【完結】賞品は四人目 〜セッ◯スかデスゲームしないと出られない部屋に取引先の社長と閉じ込められたけど、運営が手緩い~ 【衝撃のラスト】

桐ヶ谷るつ

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【第二十話】ヒトデ

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「それで、今回のゲームは?」
『ご覧いただいております二十丁の銃の中に、一つだけ小道具銃プロップガンがございます。的に向かって撃っていただき、空砲であればクリアです』
「的……?」

 用意されていた軽食を口に運びつつ、理人は首を傾げる。部屋はそこそこの広さがあるが、射的ができるほどの幅はない。まさか拡張機能がついているのかと、背後を振り返ったところで樹と目が合った。床に膝を突いた彼は理人達と同じ、白い服に包まれている。ただ一つ大きく異なるのは、その上にペンキで描かれた赤い二重丸。

「へえ、わかりやすい的だね」
「こ、こここここれっ、的中率どのくらいですか?」
「僕と理人が同じ銃を使ってもいいってルールなら五パーセントかなあ」

 撃ち外しの可能性を除いてと、薄く笑った一色の顔はいつになく上機嫌だ。一気に血の気が引き、背には冷や汗が浮き上がる。声を失ったのは樹も同じなのだろう。利発な脳は逸早く立ち位置を推測し、赤いスクリーンを強かに睨め上げる。

「なんだか知らないけど、間違えて呼んだのはお前らだろ。ゲストに対して随分な扱いじゃないか?」
『ご迷惑をお掛けしておりますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます』

 スピーカーから流れる機械的な定型分。それは自動音声を疑うほどに温度を感じさせない。
 無論そんな珍けな謝罪で済むわけがなく、不満を露わにした樹は勢いよく立ち上がった。しかし一歩踏み出したところで大きく後ろへ引かれ、肉厚な身体は再び床へと沈み込む。足首に括られた鉄製の楔はいつ取り付けられたのだろう。不測の事態の割には用意周到な俊敏さ。ごくりと喉を鳴らせた樹を前に、理人は無意識に一色の手を握り締める。

「どうする、理人?」
「ど、どうするって……」
「僕とセックスするか、それとも彼に死んでもらおうか」

 何度と運営のミスでゲーム内容の改変がなされようと、覆ることのなかった不動のルール。提示された選択は単純、明確で揺るがない。

「まだ当たるかはわからないけど、彼は高い確率で死ぬだろうな……あっ、これって外したら僕もアウトなのか」
「だだだだめですよ、絶対に」

 ぐいっとシャツを引いて、理人は一色を呼び止める。毎週顔を合わせて、寝食を共にすることもある近しい友人。そんな彼と身体を繋ぐことができるのか。夢や想像の世界とは違う、生身の性行為。気まずさは桁違いだ。

 別の懸念は彼が顧客であるということだったが、同時に彼が同性であることも問題だった。いくら好意があろうとも、実際に肌を合わせることができるかは別。女性とは違った硬い筋肉に覆われた身体も、大きな舌が入り込む感覚も、不快感極まりない。合理的に考えるよりも先に、嫌悪感が湧き立った。

 なんと答えるべきなのか、理人が言葉を探していると、一色は迷うことなく手を引いて、白いシーツに飾り立てられたベッドへと向かう。

「ひいっ、無理……っ、絶対に無理です!」
「でもこの前は勃ってたから」
「俺は触られれば相手がヒトデでも勃ちます」
「守備範囲が広いなあ」

 いくらなんでも棘皮動物を例に挙げたのは選択ミスか。脚衣を乱す一色の手付きは荒く、内なる苛立ちを滲ませる。拒否する口を強引に抉じ開ける舌の味、激しい動きで男性器を根本から扱き上げる手の温度。与えられる前戯の一つひとつが押し沈めた記憶の行為に重なり、性的な昂りを誘引した。



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