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第5部
叱るならあとにしてください
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襲ってきた衝撃波で石畳が砕け、地面が抉れ、靴底の下で足場が失われる。
足をすくわれたヴァレリラルドの体がバランスを崩して傾く。瘴気をまとったスレインの鋭い爪が、空気を裂きながら振り下ろされようとしていた。
「ラル!」
ウルリクはヴァレリラルドの前に身を投げ出す。
護衛騎士として傍にいるのに、また間に合わないなんて許せなかった。
六年前のエンロートでのスタンピードの時に、こんな思いは二度としないとベルトルドとともに誓ったのだ。
目の前で主の危険を見過ごすなんて、身を斬られるより辛いことは二度と御免だった。
「ラル! ウル!」
ベルトルドもまた、必死の形相で駆け寄る。
「無用だ!」
だが、ヴァレリラルドは剣を握ったまま手を地面についた。その反動で体を回転させて立ち上がる。
その時にはスレインの爪が目の前まで来ていた。風圧が髪を揺らし、瘴気の匂いが一瞬だけ鼻腔を刺した。
自分の前に立ち塞がろうとするウルリクを制して剣を自分の顔の前で構える。
――その瞬間。
ふわり。
光の粒がスレインの爪に落ちた。
前脚の軌道が大きく変わり、重心を右に傾けた魔獣はそのまま石畳に体を打ち付けて動きを止めた。
ふわり。
光の粒が剣を持つヴァレリラルドの腕に落ちる。髪に触れる。頬に触れる。
優しい手で撫でられるような心地よさが、気を張っていた身体に行き渡る。
気が付けば目の前のスレインだけではなく、周りの魔獣たちも動きを止め、中には体内の瘴気を吐き出してそのまま消滅したものもいた。
戦場の空気が、変わった。
重く肺を押し潰していた瘴気が音もなく薄れ、呼吸が急に楽になっていた。
「なんだ……?」
後悔と自責の念がまだ頭に残っているウルリクは、息を詰めたまま目の前の光景を眺めた。
凶暴さに満ちていた瞳から、精気が抜け落ちていた。牙は剥かれたまま動かず、震えるように低く呻くだけで、それ以上、前へ出ようとしない。
静寂が訪れると同時に、美しい歌声が聞こえてきた。
少し離れたところで歌われているのだろう、明瞭な歌詞はわからなかったが、祈りや慈愛の感情は皮膚に心地よく浸透していた。
剣戟と悲鳴と怒号に満ちていた王城前広場に、ありえないほど穏やかな旋律が流れ込む。
――ああ。
これは。
「……ナオ」
ヴァレリラルドは、思わず空を仰いだ。
歌声は光を伴い、淡い粒となって降り注ぐ。
触れた瘴気は霧のようにほどけ、傷ついた大地の上に、静かに消えていく。
魔獣に襲撃された王都が一番望んでいた『やすらぎ』が広がっていく。
「……魔獣の動きが止まった」
ベルトルドはヴァレリラルドの横に立ち、信じられないというように呟いた。
「傷が治っている!」
近くで誰かの声がした。
「これは……」
クランツは剣を下ろし、広場を見渡した。
魔獣たちは、まだそこにいる。だが、もはや襲いかかってはこない。
膝を折り、伏し、戦意を失ったまま、ただ呼吸をする存在へと変わっていた。
そして、負っていた傷が治っているという奇跡。
この奇跡は六年前の大浄化の時と同じだった。
「ナオ」
ヴァレリラルドは、この空のどこかにいるアシェルナオに向けて、愛しげにその名を呼んだ。
サミュエルは、剣を構えたまま慎重に、動きを止めたノクス・ドミヌスや周りの魔獣たちの様子を観察した。
他の魔獣はともかく、ノクス・ドミヌスの動作の停止は、不気味な沈黙のようだった。
だが、光の粒。歌。自身の体の変化。
それらは六年前のスタンピードの収束の時と状況が同じだった。
「……またナオ様に救われたな」
「違う」
光に満ちた一瞬の静寂の中で、それでも剣を手放さないまま、キュオスティは言った。
まさかの反論に、サミュエルは怪訝な顔を見せる。
「愛し子様を遣わせたのは女神だ。その女神を動かすのは、精霊を信仰し、実直に働くこの国の民だ」
光の粒を手のひらで受けとめて、静かに言葉を発するキュオスティは、昔と変わらなかった。
上位貴族の出でありながら、高慢な貴族の思想を持たず、人間の本質を静観するような人物だった。
「そうだな。すべての民の思いに、ナオ様は報いてくださってるのだろう」
平民出身の自分にも最初から偏見を持たずに接してくれたキュオスティを、サミュエルは優しい顔で見つめる。
「サミュエル」
顔を上げるキュオスティには、どこか甘い表情が浮かんでいた。
「なんだ?」
「私は近々、爵位を嫡男に譲ってビュイソン伯爵家から籍を抜く予定だ」
サミュエルの目が見開かれる。
「それは……」
「本当ならアルソーに……嫡男に仕事を引き継いでもっと早くにそうする予定だった。だが領地で続けて大きな問題があって、時間がかかってしまった。……『すまない』その言葉を言うべきなのは私のほうだ」
嫡男だった兄が身分の低い女性を愛し、子どもができたが、父に許しを得る前に不慮の事故で亡くなってしまったため、兄を敬愛していたキュオスティがその女性と生まれてくる子を守るために結婚したこと。それをサミュエルに告げることができなかったこと。
告げれば、どうにかして解決策を考えてくれたかもしれない。だが、キュオスティはサミュエルに甘えることをよしとしなかった。
結果として、サミュエルを裏切ることになった。サミュエルを深く傷つけた。荒れに荒れたサミュエルが、病弱な少女のひたむきな願いを叶えてしまった。
「……愛のない結婚生活だと思ったが、私は自分の血を引く娘を得た。妻を愛してはいなかったが、病床の妻には家族としての情愛はあった。裏切ったのは私の方だ」
サミュエルの告解に、キュオスティは首を振る。
「アイナから謝罪の手紙を受け取ったのは随分昔のことだ。病床の母から自分の身勝手な結婚について聞かされていたのだろう。先に裏切ったのは私なのに、お前や、お前の娘に引け目を感じさせるのは終わりにしたい」
キュオスティは年齢を感じさせない、若々しい端麗な顔に微笑を浮かべた。
「もう若くはないが、これからの時を一緒に過ごしてはくれないか?」
団長になったばかりの頃。
ようやくお互いの思いが通じたと思っていたあの頃。
自分から言おうとした将来の誓いをキュオスティからしてくれたことに、サミュエルは口を開けて惚けた顔になった。
キュオスティの言葉の意味がじんわりとサミュエルの胸に広がった時、上空からリングダールがばさばさと翼をはためかせて降下してきた。
二人の視線が、同時に空を仰ぐ。
「ヴァルー!」
上空から王城前広場にいたヴァレリラルドを見つけたアシェルナオは、ふよりんの背から手を振った。
「ナオ!」
呼ばれてヴァレリラルドも大きく手を振る。
聖獣リングダールが王城前広場の上空に姿を現し、その背に光の粒を降らせて浄化を行った美しい愛し子を乗せている。
その神秘的な光景に、今まで命がけで魔獣と対峙していた騎士たちは誰もが立ち尽くしていた。
ふよりんが石畳に着地すると同時に、テュコがアシェルナオを抱き上げて地面に降り立った。
『アシェルナオが来たのか』
魔獣の鎮静化の報告は上がっていて、シーグフリードは弟の名を呼ぶヴァレリラルドに問いかけた。
「ナオ、シグが心配している」
「ごめんなさい、兄様。でも僕、みつさんみたいにはできないけど、僕は僕にできることをしようと思ったんです。後悔はしていません。でも、叱るならあとにしてください」
テュコにそっと地面に下ろされたアシェルナオは、まっすぐな瞳でヴァレリラルドを見た。
通信機の向こうでシーグフリードのため息が聞こえた。
ウルリクもベルトルドも、アシェルナオの浄化に助けられた事実を嬉しく受け止めている者たちも、息を呑んでシーグフリードの言葉を待った。
『……アシェルナオに伝えてくれ。怖かっただろうけど、頑張ってくれてありがとう、と』
ほっと息を吐く者たちの中で、ヴァレリラルドはアシェルナオにシーグフリードの言葉を伝えた。
「はい。僕、街が元通りになるまでお手伝いします」
来るのが遅れた分、街の損壊が大きくなったとしたら、責任を持って復興の手伝いをしよう。アシェルナオはそう決意していた。
浄化をして王都の危機を救った、精霊の愛し子であり王太子の婚約者でもあるアシェルナオが進んで協力しようとする姿に、その場にいた騎士たちは心を打たれた。
ヴァレリラルドはアシェルナオに手を伸ばそうとして、魔獣との激闘で汚れた鎧と手に気づいて手を引っ込める。
アシェルナオは杖を元の大きさに戻すと、杖をつきながらヴァレリラルドのもとに歩み寄ろうとしたが、先ほどの衝撃波で破壊された石畳が瓦礫となって散乱しているのに足を取られた。
「ナオ!」
咄嗟に手を伸ばして、アシェルナオを抱き寄せた。
鎧の硬さにも臆せず、アシェルナオはヴァレリラルドの体に手を回した。
「ヴァル、怪我はない? 大丈夫だった?」
「ああ。もし怪我をしていたとしても、ナオの浄化で治っていたよ。瓦礫や魔獣の血で汚れているから抱きしめるのを躊躇っていたのに、悪い子だ」
「僕はヴァルが汚れていても、ぎゅってしてほしい。汚れたらクリーンしてくれるよね?」
「そうだとしても、ナオを汚すのは躊躇うんだよ。……ナオ、浄化をありがとう。でも、大丈夫? 六年前の大浄化では長い眠りが必要になっただろう? 婚約式の浄化でも倒れた。どうか無理はしないでほしい。テュコ、ナオを……」
ヴァレリラルドの言葉の途中で、ギィィィ……と低い咆哮が聞こえた。
※※※※※※※※※※※※※※※※
エール、いいね、ありがとうございます(。uωu))ペコリ
足をすくわれたヴァレリラルドの体がバランスを崩して傾く。瘴気をまとったスレインの鋭い爪が、空気を裂きながら振り下ろされようとしていた。
「ラル!」
ウルリクはヴァレリラルドの前に身を投げ出す。
護衛騎士として傍にいるのに、また間に合わないなんて許せなかった。
六年前のエンロートでのスタンピードの時に、こんな思いは二度としないとベルトルドとともに誓ったのだ。
目の前で主の危険を見過ごすなんて、身を斬られるより辛いことは二度と御免だった。
「ラル! ウル!」
ベルトルドもまた、必死の形相で駆け寄る。
「無用だ!」
だが、ヴァレリラルドは剣を握ったまま手を地面についた。その反動で体を回転させて立ち上がる。
その時にはスレインの爪が目の前まで来ていた。風圧が髪を揺らし、瘴気の匂いが一瞬だけ鼻腔を刺した。
自分の前に立ち塞がろうとするウルリクを制して剣を自分の顔の前で構える。
――その瞬間。
ふわり。
光の粒がスレインの爪に落ちた。
前脚の軌道が大きく変わり、重心を右に傾けた魔獣はそのまま石畳に体を打ち付けて動きを止めた。
ふわり。
光の粒が剣を持つヴァレリラルドの腕に落ちる。髪に触れる。頬に触れる。
優しい手で撫でられるような心地よさが、気を張っていた身体に行き渡る。
気が付けば目の前のスレインだけではなく、周りの魔獣たちも動きを止め、中には体内の瘴気を吐き出してそのまま消滅したものもいた。
戦場の空気が、変わった。
重く肺を押し潰していた瘴気が音もなく薄れ、呼吸が急に楽になっていた。
「なんだ……?」
後悔と自責の念がまだ頭に残っているウルリクは、息を詰めたまま目の前の光景を眺めた。
凶暴さに満ちていた瞳から、精気が抜け落ちていた。牙は剥かれたまま動かず、震えるように低く呻くだけで、それ以上、前へ出ようとしない。
静寂が訪れると同時に、美しい歌声が聞こえてきた。
少し離れたところで歌われているのだろう、明瞭な歌詞はわからなかったが、祈りや慈愛の感情は皮膚に心地よく浸透していた。
剣戟と悲鳴と怒号に満ちていた王城前広場に、ありえないほど穏やかな旋律が流れ込む。
――ああ。
これは。
「……ナオ」
ヴァレリラルドは、思わず空を仰いだ。
歌声は光を伴い、淡い粒となって降り注ぐ。
触れた瘴気は霧のようにほどけ、傷ついた大地の上に、静かに消えていく。
魔獣に襲撃された王都が一番望んでいた『やすらぎ』が広がっていく。
「……魔獣の動きが止まった」
ベルトルドはヴァレリラルドの横に立ち、信じられないというように呟いた。
「傷が治っている!」
近くで誰かの声がした。
「これは……」
クランツは剣を下ろし、広場を見渡した。
魔獣たちは、まだそこにいる。だが、もはや襲いかかってはこない。
膝を折り、伏し、戦意を失ったまま、ただ呼吸をする存在へと変わっていた。
そして、負っていた傷が治っているという奇跡。
この奇跡は六年前の大浄化の時と同じだった。
「ナオ」
ヴァレリラルドは、この空のどこかにいるアシェルナオに向けて、愛しげにその名を呼んだ。
サミュエルは、剣を構えたまま慎重に、動きを止めたノクス・ドミヌスや周りの魔獣たちの様子を観察した。
他の魔獣はともかく、ノクス・ドミヌスの動作の停止は、不気味な沈黙のようだった。
だが、光の粒。歌。自身の体の変化。
それらは六年前のスタンピードの収束の時と状況が同じだった。
「……またナオ様に救われたな」
「違う」
光に満ちた一瞬の静寂の中で、それでも剣を手放さないまま、キュオスティは言った。
まさかの反論に、サミュエルは怪訝な顔を見せる。
「愛し子様を遣わせたのは女神だ。その女神を動かすのは、精霊を信仰し、実直に働くこの国の民だ」
光の粒を手のひらで受けとめて、静かに言葉を発するキュオスティは、昔と変わらなかった。
上位貴族の出でありながら、高慢な貴族の思想を持たず、人間の本質を静観するような人物だった。
「そうだな。すべての民の思いに、ナオ様は報いてくださってるのだろう」
平民出身の自分にも最初から偏見を持たずに接してくれたキュオスティを、サミュエルは優しい顔で見つめる。
「サミュエル」
顔を上げるキュオスティには、どこか甘い表情が浮かんでいた。
「なんだ?」
「私は近々、爵位を嫡男に譲ってビュイソン伯爵家から籍を抜く予定だ」
サミュエルの目が見開かれる。
「それは……」
「本当ならアルソーに……嫡男に仕事を引き継いでもっと早くにそうする予定だった。だが領地で続けて大きな問題があって、時間がかかってしまった。……『すまない』その言葉を言うべきなのは私のほうだ」
嫡男だった兄が身分の低い女性を愛し、子どもができたが、父に許しを得る前に不慮の事故で亡くなってしまったため、兄を敬愛していたキュオスティがその女性と生まれてくる子を守るために結婚したこと。それをサミュエルに告げることができなかったこと。
告げれば、どうにかして解決策を考えてくれたかもしれない。だが、キュオスティはサミュエルに甘えることをよしとしなかった。
結果として、サミュエルを裏切ることになった。サミュエルを深く傷つけた。荒れに荒れたサミュエルが、病弱な少女のひたむきな願いを叶えてしまった。
「……愛のない結婚生活だと思ったが、私は自分の血を引く娘を得た。妻を愛してはいなかったが、病床の妻には家族としての情愛はあった。裏切ったのは私の方だ」
サミュエルの告解に、キュオスティは首を振る。
「アイナから謝罪の手紙を受け取ったのは随分昔のことだ。病床の母から自分の身勝手な結婚について聞かされていたのだろう。先に裏切ったのは私なのに、お前や、お前の娘に引け目を感じさせるのは終わりにしたい」
キュオスティは年齢を感じさせない、若々しい端麗な顔に微笑を浮かべた。
「もう若くはないが、これからの時を一緒に過ごしてはくれないか?」
団長になったばかりの頃。
ようやくお互いの思いが通じたと思っていたあの頃。
自分から言おうとした将来の誓いをキュオスティからしてくれたことに、サミュエルは口を開けて惚けた顔になった。
キュオスティの言葉の意味がじんわりとサミュエルの胸に広がった時、上空からリングダールがばさばさと翼をはためかせて降下してきた。
二人の視線が、同時に空を仰ぐ。
「ヴァルー!」
上空から王城前広場にいたヴァレリラルドを見つけたアシェルナオは、ふよりんの背から手を振った。
「ナオ!」
呼ばれてヴァレリラルドも大きく手を振る。
聖獣リングダールが王城前広場の上空に姿を現し、その背に光の粒を降らせて浄化を行った美しい愛し子を乗せている。
その神秘的な光景に、今まで命がけで魔獣と対峙していた騎士たちは誰もが立ち尽くしていた。
ふよりんが石畳に着地すると同時に、テュコがアシェルナオを抱き上げて地面に降り立った。
『アシェルナオが来たのか』
魔獣の鎮静化の報告は上がっていて、シーグフリードは弟の名を呼ぶヴァレリラルドに問いかけた。
「ナオ、シグが心配している」
「ごめんなさい、兄様。でも僕、みつさんみたいにはできないけど、僕は僕にできることをしようと思ったんです。後悔はしていません。でも、叱るならあとにしてください」
テュコにそっと地面に下ろされたアシェルナオは、まっすぐな瞳でヴァレリラルドを見た。
通信機の向こうでシーグフリードのため息が聞こえた。
ウルリクもベルトルドも、アシェルナオの浄化に助けられた事実を嬉しく受け止めている者たちも、息を呑んでシーグフリードの言葉を待った。
『……アシェルナオに伝えてくれ。怖かっただろうけど、頑張ってくれてありがとう、と』
ほっと息を吐く者たちの中で、ヴァレリラルドはアシェルナオにシーグフリードの言葉を伝えた。
「はい。僕、街が元通りになるまでお手伝いします」
来るのが遅れた分、街の損壊が大きくなったとしたら、責任を持って復興の手伝いをしよう。アシェルナオはそう決意していた。
浄化をして王都の危機を救った、精霊の愛し子であり王太子の婚約者でもあるアシェルナオが進んで協力しようとする姿に、その場にいた騎士たちは心を打たれた。
ヴァレリラルドはアシェルナオに手を伸ばそうとして、魔獣との激闘で汚れた鎧と手に気づいて手を引っ込める。
アシェルナオは杖を元の大きさに戻すと、杖をつきながらヴァレリラルドのもとに歩み寄ろうとしたが、先ほどの衝撃波で破壊された石畳が瓦礫となって散乱しているのに足を取られた。
「ナオ!」
咄嗟に手を伸ばして、アシェルナオを抱き寄せた。
鎧の硬さにも臆せず、アシェルナオはヴァレリラルドの体に手を回した。
「ヴァル、怪我はない? 大丈夫だった?」
「ああ。もし怪我をしていたとしても、ナオの浄化で治っていたよ。瓦礫や魔獣の血で汚れているから抱きしめるのを躊躇っていたのに、悪い子だ」
「僕はヴァルが汚れていても、ぎゅってしてほしい。汚れたらクリーンしてくれるよね?」
「そうだとしても、ナオを汚すのは躊躇うんだよ。……ナオ、浄化をありがとう。でも、大丈夫? 六年前の大浄化では長い眠りが必要になっただろう? 婚約式の浄化でも倒れた。どうか無理はしないでほしい。テュコ、ナオを……」
ヴァレリラルドの言葉の途中で、ギィィィ……と低い咆哮が聞こえた。
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