軌跡旅行

2キセイセ

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ダーハッド編

126.巨神

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「いくぞ!」

俺はマリンに言い、衝撃波で方向を変えるのを手伝いながら。
前の状況を見ていた。

「前に敵はいない!このまま突っ込んで、要塞に行くぞ!」
「うん!」

俺はマダラさんから、1つ言われたことがある。
"マリンを拠点において、安全に回復出来るようにしろ"って
戦力差が開きすぎてるから、それを埋める方法の1つとしても、俺の私情でも、これが最善策と信じて俺は拠点に向かっていた。

「やった……逃げきれた……怖かった……」

マリンは安堵の様子でそう言った。そうだ、ムアンの魔力から逃げ切ったのだ。証拠にムアンは俺達を見失っている。

しかし、何故か俺は嫌な予感がしていた。

そのムアンが余裕そうに笑っているから……なのか?

「ここで使うべきでは無いが………いけよ、"アラグロ"」

ムアンがそう言ったその時!!

大地が激しく揺れ、地割れが起きて、それから鉄が噴水のように出た。

「!?」

鉄の噴水は俺とマリンの目の前に出て、すぐさま左に方向を変えて、逃げようとした………………が、その噴水は巨大な人のような形に姿を変えた。

まるで、鉄の巨人…いや、巨神だ。

「………ーーっ!」

マリンは深く息を飲んで、その鉄の塊を見た。

「ハッハッハッ……殺すなよ…アラグロ」

ムアンは鉄の巨神を見て、アラグロ、と言った。
あいつがマダラさんの言っていたアラグロか……………

となれば、おそらく、ラティーとクァーナさんが何とかするだろう。

それまで耐えぬけばの話だが………やるしかないっ!!

「前に突っ込むぞ!」
「りょうかい!」

マリンと息を合わせて、俺は迫り来る巨大な手の平に向かって滑空した。

「来る!」

マリンが言ってくれた。
手の平は俺たちを握り潰そうとした。

俺はそれを利用しなければ!それしかないっ!

「ここっ!」

衝撃波を斜めに出して、マリンを飛ぶ方向を調整して、指の隙間から回避した。そして、拳となった手の甲を使って、さっきやった反発を使いもう一度上に飛んだ!

「した!」

アラグロの出した鉄の巨神の腹は少し小さくなり、それから棘が出てきた。

「おらああっ!!」

マリンは無理やり体を回転させて右に急カーブして、棘を避けた。

次々飛んでくるトゲを、ひねりを入れて何度も何度も回避していく。

俺も衝撃波で飛ばしてくるトゲの方向を変えたり、撃ち落としたりしている。

少し間を置いたあと、アラグロは巨神から、槍のようなものを出して俺たちを貫きに来た。

「ふんっ!」

マリンは意気込んでそれを何とか回避出来た…………

しかし、その棘にはなにかが乗っていた。

邪神の核だ、つまり……ムアンだっ!!
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