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とは言え邪魔者がいなくなったのに違いはないので、私はまた改めて考えてみることにしました。とは言っても私の手が届くのはゴミ袋がひとつだけ。無いよりはマシだけど、私に使えそうなものはゴミ袋ひとつだけしかない。
けれどそんなことを悲しんでいても仕方がないので、とりあえず布団の上を移動することにしました。両手両足を縛られていたのでとても大変だったけど、ズリズリと身体を動かせばなんとか移動することはできました。芋虫みたいに転がって転がって、やっとの思いでゴミ袋まで辿り着くと、袋を掴んで、結ばれている入り口を手探りで開けようとしました。ゴミ袋を開けたら、お兄さんは怒るだろうか。けれどなんとかしようと思うならやってみるより他にはない。藁にも縋るような思いで、私はゴミ袋に縋りました。なんにも見えない状態でなんとか開けようとしました。手がじんわり汗ばんで何度も滑ってしまったけれど、何度も何度も挑戦して、なんとかゴミ袋の結び目をほどくことができました。ほどけたと同時に、中のゴミが飛び出してきていくつかが手に当たって、私はそれを必死に触って使えそうなものを探しました。なんでもいい。なんでもいいから、何か使えるものが欲しい。そう思って、ベタベタしているものがついたゴミにも必死に触りました。
「何をしている!」
でも、邪魔者はすぐに戻ってきてしまいました。いえ、ゴミ袋を開けるまでに結構時間が掛かっていたから、もしかしたら「すぐに」ではなかったかもしれないけれど、それでも、もっと時間の余裕があっても良かったんじゃないかと思います。私はお兄さんの声に、掴んだものを咄嗟に布団の下に隠しました。お兄さんが足音を立てて部屋の中に入ってきました。お兄さんはしゃがみ込むと私に向かって怒鳴りました。
「何をしていた! 何をしていた! 何をしていた! 何を」
「何もしてない! ゴミ袋が……ゴミ袋が突然破裂したの!」
私は嘘をつきました。嘘をつくのは良くないってお母さんに言われていたけれど、ああいう状況でも嘘をついた私は悪い子なのでしょうか。お兄さんがびっくりしたみたいに黙り込んだので、その間に私は一生懸命言いました。
「ゴミが私の方に来て……汚いなと思って……か、片付けてくれませんか?」
一瞬、このままにさせておいた方がいいかなとも思ったけれど、ゴミを嫌がってるフリをした方がやっぱりいいだろうなと思いました。もしこのままでいいと言って、せっかく手に入れたものを見つけられたら大変だ。もっとも、良い物を手に入れられた保証は何処にもなかったんですけれど。
お兄さんはまたしばらく黙った後、「そ、そうだったんだ。ごめんね? 怒鳴ったりして」と言いながら、私の後ろに散らばったゴミを片付け始めました。私は隠したゴミが見つからないよう願いました。私の願いが通じたのか、お兄さんはゴミをゴミ袋に戻したら立ち上がりました。
「ええと……本当に、本当に、ごめんね? 怒鳴ったりして。何か……何か、して欲しいことはないかな?」
その言葉に、私は瞬時に色々なお願いを思い浮かべました。手足を縛るのをやめてほしい。そもそも解放してほしい。でも、それを頼んだところで、叶えてくれるとは思えない。
私はこれと言って良い返事が思い付けなくて、「いえ……特に……」なんて言葉を返しました。するとお兄さんは優しそうに見せたそうな笑顔を残して出て行きました。後には布団と、布団の上に転がっている私と、ゴミ袋と、宙に舞っているたくさんのホコリぐらいが残されました。もう一回ゴミ袋の中を漁ってみようか? でも、またゴミが散らばって、それをお兄さんに見られたらどんな反応をされるかわからない。しばらく時間を置いてみようか? すぐにゴミが飛び散ったら怪しまれるかもしれないけれど、ある程度時間を置いてなら、結び方が緩くて出てきたのかも……と思ってくれるかもしれない。
そう考えた途端、急に眠気が襲ってきました。張り詰めていた気持ちが切れたのか、監禁されている状態に疲れが溜まったのか、両方か。抗っても仕方が無いし、時間潰しにはいいかもしれない。それに関しては丁度いいことに布団の上にいるわけだし、私は少し休むために意識を手放すことにしました。
けれどそんなことを悲しんでいても仕方がないので、とりあえず布団の上を移動することにしました。両手両足を縛られていたのでとても大変だったけど、ズリズリと身体を動かせばなんとか移動することはできました。芋虫みたいに転がって転がって、やっとの思いでゴミ袋まで辿り着くと、袋を掴んで、結ばれている入り口を手探りで開けようとしました。ゴミ袋を開けたら、お兄さんは怒るだろうか。けれどなんとかしようと思うならやってみるより他にはない。藁にも縋るような思いで、私はゴミ袋に縋りました。なんにも見えない状態でなんとか開けようとしました。手がじんわり汗ばんで何度も滑ってしまったけれど、何度も何度も挑戦して、なんとかゴミ袋の結び目をほどくことができました。ほどけたと同時に、中のゴミが飛び出してきていくつかが手に当たって、私はそれを必死に触って使えそうなものを探しました。なんでもいい。なんでもいいから、何か使えるものが欲しい。そう思って、ベタベタしているものがついたゴミにも必死に触りました。
「何をしている!」
でも、邪魔者はすぐに戻ってきてしまいました。いえ、ゴミ袋を開けるまでに結構時間が掛かっていたから、もしかしたら「すぐに」ではなかったかもしれないけれど、それでも、もっと時間の余裕があっても良かったんじゃないかと思います。私はお兄さんの声に、掴んだものを咄嗟に布団の下に隠しました。お兄さんが足音を立てて部屋の中に入ってきました。お兄さんはしゃがみ込むと私に向かって怒鳴りました。
「何をしていた! 何をしていた! 何をしていた! 何を」
「何もしてない! ゴミ袋が……ゴミ袋が突然破裂したの!」
私は嘘をつきました。嘘をつくのは良くないってお母さんに言われていたけれど、ああいう状況でも嘘をついた私は悪い子なのでしょうか。お兄さんがびっくりしたみたいに黙り込んだので、その間に私は一生懸命言いました。
「ゴミが私の方に来て……汚いなと思って……か、片付けてくれませんか?」
一瞬、このままにさせておいた方がいいかなとも思ったけれど、ゴミを嫌がってるフリをした方がやっぱりいいだろうなと思いました。もしこのままでいいと言って、せっかく手に入れたものを見つけられたら大変だ。もっとも、良い物を手に入れられた保証は何処にもなかったんですけれど。
お兄さんはまたしばらく黙った後、「そ、そうだったんだ。ごめんね? 怒鳴ったりして」と言いながら、私の後ろに散らばったゴミを片付け始めました。私は隠したゴミが見つからないよう願いました。私の願いが通じたのか、お兄さんはゴミをゴミ袋に戻したら立ち上がりました。
「ええと……本当に、本当に、ごめんね? 怒鳴ったりして。何か……何か、して欲しいことはないかな?」
その言葉に、私は瞬時に色々なお願いを思い浮かべました。手足を縛るのをやめてほしい。そもそも解放してほしい。でも、それを頼んだところで、叶えてくれるとは思えない。
私はこれと言って良い返事が思い付けなくて、「いえ……特に……」なんて言葉を返しました。するとお兄さんは優しそうに見せたそうな笑顔を残して出て行きました。後には布団と、布団の上に転がっている私と、ゴミ袋と、宙に舞っているたくさんのホコリぐらいが残されました。もう一回ゴミ袋の中を漁ってみようか? でも、またゴミが散らばって、それをお兄さんに見られたらどんな反応をされるかわからない。しばらく時間を置いてみようか? すぐにゴミが飛び散ったら怪しまれるかもしれないけれど、ある程度時間を置いてなら、結び方が緩くて出てきたのかも……と思ってくれるかもしれない。
そう考えた途端、急に眠気が襲ってきました。張り詰めていた気持ちが切れたのか、監禁されている状態に疲れが溜まったのか、両方か。抗っても仕方が無いし、時間潰しにはいいかもしれない。それに関しては丁度いいことに布団の上にいるわけだし、私は少し休むために意識を手放すことにしました。
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