小石投げたら魔王が消し飛んだんですけど!?

真鯛浜池

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第一章 最強投擲少女、爆誕

プロローグ-小石は異世界を救う-

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 ・・・どうしてこうなっちゃんだろう?

 私、石守 瑞希(いしもり みずき)。18歳。新卒。高校時代は野球部マネージャー。就職先は夢だったカフェ店員。今日が初出勤!・・・だったはずなのに。

 私が今いるのは禍々しい頭蓋骨や蝋燭がいっぱいある、いかにも呪術に精通してます!みたいな部屋。
 私の後ろには、覚悟しろ!魔王!みたいな事を言いながら勢いよく入ってきたけど目の前の光景が信じられないのかポカーンとしている勇者パーティーらしきご一行。
 私の目の前は、大爆発が起きたように壁が破壊されて綺麗なお空がこんにちは。
 そして部屋の床には木っ端微塵になって痙攣している魔王?様。

 本当にどうしてこうなっちゃったの?



 ―――時は遡り、少し前。

 瑞希は、初出勤に向けて気合を入れて念入りに準備をしていた。
 
 今日は高校時代から通い続けていた大好きなカフェに就職しての初出勤。
 前日は緊張であまり眠れなかったが、そこは若さでカバー。むしろ興奮しすぎて全然眠くない。

 (寝癖確認よし!メイクよし!持ち物よし!完璧!)

 まだ出勤するには早いけど、初日から遅刻する訳にはいかない。
 予定より20分ほど早いけどいいや。もう家を出ちゃおう。

 勢いよく今回の就職のために借りたワンルームの部屋を飛び出す。
 飛び出したらなぜか私は無限の闇に落下した。

 (えええええええええええええええええええええええええ!?)

 落ちる。ただただ落ちる。ずっと落ちる。ひたすら落ちる。
 だけど、落下するだけ。落下するだけで何も起こらない。

 (何!?何が起こってるの!?)

 周りを見渡すけどずっと真っ暗。上を見ても真っ暗。どこから落ちたのかもわからない。一体どうなってるの?
 
 ・・・最初は何が起こったかわからずあたふたしていたけど、段々と落下の感覚に慣れてきた。
 慣れてきたけど、何も起こらない。まだまだひたすら落ちるだけ。

 (いつまで落ち続けるのこれ・・・)

 そのまましばらく落ち続けていると、ふと目の前に小さい手のひらサイズの羽の生えた女の子がいきなり出てきた。

 「やっほー!こんにちは☆」
 「へっ!?」

 何この子?妖精?天使?めっちゃ可愛いんですけど!?
 でも何これ?夢?でも落ち続けていて落下の感覚はしっかりと感じている。

 「ごめんねー、お姉さん別の世界の悪い魔王様に呼ばれちゃったんだー。本当はちゃんとスキルポイントをステータスとスキルに自分で振ってもらうんだけど、そんな時間ないからあたしが適当に選んじゃうね☆」
 「えっ!?えっ!?」

 この子が一体何を言ってるのかわからないんですけど。
 別の世界?魔王様?異世界に召喚されるって事?どんなファンタジーよそれ!

 「あたしが適当に振っちゃった分、少し能力とかサービスしてあげるから!じゃ。頑張ってね☆」

 妖精?の女の子が指パッチンした。その瞬間、周囲の景色がガラリと変わる。
 禍々しい雰囲気の部屋。そして目の前には、角の生えた化け物がいた。


◇―◇―◇―◇―◇


 「フム・・・?成コウカ?」

 目の前の化け物が私を見ながら首を傾げる。
 一応人の形はしているけど、明らかに人間ではない。角が生えているし、何より体の色が緑色で気持ちが悪い。

 「ムスメ。コトバハワカルカ?」
 「あ・・・はい・・・」

 まだ状況が掴めていない。
 私はどうなっちゃったの?やっぱり異世界に連れてこられちゃったの?
 悪い魔王様に呼ばれちゃったってあの子は言っていたし・・・この気持ち悪い化け物に呼ばれたって事なの?

 「ワカルナライイ。ムスメ、ワレノ子ヲ産メ」
 「え・・・?」

 今・・・子を産めって言った?冗談よね?
 私イケメンと結婚して幸せに暮らす予定があるんで嫌なんですけど!まだ相手いないけど!

 「モウスグ勇者ガクル。時間ガナイ。コチラニコイ」

 化け物がゆっくりと私に手を伸ばしてくる。なんかドロドロしてて気持ち悪い!
 え、ちょっと待って?なんか異世界に急に呼ばれて数分と持たずにバッドエンド直行なの私?そんなの嫌なんだけど!
 あの子はステータスとかスキルとか適当に振ったって言ったけど肝心の何に振ったのか教えてもらってないじゃん!私何できるのよ!
 なんかまだ足痺れて動けないから逃げられないし!えーっととりあえず・・・!

 「来ないで!」

 私は自分の周りを囲っていた小石を化け物に向かって放り投げた。
 
 その瞬間、投げた小石が巨大な隕石のような炎を纏って化け物を轢き潰した。そのまま部屋の壁を突き抜けて外へと飛んで行った。

 (へ・・・?ええ・・・?)

 一体何が起こったんだろうか。一応野球部のマネージャーやってたから投げる事は他の女の子よりは得意だと思うけど。得意とかいう問題かなこれ・・・?
 あの子が与えてくれた力なんだろうけど・・・やりすぎではなかろうか・・・?

 「ここか!魔王デイブ!もう逃がさねえ・・・ぞ?」

 後ろの扉が開いて金髪の美少年と修道女のような子とローブを着た女性が入ってくる。
 入ってきて、3人とも入口で固まっている。金髪の美少年に至っては口ポカーンしている。
 そりゃそうでしょうね。扉開けたら〇的ビ〇ォーア〇ターもびっくりのリフォームやっちゃってるもんね、私。

 ・・・どうしてこうなっちゃんだろう?

◇―◇―◇―◇―◇

 「えーっと・・・これは・・・君がやったのかい?」

 金髪の美少年が声をかけてくる。いかにも勇者ですって感じの装備をしているし勇者なんだろうか?
 
 「あの・・・はい。ここにあった石を投げたらこうなっちゃいました・・・」

 とりあえず正直に話そう。でも壁の修繕費とか支払わないといけないのかな・・・?私まだ働いてないからお金ないよ・・・?そもそも異世界で円って使えるの・・・?
 
 「そのような魔法が存在するのですか?」
 「少なくとも私は聞いたことないわねー」

 修道女がローブの女性に話すけど、ローブの女性は即否定する。
 そのままローブの女性は私に近付いてきて、私と手を繋ぐ。

 「ちょーっと失礼するわねー・・・『サーチ』」

 ローブの女性が唱えると、床に色々なステータスが表示される。私のステータスかな?あの子は適当に振ったって言ってたけど、どんな感じなんだろう。

◇―◇―◇―◇―◇

 イシモリ ミズキ 女 18 Lv50 残りSP525

 HP 3000/3000
 MP 890/900
 筋力 9999
 体力 100
 魔力 100
 速さ 100
 運  100
 
 【習得スキル】
 『投擲Lv999』

◇―◇―◇―◇―◇

 なんだか、あの子にとんでもない脳筋の化け物にされたみたいです。私。
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