9 / 19
一章
義務教育からもう一度
しおりを挟むさて落ち着いて状況を整理しよう。
決闘の時にエーテルアーマーをすると、俺の体には傷がつかない。だから神の呪いは発動しない。つまりは、呪いなしで俺はこの島で勝ち上がらなければならないということになる。
だが、魔法が使えて当たり前のこの御時世、俺以外はもはや義務教育の課程詠唱すれば全属性が使える。
そして俺は全く使えない。そもそも義務教育受けてないしな。
……え? 無理じゃん。勝てないじゃん。
「あ、終わった」
「ど、どうしたんですか?」
項垂れているとクレアが声を掛けてくれた。
クレアには神の呪いなんていうことはとても出来ない為、独自魔法ということにして効果は自分がダメージを食らうと、相手もダメージを受けるという説明を簡単した。
「な、なるほど。先程から様子がおかしかったのはそういうことだったのですね……確かに深刻な問題です。魔法は使えないのですか?」
「田舎育ちで、小学校も行ってなかったから」
「しょ、小学校もですか!?」
「う、うん」
目を丸くするクレアをよそに俺も驚いていた。
里で読んだ外界の本では、小学校に行ってない人は大勢いるとか書いてたような気がするんだけどなぁ。……あ、本が古かったからか。
「そう……ですね、今から全属性を扱うのはとても間に合わないと思うので、せめて得意な属性だけでも無詠唱で放てるようにした方がいいと思います。それではまずは得意な属性が何か調べましょう」
「そうだな。……ってえ? まさか俺の魔法特訓に付き合うつもりなのか⁉ そこまで面倒掛けるわけには……」
「何故てすか? 友達とは困っている時こそ、手を取り合い助け合うものではないのですか?」
「そ、そうだけど。俺に構っていたら他の人にポイントで負けるぞ」
「いえ、大丈夫です……公式戦は全て出て勝ち抜けば、問題ありません」
「いや、それでも万が一そこで負けたりしたら……」
「その時は自分の弱さを呪いましょう」
どうやら何がなんでも俺の特訓に付き合うつもりらしい。
「はあ、分かったよ」
「それでは修練場を使いましょう……確か近くにあった筈です」
######
そして、修練場に着き、魔法の特訓を始めた。
「まずは、魔力操作ですね。これで大体魔法が得意かそうでないかが分かります。大きく深呼吸して下さい。そして息を止めて、丹田に意識を集中。」
言われた通りに、深呼吸、息を止め、丹田に集中する。
「すると、何かが動いた感触ありましたよね」
確かにある、何かが。ゆっくりと集まってその辺りが暖かくなって来たような感覚が。
「それが魔力です」
「では、それをゆっくり手の指先に移動させて見てください。最初は中々難しいので慣れるまで時間はかかってしまうと思いますが、焦らずに……」「こうか?」
「え? もう出来たんですか? 早いですね。それではそれを反対側の指先に……」「出来た」
「……え? またもう出来たのですか? 少しそのままで手を貸してください。……本当に出来てますね。ミゼルくんには魔法にかなりの才能があるのかもしれないですね。ではまず私が火属性の初級魔法の詠唱をしますので、私の後に続いて発音してください」
クレアの詠唱をシャドーイングすると、手のひらから小さい火の玉がぽすっと出てきた。
「はい、出来ましたね。それでは別の属性の魔法を……。ミゼルくんは何か使ってみたい属性の魔法とかってありますか?」
ふむ。使ってみたい魔法なぁ。
「そもそも何があるか分からん。属性とかってなんとなくで聞き流してたし、今まであんまり気にしてなかったしなぁ」
「そ、そうですよね。小学校に行かれていないのですから、すみません無粋なことを……」
「いや、全然気にしてないから。それで説明してくれる?」
本当に気にしていないからただこちらの心が痛くなるだけなので、説明を催促した。
「それでは説明します。属性には6種類あります。地、火、氷、風、雷、そして無……それぞれには相性などもあります。そして魔法には初級、中級、上級と威力や規模により、段階的に分けられています。
基本的には小学校卒業時点でほとんどの方はこの六属性の初級魔法を無詠唱で行うことができます。そして中学校卒業……つまりほぼ今の私たちの世代ですね……では六属性の中級魔法を無詠唱で行うことができ、そして自分の得意な属性や無属性に限り、上級魔法を無詠唱で行うことができる方がかなりの数でいらっしゃいますね。
...…私も得意なのは火属性で上級は無詠唱で放つことが可能です。
ですが、先ほど言われていたミゼルくんのような独自魔法……それは別格と言われています。一般魔法つまりは六属性とは一線を画す威力を持ち、何万人に一人しか発現しない魔法です。人によって能力も様々です……こんなところでしょうか?」
「ああ、分かりやすい説明をありがとう」
素直に感謝を述べると、クレアは少し照れた様子で謙遜する。
「いえいえ……取り合えずは無属性以外の5属性の初級魔法をしらみ潰しにやっていきましょうか」
「無属性はなんでやらないんだ?」
「無属性は誰にでも使える魔法であり、苦手も得意もないからです。基本的には誰でも使えて、使用する機会も多いのですぐに上達できますしね」
「なるほど」
「……それではまずはさっきは火属性をしましたので、次は雷属性で行きましょうか。それでは手に魔力を集中させて、私の発音の後に続いてください」
火属性の魔法の時と同じやりとりをすると、手の指先からビリビリっと小さな雷が発生する。その様子をクレアは見て、ほぼ同威力ですねと呟いた。
次に風属性も同様のやりとりをすると、周りに落ちていた落ち葉をたくさん巻き上げる程の大きなつむじ風が起きた。それはかなりの時間発生し続け、30秒後にようやく終息した。
「他の属性と比べて、かなり強い威力がありましたね……ミゼルくんは風属性が得意なのかもしれませんね。では次に土を」
土属性魔法の詠唱のドローイングを終えるが、どこにも変化は見当たらない。もしかして失敗……。
「あ、ありました! この辺りの地面だけが少しだけ盛り上がっています。恐らくこれではないかと……。地面属性は苦手なのかもしれませんね……。さて最後は氷属性ですね。」
詠唱をクレアに続いて行い、全て言い切った次の瞬間。
「うっそ……」
バカでかい氷の玉が目の前にズシーンと落ちてきた。それは俺の方へと転がってくるが、俺を巻き込む前に。
「……ハッ!」
クレアが炎の剣で叩き割り、氷はすぐに蒸発して消えた。
「いやぁ焦ったー。クレアありがとな助かったわ」
「いえ、これしきであれば大丈夫です……ですが、ミゼルくんの氷魔法はかなりのものですね。初級魔法でここまでの威力を出せる人はなかなかいないと思います。
……とはいえ、これで当面の目標は決まりましたね。ひとまずは魔力操作をもっと柔軟に行う鍛錬を毎日し、氷と風と無属性の上級魔法を無詠唱で出来るように頑張りましょう。取り合えずはそれでいいと思います」
「ああ、分かった。それで頑張ってみるよ」
ひとまずは言われた通りに頑張ってみよう。俺は今のところ小学生よりも弱いのだから。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる