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自警団と学芸員
旅人(1)
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朝の澄んだ空気を優しい風がかき回し、いたずらに青々と茂った草木を揺らしていく。
太陽は大地に光を降り注ぎ、流れる川が光を反射して宝石のように輝いていた。
深い森が開けた一角、広い草原が緑の絨毯を広げ、その中央を森から伸びた川が流れる場所に小さな村があった。
村には木造の家が立ち並び、煙突からは朝食の支度をしている良い香りがしてくる。
そんな家の一つで、一人の青年が大きな荷物を抱えていた。
「婆ちゃん、行ってくるよ」
「気を付けて行っておいで。相手は魔物なんだ。油断するんじゃないよ」
青年はまだ十代だろうか、幼さを残した顔つきをしている。
大きな革袋を肩から下げ、腰には長剣を携えている。使い込まれた皮の鎧が鈍い光を放っていた。
対するのは祖母だろう。柔和な笑顔で応じている。
「大丈夫。二、三日で戻るから心配しなくていいよ」
「これ、今日の昼食。バッツ君の分もあるから」
そうやって渡された小包からは、ほのかに甘い香りがした。
「ありがとう。じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい」
青年は包みを革袋に仕舞うと、ゆっくりとドアを開けて家を後にする。
老婆はその背中を見送ると、両手を合わせて青年の無事を祈った。
“精霊様、どうか孫息子が無事に帰ってこれますよう見守って下さい”
太陽は大地に光を降り注ぎ、流れる川が光を反射して宝石のように輝いていた。
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「婆ちゃん、行ってくるよ」
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大きな革袋を肩から下げ、腰には長剣を携えている。使い込まれた皮の鎧が鈍い光を放っていた。
対するのは祖母だろう。柔和な笑顔で応じている。
「大丈夫。二、三日で戻るから心配しなくていいよ」
「これ、今日の昼食。バッツ君の分もあるから」
そうやって渡された小包からは、ほのかに甘い香りがした。
「ありがとう。じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい」
青年は包みを革袋に仕舞うと、ゆっくりとドアを開けて家を後にする。
老婆はその背中を見送ると、両手を合わせて青年の無事を祈った。
“精霊様、どうか孫息子が無事に帰ってこれますよう見守って下さい”
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