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純白
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そうして、翔太は誰よりも誰よりも幸せな幼少期を過ごしました。手前味噌のようで少し気恥ずかしいですけれども、それでも、私は翔太のことを、間違いなく幸せにしてやれていたと思います。しかし神様というのは残酷ですね。どうしてあんなに可愛い翔太を、永遠に幸福なままでいさせてくれなかったのでしょうか。
成長した翔太は六歳になり、小学校というものに行かなければならなくなりました。私としてはこのままでいい、ずうっと私が翔太の面倒を見続ければいいと思いましたが、夫の執拗な妨害に遭い、しぶしぶ翔太を小学校に行かせねばならなくなりました。とは言え入学式の時だけは、私もまだ、少しは前向きな気持ちでいられたのでございます。だからこそ、可愛い翔太の一度きりの盛大な晴れ舞台のため、それはそれは立派なスーツを買ってやったのでございます。夫は、小学校に行くことだけは執拗に押し通したくせに、スーツに関してはレンタルでいいなどと馬鹿を申したのでございますが、可愛いひとり息子の晴れ舞台に、どこの馬の骨が袖を通したとも知れぬ中古品を着せるなんて言語道断でございましょう? 思えばあの頃から既に、あの男に父親としての資格はなかったのかもしれません。いいえそもそも頭の何処かがおかしかったのかもしれません。ともかく、糞男の妨害に遭いつつも私が尽力したおかげで、翔太はそれはそれは立派なスーツを着ることができました。あまりにも立派すぎて、本当に何処に出しても恥ずかしくない晴れ姿で、私は写真を引き伸ばして、今でも居間の中央に大事に大事に飾っています。また実際に入学式に出た時の様も素晴らしく、私はあんなに小さかった翔太の成長した姿を見て、涙を堪えることがどうしてもできませんでした。あの感動は、子供を育てた親でなければわかりはしないと思います。そうそうあのクズ男も、あの時だけは感動したような顔をしていたような気がしますが、けれど今思うと安い演技か、父親としての自分に酔っていただけではと思うのです。ああ本当に思い返すも、性根の曲がり腐りきった人間のクズでございました。
とにかく、私も入学式までは、まだ少しは前向きな気持ちでいられたのでございますが、しかしすぐに、連中の化けの皮の下を知ることとなったのでございます。小学校に通ってからも、どうしてか翔太は級友の群れに馴染むことができなくて、いつもひとりぽつねんと隅にいたのでございました。私は日増しに寂しさを増す翔太の表情に耐えきれず、即座に担任の下に行って頭を下げることにしました。担任というのは若い女で、いかにも頼りなさそうな女で、本当に子供を任せて大丈夫なのか不安になるような女でした。そもそも学校の教師をやるからには、厳格ながらも愛情深く、博識で人格者で、決して間違いを起こさず、常に正道を歩み続ける、子供の手本となるに相応しい人間を据えるべきだと思うのです。そう、例えば私のような。それをあんな若さだけが取り柄のようなみっともない小娘にやらせていたのがそもそもの間違いだと思うのですが、それでも一応肩書きは担任ですので致し方なく、翔太に友達ができるよう見てやってください、と頼み込んだのでございます。女は笑顔で頷いてくれましたので、一抹の不安を覚えつつも、その女に一応、任せることにしたのです。
けれど私の予想通り、上手くはいきませんでした。待てど暮らせどやはり翔太に友達はできませんでした。私は煩悶いたしました。ああ、やはりあんな若い女に任せたのが間違いだったのか。いやもしかしたら、あの女が翔太を孤立させるよう仕向けているのではないだろうか。でなければ私の可愛い翔太が、天使のように可愛い翔太が、友達のひとりもできないなんて理不尽な目に遭うはずがない。ブスで性格も悪く男にも縁がないくせに男に媚びるしか能のない売女なんぞが担任のせいで、翔太は謂れのない不幸を受けているに違いない。ああ、なんと可哀想な翔太! とにかく、あの売女のせいで、翔太は相も変わらずに友達ができないままでした。いつもしょんぼりとした顔をして学校から帰ってきて、友達ができないとぽろぽろと涙を零していました。私は憤懣やるせなく、母の愛と情とに駆られ、即座にあの糞女に直談判に行きました。あの糞女が偉そうに授業をしている中へと乗り込み、お前のせいで翔太に友達ができないと盛大に言ってやりました。ああ、私はなんと素晴らしい母親なのでしょう! 何故か、集まった他の職員共に追い出されてしまいましたけれど、きっとあいつらは感動のあまり、追い出す相手を間違えてしまったのかもしれませんね。だって、追い出されるべきはあの無能女で、私が追い出されるべき理由などひとつもありませんでしたから。
なのに、それだけのことをしたのに、翔太に友達はひとりもできず、むしろもっと最悪な事態が起きてしまいました。なんと翔太が虐められるようになったのでございます。糞餓鬼共曰く、翔太はデブで、いつも汗をかいており、近付くと朝ご飯を戻しそうな臭いがする。その上みっともなく背を丸めていて、しゃべり方ももごもごしていて、どんよりとした目も相まって二足歩行の豚のよう。また私についても、翔太に瓜二つでぶくぶくと肥え太っていて、翔太と二人並ぶと小汚い豚の親子のよう。しかも参観日でもないのに授業中に入ってきて、訳のわからないことをぎゃあぎゃあと喚き散らすなんて、きっと親子揃って頭がおかしいんだね。……なんという言い様。なんという品のなさ。なんという不躾で無教養で下品で下劣な連中でしょうか。確かに翔太も私もふくよかな体型をしておりますが、それは上質なものばかりを食べている健康的なふくよかさです。汗をかいているのは異常気象によるもので、正常な人間であれば当然の反応です。変な臭いというのは完全に言いがかりでしょう。ちゃんとお風呂に入っている翔太が臭いはずはありません。むしろあの餓鬼共の方が、ロクなものを食べさせてもらっていないのか不健康にガリガリでしたし、翔太を臭いなどと言ったのも健全でない証拠でしょう。下品な声で馬鹿笑いをしますし、妙な動きでうろついていますし、あの餓鬼共の方こそ奇形の猿ではないでしょうか。この国は随分以前から、やれ少子化だ国の危機だと騒ぎ立てておりますけれども、あんな奇形の猿もどきを量産しようとするよりも、優秀な親から生まれた優秀な子供だけを選別して育てた方がよっぽどいいと思うのです。だって、いくら数を揃えたところで、猿から生まれた子供は猿にしかなりませんよねえ? 質の悪い親から質の悪い子供を作ったところで、末は犯罪者か引きこもりにしかどうせなれはしないのですから、だったら私の翔太のように、優秀で可愛く心も美しい子供に全力で投資した方が、よっぽど社会や国のためになるんじゃないかと思うのです。ああ、どうしてそんな簡単なことも、この国の政治家は思い付かないのでしょうか。私は、質の悪い餓鬼とそれを産み育てた親は、社会に迷惑を掛ける罪で即刻死刑にするべきだと思います。
とにかく、下品な猿の吹き溜まりに翔太を置いておく訳にはいかず、私は即刻、翔太を相応しい環境に転校させようと思いました。その前に校長に談判しに行き、担任の糞と餓鬼共を刑務所へブチ込むよう抗議したのですが、何故か追い返されてしまい、警察にも行きましたが追い返されてしまいました。クソクソクソ。ああさっぱり意味がわからない。どうしてこんな理不尽なことが私だけに起こるのか。その地域にいる糞袋共に絶望しきってしまった私は、先述の通り翔太を転校させことにしたのですが、何故か夫が、夫という名の糞袋が、翔太を相応しき場所に行かせることを拒絶したのでございます。こんな糞しかいない土地に翔太をいさせられる訳がないのに、その当然の判断に、あの糞袋野郎は真っ向から反対したのでございます。いや、今ならわかります。あの男に父親の資格は最初からなかったのです。だから、子を思う親の真心が理解できなかったのでしょう。そのせいで翔太の転校は随分遅れてしまいましたが、翔太が二年生に上がる頃にようやく、翔太を新しい学校へ転校させることができました。もちろん私も翔太のために、新しい学校の近くにアパートを借りて翔太と共に引っ越しました。本当は新しい家を建てたかったのですが、元の家に残りたいというクズに妨害されました。昔はあんな人間ではなかったような気がするのですが、私は疫病神に騙されて結婚してしまったのかもしれません。翔太があの疫病神の血を継がず、私に似てくれたのはせめてもの幸運だったと思います。
成長した翔太は六歳になり、小学校というものに行かなければならなくなりました。私としてはこのままでいい、ずうっと私が翔太の面倒を見続ければいいと思いましたが、夫の執拗な妨害に遭い、しぶしぶ翔太を小学校に行かせねばならなくなりました。とは言え入学式の時だけは、私もまだ、少しは前向きな気持ちでいられたのでございます。だからこそ、可愛い翔太の一度きりの盛大な晴れ舞台のため、それはそれは立派なスーツを買ってやったのでございます。夫は、小学校に行くことだけは執拗に押し通したくせに、スーツに関してはレンタルでいいなどと馬鹿を申したのでございますが、可愛いひとり息子の晴れ舞台に、どこの馬の骨が袖を通したとも知れぬ中古品を着せるなんて言語道断でございましょう? 思えばあの頃から既に、あの男に父親としての資格はなかったのかもしれません。いいえそもそも頭の何処かがおかしかったのかもしれません。ともかく、糞男の妨害に遭いつつも私が尽力したおかげで、翔太はそれはそれは立派なスーツを着ることができました。あまりにも立派すぎて、本当に何処に出しても恥ずかしくない晴れ姿で、私は写真を引き伸ばして、今でも居間の中央に大事に大事に飾っています。また実際に入学式に出た時の様も素晴らしく、私はあんなに小さかった翔太の成長した姿を見て、涙を堪えることがどうしてもできませんでした。あの感動は、子供を育てた親でなければわかりはしないと思います。そうそうあのクズ男も、あの時だけは感動したような顔をしていたような気がしますが、けれど今思うと安い演技か、父親としての自分に酔っていただけではと思うのです。ああ本当に思い返すも、性根の曲がり腐りきった人間のクズでございました。
とにかく、私も入学式までは、まだ少しは前向きな気持ちでいられたのでございますが、しかしすぐに、連中の化けの皮の下を知ることとなったのでございます。小学校に通ってからも、どうしてか翔太は級友の群れに馴染むことができなくて、いつもひとりぽつねんと隅にいたのでございました。私は日増しに寂しさを増す翔太の表情に耐えきれず、即座に担任の下に行って頭を下げることにしました。担任というのは若い女で、いかにも頼りなさそうな女で、本当に子供を任せて大丈夫なのか不安になるような女でした。そもそも学校の教師をやるからには、厳格ながらも愛情深く、博識で人格者で、決して間違いを起こさず、常に正道を歩み続ける、子供の手本となるに相応しい人間を据えるべきだと思うのです。そう、例えば私のような。それをあんな若さだけが取り柄のようなみっともない小娘にやらせていたのがそもそもの間違いだと思うのですが、それでも一応肩書きは担任ですので致し方なく、翔太に友達ができるよう見てやってください、と頼み込んだのでございます。女は笑顔で頷いてくれましたので、一抹の不安を覚えつつも、その女に一応、任せることにしたのです。
けれど私の予想通り、上手くはいきませんでした。待てど暮らせどやはり翔太に友達はできませんでした。私は煩悶いたしました。ああ、やはりあんな若い女に任せたのが間違いだったのか。いやもしかしたら、あの女が翔太を孤立させるよう仕向けているのではないだろうか。でなければ私の可愛い翔太が、天使のように可愛い翔太が、友達のひとりもできないなんて理不尽な目に遭うはずがない。ブスで性格も悪く男にも縁がないくせに男に媚びるしか能のない売女なんぞが担任のせいで、翔太は謂れのない不幸を受けているに違いない。ああ、なんと可哀想な翔太! とにかく、あの売女のせいで、翔太は相も変わらずに友達ができないままでした。いつもしょんぼりとした顔をして学校から帰ってきて、友達ができないとぽろぽろと涙を零していました。私は憤懣やるせなく、母の愛と情とに駆られ、即座にあの糞女に直談判に行きました。あの糞女が偉そうに授業をしている中へと乗り込み、お前のせいで翔太に友達ができないと盛大に言ってやりました。ああ、私はなんと素晴らしい母親なのでしょう! 何故か、集まった他の職員共に追い出されてしまいましたけれど、きっとあいつらは感動のあまり、追い出す相手を間違えてしまったのかもしれませんね。だって、追い出されるべきはあの無能女で、私が追い出されるべき理由などひとつもありませんでしたから。
なのに、それだけのことをしたのに、翔太に友達はひとりもできず、むしろもっと最悪な事態が起きてしまいました。なんと翔太が虐められるようになったのでございます。糞餓鬼共曰く、翔太はデブで、いつも汗をかいており、近付くと朝ご飯を戻しそうな臭いがする。その上みっともなく背を丸めていて、しゃべり方ももごもごしていて、どんよりとした目も相まって二足歩行の豚のよう。また私についても、翔太に瓜二つでぶくぶくと肥え太っていて、翔太と二人並ぶと小汚い豚の親子のよう。しかも参観日でもないのに授業中に入ってきて、訳のわからないことをぎゃあぎゃあと喚き散らすなんて、きっと親子揃って頭がおかしいんだね。……なんという言い様。なんという品のなさ。なんという不躾で無教養で下品で下劣な連中でしょうか。確かに翔太も私もふくよかな体型をしておりますが、それは上質なものばかりを食べている健康的なふくよかさです。汗をかいているのは異常気象によるもので、正常な人間であれば当然の反応です。変な臭いというのは完全に言いがかりでしょう。ちゃんとお風呂に入っている翔太が臭いはずはありません。むしろあの餓鬼共の方が、ロクなものを食べさせてもらっていないのか不健康にガリガリでしたし、翔太を臭いなどと言ったのも健全でない証拠でしょう。下品な声で馬鹿笑いをしますし、妙な動きでうろついていますし、あの餓鬼共の方こそ奇形の猿ではないでしょうか。この国は随分以前から、やれ少子化だ国の危機だと騒ぎ立てておりますけれども、あんな奇形の猿もどきを量産しようとするよりも、優秀な親から生まれた優秀な子供だけを選別して育てた方がよっぽどいいと思うのです。だって、いくら数を揃えたところで、猿から生まれた子供は猿にしかなりませんよねえ? 質の悪い親から質の悪い子供を作ったところで、末は犯罪者か引きこもりにしかどうせなれはしないのですから、だったら私の翔太のように、優秀で可愛く心も美しい子供に全力で投資した方が、よっぽど社会や国のためになるんじゃないかと思うのです。ああ、どうしてそんな簡単なことも、この国の政治家は思い付かないのでしょうか。私は、質の悪い餓鬼とそれを産み育てた親は、社会に迷惑を掛ける罪で即刻死刑にするべきだと思います。
とにかく、下品な猿の吹き溜まりに翔太を置いておく訳にはいかず、私は即刻、翔太を相応しい環境に転校させようと思いました。その前に校長に談判しに行き、担任の糞と餓鬼共を刑務所へブチ込むよう抗議したのですが、何故か追い返されてしまい、警察にも行きましたが追い返されてしまいました。クソクソクソ。ああさっぱり意味がわからない。どうしてこんな理不尽なことが私だけに起こるのか。その地域にいる糞袋共に絶望しきってしまった私は、先述の通り翔太を転校させことにしたのですが、何故か夫が、夫という名の糞袋が、翔太を相応しき場所に行かせることを拒絶したのでございます。こんな糞しかいない土地に翔太をいさせられる訳がないのに、その当然の判断に、あの糞袋野郎は真っ向から反対したのでございます。いや、今ならわかります。あの男に父親の資格は最初からなかったのです。だから、子を思う親の真心が理解できなかったのでしょう。そのせいで翔太の転校は随分遅れてしまいましたが、翔太が二年生に上がる頃にようやく、翔太を新しい学校へ転校させることができました。もちろん私も翔太のために、新しい学校の近くにアパートを借りて翔太と共に引っ越しました。本当は新しい家を建てたかったのですが、元の家に残りたいというクズに妨害されました。昔はあんな人間ではなかったような気がするのですが、私は疫病神に騙されて結婚してしまったのかもしれません。翔太があの疫病神の血を継がず、私に似てくれたのはせめてもの幸運だったと思います。
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