冬迷宮

関谷俊博

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集合的無意識の渦。冴木の声が次第に聞こえ始めた。
「雪路!  おい、雪路! 聞こえるか!」
 冴木は懸命に呼びかけていた。集合的無意識にまで、新しい命綱を垂らしてくれているのだ。
「ああ、聞こえる」
「よし。意識の階段をのぼってこい。ゆっくりとだ。ゆっくりでいい」
「ああ、誘導してくれ」

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