小石投げたら魔王が消し飛んだんですけど!?

真鯛浜池

文字の大きさ
4 / 5
第一章 最強投擲少女、爆誕

第三話 脳筋少女、お金持ちになる

しおりを挟む
 ―――朝になった。

 起きたら元の世界に戻ってないかなとか思ったりしたけど、そんな甘くなかった。メイドさんに起こされた。

 「おはようございます、ミズキ様。申し訳ありませんが、アルヴィン様とマルテ王子が客間でお待ちですのでお越しいただけますか?」

 ・・・ん?王子?
 王子って国の王の子?エライヒト?

 「あの、私偉い方へのマナーとか礼儀とか全然わからないんですけど・・・!」
 「マルテ王子はお優しい方なので大丈夫でございますよ。アルヴィン様もミズキ様のご事情はお話しているみたいなので、問題ないかと思われます」

 ええ・・・そうは言われても緊張するし怖いものは怖いよ・・・
 どうせなら昨日みたいにいきなりポンッと呼び出されたほうがまだマシだよ・・・

 「お着換えはこちらにご用意してありますので、お着換えになりましたらお呼びくださいませ。廊下でお待ちしております」

 メイドさんが告げるだけ告げて廊下に出ていく。
 当然だけど私に選択肢はないらしい。

 (勘弁してよ~・・・)

 そう言っても助けてくれる人なんて誰もいるはずもなく。
 私は重い体を動かして用意してもらった服に着替えた。
 昨日のお風呂上がりに用意してもらった服よりも更に豪華になっていた。


◇―◇―◇―◇―◇


 「アルヴィン様、マルテ王子。ミズキ様をお連れいたしました。」
 「うん、ありがとう。下がっていいよ。何かあったら呼ぶ」
 「かしこまりました」

 メイドさんに案内してもらって、客間へとやってきた。
 なんていうんだろう。大食堂とかにも驚いたけど、客間もとてつもなく広い。
 ソファもめっちゃふかふかそうだし。20人くらい座れそうなくらい置いてるし。

 「ミズキ、起こしちゃってごめんね。できるだけ寝かせてあげたかったんだけど、マルテが忙しくてあまり時間が取れなくてね」

 今日は鎧ではなく、貴族服?を着たアルヴィンさん。

 「貴女がミズキか。私はレーリス王国第一王子、マルテ・レーリス。気軽にマルテと呼んでくれ」
 「い、石守瑞希です、よろしくお願い致しますマルテ王子様」

 緊張しすぎて自分で何を言っているか全くわかってない。ダメだ・・・

 「あっはは!緊張しなくていいよミズキ!とりあえず座って!マルテもここは僕の家なんだから普段通りでいいよ普段通りで」
 「そうか?俺はこれが素なんだがな・・・善処しよう」

 王子が苦笑いしながら話しかけてくれる。
 うん、これなら大丈夫だ。緊張もほぐれた。座らせてもらう。

 「さ・・・てと。色々ミズキに話さないといけない事はあるんだけど、僕からはいつでも話せるから先にマルテの用事を済ませちゃうね」
 「用事ですか?」

 国の王子様が私に何の用だろう。いや、魔王の事なんだろうけど。

 「そうだな、まずは魔王デイブの討伐。この事について王国を代表してお礼を言わせてもらいたい。また後日王宮で表彰があると思うが、先に俺個人から言わせてもらおうと思ってな」
 「いえ、そんな!私もなんでああなったのかわかっていませんから!」
 「そうは言ってもミズキが魔王を討伐したのは事実だからな。国からの恩賞も出ている。受け取ってくれ」

 王子から麻袋を渡される。チャリチャリなっているしお金だろうか?めちゃくちゃ重い。かなり入っていそう。

 「ミズキは異世界からやってきたと聞いている。この国の通貨の価値等はわからないと思うが、その弱みに付け込んで恩賞金を減らしたりはしていない。安心してくれ」
 「いえあの、貰えるだけでもありがたいです!むしろ貰うのも申し訳ないというか」
 「ふむ・・・アルヴィン、異世界人というのは謙虚なのだな」
 「ミズキが特別そうってだけかもしれないけどね」

 アルヴィンさんが笑いながら言う。いえ、本当に石投げただけでお金貰うのが申し訳ないだけなんです。

 「その袋の中のお金の事は後で僕から説明するとして・・・もう一つ、ミズキに決めてもらわなければいけない事があってね」
 「決める事・・・ですか?」
 「うん、その・・・この世界にきて2日目のミズキに本当は決めてもらうような事じゃないんだけどね・・・」

 アルヴィンさんが申し訳なさそうに話す。え?そんな面倒な事なの?

 「まあその・・・貴族として領地が与えられるから、その領地をどこにするかっていうのを決めて貰わないといけなくてね?」
 「貴族!?!?!?領地!?!?!?」

 え?何言ってるのこの勇者様?
 貴族とか領地とか意味のわからない言葉ばかり出てきたよ?脳筋ゴリラ女には理解が追いついてないよ?
 確かに最初に会ったあの日、恩賞が出るとかは聞いてたけどそこまでぶっ飛んだ話になるのは聞いてないよ?

 「いやもちろん、領地を一人で治める訳じゃないしミズキは何も知らないのは僕もわかってるからミズキが覚えるまでは僕が代行する。どうしても爵位と領地を与えるって王様が言い張っててね・・・」
 「この国では子爵になると屋敷とその屋敷がある街を、伯爵になると小規模の領地を与えられると決まっていてな。親父が最低でも伯爵の地位を与えないと国の面子に関わると俺とアルヴィンの意見を聞いてくれんのだ」

 二人は、異世界からきた若い女性にそこまでの負担はかけられないと反対してくれたらしいけど、王様が断固として聞き入れてくれないらしい。勘弁してください王様・・・

 「で、でもこんないきなり現れた小娘にそんな事しちゃったら他の貴族の方とか絶対怒りますよね?やめたほうがいいですって!」
 「俺もそう思って女男爵、せめて子爵にしてアルヴィンの元で勉強してからにしろって親父に言ったんだがな・・・」

 いえ、それでもやりすぎです王子。そもそも2日目にして貴族とか重いですって。

 「ん~、ミズキの元の世界がどうだったかはわからないんだけど、この世界だと強さが正義・・・とまでは言わないけど、力のある者が上に立つ世界なんだ」
 「実際、アルヴィンも元は平民の出の冒険者だからな。それが数年で公爵になって最強の勇者と呼ばれる存在にまでなった」
 「それは恥ずかしいから置いといてほしい・・・。で、ミズキは下手をすれば国を滅ぼしかねない魔王を倒しちゃったんだ。王様が張り切っちゃうのも無理ないんだよね」

 いや、それでも無理ですって。勘弁してくださいって。
 
 「その・・・できれば一番下というか、限界までその恩賞?って下げられませんか・・・?やっぱり私には無理です・・・」
 「ふむ・・・親父に本人が拒絶しているともう一度相談はしてみよう。だが結果には期待しないでくれ。親父は一度決めた事は全く変えんのだ」
 「本ッッッ当に嫌なんで!!!!お願いします!!!!」
 「お、おう・・・善処しよう・・・」

 本当にお願いします、王子。私の平穏な生活・・・が送れるかはわからないけど、その生活を守ってください・・・

 その後、王子は用事があるとの事で帰っていった。

 ちなみに貰ったお金だけど、大金貨1000枚でした。
 価値がわからないのでアルヴィンさんにわかりやすく例えてほしいと言ったら、

 「そうだね・・・今、僕の住んでるこの屋敷。大体だけど大金貨600枚だよ」

 ・・・と仰られました。
 この異世界にきて2日目。なんかとんでもない大金持ちになっちゃいました。


◇―◇―◇―◇―◇


 [補足]この世界での通貨の価値をもしも日本円に換算した場合
 (主人公は知りません)
 
 銅貨10円 大銅貨100円 小銀貨1,000円 
 大銀貨10,000円 小金貨100,000円 大金貨1,000,000円
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...