を開ける事に、苦戦している美裸に周囲の警戒を解いたエリスが問う。
「美裸の能力使えばその箱、真っ二つに出来るんじゃない?どうしてわざわざ錠を開けるのよ?」
「…えっ(笑)?だってこういうの簡単な方法で開けるよりちゃんと解錠して開けてみたいんだよね~(笑)」
「…ふ~ん。わたしだったら便利スキル持ってたらスキル使って開けるけどね~…」
そんなエリスをコニーが見上げる。
「えりす、ろまんがない。ちょっと苦戦するほうがいい!!」
「おぉ~、コニー解ってるね~(笑)」
そんな二人を見て、無言で肩を竦めるエリス。
コニーとエリスが見守る中、ようやく宝箱の錠がガチャッと外れる音がした。美裸がゆっくりと宝箱の蓋を開ける。
中にはリンゴ程の大きさで、ブリリアントカット(ダイヤモンドみたいなカット)された透明な宝石と赤い宝石が入っていた。
「おお~、これは凄いね~、こんなの初めて見たナリよ~(笑)」
「ほうせき、キラキラしてる。これすごいな!!」
「うわっ、それ凄いね~。売ったらいくらになるかな(笑)?」
美裸達は、宝石を前に三者三様の反応を見せる。
スキルで危険がない事を確認した美裸は、宝石を手に取って宙に上げると、下から光に透かして見る。
「おお~、凄く綺麗だね~。宝石の中で光が反射して…」
美裸がそこまで話した時、突然ボワッ!!という音と共に、宝石から白い光が溢れ出て来た。
「…あれっ(笑)?なんか出た(笑)!!」
「…ちょっと、美裸ッ!!それ危ない宝石なんじゃ…」
いきなり光が溢れ出て来るのを見たエリスが、美裸に問う。その足元で、赤い宝石を持ったコニーが美裸と同じ様に宙で光に透かしていた。
「…あッ、コニーッ、ダメよッ!!」
気付いたエリスが慌ててコニーを止めるが遅かった。コニーが光を透かした赤い宝石は赤く大きく光ると一筋のレーザーとなって洞窟の奥を破壊した。
「うわー、すごいの出たぞ(笑)?」
「ビーム出たね~(笑)」
宝石から出た赤いレーザーを見て笑うコニーと美裸。そしてぺろすが伏せる横で、だいふくは楽しそうにぴょんぴょん跳ねていた。
皆の後ろで一人、エリスは顔を引き攣らせていた。
◇
「…ふむ。透明の宝石は光を透過するとヒーリング効果が出るんだって(笑)!!で、えーと赤い方は…と…」
美裸の解説に緊張するエリス。
先程の赤いレーザーが部屋の奥にあった転移帰還フィールドを破壊したのだ。しかも転移フィールドの設備が溶解していた。
「…破壊の高熱エネルギーを出すってさ~、あははっ(笑)!!」
「コレ、すごいな(笑)!!」
美裸とコニーは笑っていたが、一瞬で転移フィールドの設備を破壊したレーザーを見たエリスは全く笑えなかった。
今回、スキルで壁に通路を開通させた事によって、美裸のレベルが上がった。現在165である。このレベルアップでスキルにタイミング良く、『鑑定効果』が付いた。という事で早速、宝石を鑑定したのである。
「癒しと破壊か~、面白い組み合わせだよね~」
「…美裸、アンタそれどうするのよ?透明の方は良いとして、赤いのは危険じゃない?特に悪いヤツに知られたら…」
「そうだね~。これは布でくるんでわたしが持っとくよ~」
二人が話す中、コニーが二人を見上げて言う。
「みら、えりす、アレ、どうする?」
コニーが指差したのは後ろ向きの海牛だ。
「ほっといて良いんじゃない?特に攻撃してくる感じでもないし…」
「そうだね~。『触らぬ神に祟りなし』っていうからね~…」
しかしその時、美裸はハッとした。
「…あっ(笑)!!面白い事、思い付いたっ!!」
そう言って悪代官並みの悪い笑みを見せる美裸に、エリスはドン引きした…。
目の前に象くらいの大きさの極彩色のヌメヌメした生物がいた。その体皮には無数の疣が付いていて常に粘液を滲み出している。
「巨大海牛、レベル48か…海牛って何(笑)?」
「え~と本来『海牛』って言うのはジュゴンとかマナティの事なんだよね。だから正確にはあの生物は海のナメクジって言う扱いだったはず…。毒を持ってるヤツもいたと思うけど…」
海牛について説明するエリス。
「あのでかいヌメヌメ、どんな攻撃してくる?」
コニーに問われたエリスだったが、先に説明した以外の情報は持っていない。
「う~ん、わたしも良く知らないんだよね。取り敢えずあのイボと滲んでる液体は毒だから気を付けた方がいと思う…」
エリスの言葉に頷く美裸とコニー。
「今回はどうする?わたしがアレの動き止めても良いけど、二人がやっちゃう(笑)?」
「…そうだね。少しでもレベル上げて、もっとスキルとか魔法とかも覚えたいし」
「コニー、もっと強くなる」
二人の決意と同じく、昼寝して体力を充電したぺろすもヤル気が漲っている。その背中で、だいふくもぴょんぴょんと跳ねていた。
「じゃあ、今回も見てるよ~。危なくなったらわたしのスキルが勝手に強制介入するからね~(笑)」
美裸の言葉の跡、美裸以外のメンバーが攻撃を仕掛けた。
◇
まず初めにエリスが、海牛の眼?を狙って高速連射で矢を放つ。しかし複数の矢は刺さったが、そのままズブズブと海牛の体内に取り込まれてしまった。
「ええぇッ!?わたしの矢が全部飲み込まれたッ!?」
驚いて一瞬、動きの止まったエリスに、海牛の体内に取り込まれていた矢が一気に飛び出して来た。
しかもエリスが放ったのと同等のスピードで、矢がエリスを襲う。その数50本。しかし、動きの止まったエリスの前に飛び出しただいふくが、ダークサイクロップスビームで全て撃墜した。
「おおおッ!!だいふく、ありがとうぅ~!!」
しかし、喜んでいたエリスとだいふくに向かって、海牛の口?からビューッと勢い良く、水鉄砲の様に液体が飛び出した来た。
エリスは急いでだいふくを抱っこすると瞬動でそれを避けた。
「うわっ、凄いの出た~(笑)。潮吹きみたいな攻撃だね~(笑)」
笑いながら言う美裸に、エリスが突っ込む。
「…美裸、アンタが言うと卑猥だからやめてよ(笑)!!」
「ん?エリスさんはどっちの潮吹きを想像したんですかな(笑)?わたしはクジラの潮吹きの方を言ったんですけど~(笑)」
「嘘つけッ(笑)!!絶対、卑猥な方でしょッ(笑)!!」
笑っているエリスだったが、地面に散った海牛が吹いた液体攻撃を見て笑いが止まった。深く濃い緑の液体が地面から生えていた雑草を溶かしていたのだ。
「…うげッ!?草が溶けてるッ!?美裸ッ、コレってまさか強酸じゃ…」
「…いや、それ毒攻撃みたいよ(笑)?当たると皮膚を溶かして毒が入るんだって(笑)!!」
スキルで液体攻撃の情報を見た美裸の説明に、顔を引き攣らせるエリス。
「…当たんなくて良かった…」
その後ろから、ぺろすに乗ったコニーが海牛に突進していく。
「ぺろす、炎だすっ!!」
コニーの号令に、ぺろすが三つ頭から同時に火炎を吐き出す。その後ろからコニーが息を吸い込んだ後、勢い良く吐き出す。
「おにふうじんっ!!」
コニーの出す強い呼気に煽られたぺろすの攻撃が大火炎となって海牛を丸呑みした。
「コニーやるね~。これで海牛の丸焼けが出来るかな~(笑)?」
しかし笑っている美裸の前で、大火炎が徐々に小さくなっていく。よく見ると、海牛の体皮にあるイボから毒液が噴き出して火炎攻撃を消してしまった。
「ん?炎のこうげき、きいてない」
海牛の体皮に滲んでいた毒液が炎で蒸発している。海牛の体皮を少し焦がしただけで他にダメージはなかった。
「…あの大火炎を消すなんて…このモンスター、強いね…」
海牛を見て呟くエリスとコニーに慌てて下がるように指示する美裸。
「二人とも早く下がって!!毒が気化してこっちに流れて来てるよ!!」
美裸の注意に、慌てて下るエリスとコニー。今度は離れた位置から、だいふくがダークサイクロップスビームを放つ。
だいふくのビームが横一文字に海牛の身体を薙ぎる。しかし大火炎の時と同じく、体皮を焦がしただけですぐに再生してしまった。
その後、美裸が範囲を展開して海牛をペンタブで斬ってみる。しかし美裸の攻撃が何故かツルっと滑って無効化されてしまった。
「…まさか、美裸の攻撃が効かないなんてね~…」
「…う~ん、これは思い掛けない強敵に会ったね~。どうするかな~?」
考える美裸。巨大海牛は体皮に毒を滲ませているので、直接攻撃は危険だ。全員がそう判断して、中距離から長距離の攻撃だったが、いずれの攻撃も無効化されてしまった。
しかし幸いな事に、巨大海牛はこっちから攻撃を仕掛けると攻撃を返してくるが、何もしないと特に反撃してくる事はなかった。
その間に、全員で作戦会議を始める。
「う~ん、困ったねぇ(笑)。どうするかな~?」
「…海牛の向こうに転移フィールドのスペースと次の階層に降りる階段が見えてるんだけどね…あれだけどっかり居座られてると避けて隙間を通るのも難しいし…」
美裸とエリスが話すのを聞いたコニーが二人を見上げて言う。
「コニー、小さいから、あのすきま通れる」
そう言うと、どっかり動かない海牛に近づいたコニーが。その下の左端の隙間に向かって、ほふく前進で進んでいく。
しかしさっきまで動かなかった海牛が、その隙間を通ろうとした瞬間、ゆっくりウニウニと動いて隙間を埋めてしまった。
「…動いたね…」
「無視して通れない様に、通せんぼはするんだね~(笑)?」
「…すきまなくなった…通れない…」
仕方なくコニーはうつ伏せのまま下がり、後ろで視ていた美裸達に合流した。
「攻撃は受け付けない。でも攻撃しなければ反撃もしてこない。けど、黙って通過はさせてくれない。どうする美裸…?」
エリスに問われて考える美裸。コニーも美裸を見上げている。しばらくして美裸が、あっと小さく呟く。
「そうだ!!通してくれないなら、通れるようにすればいいんだよね~(笑)」
「通れるようにってどうするのよ?」
「どうするんだ、みら?」
二人に問われた美裸は笑いながら海牛に近づくと左を向いた。当然、目の前にはダンジョンの洞窟の壁がある。美裸はそこでスキルを発動した。
「海牛くんを縮小しても良いんだけどね~(笑)。それじゃ面白くないし~(笑)」
そう言いつつ、透過モードで見ていた美裸の前にあった壁が消えて空間が出来た。そしてそのまま海牛を迂回する様に通路を作り、帰還転移フィールドの部屋の前まで抜けた。
「…やっぱり美裸のスキルは反則だわ(笑)」
「コニー、みらのスキル、ほしい」
「コニーはボカン出来るから良いじゃない?わたしの方が美裸のスキル欲しいよ~(笑)」
そんな事を話しつつ、一行は美裸が作った通路を抜けて海牛の後ろに出た。エリスとコニー、だいふく、ぺろすが通路を抜けた先で、美裸が海牛の後ろにあった宝箱を弄っていた。
◇
「ん?みら、なにやってる?」
キラキラ光る宝箱を弄っている美裸を見たコニーは興味津々だ。エリスは海牛が動かないか警戒している。
「ちょっと!!美裸!!何やってんのッ!?」
「…うん、ここに来たら宝箱があったから今、開けてるんだよね~」
「危なくない!?トラップとかちゃんと外して開けてよ!?」
エリスは周囲の警戒をしつつ、美裸に注意する。
「…うん、大丈夫…仕掛けは特にない…たぶん(笑)。透過モードで鍵の構造も箱の中身も見えてるんだよね~(笑)」
「みら、なに入ってる?」
「…うん、コレ、でっかい宝石だ(笑)!!」
「ほんとかっ!?コニーもみたい!!」
美裸の隣で、ワクワクした顔で宝箱が開くのを待っているコニー。美裸は、透過モードで鍵の構造を見ながら、ペンタブを使って何とか鍵を外そうと弄り回す。
「…う~ん、ここがこうなってるから…こっちに動かすのかな~?」
宝箱を開ける事に、苦戦している美裸に周囲の警戒を解いたエリスが問う。
「美裸の能力使えばその箱、真っ二つに出来るんじゃない?どうしてわざわざ錠を開けるのよ?」
「…えっ(笑)?だってこういうの簡単な方法で開けるよりちゃんと解錠して開けてみたいんだよね~(笑)」
「…ふ~ん。わたしだったら便利スキル持ってたらスキル使って開けるけどね~…」
そんなエリスをコニーが見上げる。
「えりす、ろまんがない。ちょっと苦戦するほうがいい!!」
「おぉ~、コニー解ってるね~(笑)」
そんな二人を見て、無言で肩を竦めるエリス。
コニーとエリスが見守る中、ようやく宝箱の錠がガチャッと外れる音がした。美裸がゆっくりと宝箱の蓋を開ける。
中にはリンゴ程の大きさで、ブリリアントカット(ダイヤモンドみたいなカット)された透明な宝石と赤い宝石が入っていた。
「おお~、これは凄いね~、こんなの初めて見たナリよ~(笑)」
「ほうせき、キラキラしてる。これすごいな!!」
「うわっ、それ凄いね~。売ったらいくらになるかな(笑)?」
美裸達は、宝石を前に三者三様の反応を見せる。
スキルで危険がない事を確認した美裸は、宝石を手に取って宙に上げると、下から光に透かして見る。
「おお~、凄く綺麗だね~。宝石の中で光が反射して…」
美裸がそこまで話した時、突然ボワッ!!という音と共に、宝石から白い光が溢れ出て来た。
「…あれっ(笑)?なんか出た(笑)!!」
「…ちょっと、美裸ッ!!それ危ない宝石なんじゃ…」
いきなり光が溢れ出て来るのを見たエリスが、美裸に問う。その足元で、赤い宝石を持ったコニーが美裸と同じ様に宙で光に透かしていた。
「…あッ、コニーッ、ダメよッ!!」
気付いたエリスが慌ててコニーを止めるが遅かった。コニーが光を透かした赤い宝石は赤く大きく光ると一筋のレーザーとなって洞窟の奥を破壊した。
「うわー、すごいの出たぞ(笑)?」
「ビーム出たね~(笑)」
宝石から出た赤いレーザーを見て笑うコニーと美裸。そしてぺろすが伏せる横で、だいふくは楽しそうにぴょんぴょん跳ねていた。
皆の後ろで一人、エリスは顔を引き攣らせていた。
◇
「…ふむ。透明の宝石は光を透過するとヒーリング効果が出るんだって(笑)!!で、えーと赤い方は…と…」
美裸の解説に緊張するエリス。
先程の赤いレーザーが部屋の奥にあった転移帰還フィールドを破壊したのだ。しかも転移フィールドの設備が溶解していた。
「…破壊の高熱エネルギーを出すってさ~、あははっ(笑)!!」
「コレ、すごいな(笑)!!」
美裸とコニーは笑っていたが、一瞬で転移フィールドの設備を破壊したレーザーを見たエリスは全く笑えなかった。
今回、スキルで壁に通路を開通させた事によって、美裸のレベルが上がった。現在165である。このレベルアップでスキルにタイミング良く、『鑑定効果』が付いた。という事で早速、宝石を鑑定したのである。
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「…美裸、アンタそれどうするのよ?透明の方は良いとして、赤いのは危険じゃない?特に悪いヤツに知られたら…」
「そうだね~。これは布でくるんでわたしが持っとくよ~」
二人が話す中、コニーが二人を見上げて言う。
「みら、えりす、アレ、どうする?」
コニーが指差したのは後ろ向きの海牛だ。
「ほっといて良いんじゃない?特に攻撃してくる感じでもないし…」
「そうだね~。『触らぬ神に祟りなし』っていうからね~…」
しかしその時、美裸はハッとした。
「…あっ(笑)!!面白い事、思い付いたっ!!」
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ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
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