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プロローグ
むかしの約束
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「僕、ゴーレムの設計師になるんだ」
少年は右手を高々と上げると得意げな表情を見せた。手にした小ぶりな木の枝が、まるで勇者の掲げる剣のようだ。
「ゴーレム?」
少年の後ろを歩く少女が不思議そうに呟く。
「ゴーレムってのはおっきな石の魔物だよ」
さらに後、最後尾を歩くヤンチャそうな少年が答えた。
二人の少年と少女の三人組みは、町から外れた丘を歩いてた。
この辺りは魔物や凶暴な動物も少ないため、町の子供たちの遊び場になっていた。
西にそびえる山脈から吹き降ろす風が丘の草木を揺らす。適度に湿った風が素肌に心地いい。心なしかサフラーンの花の甘い香りが漂ってくるようだ。
「カイの言ってるのは大昔に作られた魔物だけど、僕がいってるのは王国で作られているゴーレムのことだよ」
少年はむくれている。自分の興味の対象が、魔物と一緒にされたのが面白くないようだ。
「鎧の方か」
カイと呼ばれた少年が興味なさそうに言ったので、少年はムキになる。
「王国の騎士様の中でも、強くてえらい人はゴーレムに乗るんだよ。カイだって、騎士になったら、乗るかも知れないよ!」
少年が両手をバタバタさせて力説するのを横目に、カイは大きめの木の枝を拾うと素振りを始めていた。
「あんまり興味ねぇな。俺は剣術の方が好きだ」
風を切るカイの素振りの音は、年端もいかない子供のものとしては本格的だった。
「剣術の上手い人が操縦した方が、ゴーレムも強くなるんだよ。まだ数が少ないけど、これからどんどん増えていくんだって」
二人の少年のやりとりを見ながら、置いてけぼりの少女はポカーンと口を開けている。
「なら、俺が騎士になったときは、俺のゴーレムはリウが作ってくれよ」
カイの一言に、少年リウは満面の笑みを浮かべる。
「まかせて!王国一のゴーレムを作ってみせるよ!」
そのとき、少女がリウの袖をちょいちょいと引っ張った。
「ん、なに?アヤ」
「サンドイッチ作ってきたから、みんなで食べようよ」
少女が手に持ったバスケットを開。中には、卵やチキン、色とりどりの野菜がこれでもかと挟まった美味しいこと間違いのないサンドイッチがいっぱいに詰め込まれていた。
リウとカイは先ほどまでの会話もすっかり忘れて、サンドイッチを口いっぱいに頬張る。なんといってもアヤのサンドイッチは彼らの大好物だ。
そうして彼らは、空が赤く染まるまでの間、いつも通りに遊びまわるのだった。
少年は右手を高々と上げると得意げな表情を見せた。手にした小ぶりな木の枝が、まるで勇者の掲げる剣のようだ。
「ゴーレム?」
少年の後ろを歩く少女が不思議そうに呟く。
「ゴーレムってのはおっきな石の魔物だよ」
さらに後、最後尾を歩くヤンチャそうな少年が答えた。
二人の少年と少女の三人組みは、町から外れた丘を歩いてた。
この辺りは魔物や凶暴な動物も少ないため、町の子供たちの遊び場になっていた。
西にそびえる山脈から吹き降ろす風が丘の草木を揺らす。適度に湿った風が素肌に心地いい。心なしかサフラーンの花の甘い香りが漂ってくるようだ。
「カイの言ってるのは大昔に作られた魔物だけど、僕がいってるのは王国で作られているゴーレムのことだよ」
少年はむくれている。自分の興味の対象が、魔物と一緒にされたのが面白くないようだ。
「鎧の方か」
カイと呼ばれた少年が興味なさそうに言ったので、少年はムキになる。
「王国の騎士様の中でも、強くてえらい人はゴーレムに乗るんだよ。カイだって、騎士になったら、乗るかも知れないよ!」
少年が両手をバタバタさせて力説するのを横目に、カイは大きめの木の枝を拾うと素振りを始めていた。
「あんまり興味ねぇな。俺は剣術の方が好きだ」
風を切るカイの素振りの音は、年端もいかない子供のものとしては本格的だった。
「剣術の上手い人が操縦した方が、ゴーレムも強くなるんだよ。まだ数が少ないけど、これからどんどん増えていくんだって」
二人の少年のやりとりを見ながら、置いてけぼりの少女はポカーンと口を開けている。
「なら、俺が騎士になったときは、俺のゴーレムはリウが作ってくれよ」
カイの一言に、少年リウは満面の笑みを浮かべる。
「まかせて!王国一のゴーレムを作ってみせるよ!」
そのとき、少女がリウの袖をちょいちょいと引っ張った。
「ん、なに?アヤ」
「サンドイッチ作ってきたから、みんなで食べようよ」
少女が手に持ったバスケットを開。中には、卵やチキン、色とりどりの野菜がこれでもかと挟まった美味しいこと間違いのないサンドイッチがいっぱいに詰め込まれていた。
リウとカイは先ほどまでの会話もすっかり忘れて、サンドイッチを口いっぱいに頬張る。なんといってもアヤのサンドイッチは彼らの大好物だ。
そうして彼らは、空が赤く染まるまでの間、いつも通りに遊びまわるのだった。
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