31 / 57
LV10のお仕事 〜領主との面会〜
しおりを挟む
次の日はLV10としてのお仕事だ。サクラの領主から面会依頼が来ているため会いに行く必要がある。立場的には向こうに来て貰うことも可能なのだが…… 一度呼びつけたことがあるが、護衛の騎士が大量に付いてきて非常に目立ってしまった。色々な人に注目されながら話をするのは恥ずかしかったのでそれ以降はこちらから城に訪れるようにしている。先方の希望通りアリエッサとエリスと3人で行く。
「しかしなんだろうな?」
「何かお願いしたいことがあるというパターンではないでしょうか。魔物対峙ではない領主の個人的な用事であることが推測されます」
「そうだな。面倒な依頼でなければ良いが……」
アリエッサと話しながら城へ向かう。とりあえず集合時間は夕方なので、ディナーを共にすることになるだろう。城で食べるご飯は美味しいので気に入っている。難しい話はアリエッサに任せて俺は食事に集中することにしよう。
領主はカエサルといい、40代のおじさんである。細身でメガネをかけた紳士風の人間である。武力ではなく頭脳と政治力で成り上がったタイプで、調整事が上手いらしい。ただ話していて厄介だと感じることはない。その辺りは上手くこちらに合わせてくれているのだろうな。普段話す限りただの気のいいおじさんである。
「領主から呼ばれて来た、ヘッズオブドラゴンズのカミトとアリエッサ、エリスだ」
門番に俺は話しかける。
「お待ちしておりました。このまま案内させていただきます」
そう門番に言われ、連れてこられたのは大きな部屋だ。中にはカエサルと何人かの文官らしき者が座っていた。
「おお、時間通りだね。とりあえず3人とも座ってくれ」
カエサルに言われ、俺達は椅子に腰掛ける。
「食事をしながら少し話をしよう。問題ないかな?」
「ええ、大丈夫です。よろしくお願いします」
「最近依頼はどういう物を受けているのかね?」
早速少し真面目な話だな。ここはアリエッサに任せよう。俺はアリエッサを見る。
「そうですね、皆バラバラにクエストを受けることが多いです。……」
アリエッサが説明を行う。カエサルは興味深そうに話を聞いている。なお、事前にアリエッサとは変身の話は伏せることで同意していた。面倒な話になりかねないからだ。俺の個人的な自分探しに他の者を付き合わせる必要はない。
「なるほど。色々対応してもらっているんだね。ありがとう。問題であったり不満であったりはあるかね?」
「いえ、特にないです。このまま過ごさせていただければと思います」
「よかった。君達がサクラからいなくなると我々も非常に困るからね」
カエサルは笑う。確かにサクラの地位を盤石にしているのは高レベル冒険者とチームの存在であることは否定できないだろう。LV10に臍を曲げられたとなると困るのは領主の方なのだ。まあだからといって無茶な要求をするつもりはない。なんだかんだでこの街での生活は気に入っているからな。
その後もサクラの現状についての話や冒険者ギルドの情報などを共有する。真面目な話はアリエッサの担当なので俺とエリスはひたすら食事に集中している。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。今回来ていただいた理由だが、エリス殿に騎士への指導をしてもらいたいんだ。最近出張があったんだが、なかなか強力な魔物と遭遇してね。騎士をより強くする必要があると痛感したんだよ。そこで最強の剣士の一人であるエリス殿に稽古をつけて欲しいと考えてね」
なるほど。訓練か。確かにエリスの剣はシンプルで綺麗なため参考になることは多いだろう。
「訓練ですか。エリス、どうだ?」
「…… はい、問題ないです」
エリスを見ると無反応だが、特に嫌というわけではなさそうだ。
「だそうです。こちらとしても拘束日数が長くなければ問題ないですよ」
「すまない、助かる。一日何時間かで数日見てもらえればと考えているよ。詳細はまた詰めることができればと思うが」
「わかりました」
「ちなみに、カミト殿も一緒に指導いただくのはどうだろうか? 貴方の剣も参考になると思うのだが」
「俺の戦い方は魔法も含めてのスタイルなので…… 正直かなり特殊なので参考にならないと思いますよ」
俺は苦笑しながら断る。本音を言うと訓練など面倒なので断りたいだけだ。エリス一人で十分だろう。育成に興味がないわけではないが、俺の戦い方は騎士の戦い方ではないからなあ。固有魔法に依存するスタイルなので、教えにくいという点が大きい。
「そうか…… 残念が仕方ない。また機会があれば是非頼む」
「ええ、そうですね。では、詳細を詰めましょうか。ここで一気に詰めてしまいましょう」
「そうだな、そのために文官を呼んでいるから大丈夫だ」
アリエッサと文官が依頼内容の詳細の調整に入った。基本はアリエッサに任せておけば問題ない。しかし俺のチームはアリエッサ頼みだな…… アリエッサがいなくなったら大変なことになりそうだ。
俺達は詳細内容を合意した。食事も終わったので礼をいって退席する。とりあえず向こうの要望は満たすことが出来たようなので大丈夫だろう。後はエリスに頑張ってもらおう。
「しかしなんだろうな?」
「何かお願いしたいことがあるというパターンではないでしょうか。魔物対峙ではない領主の個人的な用事であることが推測されます」
「そうだな。面倒な依頼でなければ良いが……」
アリエッサと話しながら城へ向かう。とりあえず集合時間は夕方なので、ディナーを共にすることになるだろう。城で食べるご飯は美味しいので気に入っている。難しい話はアリエッサに任せて俺は食事に集中することにしよう。
領主はカエサルといい、40代のおじさんである。細身でメガネをかけた紳士風の人間である。武力ではなく頭脳と政治力で成り上がったタイプで、調整事が上手いらしい。ただ話していて厄介だと感じることはない。その辺りは上手くこちらに合わせてくれているのだろうな。普段話す限りただの気のいいおじさんである。
「領主から呼ばれて来た、ヘッズオブドラゴンズのカミトとアリエッサ、エリスだ」
門番に俺は話しかける。
「お待ちしておりました。このまま案内させていただきます」
そう門番に言われ、連れてこられたのは大きな部屋だ。中にはカエサルと何人かの文官らしき者が座っていた。
「おお、時間通りだね。とりあえず3人とも座ってくれ」
カエサルに言われ、俺達は椅子に腰掛ける。
「食事をしながら少し話をしよう。問題ないかな?」
「ええ、大丈夫です。よろしくお願いします」
「最近依頼はどういう物を受けているのかね?」
早速少し真面目な話だな。ここはアリエッサに任せよう。俺はアリエッサを見る。
「そうですね、皆バラバラにクエストを受けることが多いです。……」
アリエッサが説明を行う。カエサルは興味深そうに話を聞いている。なお、事前にアリエッサとは変身の話は伏せることで同意していた。面倒な話になりかねないからだ。俺の個人的な自分探しに他の者を付き合わせる必要はない。
「なるほど。色々対応してもらっているんだね。ありがとう。問題であったり不満であったりはあるかね?」
「いえ、特にないです。このまま過ごさせていただければと思います」
「よかった。君達がサクラからいなくなると我々も非常に困るからね」
カエサルは笑う。確かにサクラの地位を盤石にしているのは高レベル冒険者とチームの存在であることは否定できないだろう。LV10に臍を曲げられたとなると困るのは領主の方なのだ。まあだからといって無茶な要求をするつもりはない。なんだかんだでこの街での生活は気に入っているからな。
その後もサクラの現状についての話や冒険者ギルドの情報などを共有する。真面目な話はアリエッサの担当なので俺とエリスはひたすら食事に集中している。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。今回来ていただいた理由だが、エリス殿に騎士への指導をしてもらいたいんだ。最近出張があったんだが、なかなか強力な魔物と遭遇してね。騎士をより強くする必要があると痛感したんだよ。そこで最強の剣士の一人であるエリス殿に稽古をつけて欲しいと考えてね」
なるほど。訓練か。確かにエリスの剣はシンプルで綺麗なため参考になることは多いだろう。
「訓練ですか。エリス、どうだ?」
「…… はい、問題ないです」
エリスを見ると無反応だが、特に嫌というわけではなさそうだ。
「だそうです。こちらとしても拘束日数が長くなければ問題ないですよ」
「すまない、助かる。一日何時間かで数日見てもらえればと考えているよ。詳細はまた詰めることができればと思うが」
「わかりました」
「ちなみに、カミト殿も一緒に指導いただくのはどうだろうか? 貴方の剣も参考になると思うのだが」
「俺の戦い方は魔法も含めてのスタイルなので…… 正直かなり特殊なので参考にならないと思いますよ」
俺は苦笑しながら断る。本音を言うと訓練など面倒なので断りたいだけだ。エリス一人で十分だろう。育成に興味がないわけではないが、俺の戦い方は騎士の戦い方ではないからなあ。固有魔法に依存するスタイルなので、教えにくいという点が大きい。
「そうか…… 残念が仕方ない。また機会があれば是非頼む」
「ええ、そうですね。では、詳細を詰めましょうか。ここで一気に詰めてしまいましょう」
「そうだな、そのために文官を呼んでいるから大丈夫だ」
アリエッサと文官が依頼内容の詳細の調整に入った。基本はアリエッサに任せておけば問題ない。しかし俺のチームはアリエッサ頼みだな…… アリエッサがいなくなったら大変なことになりそうだ。
俺達は詳細内容を合意した。食事も終わったので礼をいって退席する。とりあえず向こうの要望は満たすことが出来たようなので大丈夫だろう。後はエリスに頑張ってもらおう。
0
あなたにおすすめの小説
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる