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恋多き王様の呪い
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リッティシャント王国の三代前の王様は、とても恋多き王様だった。
浮気性と言われてしまえばそれまでだが、王様にとっては一つ一つの恋すべてが本気の恋で、何人もいる恋人のことをそれぞれ真剣に愛していた。
王族には一夫多妻が認められている事もあり、平等に分配される王様からの愛を素直に受け入れ、側室として幸せになる女性も居た。
一度は愛を分かち合う事に納得したが、王宮に上がって自分以外に愛を受け取っている女性がいることを目の当たりにすることで、やはり愛を分けあう事が我慢できずに他の側室を蹴落とそうとする女性も居た。
その地位に着くことで受けられる恩恵の為に、愛を受け取ったふりをして王様を愛さない女性もいた。
女性達の愛の形はそれぞれだったが、王様はそんな女性たちをそれぞれに本気で愛していたのだった。
ある年、恋多き王様が国境近くの領地を視察に行った時のこと。
山の中の小規模砦を視察した帰り道に大雨に降られてしまった事があった。山の一部が崩れてしまい、麓への道が土砂で埋まって立ち往生してしまったのだ。
その時に王様と数名の側近を助けたのは、森の中に住んでいた一人の女性だった。
王様と側近は、安全の為に身分を隠して女性に助けを求めた。相手が王様だと知らなくても、女性は親切に受け入れてくれたし、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
女性はいつも一人で暮らしているので、久々に会話をする相手がいて楽しいのだと言った。だから、道が通じるまで気兼ねなく過ごせばいいと、王様と側近達を森の家で歓待した。
王様は、それはそれは美しい顔をしていた。そして貴族として、王族として紳士たれと育てられていた。そのためにとても礼儀正しく女性に接した。
恋多き王様だったので、女性に対する態度はとてもとても丁寧で、それはそれは優しかった。
普段人と接することの少ない森の家の女性は当然のように王様に恋をした。
そして、恋多き王様はその恋に答えた。
王様が恋多き王様だということはとても有名だった。国民のほぼ全員が知っている事だった。なので、王様から恋を囁かれても他人と愛を分け合うのは嫌だという人はきちんと断った。王様も、それで不敬だと怒ることは無かった。
だから王様は、森に住む女性も愛を分け合うことを了承の上で王様と恋仲になったと思いこんでいた。
しかし、森に住む女性は彼が王様であることを知らなかった。最初に、安全の為に王様であることを言わなかったからだ。
そのうえ、森からめったに出ないで他人との会話もほどんどしない森の女性は王様が恋多き王様だということを知らなかった。
やがて土砂崩れで塞がれていた道が開通し、城から迎えがやってきた。
王様は自分が王様であることをつげ、城で一緒に暮らしましょうと森の女性を誘った。
十三番目の奥さんとして。
自分が唯一の愛だと思っていた森の女性は激怒した。一対一の相思相愛の恋だと信じていた森の女性は裏切られたと憤った。愛してると囁いたのは嘘だったのだと、好きだと抱きしめたのは嘘だったのだと、恋しいと一つになったのは嘘だったのだと絶望した。
「私を裏切ったお前には呪いをかけてやる!これから先、愛する人に愛を囁やけぬ呪いだ!恋する人に恋文を書けぬ呪いだ!好きな人に好意を伝えられない呪いだ!呪われろ!呪われろ!末代まで呪われるがいい!」
森で王様に親切にしてくれた女性は、魔女だったのだ。
恋多き王様には十二人のお妃様がいた。
城に帰った王様は、十二人のお妃様から心配したのよ、ご無事で何よりですわと囲まれた。
そこから毎日順番にお妃様の部屋へ泊まり、心配をかけたことを謝罪し、お互いの無事を喜びあったが、王様はお妃様達に「好きだ」「愛してる」と言えなくなっていた。
愛しい気持ちを伝えようとすると喉がつまり、胸が苦しくなって呼吸ができなくなってしまうのだ。
王様は相変わらず優しくて、親切で、マメだったし、頬を撫でる手も抱きしめる腕も髪に口づける唇からも愛情を感じることはできたので、愛を言葉で告げられなくなったところで、王様に嫌われたと感じるお妃様はいなかった。
しかし、王子たちは別だった。
第一王子は婚約者に「愛してる」と言えなくなった。まだ年若い王子は態度で愛情を示す事がへたくそで、婚約者と大喧嘩をしてしまった。
第二王子にはまだ婚約者は居なかったが、恋心を向ける女性がいた。しかし、その人に「好きだ」と言うことができなくなってしまったのだ。まだ恋人でもなんでも無い女性には態度で愛情を示すことができず、出てこない言葉に喉をつまらせているうちに、女性は別の貴族と結婚してしまった。
他の王子たちも、好きな人ができても何故か好きと伝えることができなくてとても苦労したという。
そして、現在のリッティシャント王国は魔女に呪いを受けた恋多き王様から三代後の王様が統治している。
三代前の王様の呪いのせいで、二代前の王様からはお妃様が一人しかおらず、王子王女の数も減っている。
リッティシャント王国の現国王にも息子が一人だけいる。
順調に行けば恋多き王様より四代後の国王となる予定の第一王子、それがノレスティアだ。
浮気性と言われてしまえばそれまでだが、王様にとっては一つ一つの恋すべてが本気の恋で、何人もいる恋人のことをそれぞれ真剣に愛していた。
王族には一夫多妻が認められている事もあり、平等に分配される王様からの愛を素直に受け入れ、側室として幸せになる女性も居た。
一度は愛を分かち合う事に納得したが、王宮に上がって自分以外に愛を受け取っている女性がいることを目の当たりにすることで、やはり愛を分けあう事が我慢できずに他の側室を蹴落とそうとする女性も居た。
その地位に着くことで受けられる恩恵の為に、愛を受け取ったふりをして王様を愛さない女性もいた。
女性達の愛の形はそれぞれだったが、王様はそんな女性たちをそれぞれに本気で愛していたのだった。
ある年、恋多き王様が国境近くの領地を視察に行った時のこと。
山の中の小規模砦を視察した帰り道に大雨に降られてしまった事があった。山の一部が崩れてしまい、麓への道が土砂で埋まって立ち往生してしまったのだ。
その時に王様と数名の側近を助けたのは、森の中に住んでいた一人の女性だった。
王様と側近は、安全の為に身分を隠して女性に助けを求めた。相手が王様だと知らなくても、女性は親切に受け入れてくれたし、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
女性はいつも一人で暮らしているので、久々に会話をする相手がいて楽しいのだと言った。だから、道が通じるまで気兼ねなく過ごせばいいと、王様と側近達を森の家で歓待した。
王様は、それはそれは美しい顔をしていた。そして貴族として、王族として紳士たれと育てられていた。そのためにとても礼儀正しく女性に接した。
恋多き王様だったので、女性に対する態度はとてもとても丁寧で、それはそれは優しかった。
普段人と接することの少ない森の家の女性は当然のように王様に恋をした。
そして、恋多き王様はその恋に答えた。
王様が恋多き王様だということはとても有名だった。国民のほぼ全員が知っている事だった。なので、王様から恋を囁かれても他人と愛を分け合うのは嫌だという人はきちんと断った。王様も、それで不敬だと怒ることは無かった。
だから王様は、森に住む女性も愛を分け合うことを了承の上で王様と恋仲になったと思いこんでいた。
しかし、森に住む女性は彼が王様であることを知らなかった。最初に、安全の為に王様であることを言わなかったからだ。
そのうえ、森からめったに出ないで他人との会話もほどんどしない森の女性は王様が恋多き王様だということを知らなかった。
やがて土砂崩れで塞がれていた道が開通し、城から迎えがやってきた。
王様は自分が王様であることをつげ、城で一緒に暮らしましょうと森の女性を誘った。
十三番目の奥さんとして。
自分が唯一の愛だと思っていた森の女性は激怒した。一対一の相思相愛の恋だと信じていた森の女性は裏切られたと憤った。愛してると囁いたのは嘘だったのだと、好きだと抱きしめたのは嘘だったのだと、恋しいと一つになったのは嘘だったのだと絶望した。
「私を裏切ったお前には呪いをかけてやる!これから先、愛する人に愛を囁やけぬ呪いだ!恋する人に恋文を書けぬ呪いだ!好きな人に好意を伝えられない呪いだ!呪われろ!呪われろ!末代まで呪われるがいい!」
森で王様に親切にしてくれた女性は、魔女だったのだ。
恋多き王様には十二人のお妃様がいた。
城に帰った王様は、十二人のお妃様から心配したのよ、ご無事で何よりですわと囲まれた。
そこから毎日順番にお妃様の部屋へ泊まり、心配をかけたことを謝罪し、お互いの無事を喜びあったが、王様はお妃様達に「好きだ」「愛してる」と言えなくなっていた。
愛しい気持ちを伝えようとすると喉がつまり、胸が苦しくなって呼吸ができなくなってしまうのだ。
王様は相変わらず優しくて、親切で、マメだったし、頬を撫でる手も抱きしめる腕も髪に口づける唇からも愛情を感じることはできたので、愛を言葉で告げられなくなったところで、王様に嫌われたと感じるお妃様はいなかった。
しかし、王子たちは別だった。
第一王子は婚約者に「愛してる」と言えなくなった。まだ年若い王子は態度で愛情を示す事がへたくそで、婚約者と大喧嘩をしてしまった。
第二王子にはまだ婚約者は居なかったが、恋心を向ける女性がいた。しかし、その人に「好きだ」と言うことができなくなってしまったのだ。まだ恋人でもなんでも無い女性には態度で愛情を示すことができず、出てこない言葉に喉をつまらせているうちに、女性は別の貴族と結婚してしまった。
他の王子たちも、好きな人ができても何故か好きと伝えることができなくてとても苦労したという。
そして、現在のリッティシャント王国は魔女に呪いを受けた恋多き王様から三代後の王様が統治している。
三代前の王様の呪いのせいで、二代前の王様からはお妃様が一人しかおらず、王子王女の数も減っている。
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