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牢獄編(三章)

116.脱獄計画②

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具体的な内容や、あちら側の状況などをずっと文通で把握していた…しかしだ。

脱獄する日を決めた日から1週間…そちら側の兵士の見回りのルーティンや、そちら側のある程度の地図を送ってもらおうと、文通を回した時だ。

アルスがコルを見て、情報を知りたがっていると、彼の視界を遮るかのように、兵士が目の前に現れた。

「話したいことがある。出ろ、アルス」

部屋の鍵を開けられ、そう言われた。本来、この時間は見回りでは無い。別のルームへの見回りのはずであった…

「は…はい?」

困惑していたアルスを無理やり部屋から引き剥がし、兵士に連れ去られるように別の部屋に移動した。

「ここは…?」

「ここは独房だ。だが、別に独房生活をおくれということでは無い。密談だ。」

アルスの問に、十二分にその兵士は返した。威厳のある、威圧感もある、声だけでその兵士には逆らってはいけないと分かる。

「……」

「……いや、まずは自己紹介をすべきだな。」

その兵士はアルスに強く睨まれていることを悟り、警戒をとく方法を試した。そして、兵士の鎧を脱ぎ自分の顔を明かした。

「っ!」

その兵士の正体は、マーベインであった。
普通の兵士には絶対に持っていないであろう、異常なまでの威厳の正体をアルスは察した。

「俺はマーベイン。まぁ…自惚れている訳では無いが、この国では有名人になっている。」

「…ああ、知ってるよ。"最高の騎士"…だったよな?」

「俺にとっても、小っ恥ずかしい異名だ。あまり呼ばないでくれ。」

と、マーベインは頬を赤らめた。アルスは彼の少し人間らしい部分を見て、少し心を開きかけた…が、今は敵だと思い、気を引き締めて彼の密談を受けた。
人の癖である、気を引き締めて背筋が真っ直ぐする動作を見て、マーベインは自分の持っている剣を置いた。

「!!」

「俺は何もしない、ただ話すだけだ。」

マーベインは余裕そうにどしっと構えて、アルスを向かえるつもりだ。アルスは状況を客観的に見た。そしたら犯罪者に鎧も武器もなく、敵の話している。という状況であった。

「さて、結論を言おう。黄銅のようなものでできた、空中に浮かぶ物体。知っているだろう?」

「……」

《次元の眼》のことだ…間違えない。
どうするべきだ…

「あれは、心物で間違えない。…誰が操っている?」

ここでコルの名を出してしまえば、彼女…は必ず独房行きであろう。この独房の形状を見るに、《次元の眼》が通れる隙間は無い。そうすれば連絡出来なくなる…。

どうすべきだ…?
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