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狼殺事件編(一章)

11.狼殺事件④

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加速した《もう一対の手》は2発、少年の腹に拳を叩き込んだ!!

「ガハッ…」

少年は口を開けて、吐くようにヨダレを飛ばした。
しかし……それでも倒れる気配がなかった。

「チックショぉ……やりやがったなぁ!!」

少年は近くにある、鎖を取り戻し、それを後ろににある木箱につけた。

ラーラとナットが少年の後ろにを見た時、あることに気がつき、自然と笑みがこぼれていた。

「それで…仲間を守っているのかァァー?!」

2人は自然とアルスを背にする立ち位置に移動していた。
しかし、それは敵に隙を晒す行為だった!

ゴロンッゴロンッ!!

鎖をつけられた木箱が、少年の左手に握られた鎖に向かって飛んで行った!

「フンッ…!」

少年は鎖を離し、木箱を全力で右に避けた。
その木箱の軌道上に、アルス達がいた!

「!?」

木箱が数秒もしない内に当たる近くまで来た瞬間!
目覚めていたアルスが心物の棒を盾に変形させて、木箱を受けた!

「アルス、ナイスだ。」

ナットがニヤッとして言った。
アルスは木箱を流し、そのまま少年の元に突撃する!

「!!」

アルスが肉食獣のような眼光で少年を睨み、殴りかかろうとした!

「ううんっ!」

その時、少年は全力でしゃがみ、アルスの殴りを回避した。
そしてその時、ジャラジャラと少年の手元に戻ろうとした鎖が、少年に帰ってきた。

そしてそれを、アルスの殴りかかった腕に瞬時に巻き付けこう脅した。

「いいか!何かしたらこいつの腕を、両端から鎖を縮めて絞めてちぎる!わかったか!」

そう言われたナット達だったが、彼らは焦るわけでも絶望する訳でもなく、くすくすと笑っていた。

「あーーーー、やっぱあんたの心物すげえよ。アルス」

その時!少年が何者かに後ろから木製の棒で殴られた!
そして少年は倒れ、意識を失った。

「…作戦成功だな、ナット」

「ああ、もう大・成・功だよ」

少年の後ろにいたのはアルスだった。

そして、先程の腕を鎖に巻き付けられたアルスはいつの間にか、アルスの心物である棒に戻っていた。

「すまんな、声だけは再現できなかった……」

「それでもよくやったよ。まさかここまでの相手を無傷で倒せるなんてなぁー」

アルスは心物の棒を自分のような見た目の人形に変形させ、それをずっと戦わせていたのだ。

「さて……あとは目立たないようにアジトに拘束するだけだね」

ラーラは少年を《もう一対の手》で少年の両手を後ろで手錠のように抑えて拘束した。
鎖はナットが持っていた。



そしてそのまま溜まり場に帰った……


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