海よりも清澄な青

雨夜りょう

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12近づいていく彼との距離

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 あの後も、リンとオスカーは毎晩同じ時間に海に来て話をしていた。
 他愛の無い話から仕事についての話まで、オスカーは物語でも語るかのように面白可笑しく話してくれた。

「それでね、俺にはカールって弟が一人いるんだ。少し気が弱いけど優しいやつなんだ」
「弟がいるの?赤い髪ではないわよね?」

 以前見た男はもしかして弟だったりしたのだろうか、オスカーだったような気がしたのだが。
 そう思って訊ねるリンに、オスカーはくすくすと笑った。
 彼はリンと会う時、何が楽しいのかと思うくらいにいつも笑っている。

「よく分かったね、俺が視察に行くときは光魔法を使ってカールの色を真似してるんだ」

「やっぱりそうなのね。初めて会ったあの時と今の色が違うから、弟とも会ったことがあるのかと思ったわ」

 彼はずっと楽しそうに笑っている。何故かリンも暖かい気持ちになって、自然と口端が上がっているのが分かった。
 最近のリンはどこかおかしい。自分ではない何かに作り上げられていくように感じられた。

「カールは国の為を、民の為を思える男なんだ。彼こそが王に相応しいんだと、いつも思うよ」

 そう言って、オスカーは少し寂しげに微笑んだ。海で聞いた男達の話では、オスカーをべた褒めしていた。
 そんな彼のなにが王に相応しくないのかが、リンには分からなかった。
 ただほんの少し、彼にそんな顔をさせてしまったことに胸がチクリとした。

「何故?オスカーは立派な人だって人間が話しているのを聞いたわ」

 リンが反論するとオスカーはますます困ったような、泣き出してしまいそうな顔をした。

「俺はそんなに崇高な人間じゃない、ただ自分の大事なものを守りたいだけだよ」

 カールとは違うと、オスカーは一人呟く。
 リンは何が違うのか、どうしてそんな事を言うのか、聞こうとして止めた。

「なら、今度は貴方の国について聴きたいわ。良い国なんでしょう?」

「ああ、君に話したい事がたくさんあるんだ」

 先程までの顔は鳴りをひそめ、オスカーは楽しそうに話始めた。
 リンは彼が見ているもの、考えているものが少し気になったのだった。
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