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【第十九話】純白の空間
しおりを挟む「なんだ、ちゃんと勃つじゃん」
「も、やだ……っ、そこ触んな、ぁっ」
「なんなら先走りも出てるし、お前EDよりも早漏のが心配だな」
「だからドンピシャで当てるの止めて」
腐っても営業部第一位。察しが良ければ、幅広い面で知識が深いのだろう。あまりにも的確な診断に医者への転職を勧めたくなった。
経験値を生かした舌遣いは眠気も吹っ飛ぶ甘さで理人を転がし、性的な香りを纏わせた。れーっと根本から裏筋を舐め上げ、硬さが増したところで口に含まれる。それは咥内で鈴口を弄り、卑猥な色の液体を吸い出すように舌を当てた。鼻にかかった甘ったるい声が漏れた途端、耳元で聞こえた声は誰のものだったか。ブツンッと激しい照度の落差で暗転した視界。目に映る真っ暗闇が瞼の裏側であることに気が付くまで、暫し時間を要した。
「あ? なんだここ」
荒い手付きで口元を拭いながら樹は顔を顰める。柔らかなベッドの上にいた身体は白いタイルの上に放られ、空調の音すら聞こえない。白い壁、白い床、白い調度品。目に入る全てが純白の空間は、招かれざる客の到来を神妙な面持ちで見据えていた。
「理人、顔色悪いけど大丈夫?」
「駄目ですね、あとこんな形で出てきてすみません」
声を掛けてきた一色とは顔を合わせず、理人は股の間に顔を埋めたままだった男の肩を強かに脚蹴る。
毎回着せられている医療用スクラブのような服は、ここでのユニフォーム的な扱いなのか。ご丁寧に着替えさせてくれたことは有難いのだが、なぜか今回は脚衣のみ手元に折り畳まれた状態で置かれていた。
体勢が体勢だったため、着用を断念したのだろう。お陰で下半身素っ裸での入室となり、大恥をかかされた。
「清水さん、蝿が紛れ込んでるみたいだけど大丈夫なのかな?」
『申し訳ございません。情報技術部に確認を取りましたところ、粘膜の交わりがあったため、一緒に転送されてしまったようです』
「粘膜の交わり、ね……」
いそいそと脚衣に脚を通す理人の横で、一色は樹へと目を向ける。運営の手緩さは今に始まったことではなくとも、部外者の乱入は初めて。それが今回のゲームにどう影響するのか。先を予想できた者はまだこの時点ではいない。
「この前言っただろ、デスゲームしてるって」
「あれガチだったのか」
正式名称は「セックスかデスゲームをしなければ出れない部屋」なのだが、わざわざ詳細まで話すのは気が引けた。
理人は立ち上がり、一色の手を引いて部屋の中央へと向かう。目の前には宙に浮かんだ拳銃が二十丁。あれだけ銃は扱えないと伝えたにも関わらず、たった一回別のゲームを挟んだだけで振り出しに戻る。安定の学習能力の低さと計画性の崩壊。代わりに部屋の清掃は隅々まで行き渡り、現場の努力が伺える分、嫌いになれないのがまた憎らしいところでもあった。
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