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ミオからの手紙?
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城からの帰り道。俺とアリエッサとエリスは歩いて拠点へと帰る。
「カエサルは話がわかる領主だから気楽でいいよな」
「ええ、領主だからと言って偉そうに振る舞うことがないのでストレスは低いです。まあ彼も我々のチームの重要性は理解しているでしょうから」
アリエッサの言うとおり、我々と両種では公式の立場は領主が上だが、非公式な立場では平等に近い立場である。間違っても世界最強をサクラから離脱させてはいけない、そうなるとサクラの評判は地に落ちるだろう、そう考えているのは明白であるからだ。
「そうだな。かといって変に下手に出てくるわけでもないからいいよ。猫撫で声のおっさんなんかはしんどいからな」
「たまにそういう政治家もいますからね……」
「エリスは依頼を受けて大丈夫だったか?」
「うん…… 他の者に教えるのは気分転換になるから大丈夫だよ」
エリスは普段クエストを受けるかトレーニングばかりしている。その意味での気分転換だろう。昔は俺もよく気分転換に付き合わされた。近くにある岡の上でお互い本気で斬り合いをしたものだ。魔法の使用を禁止しての斬り合いのため、なかなか決着がつかず毎回疲れ切ったのをよく覚えている。
「それはよかった」
「アリエッサも訓練なんかをしてみたいか?」
「私は、興味ないですね。そもそも魔法の数が他の者とは違うので戦闘スタイルが異なりますし」
アリエッサは世にも珍しい6種類の魔法を使用できる魔法使いである。確かにその時点で他の者が真似するのは難しいだろう。
「確かにそうだな」
「それに、教えるほどの価値がある者を探すのが面倒です。私は拠点でチームの皆とのんびりしているか、クエストをこなしている時が好きなので」
ああ、他の者を見下す癖が出てきている。ハイエルフは扱いが難しい。一度ジェフに、副リーダーでハイエルフのセレナについて聞いてみたことがある。セレナはチームで上手くやっているのかと。
「そういう者だとして扱われているよ」
とため息混じりに回答されたのを覚えている。
拠点へと帰還する。夕食の開始時間が早かったのでまだ夜は更けていない時間だ。せっかくだし、夢の羽のメンバーを探して見つかったら一緒に酒でも飲むか。そう考えてアリエッサに声を掛ける。
「なあ、ちょっと変身の魔法をかけてもらえるか? 夢の羽のメンバーを探して酒でも飲もうかと思う。コミュニケーションだな」
「コミュニケーションは大事ですからね。わかりました。けどこの時間からメンバーに会えるのですか?」
「とりあえず冒険者ギルドに向かってみるよ。適当にぶらぶらしてみるさ」
俺はアリエッサに変身の魔法をかけてもらい、夜の街へ繰り出す。夜風が気持ちいい時間だ。
しばらくのんびり歩き、冒険者ギルドに到着する。すると、正面によく知っている女性の姿が目に入る。ミオだ。
「おお、ミオ、どうしたんだ」
「……」
また話をしてくれない。別人のようなミオに戸惑う俺。
「これを受け取ってほしい……」
消えるような小声でミオは言うと、何かを渡して立ち去っていった。見てみると、手紙だ。
手紙には「「3日後の21時にいつもの場所で待っています」」と書かれている。いつもの場所ってどこだ?
とりあえず寝かせておこう。そう考え俺は冒険者ギルドに入る。中の酒場に誰かいないかを探すためである。すると、遠くの席で談笑しているライエルとマルクを見つけた。俺も混ぜてもらうとするか。
「おお、今二人か?」
「カミトじゃん。珍しいね。そう二人で話していたんだ。一緒に飲む?」
マルクが答え、ライエルも頷いている。ありがたく俺も同席させてもらうことにした。
普段の会話は、依頼の話やクエストの振り返りが中心だが、こういう席ではたわいもない話が中心となる。マルクおすすめの美味しいお店の話や、モテ男ライエルの過去の恋愛トークなど、普段はしない話で盛り上がる俺達だった。
そのまま深夜まで飲み続け、解散となった。普段あまり飲まない酒を大量に飲んだせいで、酒に強い俺も少し酔ってしまったようだ。ライエルとマルクは足元がおぼつかない様子だったが無事に帰れただろうか? まあたまにはこういう日も悪くないな。
「カエサルは話がわかる領主だから気楽でいいよな」
「ええ、領主だからと言って偉そうに振る舞うことがないのでストレスは低いです。まあ彼も我々のチームの重要性は理解しているでしょうから」
アリエッサの言うとおり、我々と両種では公式の立場は領主が上だが、非公式な立場では平等に近い立場である。間違っても世界最強をサクラから離脱させてはいけない、そうなるとサクラの評判は地に落ちるだろう、そう考えているのは明白であるからだ。
「そうだな。かといって変に下手に出てくるわけでもないからいいよ。猫撫で声のおっさんなんかはしんどいからな」
「たまにそういう政治家もいますからね……」
「エリスは依頼を受けて大丈夫だったか?」
「うん…… 他の者に教えるのは気分転換になるから大丈夫だよ」
エリスは普段クエストを受けるかトレーニングばかりしている。その意味での気分転換だろう。昔は俺もよく気分転換に付き合わされた。近くにある岡の上でお互い本気で斬り合いをしたものだ。魔法の使用を禁止しての斬り合いのため、なかなか決着がつかず毎回疲れ切ったのをよく覚えている。
「それはよかった」
「アリエッサも訓練なんかをしてみたいか?」
「私は、興味ないですね。そもそも魔法の数が他の者とは違うので戦闘スタイルが異なりますし」
アリエッサは世にも珍しい6種類の魔法を使用できる魔法使いである。確かにその時点で他の者が真似するのは難しいだろう。
「確かにそうだな」
「それに、教えるほどの価値がある者を探すのが面倒です。私は拠点でチームの皆とのんびりしているか、クエストをこなしている時が好きなので」
ああ、他の者を見下す癖が出てきている。ハイエルフは扱いが難しい。一度ジェフに、副リーダーでハイエルフのセレナについて聞いてみたことがある。セレナはチームで上手くやっているのかと。
「そういう者だとして扱われているよ」
とため息混じりに回答されたのを覚えている。
拠点へと帰還する。夕食の開始時間が早かったのでまだ夜は更けていない時間だ。せっかくだし、夢の羽のメンバーを探して見つかったら一緒に酒でも飲むか。そう考えてアリエッサに声を掛ける。
「なあ、ちょっと変身の魔法をかけてもらえるか? 夢の羽のメンバーを探して酒でも飲もうかと思う。コミュニケーションだな」
「コミュニケーションは大事ですからね。わかりました。けどこの時間からメンバーに会えるのですか?」
「とりあえず冒険者ギルドに向かってみるよ。適当にぶらぶらしてみるさ」
俺はアリエッサに変身の魔法をかけてもらい、夜の街へ繰り出す。夜風が気持ちいい時間だ。
しばらくのんびり歩き、冒険者ギルドに到着する。すると、正面によく知っている女性の姿が目に入る。ミオだ。
「おお、ミオ、どうしたんだ」
「……」
また話をしてくれない。別人のようなミオに戸惑う俺。
「これを受け取ってほしい……」
消えるような小声でミオは言うと、何かを渡して立ち去っていった。見てみると、手紙だ。
手紙には「「3日後の21時にいつもの場所で待っています」」と書かれている。いつもの場所ってどこだ?
とりあえず寝かせておこう。そう考え俺は冒険者ギルドに入る。中の酒場に誰かいないかを探すためである。すると、遠くの席で談笑しているライエルとマルクを見つけた。俺も混ぜてもらうとするか。
「おお、今二人か?」
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