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身バレ!?

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 翌日の朝、俺は銀の雫を訪れる。朝ごはんを食べたいというのはもちろんだが、目的は昨日の手紙の件について確認することだ。忙しそうに仕事をするミオを捕まえて話をする。
「なあ、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
「昨日夕方会った時に、ハンカチを落としたと思うんだが、それを持ってきたんだ」
 直接手紙の内容を聞くのは流石に失礼なのはわかっている。ここはさりげなく嘘の理由を告げて反応を伺うことにする。

「なんのことでしょう? 昨日の夕方お会いしましたっけ? すいません、忙しいのでまた」
 笑顔で立ち去るミオ。反応を見る限り、昨日会った感じはないな。薄々気づいていたが、あれはやはりミオではないのか。となると…… 次に有力なのはミオにそっくりなレナか。

「すいません、落ち着いたので今なら大丈夫です。なんのお話でした?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと聞きたいんだが…… レナさんってどこにいるかわかるか? 前一緒にこなしたクエストで追加報酬が出てな。一緒に受けたから配分したいと思うんだが居場所がわからなくて」
「ああ、姉ならこの時間ならまだ寝ていると思いますよ。朝弱いので。姉は騎士が住む地域に家があるのでそこに行けば会えると思います」
 とりあえず適当に理由をでっち上げてレナの居場所を聞き出すことに成功する。急いで行ってみよう。

 そこは領主の城から近い場所だった。何かあった時にすぐに駆けつけられるようにだろうな。騎士が住む地域、とだけあって、朝からトレーニングに勤しむ者をたくさん見かける。
 レナが住むという家に向かう。すると、家の前でレナと、そっくりな女性が話しているのを見かけた。

「ああ、カミトさんじゃないですか。どうしました?」
 レナはびっくりした顔をしている。まあこんな場所で合わせる顔ではないものな。
「ちょっと確認したい事があって来ました。…… そちらの方は?」
「ああ、こちらは私の姉のヤヨイです」
「初めまして、カミト様。ヤヨイと言います。お名前は伺っておりますわ。ミオとレナがお世話になっているようですね」
 丁寧な言葉遣いのこの女性はレナの姉のようだ。確か王都で料理店を経営しているんだった。やり手だが堅物という話だった気がする。そんな雰囲気はないな。

「初めまして。カミトと申します。いえ、こちらが色々と助けていただいており……」
「そんなご謙遜を。ミオかレナから聞いているかも知れませんが、私は王都で料理店を経営していますの。ありがたいことに美味しいと評判でして。是非一度来てくださいね。」
「ありがとうございます。一度行ってみたいです」
 王都で美味しいと評判とはすごいな。王への接見時に一回行っただけだが、適当に入った店でもどれも非常に美味しかった記憶がある。その中で更に美味しいとなると本当に一回行ってみたい。

「それで、どういったご用件だったのでしょうか?」
 レナに聞かれる。
「昨日夕方、お会いしましたよね? ハンカチを落とされたので持ってきました」
「? 昨日の夕方は城におりましたが、カミトさんとお会いした記憶はないですが……」
「あ、そうですか、人違いですかね」
「ええ、ミオではないでしょうか」
 こちらも空振りに終わる。どういうことだ……?俺は考えるも答えは出ない。

「そうだ。せっかくのご縁ですので、もう一度手合わせをしてもらえませんか?」
 レナからお願いされる。
「ええ、時間もありますし、いいですよ」

 俺とレナは訓練用の剣を構えて向き合う。やはりレナは騎士だけあって、構えに隙はない。綺麗な姿勢をしているな。よく訓練しているのがわかる。
 打ち合いが始まる。キン、キン、キン。やはり、綺麗な剣筋だ。ただ、綺麗すぎて読みやすいことも否めない。フェイントも教科書通りの振る舞いだ。まあLV4相当と考えると十分か。俺はそんなことを考えながら打ち合いを楽しんでいた。

 10分ほどでお互いに離れる。
「手加減しました?」
 神妙な顔をするレナ。まあ今回も流石に騎士に打ち勝つLV3は変な注目を集めかねないので、セーブしながら対応していたのは否めない。
「いや、そんなことないですよ」
 俺は笑顔で否定しておいた。

「すいません…… 正直にいうと、貴方が実は何者なのかわかっています。LV10のカミトさんですよね? なぜ姿を変えているかは分かりませんが…… 以前LV10として手合わせをさせていただいた時の剣筋が独特で覚えていました。そして前回も今回も剣筋がそっくりなんです。足の動かし方などでも特徴があるのでわかります」
 バレてしまったか。レナにLV10のカミトであることがわかったと白状される。だから敬語だったんだな。

「ああ、そういうことですか…… この件は他の者には秘密にしておいてもらえますか? 色々とありまして」
「ええ、何か事情があるのは理解しております。誰にも言わないと約束します」

 恐らく何かの依頼だと勘違いしているだろうが、その方が都合が良い。変に誰かに話して依頼が失敗したとなるととんでもないことになる、とレナは考えているだろう。
 そして訓練道具を片付けながらレナに話しかけられる。
「初めてお会いしたのは城の練習場でした。対峙させていただいたとき、あなたの剣は輝いて見えました。」
 1回だけ断りきれずに訓練をしたことがあったがその時に対峙していたのか。世の中狭い者だな。
「そういってもらえると嬉しいです。まあ魔法ありきの剣ですが」
「それも含めて才能だと思います」
 真剣な顔のレナ。俺はとりあえず笑っておいた。
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