小石投げたら魔王が消し飛んだんですけど!?

真鯛浜池

文字の大きさ
3 / 5
第一章 最強投擲少女、爆誕

第二話 至れり尽くせり

しおりを挟む
 私は、メイドさんにお屋敷を案内してもらっていた。

 まず、お屋敷に入っての第一感想。

 (エントランスめっちゃ広いんですけど!!!!!!)

 なんて言えばいいんだろう?
 初代バ〇オハ〇ードのエントランスみたいな感じだ。
 入って正面に大きな階段、各所にどこかへ繋がる扉。
 流石にないとは思うけど、実際にこういうのを見ちゃうとどこかに仕掛けとかないかなあってワクワクしちゃう。ピアノ弾いたら隠し扉が開いたり。

 「ミズキ様、こちらでございます」

 おっと危ない。置いていかれないようにしないと。
 こんな所で迷ったら大変な事になる。烏とか犬に襲われるかも。ないかそれは。

 メイドさんは丁寧に部屋だけじゃなくて、どこに何があるかを案内してくれる。
 でも、私は廊下にある壺がいくらするんだろうとかそんな邪な事ばっかり考えていたので全く頭に入ってこなかった。
 そもそも、方向音痴なので真面目に聞いても正直覚えられないけどね!

 でも、ピアノのある部屋だけはしっかり覚えた。アルヴィンさんに許可を貰ったらこっそり月光を弾こう。意味ないってわかってるけどやってみたい。


◇―◇―◇―◇―◇


 「それではミズキ様、ごゆっくりとどうぞ。お着換えはこちらに置いておきますね。何かお困りの事がありましたら、外でお待ちしてますのでお気軽にお声掛けください」

 一通り案内してもらった後、お風呂に連れてきてもらった。
 最初魔王に襲われそうになった時に怖くて変な汗が出て、体の臭いが気になっちゃってたから正直ありがたい。

 何より、こんな大豪邸のお風呂。期待しない訳がないじゃないか!

 私は服をポポーイと脱ぎ捨ててお風呂のドアを開く。

 (お邪魔しま~・・・・・・・すうううううううう!?)

 トンデモない光景がそこには広がっていた。

 軽く学校の25mプールを超えそうな勢いの大きさの浴槽に、なんかライオン?ドラゴン?から出てきているお湯。
 床は大理石・・・だろうか?わからないけど凄い光沢だ。走ったら滑って転びそう。
 こんなお風呂がこの世に存在していいの・・・!?

 ・・・この世じゃなかったわ。異世界だったわ。

 それにしても、これはどこで体を洗うんだろう?日本の温泉みたいに何枚も鏡が並んでいて洗うスペースのような所はあるんだけど、シャワーが見当たらない。
 流石に距離があるからいちいち浴槽から汲むのは手間だと思うんだけど・・・

 シャワーらしき物を探しながら鏡の前に立つと、いきなり体が温かい光と泡に包まれた。

 (うおおおおおおおおおおおおおおお!?)

 すごい!なんかよくわからないけど全自動で洗われてる!
 ちょっとくすぐったいけど、髪も含めてめちゃくちゃ綺麗に洗われてる!・・・感じがする!

 少し経つと、泡がスッと消えた。鏡を見ると、汗で落ちかけていたメイクも綺麗に落とせている。体からはなんだかすごくいい香りがする。

 (異世界・・・ハンパねえ・・・)

 その後、私は湯船を思う存分楽しんだ。恥も忘れて泳ぎまくった。
 少しのぼせた。


◇―◇―◇―◇―◇


 思う存分超高級お風呂を楽しませてもらった私は、用意してもらった着替えを着て食堂・・・いや。大食堂にきていた。
 一体何人座れるんだコレ。50人くらいは楽に座れるんじゃない?

 しかし、私の心はざわついていた。

 (異世界料理・・・変な臭みのある獣の肉とか出てこないよね・・・?)

 そう。ここは異世界。

 お風呂などは大体予想が・・・いや全くの予想外もあったが、流石に危ない要素はないだろう。

 ただし、食事に関しては全くの別だ。一体ナニが出てくるのかわからない。

 「ミズキ様、お待たせ致しました。」

 メイドさんがお料理を運んできてくれた。

 何かのお肉を焼いた物、シチュー的な物、サラダ的な物、何かを挟むパン的なもの。

 う~ん・・・見た目はそこまで違和感はない。

 「こちらのパンに、バズバードのソテーとサラダを挟んでお食べください。」

 バズバード・・・?バードって入ってるし鶏肉かな?
 いやでもそもそも異世界で英語ってそのままなの?

 ・・・ええい、ままよ!お腹に入れば贅沢は言わぬ!飢えるよりマシじゃい!
 
 パクッ。もぐもぐ。

 (!? ・・・!?)

 めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ!

 おいしい!!!!!!!うまい!!!!!!!美味!!!!!!!

 まず食感がやばい!パンはサクサク、サラダはシャキシャキ、鶏?肉はジューシー。
 個々の味の良さが綺麗に噛み合って最高のハーモニーをうんたらかんたら・・・!
 正直こんな美味しいもの食べた事がない!

 これはシチュー?にも期待ができる・・・!

 普段見るより少し大きめのスプーンで、すくって口に運ぶ。

 (んん~~~~~~~~~~~~~~~!!)

 シチューだ!クリームシチューだこれ!しかもめっちゃおいしい!

 異世界でクリームシチューが食べられるなんて・・・!
 家じゃ自炊なんてしなくてもっぱらコンビニ弁当愛食者だったし、実家出て以来シチューなんて食べてなかったよ・・・!おいしい・・・!

 なんて事を考えながら食べていたら物凄い勢いでがっついて食べてしまった。
 テーブルマナーも何もない飢えたゴリラと化していた。恥ずかしい。テーブルマナーなんて知らないからできないけど。
 一応がっつきすぎた事を謝ったら。

 「美味しそうに食べていただいて、わたくし共も幸せでございます」

 なんて言われた。天使か?天使なのかメイドさんは?


◇―◇―◇―◇―◇


 幸せなお風呂に幸せな食事が終わり、寝室へと案内してもらった。

 お風呂から出てきた時に着替えたのは豪華な貴族服?みたいな感じの服だったのでパジャマは別にあるだろうとは思っていたけど、それはお姫様みたいなネグリジェだった。

 こういうのを着た事がないので憧れはほんの少しだけあったけど、いざ着てみるとちょっと恥ずかしい感じがする。
 私まだ18だけど?なんかちょーっと歳に合ってないな、みたいな?
 まあ異世界の常識がわからないので、もしかしたらこれが普通なのかもしれないし、もう既に十分すぎる贅沢をさせてもらったので文句なんてもちろん言えません。

 時間はわからないけど、疲れているので布団に入る。めっちゃふかふか。

 今日は色々な事があったなあ・・・。

 初出勤だ!って気合い入れて飛び出したらなんか落下して、神様?とお話して、気持ち悪い魔王に召喚されて。なんか脳筋ゴリラにもされてるし。
 怖くて気持ち悪くて咄嗟にそこにあった石を投げたら勇者さんもおもわず口ポカーンする破壊力を出しちゃって、魔王討伐。
 そのまま勇者さんご一行に感謝されて、なるがままに付いてきたらこの究極の贅沢。

 ・・・私、漫画の主人公もビックリの波乱万丈な一日送ってない?
 怖かったけど、楽しかったけど。流石に毎日がこれはしんどい。

 明日は平和な一日がいいなあ。おやすみなさい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

奥様は聖女♡

喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。 ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...